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アニメ【推しの子】18話感想。あかねとかなの演技論が激突。BGMが途切れたあとの「そんなの駄目だよ?」が迫力ありすぎ…(ネタバレあり)

文:カワチ

公開日時:

 TVアニメ【推しの子】の第18話“太陽”の感想をお届けします。

【注意】キービジュアルより先のテキストでは、【推しの子】第18話の物語に関する記述が多々あります。そのため本編をご覧になってから読むことをオススメします。[IMAGE]

あかねとかなの真っ向勝負!【推しの子】


 原作が赤坂アカさん、作画が横槍メンゴさんの人気コミック【推しの子】のアニメ版。第2期は原作コミック第5巻~第6巻の“2.5次元舞台編”が描かれることになります。

 前回はメルトが主役の回でしたが、今回はあかねとかなのふたりの対比が描かれることに。ふたりの過去を交えながら芝居で対話していくエピソードで、視聴者の意識を向けるために音楽をピタリと止める演出などもあり、見応えがありました。


 第18話は効果音とセリフが被ってしまうという本番のトラブルをかながアドリブで回避する展開からスタート。このアドリブは演じているキャラクターを深く理解していないと出来ないもので、その芝居を受ける相手の俳優も演じやすい完璧なものでした。ここには原作には無かった、あかねがかなの演技を観て思うところがあるようなそぶりを見せるシーンも追加されており、これからはじまるふたりの激突を示唆していましたね。

 一方のあかねは脚本のリテイクにより、長かったセリフを動きだけで表現することになりましたが、重厚な演技で自分がボスであることを示しつつ、葛藤を抱えているのも伝わるような芝居をこなしてみせました。アニメ版は原作コミックと演劇が重なるような演出により、鞘姫のキャラクター像があかねの演技によって完成されたことを伝えるものになっていたように思います。

 かなとあかねの芝居の違いが描かれたあとは、ふたりが直接やり取りをするシーンに。あかねのかなへの気持ちがモノローグで語られ、その後、彼女の過去に舞台が切り替わります。もともとあかねはかなの演技をみて彼女に憧れ、演劇の世界へ。髪型やファッションを真似るほどに崇拝していました。あかねが抱くかなへの憧れは原作よりもカットが多めに用意されており、ピュアな姿が強調されていました。

 そして、かなと出会ったときにあかねの理想が崩壊。あかねは彼女をかなと勘違いしたスタッフから、かなが選ばれることが決まっている出来レースのオーディションだと知ってしまいますが、当人のかな自身も仕事がもらえるならそれでもいいと思っていることを聞かされてしまいます。


 かなが感情をぶちまけるシーンは原作だと彼女の顔が映っていましたが、アニメでは直接的に顏が映らないアングルに。かなを演じている潘めぐみさんの迫真の芝居によって彼女のやるせない気持ちが伝わってくる演出に変わっていましたね。

 また、原作ではあかねがかなを理解するために心理学の本を手に取って読む流れが、アニメ版は本が手に届かない位置に変更され、必死に掴み取ろうとする演出に。ほかにも詰まれた本で囲まれた部屋で一心不乱に読書するシーンも追加されており、ストーリーの流れは変わらないものの、あかねの努力がより伝わるようなものになっていました。

 その後はかなが周囲と歩幅を合わせるために努力をしてきたことを理解したあかねのモノローグ。減っていく仕事に不安を抱えながら周りが求める仕事をちゃんとこなすようになったかなに理解を示します。

 しかし、ここで感動的な音楽がピタリと止み、現代の芝居のシーンに戻って、あかねが「そんなの駄目だよ?」とかなに伝えます。あかねが好きだったかなはもっと身勝手で圧倒的な役者であったと訴えます。ここの一連の流れはコミックでもページをめくった瞬間に空気がガラリと変わりましたが、アニメ版は音楽を止めることにより、視聴者の意識を変えさせ、一気に緊張感を生んでいて素晴らしかったですね。

 その後も過去と現在を重ね合わせるような演出があったりと、アニメという媒体でしか表現できないギミックが多彩でとても見応えがありました。原作で展開を知っている人もぜひ観てみて欲しい!


 それでもなお、“受けの演技”を崩そうとしないかなに対して、出番を迎えたアクアも彼女のために動くことに。めちゃくちゃいいところで終わったので次回がめちゃくちゃ楽しみです!

カワチRPGとビジュアルノベルが好きなゲーマーで、誰にも気付かれないようなマニアックな小ネタを記事に織り込むのが好き。深みのあるゲームが好きかと思えば、本当は肌色が多ければなんでもいいビンビン♂ライター。

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