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『菜なれ花なれ』3話感想。クールキャラだと思っていた涼葉の本性があまりにも面白すぎた。実は奥手でメンタルが弱い似たものコンビが尊い(ネタバレあり)

文:米澤崇史

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 TVアニメ『菜なれ花なれ』3話“いつもこの顔だから”の感想記事をお届けします。

【注意】キービジュアルより先のテキストでは、『菜なれ花なれ』第3話の物語に関する記述が多々あります。そのため本編をご覧になってから読むことをオススメします。 [IMAGE]

これまでのシーンの裏側に隠されていた涼葉の本音【菜なれ花なれ 3話感想】


 前回の2話の感想で、涼葉と詩音が予想以上に面白いキャラだったという感想を書いていたんですが……いやぁ、3話はもうそれどころじゃなかったですね。

 とくに涼葉に関しては、前回から印象が180度……とまではいいませんが(もう面白さの片鱗は見せていたので)、165度くらいは変わったんじゃないかと思うくらい強烈なインパクトを残した回でした。

 第3話はその涼葉と詩音の最初の出会いである入学式のシーンから始まり、1・2話での涼葉が登場していたシーンで、実は裏で涼葉が何を考えていたのかが判明。実際、2話の涼葉の行動は、涼葉が詩音のことを既にかなり気にかけていないと辻褄が合わない部分があったので、今までの涼葉の行動はすべて詩音が好き過ぎるがためだった……というの個人的にも納得。

 とはいえ多少気になっているくらいのものだと思っていいたので、ここまで本気で詩音が好きだったのは完全に想像を上を行かれました。


 明らかに異様だったストーカーまがいの行為も、ただ仲直りがしたくて機会を伺っていたんですね……。木から落ちたのも、歌の上手い下手ではなく、詩音の歌が聞きたいがために無理な体勢になっていたからというまさかのオチでした。

 その上で、詩音に謝るためにあっさりと動画撮影にも協力。あまりにも涼葉の詩音への感情がクソデカすぎる。一人部屋で謝る練習をするシーンあたりで、「ここまで感情表現が下手な人間がいるとは……」と自然と応援したくなりました。表情がコロコロ変わる、感情表現豊かなかなたや杏那とは対照的です。

 涼葉みたいなクールキャラが空気を読まないドライな指摘をするシーンっていろんな作品でありますけど、言ったあとで「やってしまった~」と鬼のように後悔するパターンはすごく新しいなと。頭の上で悶えるミニ涼葉があまりにもかわいすぎます。


 涼葉があまりにも面白すぎて一気にもっていかれましたが、自分の推しである華は今回もめちゃくちゃいい子で良かった。華もある程度事情を知っているようなので、前回かなたが参加すると言った時、止めるどうかで迷いがあったと思うんですよね。それ故に後悔も大きかったのかなと。

 名門でトップを任されてれているほどなので、華も相当な才能の持ち主だと思うんですが、かなたはさらにその上をいく相当な天才であることも分かってきました。華は責任感も強そうなので、かなたの穴を埋めようと無理をして逆に怪我をしてしまわないかとちょっと心配になります。

 当のかなたはというと、恵深に対いて自分が飛べなくなっていることをなかなか打ち明けられず。ただBチームにも入れなかったという話を聞いて、恵深は明らかに納得がいっていなかったようなので、かなたの実力であれば名門だろうと通用する確信があるんでしょう。

 だからこそ、ごまかし続けるかなたに対して「飛べないの?」とズバッと切り込んだのが印象的でした。

涼葉と詩音の似たもの同士のコンビが好きすぎる【菜なれ花なれ 3話感想】


 かなたが飛べなくなったのはイップスが原因であることも判明。自分は野球が好きでイップスについては多少事前知識があったので(野球ではプロ選手でもイップスに悩まされるという話が珍しくないです)、やっぱりそうだろうな……という所でした。

 イップスは完治が非常に難しいとも聞きますし、だましだましやろうにも、チアの場合はジャンプを失敗するとそれこそ命に関わってくるので、不完全な状態で復帰というのも難しそう。ただアスリートにとっての半年や1年はかなり大事で、しかもそれだけ休んでも本当に復帰できるかも不透明なわけですから、かなたが焦る気持も分かります。


 ちょっと気になったのは、チア動画を辞めた方がいいんじゃないかという穏花の提案を、決めるのはあくまでもかなた自身だと突っぱねた時の杏那。

 穏花の提案は結構妥当だと自分は思ったんですけど、杏那はそれをかなり強く否定していて、「気を使って遠ざけられた」経験が杏那にもあったからこそ、かなたの気持ちが分かったんじゃないかなと。まだ明らかになっていない、杏那の過去も気になってきました。

 そして何より最高だったのが、音痴であることを気にして歌おうとしない詩音に、唐突にオタク語りを始める涼葉のシーン。3話はこの二人の会話が何度か描かれましたが、この二人って"外面は堂々としている割に、奥手でメンタルが弱い”っていう似たもの同士なところがあって、本音が分かるとほとんどコントみたいになるやりとりが繰り広られていました。


 それが大きく一歩前に進んだシーンでもあり、その後の木の上と下でのやり取りなんてほとんど告白シーンみたいなものですからね。「お前ら、もう付き合っちゃえよ!」みたいな気持ちになる、めちゃくちゃ応援したくなるコンビだなと。

 いきなりオタク語りを始めた涼葉だけじゃなく、詩音の方も最後にポロっと大胆発言をしていたり、奥手なのにお互い意外と攻めるのも面白い。


 一方、恵深や穏花との会話を通して「自分を信じる」という気持ちを思い出し、ついにもう一度飛ぶことに成功したかなた。

 ジャンプを成功させたかなたもスゴイですが、一番驚いたのはチア初心者であるはずの杏那と穏花、詩音が既にキレキレなダンスを披露していたこと。新体操部のエースである詩音はともかく、杏那は護身術で習ったカポエラ(カポエイラ)、穏花は好きだというヨガの経験が生かされているんでしょうか?


 かなたが飛べるようになるまではもっと時間がかかるだろうと予想していたので、今回のラストで飛べたのはちょっと意外ではあったんですが、これで本当にイップスが治ったのか、治ったならチア部に復帰するのかとか、次回以降のかなたの行動も気になるところです。

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米澤崇史:ロボットアニメとRPG、ギャルゲーを愛するゲームライター。幼少期の勇者シリーズとSDガンダムとの出会いをきっかけに、ロボットアニメにのめり込む。今もっとも欲しいものは、プラモデルとフィギュアを飾るための専用のスペース。

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