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『ロシデレ』11話感想。アーリャの新妻感を満喫する日常回かと思ったらとんでもない展開に…! ラスボスオーラをまとった有希の悪い表情が最高だった(ネタバレあり)

文:米澤崇史

公開日時:

 TVアニメ『時々ボソッとロシア語でデレる隣のアーリャさん(ロシデレ)』11話“予期せぬ前哨戦”の感想記事をお届けします。

【注意】キービジュアルより先のテキストでは、『時々ボソッとロシア語でデレる隣のアーリャさん』11話の物語に関する記述が多々あります。そのため本編をご覧になってから読むことをオススメします。 [IMAGE]

ラブコメ恒例の看病エピソード。この二人、もうほとんど新婚夫婦では?【ロシデレ11話感想】


  第10話のラストでは、父と離婚した実の母である優美と再会した政近。やはり現在の政近の人格形成には、優美とのいざこざが大きく影響していることが回想でも分かりました。

 母親を喜ばせたい一心で頑張っていた政近を、なぜ優美が拒絶したのかの理由は明かされなかったものの、このまま育っていたらそれはそれで問題がありそうな人格になりそうな雰囲気もあり、この経験が政近にとって良かったのか悪かったのかは判断が難しそうなところです。

 11話のAパートは、そんな政近が風邪でダウンしてしまう、ラブコメの定番ともいえる看病回。きっとなんだかんだ前振りがあってからアーリャが看病にきてくれるんだろうな……と予想していましたが、オープニング終了後、ほぼ開始1秒で家に到着済みという。予想をはるかに超える早さで来ていて笑いました。

 しかし今回のアーリャ、肩出しの私服がかなりセクシーで、めちゃくちゃ気合が入っているのを感じます。おそらく政近の家にあがることになるわけですから、マーシャとも相談してとっておきの勝負服を着ていったのかな……と想像すると、またアーリャのいじらしさがアップしてかわいいんですね。


 看病に来た方便として有希の名前を使っていましたが、有希が実際にめちゃくちゃ言いそうなセリフで、政近が騙されたのも納得リアリティ。ロシア語で「嘘だけど」と付け足すシーンの破壊力は凄まじかったです(ただ、実は全部が全部嘘というわけではなかったことが後で分かりましたが)。

 しかしエプロン姿で料理したり政近を看病するアーリャ、もはや恋人を通り越して新妻感が漂っていて、普段とは違う色気みたいなものを感じます。ヒロインが看病に来るのはラブコメのお約束ですが、寝て起きるまでずっと待っているというのはなかなかない気がします。


 その後のアーリャと綾乃の対決(?)は、基本政近の周りはアーリャと政近の仲を応援するスタンスのキャラクターが多いのもあって少し新鮮。

 あまり感情を表に出さない綾乃ですが、意外と負けず嫌いな一面みたいなのが垣間見えて、彼女の魅力も伝わってくるシーンになっていましたね。

前半の雰囲気から一転、ついに政近と有希の対決のお膳立てが整う展開に【ロシデレ11話感想】


 そんなニヤニヤが止まらなくなる前半から一転、政近がやたらと眠気に負けていたのは、政近が不在のタイミングを作ろうとした有希の策略だったことが判明します。11話はそれまでがめちゃ甘な展開だった分、一気にシリアスに変わっていく転換にゾクッとしました。

 そして何といっても、個人的に今回最高だったのがアーリャを呼び出した後に見せた有希の表情。

 有希はここまで愉快なキャラクターとして作品の空気を和らげる存在だった分、ガチのラスボスオーラを漂わせてきたのはかなりの衝撃でした。もうヒロインとして許されるかどうかギリギリの悪人顔をしていて、同じキャラとは思えない多彩な顔こそ有希の魅力なんだなと再認識させられます。


 作中で一番のお人好しで、他人を思いやる性格であるアーリャだからこそ刺さる、良心に訴えかける作戦というのもなかなかエゲつなかった。

 政近が体調を崩したのを知って、急遽作戦を考えて実行したんだと思いますが、政近が体質的にあわない薬を記憶していて、当日にそれをすぐに用意できる抜け目のなさがすごくて、まさに家族だからこそ知っている情報を勝つためにフルに活用しているという感じがします。

 そんな有希のやり方を目の当たりにした政近が始めて本気になったシーンでは、先程の有希とまったく同じ悪い顔をしていて、やっぱり実の兄妹なんだなということを改めて実感。


 最後の直接対決に向け、まさに物語が佳境に入った雰囲気が漂い始めた一方で、本気になった政近の顔を見て、それまでのダウナーな気持ちがすべて吹っ飛んで「そういう顔もいい……」とキュンとなるアーリャは面白すぎました。正直、政近ならアーリャはどんな顔でも好きなのでは説が自分の中であります。

 シリアスな空気感の中でも、有希が兄が死んでいるようにも取れる表現をしていたり(そっちの方がよりアーリャの同情を買えると判断したからでしょうけど)、ピンポイントで入ってくるギャグシーンが非常にいい味を出していましたね。


 また、ここで谷山たちが協力してくれるのも良い展開だなと。谷山たちを助けたのはアーリャの優しさで、もし政近が一人で選挙に出ていたら、おそらく協力は得られてないはず。ここ数話は政近の活躍の影にアーリャが隠れてしまうことが多かったので、一度は有希に弱点として付け込まれたアーリャの優しさが、今度は逆転の可能性を生み出すという構造が非常にアツいです。

 そんな『ロシデレ』も、ついに残すは最終話のみ。決戦の準備は整いつつある中、アーリャと政近の物語が、どのような結末を迎えるのか楽しみです。

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米澤崇史:ロボットアニメとRPG、ギャルゲーを愛するゲームライター。幼少期の勇者シリーズとSDガンダムとの出会いをきっかけに、ロボットアニメにのめり込む。今もっとも欲しいものは、プラモデルとフィギュアを飾るための専用のスペース。


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