電撃オンライン

アニメ【推しの子】17話感想。メルトォォォォオオオオオ!!!! いちど打ち砕かれ、それでもすべてをさらけ出した彼は紛れもなく今回の主役だった!!(ネタバレあり)

文:カワチ

公開日時:

 TVアニメ【推しの子】の第17話“成長”の感想をお届けします。

【注意】キービジュアルより先のテキストでは、【推しの子】第17話の物語に関する記述が多々あります。そのため本編をご覧になってから読むことをオススメします。[IMAGE]

メルトの本気が見れてよかった…【推しの子】


 原作が赤坂アカさん、作画が横槍メンゴさんの人気コミック【推しの子】のアニメ版。第2期は原作コミック第5巻の“2.5次元舞台編”が描かれることになります。

 原作者のアビ子による脚本の書き直しもあったものの、とうとうステージアラウンドの2.5次元舞台『東京ブレイド』がスタート。観客席からの定点カメラで撮影しているようなカメラワークの演出が取り入れられていて、アニメ【推しの子】ではなく、『東京ブレイド』を観ているように錯覚させられておもしろかったですね。

 また、画面のなかのワイヤーやスモークが強調されており、今、観ているものが2.5次元舞台であることも意識させる作りでした。


 筆者は原作を読んでいるので“2.5次元舞台編”のラストの展開まで知っているのですが、アニメ独自の演出のおかげで新鮮に楽しめています。とくに今回の第17話はバトルものアニメやアクションもののアニメのようにキャラクターが動き回り、制作陣の気合いが画面から伝わってくるようでした。

 原作ではサラリと流された有馬かなが演じる“ツルギ”が姫川大輝が演じる主人公の“ブレイド”に敗れて仲間になるシーンも迫力満点に描かれていて大満足です。


 そしてなにより、今回の第17話はメルトが素晴らしかった! 第二章“芸能界”で登場して大根役者ぶりを披露した彼ですが、“2.5次元舞台編”では過去の自分を反省して真摯に役者の仕事に取り組んでいる姿が描かれていました。

 第17話は自分の不甲斐なさに葛藤していたメルトが、演じているキャラクターの葛藤と自分の葛藤を重ね合わせることで役を昇華。素晴らしい芝居を見せてくれました。

 現場の人たちに礼儀正しい挨拶をしていたり、日々のルーティンにランニングを取り入れていたりと、腐らずに頑張っていたメルトが報われて本当によかったですね。

 原作でも次々にキャラクターたちの魅力の掘り下げがおこなわる『東京ブレイド』本番シーンのトップバッターを務めたことで、インパクトを残したメルトですが、アニメ版は丸ごと1話分を彼に使っており、まさにメルトが主役と呼ぶにふさわしいエピソードでした。

 ストーリーも丁寧で、プロデューサーの鏑木勝也とイベント運営会社の雷田澄彰との会話では、雷田が鏑木によるララライの起用に感心しつつ、お世辞にも演技が上手とはいえないメルトの起用を疑問視します。

 鏑木はがむしゃらに練習するような役者に思い入れがあるから起用したことを語り、そんな彼を厳しい目で判断しているのは、自分の作品のドラマ化を台無しにされた吉祥寺頼子だと伝えます。ここで頼子の顔がアップになることで、ドラマが一気に引き立ちましたね。

 メルト自体は今回のストーリーではサブキャラクター的な立ち位置ですが、芸能編の彼の失敗と今の挑戦を繋げることでドラマに一気に厚みが増しました。

 また、その後はメルト自身の過去が描かれることに。ルックスがよく、なんでもそれなりに成功してきた彼が星野アクアや有馬かなと出会い、上には上がいることを思い知らされていたことが分かります。ドラマ『今日は甘口で』の自分の演技を見直して、悔し涙を流すメルト。

 その理由が自分の演技が下手だということよりも、自分がしっかりしていれば作品をもっといいものにできたのではないかという後悔だったことがよかったですね。その後にしっかりレッスンをするようになったメルトの姿も描かれ、彼を応援したくなります。

 そこからの立ち回りはとにかくアニメを観て欲しい! コミック版にもあった、メルトの『東京ブレイド』原作再現シーンはアニメでも派手に描かれますし、メルトを演じている前田誠二さんの芝居も素晴らしい。

 芝居をを10年以上やってきた朔夜を相手に、1カ月しか練習していないメルトが太刀打ちできるわけがありませんが、それでも自分がやってきたすべてをさらけ出し、ラスト1分の演技に込める彼が格好良かった。そんな彼の演技がどうだったのか、それは観客席にいた頼子の顔がすべてでしたね。


 最終回のように盛り上がった17話ですが、『東京ブレイド』の舞台ははじまったばかり。かなやあかね、そしてアクアのシーンがアニメでどう描かれるのか、今から気になりますね!

カワチRPGとビジュアルノベルが好きなゲーマーで、誰にも気付かれないようなマニアックな小ネタを記事に織り込むのが好き。深みのあるゲームが好きかと思えば、本当は肌色が多ければなんでもいいビンビン♂ライター。

関連記事

    本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ている場合があります