電撃オンラインが注目するインディーゲームを紹介する電撃インディー。今回は、先日実施された“電撃インディー大賞2024”の受賞記念で、ダークファンタジーな世界観をもつシティビルダーゲーム『Against the Storm(アゲインスト・ザ・ストーム)』の開発者インタビューをお届けします。
本作はダークファンタジーな世界観をもつシティビルダーゲーム。ゲームの舞台はすべてを破壊する強大な嵐“ブライトストーム”によって文明が破壊された世界です。
プレイヤーは女王から任命された総督となってスモルダリング・シティ周辺の土地を開拓、女王からの指令を達成するほかさまざまな手段で名声を高めることが本作の目的となります。
本記事では、“電撃インディー大賞2024”でシミュレーションゲーム部門1位を受賞した『Against the Storm』の開発を担当した、Lukasz Korzanowski氏(Co-Founder at Eremite Games)にお話を伺いました。
シティビルダーとローグライク組み合わせはうまくいった? 開発者が注目点や苦労した点を語る【Against the Storm】
──電撃インディー大賞2024で『Against the Storm』がシミュレーションゲーム部門で1位を獲得した感想を改めて教えてください。
今回このような大賞を受賞することができて本当に光栄です。そして、『Against the Storm』をこの1年で最も気に入ったシミュレーションゲームとして選出し、投票してくださった皆さんに感謝申し上げます。このような評価をいただき、とてもうれしく思うと同時に、身の引き締まる思いです。
また、このような大賞を受賞させていただいたことで、私たちのような小さな開発チーム(わずか6人)でもゲーム開発に成功して、世界中のプレイヤーを魅了することができるということを再確認することができました。『Against the Storm』の開発を始めたころは、まさか数年後に日本で大賞を獲得するなんて思っても見ませんでした。圧倒されています!
──『Against the Storm』の注目点を教えてください。
『Against the Storm』のゲーム設計を支える哲学の主軸は、「配られた手札をうまく使う」ということです。
つまり、プレイヤーはそのとき自由に使える資源やツールを最大限に活用しなければならないということです。
他の多くの都市建設ゲームとは異なり、本作では利用できる建物すべてを自由に使えるわけではありません。
指令や探索、交易や恒久的なアップグレードなどを通してそれらを獲得していくことは可能ですが、それでも全ての建物を利用できることはありません。
同じ戦略に頼り続けるのではなく、獲得したものを最大限に活用し、新しく大胆な戦略を試してゆくことが必要となるのです。
こうした戦略は“特性”によって大きく拡張してゆくことが可能です。これもまた都市建設ゲームとして新鮮な要素です。
単純な生産ボーナスや村人の速度バフから、天候を変える効果のあるものやルールを変更する修正器などが存在します。
特性を組み合わせることで、声望の獲得を手助けする強力な相乗効果を生み出し、ゲームの勝利へと繋げることができます。
こうした点が本作を際立たせている要素だと思います。
『Against the Storm』のゲーム設計を支える哲学の主軸は、「配られた手札をうまく使う」ということです。
つまり、プレイヤーはそのとき自由に使える資源やツールを最大限に活用しなければならないということです。
他の多くの都市建設ゲームとは異なり、本作では利用できる建物すべてを自由に使えるわけではありません。
指令や探索、交易や恒久的なアップグレードなどを通してそれらを獲得していくことは可能ですが、それでも全ての建物を利用できることはありません。
同じ戦略に頼り続けるのではなく、獲得したものを最大限に活用し、新しく大胆な戦略を試してゆくことが必要となるのです。
こうした戦略は“特性”によって大きく拡張してゆくことが可能です。これもまた都市建設ゲームとして新鮮な要素です。
単純な生産ボーナスや村人の速度バフから、天候を変える効果のあるものやルールを変更する修正器などが存在します。
特性を組み合わせることで、声望の獲得を手助けする強力な相乗効果を生み出し、ゲームの勝利へと繋げることができます。
こうした点が本作を際立たせている要素だと思います。
本作は、周回プレイが基本となっていて、2~3時間で1つの入植地を完成させることができます。
それが終わるとまた別の場所で、まったく異なる条件の下で新しい入植地を築いてゆくのです。
また、本作のメタ進行システムを通して、恒久的なアップグレードや新しい特性、建物などアンロックしてゆくことができるので、すべてのゲームプレイが有意義なものとなっています。
──開発で苦労していたところを教えてください。
私たちは、シティビルダーとローグライクという、あまり見ることのないジャンルの組み合わせを選びました。
それをうまく機能させるためには、慣れ親しんだ形式をふるいにかけて、プレイするたびに異なる体験、異なる課題を提供し、常にプレイヤーの戦略を見直させるようなシティビルダーを作りだす必要がありました。
(シティビルダーによく見られる)新しい拠点を築き始めたときの刺激的な体験と(ローグライクによく見られる)無限とも言える豊富なバラエティとリプレイ性を融合させたかったのです。
長い間、この2ジャンルに互換性があるのか、有意義な方法で組み合わせることができるのか、なかなか確信を持てずにいました。それでも、幸いなことに、それがとても素晴らしい組み合わせとなったのです。
2019年に『Against the Storm』の開発に着手したころは、自分たちの仕事が終わってから開発を進めるというようなかたちでした。
皆、別に本業を持っていたので、本作の開発に時間を割けるのは夜と週末くらいだったのです。そのような状態が1年半ほど続きました。
その間、疑心暗鬼になったり、疲労困憊することもありましたが、お互いに支え合うためにできる限りのことをしました。
そして2021年、本作の全面的な開発資金を確保することができ、ついに自分たちのゲームスタジオを立ち上げることができました。
会社経営そのものが苦労した点とも言えますが、それは割愛しておきます。
──ゲームタイトルにこめた想いを教えてください。
タイトルを作るより前に、私たちは“レインパンク技術”と“雨が止まない世界”というアイデアを思いついたのです。
それはチームで世界観を構築してゆく演習をしていたときに出てきたものでした。
この演習では、現実世界のある一面を変えて、その変化が人や建築物、宗教、政治、ファッションなどに与える影響をすべて考え出すといったものです。
その結果として出来上がったのが、魔法を帯び、毒性のある雨がいつも降り注ぐ世界でした。
その世界では、きっと火は神聖なものになるだろうし、人々は絶え間なく降り続ける雨を利用する方法を見つけ出すはず、服装も異なるだろうし、建物の建て方も変わってくるはず。
そして社会は、綺麗な水を手に入れられる者と汚染され魔法を帯びた雨水を飲まざるを得ない者たちに分かれるだろう、なんてことを考え出しました。
すぐにこの世界に惚れ込んだ私たちは、さまざまなプロトタイプでいろいろなジャンルを試しながらも、この世界にこだわり続けました。
名前そのものに関しては、たくさんのアイデアを出し合いましたが、最終的には『Against the Storm』に落ち着きました。
テーマに沿っていて、かつローグライクのゲームから連想される緊迫感や衝突を表現していたと考えたからです。
タイトルを作るより前に、私たちは“レインパンク技術”と“雨が止まない世界”というアイデアを思いついたのです。
それはチームで世界観を構築してゆく演習をしていたときに出てきたものでした。
この演習では、現実世界のある一面を変えて、その変化が人や建築物、宗教、政治、ファッションなどに与える影響をすべて考え出すといったものです。
その結果として出来上がったのが、魔法を帯び、毒性のある雨がいつも降り注ぐ世界でした。
その世界では、きっと火は神聖なものになるだろうし、人々は絶え間なく降り続ける雨を利用する方法を見つけ出すはず、服装も異なるだろうし、建物の建て方も変わってくるはず。
そして社会は、綺麗な水を手に入れられる者と汚染され魔法を帯びた雨水を飲まざるを得ない者たちに分かれるだろう、なんてことを考え出しました。
すぐにこの世界に惚れ込んだ私たちは、さまざまなプロトタイプでいろいろなジャンルを試しながらも、この世界にこだわり続けました。
名前そのものに関しては、たくさんのアイデアを出し合いましたが、最終的には『Against the Storm』に落ち着きました。
テーマに沿っていて、かつローグライクのゲームから連想される緊迫感や衝突を表現していたと考えたからです。
──今後、実現したい野望などありますでしょうか?
最近のゲーム開発業界の状況はあまり良くなく、世界中で何千人もの人がレイオフされていますが、私たちはこれからもずっとゲームを作り続けていきたいと思っています。
私たちのスタジオは、6人の仲間で構成されていますが、人数を増やすつもりはありません。その代わりに、小さなスタジオのまま、チームの規模に合わせたゲームを作っていくつもりです。できる限り長く、このチームで一緒にゲームを作っていきたいと思います。
また、『Against the Storm』ユニバースも続けていきたいと考えていますし、まだまだ未開の地や語りたい物語もたくさんあります。
──ゲームの開発に携わることになったきっかけについて教えてください。
元より皆熱心なゲーマーだったので、大学卒業後にゲーム業界で仕事を探すのは自然な選択でした。
チームのメンバーはそれぞれ、もう8~10年ほどゲーム制作に携わっています。
私たちは、ポーランドのヴロツワフにあるモバイルゲーム会社で出会いました。
そこで私たちはすぐに友達になり、自由時間を使って一緒に新しいゲームを作ることにしました。
そして、ゲームジャムに参加して、自分たちでモバイルゲームを作りました。大成功とまではいきませんでしたが、良いチームであり、もっと野心的なプロジェクトを創り出すには十分だと確信しました。
そして出来上がったのが、後の『Against the Storm』です。
──ここ数年でもっとも感銘を受けた、おすすめのインディーゲームについて教えてください。
間違いなく、最近のゲームで最も気に入ったものは『Valheim』ですね。
世界を震撼させたタイトルですし、コロナのパンデミック渦に私たちの友情を維持するのにも役立ちました。
以来、私たちはこのゲームをずっと一緒にプレイしてきました。
もう他のどのゲームを遊んでも同じ感動を得られることはできなくなってしまったので、ある意味私たちの中でのサバイバルというジャンルに決着をつけたとも言えます。
もう1つのオススメは『Thronefall』ですね。シンプルながら難易度も高く、デザインとグラフィックがとてもエレガントです。
小さなチームによって作られたこの作品からは、彼らの情熱が感じられます。私たちはみんなで、いろんなマップでお互いのハイスコアを競い合っています。
『Super Fantasy Kingdom』にも、とても期待しています。『Against the Storm』と同じく、Hooded Horseがパブリッシングを手掛ける作品です。Gamesconで初めて遊んだのですが、Gamescomの半分をこのゲームに費やしたといっても過言ではありません。
──最後にユーザーに一言お願いします。
皆さんからのサポートと愛に感謝しています!日本のコミュニティーは非常に活発ですし、SNS上での『Against the Storm』に対するポジティブな姿勢もしっかりと確認させていただいています。
皆さんのご健康を祈るとともに、『Against the Storm』に新しく刺激的なコンテンツをお届けできるよう、今後も全力を尽くすことをお約束します!
Lukasz Korzanowski(Co-Founder at Eremite Games)