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『ドリームオーダー』推しは隅田知一郎。左腕愛あふれる小林プロデューサーがゲームに込めた思いや収録カードの選抜方法を語る【ドリオ】

文:ネオン

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 ブシロードが贈るプロ野球ファンの夢を形にしたTCG『プロ野球カードゲーム ドリームオーダー』(以下、『ドリオ』)のプロデューサー・小林伸斗氏に、『ドリオ』にまつわる制作秘話やとっておきのお話まで、深堀りしてお聞きしてきました!

 前編となる今回は、ずばりカードにまつわるお話、選手や能力の決め方などを中心にお聞きしています。

■小林伸斗プロデューサー
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▲『ドリームオーダー』のプロデューサー。以前は営業を担当。子どものころより野球をプレーし、現在も投手としてブシロード公式野球部に所属している。好きな選手は、西武ライオンズの隅田知一郎。

『プロ野球カードゲーム ドリームオーダー』とは

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 『プロ野球カードゲーム ドリームオーダー』は野球をテーマにした1対1の対戦型トレーディングカードゲーム!

 監督となって選手を起用し、自分だけの「ドリームオーダー」で対戦したり、好きな選手のカードをコレクションしたりして楽しもう!

カードゲームをやったことがない人でも、野球が好きなら誰もが楽しめる。それぐらい敷居が低いのがドリオの魅力!【ドリームオーダー】


――ゲームが発売されて数カ月が経ちましたが、感触はいかがでしょうか?

小林プロデューサー(以下、敬称略)
正直に言うと、まだまだかなと。現在、いろいろな方に遊んでいただいて、大変好評いただいていると思います。ですが、野球ファンって、とんでもない人数いるんですよ。私としては、プロ野球を見てるのにドリオをやってないの? という形になるのが理想なんです。

 だから、まだまだいけるという気持ちがあるんですね。先日ブースターパックvol.2が出ましたが、『プロ野球が好きであればどこからでも始められる』という強みをどんどん押し出して、今後も広げていきたいなと思っています。

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――ティーチングツアーの第2弾が始まっていますが、今回も47都道府県で開催されるのでしょうか?

小林
今回は、ちょっと絞らせていただきました。基本的には球団のある地域を中心に、その周辺も回ります。第2弾は120店舗ぐらいですね。たぶん20後半ぐらいの都道府県に行けるんじゃないかと。

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 自分は開催店舗にも足を運びます。現場を見ないと、どんな方がやってくれているのかわからないので。地元だとこの選手がヒーローだとか、制作側から見ているのとは違うプレースタイルだとか、ゲーム環境も大きく変わっていたりしますので、そういったものに敏感になるためにも全国どこでも行こうとは思っています。

――第一弾で実際に訪れてみて、地域や店舗による違いなどはありましたか?

小林
年齢層で言うと、ピンからキリですね。私は元々営業をしていて、いろいろなTCGの営業させてもらっていたんですね。そういったカードゲームの年齢層は、おおよそ18歳から20歳真ん中ぐらいのところが大枠を占めているんです。イベントでもティーチングでも現地に行くと、それぐらいの年齢層の方が多かったです。

 でも、ドリームオーダーに関しては、本当にピンからキリまでいらっしゃる。ひと桁のお子さんもいらっしゃれば、「50台ですけどドリームオーダーできますか?」っておっしゃっていた方も。どちらの方も最後まで触れてもらったら、対戦できるぐらいに上達されていましたね。ドリームオーダーはそれぐらい難しくないゲームなんです。

 野球を好きな人たちって、球場に集まってワイワイするのが好きだったりしますよね。共通の話題で盛り上がれるんですよ。他のカードゲームだったら、ルール系の話とか、カードの強さみたいな話になると思うんですけど、ドリームオーダーは、カードゲームをしながらプロ野球の話でも盛り上がれるんです。

 そういうところが野球というコンテンツの大きさだなと感じています。年齢問わずなので、ぜひご家族で始めていただければなと思っております。

――始めにお話しいただいた、「プロ野球が好きであればどこからでも始められる」につながるんですね。将来は、球場にドリオ専用のスペースなんかもできちゃったり。

小林
ハマスタに焼肉ができるテラス席(ベイディスカバリーBOXシート)がありますよね。ああいうところでドリオをやっていただけたらなと。

 私が冠試合で行かせてもらったときは、筒香選手が逆転ホームランを打って話題になったと思います。

――5月6日のヤクルト戦ですね。最後は驚きの展開でしたね。

小林
3打席目に筒香選手がツーベースを打ったときは、ちょうどリボンビジョンにドリームオーダーと出てるときにフェンス直撃だったんです。これは話題になったと思って。よしきた! これはいいぞ! と思っていたら、逆転ホームランまで打ってくれたんですよ。

 ヒーロー賞の贈呈でドリームオーダー1年分を贈ったんですけど、ドリームオーダー1年分ってなんだ!? ってSNSでめちゃくちゃ言われました。ドリオ一躍有名になったので、ベイスターズさんには本当に感謝しかないですね。

【伝説の漢!】筒香嘉智がホームランかっ飛ばして逆転勝利!!!|2024.5.6の注目シーン

ブシロードの公式野球部の現役ピッチャーの顔を持つ小林Pの実力とは!?


――楽天主催試合でドリームオーダー冠試合の始球式をされましたが、いかがでしたか?

小林
これはね、社長からいっぱい外で話してこいって言われているんですけど、実はあのときは全力投球してないんですよ。


――そうなんですか!?

小林
つい先日スピードガンで132キロを出してきたんです。始球式では、屋内練習場でばりばり投げ込みをしたあとに、球団職員さんと一緒にグラウンドに向かったんですよ。そしたら別の職員さんから「野球経験者ですか?」と聞かれて。

 「はい。バリバリ130キロ投げます」って答えたら、「絶対やめてください」って(笑)。どうやら、パフォーマンスだったり、速い球を投げたり、変化球を投げたりするのは、申請が必要らしくて。

 始球式が初めてなので、そういうことがわからなかったんです。選手が打席に立つし、キャッチャーも知らない相手の球を捕ることになるので、想像以上のものが来ちゃうと怪我をしてしまうかもしれないですよね。で、110キロは超えないようにしてくださいって言われたんですよ。

 なので、しっかり110キロを目指しましたら、ビタビタの110キロだったんです。これはある意味で、自分としては良い出来だったかなと。でも本気ではないんです。

――アスリートの方が始球式されるときは、あらかじめ申請をしてるんですね。

小林
多分、初めからアスリートってわかっている方だったら、球団側が最初に確認していると思うんですよね。ただ私みたいにカードゲームのプロデューサーで、プレイヤーのイメージがあまりなかったから、確認されなかったんだと思うんです。

――危ないところでしたね。

小林
そう。もうちょっとでめちゃくちゃ怒られるところでした(笑)。あのときに控えめに返答していたら、危なかったかもしれないです。次はちゃんと申請をして、130キロを目指したいですね。

――緊張されましたか?

小林
みんなにめっちゃ緊張した? とすごい聞かれたんですが、全然緊張してなかったです。むしろマウンドに立つまでが緊張していて。

 自分はピッチャーのポジションを20年間やっているので、マウンドに立つほうが落ち着くんですよね。マウンドに立つ瞬間はいつもの光景だって思って、逆に冷静になりました。

 屋内練習場から移動の準備をするんで待っていてくださいと言われた時間だったり、歩いてベンチの裏に入ったり、そういう移動時間が一番緊張しました。

――次にあるとしたら、どの球場で投げたいですか?

小林
始球式からしっかりとスピードを表示してくれる球場が理想ですね。それで130キロ投げていいよって言ってくれるところだったら完璧ですね(笑)。もちろん投げさせてもらえるだけでもありがたいので、130キロはダメでも機会があればどこへでも伺わせていただきます。

――そのときはドリオでライブ配信するのもいいですね。

小林
それも面白いですよね。ぜひみなさんにも見ていただきたい。

――130キロ出たら、スカウトが来るかもしれないですよね。

小林
いやもう本当に。毎日ちゃんと練習していますので。ブシロードに野球部がありまして、今年ついに公式野球部として認められて、部費をいただけるようになりました。

 会社に所属して、野球をやらせてもらっているのでプロ野球選手のような気持ちですね(笑)。ただ、やるからには勝ちたいので常に体づくりを行っていて
新しい挑戦としては、最近は左投げにも挑戦しています。


――左で? なぜですか(笑)。

小林
左がカッコいいなと(笑)。110キロを左で投げたら、あれあのPって右投げじゃなかったっけ? みたいな話題性も出るかなと思うんで、どっちでもいけるように練習してます。

――でしたら、左のサイドにも挑戦してみてください。

小林
がんばってみます(笑)。去年はIT健保という健康保険が主催する公式大会に出てベスト16止まりだったんで、今年はベスト8以上を目指して、みんな練習していますね。

――活躍を期待しています。生配信などで西武ライオンズの左腕、隅田選手が好きと伺いましたが、西武が贔屓球団なんですか?

小林
いえ、特定の球団は贔屓はしてないです。今ちょっと2軍で調整中ですけど宮城選手もめちゃくちゃ好きですし。要はサウスポーがみんな好きなんです(笑)。

 例えば阪神のリリーフの門別選手にも注目しています。自分はずっとピッチャーやっているので、ピッチャーの勉強としてプロ野球を見たり、サウスポーいいなと思って見たりしていました。

 その中で今、隅田選手が一番好きなんです。あと2023年ドラフト1位のファイターズの細野選手もいいなと。先日、1軍初先発だったんですけど……。

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――5回途中まででしたが、ナイスピッチングでしたよね。

小林
ちゃんと投げきれなかったっていうのもあるんですけど。ドラフト1位で入ってきただけの勢いのある球は投げていて。なんか大人なピッチングし始めたなと思いました。

 大学のときは150何キロをずっと投げていましたけど、プロだとシーズンで見たときに通用しないんで、平均球速148キロに抑えて、ここってときに155キロを投げていたんです。大人のピッチングをしていると感じました。そういう感じで、ずっとサウスポーを見ているんです。

 愛知生まれなんで、ドラゴンズがずっと生活の一部にはあったんですけど、勝ち負けよりも左投げ投手の成績が気になってました(笑)。

 いまだと小笠原選手が投げているとうれしくて見ているんですけど、複雑だったのは交流戦で小笠原選手と隅田選手が投げ合ったときですね。試合中、どっちもノーヒットノーランしてくれないかなぁと思ってしまっていましたね(笑)。

 ピッチャー命で見ているんで。どれだけ抑えるかを見ているから、自分としては0行進が、自分はめちゃくちゃ面白いんですよ。いいぞやれよ、みたいな感じで。

 だからバッティングで打たれると舌打ちしちゃうんすよね。どっちでも。本当にピッチャー目線でしか野球を見てないんで、そういう意味では偏っていますね。

――それで隅田選手だったんですね。では、これまでに憧れたピッチャーはいらっしゃるんですか?

小林
自分の練習が大変だったのもあり、あまり憧れたピッチャーというのは多くなかったんですが、基本サウスポーを見ていたんで、その中でもやっぱり地元ということもあって山本昌さんですかね。その年齢でそのストレートを!? っていう。

 あと自分は球の回転数を意識しています。自分自身が体格がいいわけではないので、大柄な選手相手にはただの球速では勝てないんです。高校のときから取り組んでいたのが、球の回転数を増やすことと出所を見にくくすることだったんですね。

 藤川球児さんのストレートだったり、山本昌さんの一番速い132キロみたいに言われる快速球だったり、あとは杉内俊哉さんの脱力したところからの1球とかも。これは回転数なんだろうなと意識して見ていました。

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 昔からただ早いだけのピッチャーっていうのは、あまり惹かれなかったんですが、表示より球が速く見えるピッチャーには憧れがあったので、憧れた選手といえば、先ほど挙げた選手になると思います。

選手カード1枚とっても深い議論を交わされていることが判明! コアなファンも思わずうなずいてしまう情報量が蓄積されていた!?


――ここから選手カードのお話になります。収録選手を選ぶ際のテーマは決まっているんですか?

小林
現状でいうとvol.1とvol.2は2023年の総決算という意味があって、スター選手をvol.1と2に分け、今後も期待できる選手だったり、活躍がちょっと少なかったけど将来期待できる選手だったりを入れています。vol.1と2を一つの商品として考えていますね。

 vol.3に関しては、2024年シーズン最初になるので、開幕1カ月に目立った選手っていうのを考えて作っています。ただゲームで能力を作る必要があるので、2月ぐらいには今年の開幕1軍を12球団分のキャンプを見ながら検討していました。

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 調子を上げてきている選手を一度リストアップして、予備で何人か加えたあと、テストをしてゲームを作っていきます。オープン戦から活躍し始める選手もいるので、ギリギリまで選手の状態を本当の監督になった気持ちで調整しますね。

 開幕戦が始まってからは、選手たちが実際どうだったかを意識しました。例えばルーキーの選手は、オープン戦ではめちゃくちゃ打つけど、実際に見るとやっぱり経験不足ってパターンがよくありますよね。

 オープン戦だとピッチャーの調整が遅れていたり、ストレートが多めだったりするので、狙って打てば打者の打率は上がりやすいんです。

 度会選手は開幕から良い活躍をしてくれて、一時2軍になりましたけどまた1軍に戻り、9番から2番まで打順を上げてきたことで、やっぱり実力ある選手だったなと。vol.3の目玉のひとつは度会選手です。

 あとは期待していた阪神の村上選手は入れたいなと思っていました。安定感があると意味で阪神の中野選手とか。彼はオープン戦では状態が上がってこなかったんですが、開幕からどう転ぶ? と思いながら作ったんですけど、入れて良かったと思います。なので、vol.3のテーマは『開幕』です。

 続くvol.4は発売が10月12日になるので、シーズンが終わるころですね。そのときまで活躍しそうな選手を選んでいます。常に予想ですね。過去の成績だったり、夏が弱かったり、そういうことを込みで検討します。

 この選手はきてくれるだろうっていう期待も込めて。テーマとしては、『シーズン最後に活躍してくれる選手』です。

――vol.3からのカードは、今シーズンの写真になるんですか?

小林
そうなります。今はもう暑い季節になりましたが、撮影が寒い時期になることもあって、ネックウォーマーつけている選手もいます。

――写真も楽しみですね。個人的に聞いておかねばと思っていたんですが、筒香選手の収録は?

小林
よくぞ聞いてくれましたというところですが、vol.3に無理やりねじ込みました。本当はカードリストが確定していて、選手の写真もいろいろと発注済みだったんですけど、冠試合であんなことされたらやるしかないと思って。

 工場には最初に何も言わずに、すまんって謝りつつ。開発の方にも、すまん筒香を入れたいんだってねじ込みました。

 ということで、ブースターパックvol.3に筒香選手が入ります。

――すごい! 完全にvol.4からだと思ってました。

小林
ホントにねじ込みました(笑)。ドリームオーダーにとって、特別な選手になったので。

――ファンもびっくりしますよね。速度感が半端じゃないですね。

小林
そうですね。商品落としそうで、めちゃくちゃヒヤヒヤでしたけどね。いやでも筒香選手なんだ!! っていうふうに。筒香選手の追加には、いろいろなところと戦ったという経緯があります。

――小林さんの推しのカードは、どのカードになりますか?

小林
Vol.2までで言うと、西武の隅田選手がいるので、推しのカードというか推し選手になりますね。スキルや能力で言うと、ロッテの小島選手。スタートデッキの小島選手が私の中では渋いなと思っています。

 小島選手って派手な選手ではないんですよ。160キロを投げるとか、ホームランをバンバン打つとかっていう派手さはないけど、しっかりとチームの軸となって勝ちを稼いでくれたり、最少失点で抑えたりするんです。

 この前ちょっといろいろありましたけど、基本的に年間通して同じスペックでやれるところが小島選手の魅力かなと思っています。

 で、ドリームオーダーの小島選手の能力なんですが、抑える技術をサイコロの目をマイナスにする能力で反映させています。覚醒をすると、ディフェンスポイントが1上がるんですが、この1がすごく大きいんです。

 ここぞっていう場面ではしっかり抑え、長いイニングを投げる先発としての必要な要素を、派手さはないにしろ持っているところが自分の中では大きなポイントです。

 選手の能力を作っていく中で、ロッテには佐々木朗希選手がいるので、どうしてもそこに目が行くかなと思うんですけど、投手陣の精神的支柱なところも含めて、慕っている小島選手が玄人な能力をつけている点をロッテファンには気づいてほしいです。

――わかる人が見たら、わかってる! ってなるんですね。

小林
そうですね。vol.2だと、中日ドラゴンズに根尾選手がいるんですけど、根尾選手はピッチャーのアタックポイントがDHなしでもやれるように、高い数字がついているんです。

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 ほとんどの投手は3なのですが、根尾選手は4にしているんですね。根尾選手は元々ショートで外野の経験もあるので、1つ数値を上げました。そういったところを意識して作ったこともあるので、愛着はありますね。

――日本プロ野球機構の選手って、支配下登録だけでも800人以上ますけど、ドリームオーダーのスタッフだけで選手全員のデータを網羅されているんですか?

小林
スタッフに、一人めちゃくちゃ野球が好きな人がいるんです。その人はプロ野球を達観して見ていて、推し球団がないんですよ。

――えっ!?

小林
全球団を俯瞰して見ているんです。1球団に対する細かいオタク度は低いかもしれないですけど、選手の成績や経歴を常に見ている人間なんです。我々は「選手名鑑」と呼んでいます。

 その人が大枠となる選手を選び、その中で私とかがここってなんでこの選手なの? って話を聞きます。そして全体を見て、ここから来るだろうって選手も入れていくんです。まだ1軍では成績が全然上がらなかったり、あまり出場していなかったりという選手も候補に含めていますね。

 ブシロードには、贔屓球団を持つ人が12球団それぞれ全部にいるんです。そういう人のところに行って、この選手どう思いますか? って生の声を聞くこともあります。

 vol.1とvol.2に関しては、それこそ2023年の1年分から選手を選んでいるんですけど、その中からこれは来るだろうとか、少し癖のある選手とかを選ぶこともありました。

 例えば、どこからも言われるのは阪神の戸井選手。この収録は渋いって言われます。天理高校出身で甲子園のヒーローで、そういう意味では根尾選手と同じ甲子園のヒーローでもありますね。今は2軍ですが、相当成績上げてきているんで、ワンチャン今年のうちに活躍がありそうかなと期待しているんです。

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 そういったところも彼らは見る力があるので、本当にプロジェクトチーム一丸でやっています。だから、たまにクセの強さも出てきちゃうんですよね。

――狙って再現されているんだなと感じました。

小林
ゲームをやっていると、何でこの能力が足りないんだろうって思うときがあるんですよ。絶対に。そのときに自分の贔屓の球団を思い出してください。よく考えると、ないか……ってなるときが結構あると思うんです。

 スタートデッキからvol.2までを含めて考えてもらいたいのは、なんでうちの球団にはこんな能力のカードがないの? って思われたときに、いやいやないなというところにたどり着いたら我々の勝ちだなと考えて、開発の会社さんと私どもで話し合って作っていましたね。

 全部があるわけじゃないんです。カードゲームっていうと、弱点も欲しいじゃないですか。絵が違うだけで、全部が全部同じものを持っていたら面白くないんです。そういった不自由さもひとつの楽しみであり、球団運営って難しいんだよって伝えたいですね。

みんなが待っている代打とOBの追加! さらにチームカードの将来まで、どんな方針で検討されている?


――次の質問ですが、ズバリ代打ルールの追加はありますか?

小林
はい、代打の追加は考えています。一応、私も生配信などで、ちらっと言っているんですよ。追加しますと。時期に関しての詳細は、控えさせていただきたいんですけどね。

 代打を実装するときのテーマは、『代打で活躍した選手』。代打が発表されたときには、そこを意識してもらえるとありがたいです。

 確かに! と思ってもらえる選手を選んでおります。セ・リーグはね、選びやすいんですよ。パ・リーグはなかなか難しいんですけど。

――パ・リーグはDHですからね。

小林
代打が最初から入っていない理由は、代打があるとゲームの中でやることが多くなってしまうんです。野球を好きな人でも、カードゲームをやったことがないとか、子どもとポケモンカードで遊ぶぐらいという人も多いと思います。その人たちがあれこれしないといけないというのは難しいと考えたんです。

 そこで段階を踏むことにしました。例えばvol.1では、シンプルにカードを入れ替えてみてください。vol.2では、タイムポイントを使い切ってみましょう。vol.3は、戦術カードを使ってみませんか? というテーマで徐々にやることを増やしていこうと思っています。

 vol.4にもこれをやってほしいなっていうのがあります。選手を選ぶだけじゃなく、ゲームの要素をひとつひとつ段階を踏みながらやっていこうというのが、この1年の構想です。そういうところにも注目してもらえたらなと思います。

――だんだんと、リアルな監督に近づいていく感じですね。代打用デッキや覚醒用デッキなど、投手交代も含めてユーザーにとって想像が膨らみます。

小林
そうなんですよ。例えば、九州のチャレンジカップであったことなんですが、1人の選手が中継ぎ選手のカードを最初のターンから最終回までずっと握っていて、最終回になって、ワンポイントでその選手で覚醒して抑えるというゲームをしたんです。

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 そんな感じで、隠す代打もあるかもしれないですよね。代打を実装したときは注目したいです。

――引退された選手のカードが、現在は山本昌さんと福浦和也さん、松井稼頭央さんが出ていますが、今後もPRカードとして予定はありますか?

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小林
OB選手は出ますね。ただ気にしていることもあって、出しすぎないことと、納得のいく選手に納得のいく能力つけることを意識しています。

 本望じゃないのは、大会がOBだらけになることですね。もちろん素晴らしい選手たちですけど、今をときめく現役の選手たちを一番に考えたてもらいたいなと思っているんです。

 本当はブースターパックvol.1からOBの構想はありました。ですが、本筋の商品は、OBをできるだけ収録せずにいこうと考えが変わり、現役を一番リスペクトして、OBは添えるイメージですね。

――球団に1枚ずつ登場しますか?

小林
それを目指していますね。

――何球団も渡り歩いた選手もいますよね。落合博満さんとか。

小林
めちゃくちゃ難しいですね。それぞれの球団に、このOBを考えているんですけど大丈夫ですか? って伺っていますよ。

 今のところ収録の予定はないんですけど、自分は左のピッチャーが好きなんで、工藤公康さんとか。西武、ホークス、はたまたジャイアンツか。

――ベイスターズにもいましたよ!

小林
いましたけど、多分一番イメージが……(笑)。西武だと西武のレジェンドリーグに出ていたし、ホークスは監督のイメージが強いし。

 どちらかになるか、どちらにも出したら面白いかも、なんてことをお風呂でよく考えています。

――大会はOBの制限を考えていますか?

小林
例えばですけど、OBを1人必須もいいし、OB禁止もいいと思います。ただ、日本シリーズのような大会では、リアルなプロ野球を反映するのも一つの醍醐味かなと思うんです。

 カードには、何年のカードか数字が書いてあります。2023年のカード、2024年のカードという具合で。その年数で縛るのもありです。

 正直。野球ならではのルールだと思います。日本シリーズは年代で縛ったり、逆に全部OKという大会があってもいいかなと。

 それはカードゲームの醍醐味だと思いますし、現役時代の強い能力を持っているんで、今の選手とOBの現役時代がフルパワーで戦えるっていうのもこのゲームの楽しいところになると思います。

 そこを生かしつつ、制限かけたり緩めたりする方式を考えていければと考えているところです。

――来年からは引退や戦力外、メジャー移籍の選手カードも出ますね。

小林
そうなんですよ。ほかのカードゲームには禁止カードとか制限カードというのがあるんですけど、その基準を日本にいるかいないかする考えもあります。

 例えば今永選手を収録していたとして、メジャーに行っている間は日本シリーズ禁止ですとか。佐々木朗希選手とか。どうしようかって気持ちもあったりするんですけど(笑)。

 ただゲームで強い弱いというだけではなく、リアルに則していたり則していなかったりという制限をしても、大きな反発は生まれなさそうだなと感じています。最初からそういうスタンスにするのも、一つかなとは思っていますね。

 勝つことを至上と考えるゲームっていくつかあるんです。そういうのがあるからカードゲームの市場が回っているというのもあります。

 ただ、ドリームオーダーに求められているのは、そこではなくて新しいカードゲームの楽しみ方、プロ野球ファンたちが楽しめるものっていうのが一番かなと思ってるので、ごっこ遊び的な部分も前面に出していきたいなと思います。

――現在は、球団のチームカードが完全に横並びですが、今後変化はありますか?

小林
2年目になるかなと思うんですけど、ひとつのギミックとして入れようと考えています。球団の特色を出したり、ゲームの幅を広げたり、チームカードの違いは将来的に出していく予定ですね。

 球団ごとに差をつけることは、本当めちゃくちゃ大変です。特にサイコロを使うんで、余計に難しいです。

――このチームカードとこの能力を組み合わせると超強力、みたいな組み合わせも生まれてきそうですね。

小林
はい。それはそれで面白いかなと思っています。

――サイコロと言えば、初めてプレーさせていただいたときに、サイコロ運がよすぎて初回に7点も取ったんです。でも、相手の方がサイコロ運がかなり悪くて……。スタートデッキだけでも差がついたことがありました。

小林
そういうこともありますね。ドリオの良くないところは、高校野球のシード漏れした常連校と公立高校の試合みたいな展開が起きてしまうんですね。

 攻守が分かれていたり、ターン制があったり、野球とカードゲームは相性が良くて、それを基盤に考えたんです。でも、一番頭で悩ませたのは、攻撃回数が無制限になることなんですね。

 3つアウトを取らないとチェンジにならない。アウトにならなかったら、無制限に攻撃ができる。それはそれで野球というものですが、そのためにサイコロでアウトにできる確率を調整しました。

――サイコロでアウトになることは割とありますね。ミートか強振かでもかなり悩みますし。手札とにらめっこです。

小林
意外とデッキの構築段階から奥が深かったりするんです。守備側でも、ピッチャーの覚醒の軸がばれて勝負師を1回決められるだけでも、崩れてしまいますね。

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 ドリームオーダーで一番のポイントとしたことで、これは社長からもあったんですけど、自分のスターティングメンバーはこれだよと見せるようにしようと。

 理由の一つは、自慢がしたい。俺はこれを揃えたんだぜって常に自慢できる。ユーザーの中にはコレクターもいると思うんで、相手に見せたり、打順で並べてカードを飾ったりできるようにしました。

 そして、ゲーム的な側面でいうと、盤面に並べれば選手の動きがわかって状況が把握しやすいんです。一番強いカードはオーダーデッキに入っていると思うんです。もちろん守備要員でメインデッキにしか入れてないカードがあるかもしれませんが、一番活躍するのはオーダーデッキなんですよね。

 だからゲーム開始時点から、ある意味で相手のデッキのやばいところがわかるんですよ。というのも、知らないカードがあれば見せてもらうことができるんです。場に常に出ているんで、いつでも聞けるように、会話を増やすことも意識しました。

 前編はここまでとなります。後編では、公式大会やイベントなどのお話や楽しい遊び方をお届けしますので、お楽しみに!



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