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STG『夕暮れの楽園と赤く染まる天使たち』は「簡単だけどおもしろい」に挑戦した作品【電撃インディー#706】

文:電撃オンライン

公開日時:

 電撃オンラインが注目するインディーゲームを紹介する電撃インディー。今回は、先日実施された“電撃インディー大賞2024”の受賞記念で、“骨硬派”シューティングゲーム『夕暮れの楽園と赤く染まる天使たち』の開発者インタビューをお届けします。

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 本作は、“骨硬派”を掲げる縦スクロール弾幕シューティングゲームです。“骨硬派”とは、ゲームの贅肉を極限まで取り払ったときに残された真髄のことで、STGの基本の楽しさがつまった作品になっています。

 見た目はかなりグロテスクで難しそうな印象を持ちますが、シューティングゲームとしてはかなり遊びやすい調整となっていて、STG初心者向けにしっかりとしたチュートリアルも用意されています。

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 『夕暮れの楽園と赤く染まる天使たち』はSteamで配信中です。

 本記事では、“電撃インディー大賞2024”でシューティングゲーム部門1位を受賞した『夕暮れの楽園と赤く染まる天使たち』の開発を担当した、坂葉さんにお話を伺いました。

難しいゲームを作るのは簡単で、「簡単だけどおもしろい」は難しい。本作はそこに挑戦した【夕暮れの楽園と赤く染まる天使たち】


──電撃インディー大賞2024で『夕暮れの楽園と赤く染まる天使たち』がシューティングゲーム部門で1位を獲得した感想を改めて教えてください。

 30年以上創作活動を続けていますが、こういう評価とは縁がなかったので驚いています。「人を選ぶ」と言われ続けてきた僕の作品、まさか自分が選ばれてしまうとは……。

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──『夕暮れの楽園と赤く染まる天使たち』の注目点を教えてください。

 シューティングゲームは難しいと思われがちで、動画などでも極端に難しいところばかり取り上げられます。

 本作は、シューティングゲームファンよりも絵を見て気に入った人をターゲットとし、時間さえかければ買った人全員がすべての内容を楽しめるようにしました。

 上級者は自分で縛りプレイ等をするだろうと考え、上級者向けの要素はなくしました。

 難しいゲームを作るのは簡単で、「簡単だけどおもしろい」は難しいです。今回はそこに挑戦しました。

──開発で苦労していたところを教えてください。

 コミケで頒布した初期版は2週間で完成しました。せっかくだからもう少し付け足そうといろいろ追加していたら4年も経ってしまいました。

 ボリュームが増すほど曲作ったり絵を描いたりといった作業的な部分が増え、終わりが見えずつらかったです。

 音楽や絵も作るのは楽しいものの、山のように積み上がるとうんざりしてしまうのでした。

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──開発をするうえで、特に気を付けている点などを教えてください。

 重要な部分をあらかじめ考えておき、その通りに作っていくことです。「おもしろいのかどうかわからなくなった」などの迷走を防げるほか、次にやることが決まっているため製作を進めやすいです。

 パソコンの前で悩んで時間を無駄にするのが嫌なので、毎日1~2時間散歩して考えをまとめ、作業時は手を動かすだけにしています。

──ゲームタイトルにこめた想いを教えてください。

 長いタイトルは目立つと聞いたので長くしてみました。意味ありげな感じにして、よくわからんけどすごそうな雰囲気を出してみました。

 しかしやっぱり長すぎて製作用のファイル・フォルダを名付けるときに困るので、英語のタイトル(『Angel at Dusk』)は短くしました。

 日本語のタイトルはストーリー開始時点の状況、英語のタイトルは結末時の状況を表しています。

──今後、実現したい野望などありますでしょうか?

 70歳まではゲーム製作を続けたいと思っています。

 今後70代や80代になってもゲームをプレイし続ける人が増えるだろうから、反射神経や動体視力が衰えても遊べる仕組みをほぼ全ての作品に入れています。

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──ゲームの開発に携わることになったきっかけについて教えてください。

 僕が小学生のころ、ファミコンやスーパーカセットビジョン等のゲーム機が出てきました。僕も買おうと思いましたが、ゲーム機はゲームソフト代も必要になります。

 パソコンなら自分でゲームを作って好きなだけ遊べると思い、MSXを購入しました。昔は作品発表の場も限られており、ゲーム開発というより落書き帳にお絵描きと同系統の自分一人で完結する趣味という感じでした。

 地方在住だったこともありゲーム会社就職は考えもせず、多くの人に遊んでもらうことも考えず、今皆が思うような「ゲーム開発」とは縁のない生活を送っていました。

 時代が進んだおかげで一人で作って売ってができるようになり驚いています。

──ここ数年でもっとも感銘を受けた、おすすめのインディーゲームについて教えてください。

 『天穂のサクナヒメ』。

 ヒットしたインディゲームは作者のセンス・アイデアや天才性に注目されたりしますが、この作者は天才鬼才というより尋常じゃない研究力が下地にあると思います。

 「ゲーム好きのお兄ちゃん」の延長線上にいるタイプだと思うので、僕もがんばって地力をつけていこうと思ったのでした。

──最後にユーザーに一言お願いします。

 2Dシューティングゲームは人気ないと思われがちですが、40年の歴史を持ち今なお新作が次々に出る恐るべきジャンルです。

 ゲームのおもしろさは言うまでもないですが、実は作るのはもっとおもしろいです。製作が簡単で比較的短期間で完成させることができます。妄想の具現化にはこの上ないジャンルですよ……。

 最近は製作ツールもいろいろと出ています。ここはひとつ、シューティングゲームの製作にチャレンジしてみてはどうでしょうか!

坂葉



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