ライトノベルレーベル・DREノベルスより、9月10日に発売される『宰相の器を持つ小役人の、辺境のんびりスローライフ ~出世できず左遷されたはずが、なぜか周りから頼られまくっています~』。その魅力を作者・あわむら赤光先生へのメールインタビューを通してお届けします。
■『宰相の器を持つ小役人の、辺境のんびりスローライフ ~出世できず左遷されたはずが、なぜか周りから頼られまくっています~』を購入する
『宰相の器を持つ小役人の、辺境のんびりスローライフ ~出世できず左遷されたはずが、なぜか周りから頼られまくっています~』ってどんな作品?
実は最強の文武両道!? な小役人の辺境スローライフ(大狼と皇女付き)が開幕!
超難関の官僚採用試験を最年少で突破したものの、コネ採用と侮られて出世とも無縁のゼン。ついには辺境へと左遷されてしまうが……殺人的な仕事量にうんざりしていたゼンは、逆に大喜び!
親友の大狼キールを連れ、念願の田舎のんびり暮らしを満喫することに。
釣りをしたり、命を狙われる皇女エリシャを匿ったり、役場で百人分の仕事を一瞬で処理したり、軍隊でも手こずる魔物を退治したり……宰相の器を持つ小役人の、頼られまくり辺境スローライフが描かれます。
そんな本作を書くにあたって、あわむら赤光先生がポイントにしている部分や、先生ご自身のこともうかがってみました。気になる方は、ぜひメールインタビューをご覧ください。
『宰相の器を持つ小役人の、辺境のんびりスローライフ』はスローライフを満喫しつつ仕事や事件をスピード解決していく主人公・ゼンのギャップを楽しんでもらいたい作品
――本作を書こうと思ったきっかけを教えてください。
「文武両道が当たり前レベルの超官僚主義国家で、バリキャリの官僚である主人公が、もし特殊な事情でド辺境に左遷されたらどうなるか?」って想像したことから始まりました。
きっと周囲に頼られまくるし、でも本人からしたら仕事が簡単すぎてのんびりできると喜ぶだろうなあって、そのギャップが面白くできるなあって、話を膨らませたり構想を温めていたところを、このたび書籍として刊行できた次第です。
――キャラクターについて(ゼン、エリシャ、キール)それぞれ簡単に紹介をお願いします。
主人公のゼンは名門官僚一族の生まれで、超難関の官吏採用試験も最年少で突破したのですが、様々な事情から出世できず、あげく中央官庁の各部署をたらい回しにされ、同期からも「誠実だけが取り柄」と侮られています。
しかし極めて高い能力を求められる中央官庁で、どんな部署に行っても適応できるゼンは、実は器用で万能な官僚です。気づく人には気づかれています。
一方、難しい事務仕事をあっという間に処理できるくせに、「家事は全くできない」「釣りを趣味で始めてもセンス0」といった役人脳なところもあります。
ヒロインのエリシャは帝位継承権一位を持つ皇女です。有能で気品のある父皇帝と、元平民なので気さくで包容力ある母皇后の、両方のいいところを受け継いだ、庶民派の皇女です。
また父皇帝はゼンにとって親友で、母皇后は実は片想いの相手です。なのでゼンからすると、エリシャは大切な人たちが遺した忘れ形見ということになります。
そう、エリシャは両親とも既に亡くしていて、現在の皇帝は叔父に当たる人物です。そしてこの叔父にとって、継承権一位を持つエリシャは目障りで、暗殺しようと企んでいます。
白狼のキールは、ゼンにとって家族同然の相手です。
子狼時代に密輸業者に捕まっていたところを、ゼンに助けられて以来、ずっと一緒に暮らしています。
キールはとても賢く、人間の言葉や社会、文化を完全に理解しております。それでエリシャがゼンのことを内心憎からず思っていることを、ゼンよりよほどに気づいていて、「さっさとくっつけばいいのに」と見守っています。
――辺境へと左遷されてしまった主人公のゼンが、暗殺者から命を狙われている皇女エリシャを匿うために父親役を演じることになるという設定はどのように生まれたのですか?
設定作りはパズルなので、話すと長くなります。本当にごめんなさい。
まず、拘束やしがらみがあるからこそ、そこからの解放・自由・スローライフは価値あるものになるのだと思います。
ではゼンにとってのしがらみは何なのか? と考えた時、舞台である帝国を不自由で嫌な国にすれば話は簡単なのですが、そうはしたくありませんでした。国家も大きな舞台装置の一つなので、あくまで魅力のある国にしたかったんです。
そこで「ゼンは皇帝、皇后と個人的に親しかった」「だから殺人的な仕事量にもかかわらず奉職していた」とすれば、読者さんにも共感してもらえる感情動機だと思って設定しました。
その上で、皇帝と皇后には死んでもらいました!!!! なのでゼンの大きなしがらみはなくなり(本人は悲しんでますが)、辺境スローライフを自由に楽しめる(読者さんが)環境が整いました。
さらに一歩思考を進めて、親しかった皇帝と皇后の間に忘れ形見の娘がいれば、面白い関係性を描くことができます。
そして、作者的にはその皇女が辺境に来てくれる理由が必要となりますので、「命を狙われていて後宮にいられない」「ゼンが父親のふりをして密かに匿う」という設定ができあがりました。
設定作りはパズルなので、話すと長くなります。本当にごめんなさい。
まず、拘束やしがらみがあるからこそ、そこからの解放・自由・スローライフは価値あるものになるのだと思います。
ではゼンにとってのしがらみは何なのか? と考えた時、舞台である帝国を不自由で嫌な国にすれば話は簡単なのですが、そうはしたくありませんでした。国家も大きな舞台装置の一つなので、あくまで魅力のある国にしたかったんです。
そこで「ゼンは皇帝、皇后と個人的に親しかった」「だから殺人的な仕事量にもかかわらず奉職していた」とすれば、読者さんにも共感してもらえる感情動機だと思って設定しました。
その上で、皇帝と皇后には死んでもらいました!!!! なのでゼンの大きなしがらみはなくなり(本人は悲しんでますが)、辺境スローライフを自由に楽しめる(読者さんが)環境が整いました。
さらに一歩思考を進めて、親しかった皇帝と皇后の間に忘れ形見の娘がいれば、面白い関係性を描くことができます。
そして、作者的にはその皇女が辺境に来てくれる理由が必要となりますので、「命を狙われていて後宮にいられない」「ゼンが父親のふりをして密かに匿う」という設定ができあがりました。
――ゼンは「宰相の器を持つ小役人」とされていますが、ゼンのどのようなところが宰相にふさわしいと思いますか?
・役所という役所をたらい回しにされた結果、全省庁の仕事を理解できていること。
・誰からも好かれる人柄が、大臣たちを束ね、意見調整するのに適していること。
・清廉潔白であること。また先代皇帝、皇后への友情という形で、帝国に愛着があること。
の三点です!
――「辺境スローライフ」が本作のひとつのテーマとなっていますが、ゼンたちがスローライフを送るなかで特に思い入れのあるシーンやエピソードはありますか?
ゼンとエリシャが二人(と一頭)暮らしを始めるに当たって、初めて料理をするシーンです。
仕事人間と皇女様という、包丁もにぎったこともないコンビが、簡単な料理さえまともに作れないドタバタコメディを、我ながら楽しく描けました。
このエピソードをはじめ、ほのぼのしつつもクスッとできるスローライフシーンがいっぱい入っております。
――本作を書くうえで悩んだところはどこですか?
ゼンに淡い恋心を抱いているエリシャと、それに全く気づかないゼンの、天然イチャイチャシーンを書くのが楽しくて、ついストーリーを脱線しがちになるのを修正するのが一番苦労しました。
――本作の魅力やおすすめポイントを教えてください。
中央のバリキャリ役人であるゼンにとって、田舎でどんな難しい仕事や事件に直面しても、あっさりスピード解決してしまいます。本人からすると、こんなの苦労したうちに入らないのです。
でも周りからすれば驚嘆ですし、もうゼンを頼りにしまくるわけです。
「やっぱり田舎はのんびりできていいなあ」「中央官庁の殺人的仕事量とは違うなあ」とか言いながら、次々と仕事や事件を捌いていくゼンのギャップを、時におかしみとして、時に格好良さとして、楽しんでいただけると幸いです。
実はものすごい実力の持ち主が、辺境でスローライフする物語がお好きな人にぜひ!
――小説を書く際に、特にこだわっている点はありますか?
魅力のある脇役、特に敵役を描くことです。
出番の多いメインキャラたちが魅力的になるのはある種当たり前の話で、出番の少ない脇役たちをどれだけキレ良く魅せることができるかに、デビュー以来ずっとこだわっています。
――最近熱中しているものはありますか?
友人に勧められて始めた、『Warframe』というゲームにドハマリしてしまいました。
宇宙忍者でスタイリッシュにアクションするゲームなんですが、基本無料を謳ってまして。
「でもどうせ重課金させられるんでしょう?」と偏見を抱いていたんですが、遊んでも遊んでもまるで課金する必要が出てこなくて、なのにゲームのクオリティもボリュームもとんでもなくて、「こんなにお金を使わず遊ばせてもらってばっかでいいんだろうか……」と申し訳なくなるほどです。
なのでイニシエートパワーパックは買いました!
――最後に、電撃オンライン読者へメッセージをお願いします。
ゲームもお好きな皆さん、『Warframe』オススメです!
あらゆるゲームハードでできる上に、クロスプレイも対応してて、基本無料なので、試しにちょっと遊んでみるハードルは低いです。
そして、装備の完成やゲーム内の夜明け、ミッションの更新時間を待ったり、耐久ミッションのながらプレイをする傍ら(マルチプレイ時には本気で遊びましょうね!)で、ぜひ拙著『宰相の器を持つ小役人の、辺境のんびりスローライフ』をご笑読いただけると、きっと乙なこと請け合いです。
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