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『この世界は不完全すぎる』13話(最終話)感想。こんな最終回はアリなのか!? 想像の斜め上をいくタイトル回収が衝撃的すぎた(ネタバレあり)

文:米澤崇史

公開日時:

 TVアニメ『この世界は不完全すぎる』13話“沈黙の悪魔(サイレンス)”の感想記事をお届けします。

【注意】キービジュアルより先のテキストでは、『この世界は不完全すぎる』13話(最終話)の物語に関する記述が多々あります。そのため本編をご覧になってから読むことをオススメします。[IMAGE]

ここぞのタイミングで駆けつけるハガの頼もしさ【このふか】


 アルバによってダンジョンの地下1000階にまで転移させられてしまったハガたち。地上に戻るにはダンジョン最奥のボスであるサイレンスを倒す必要があるものの、未だ武器が手に入らず、アマノたちとも離れ離れになってしまっているのはなかなか絶望的。

 何か手がかりはないかと本を調べていたのは、実は大量の書籍のデバッグをしたかったのではという疑惑も若干残ります。木下がまさかの格ゲー勢だったのは意外なところ。


 一方、カジノで大負けして臓器を担保にされかかっているアカネを助けるべく、自分の臓器を担保にして勝負を挑む男らしさを見せるアマノ。アマノは迷いなく実行してましたが、アキラならともかく、アカネとアマノってまだ本当に会ったばっかりで、仲間といえるのかも微妙なラインなんですよね。

 ゲームの中の世界とはいえ、その選択が迷わずにできるのは驚きました。根っからの善人であるハガやニコラに比べると、アマノはもうちょっと現実的でドライな考え方をするシーンが多いですが、本当は心から困っている人がいたら見捨てられない性格なんだなぁと感じます。

 実はキングが五枚あるというバグも見つけ出し、ここから反撃かと思いきや、今度はNPCのコインが勝手に増えるというイカサマじみたバグによってアマノも一文なしに。アキラの臓器まで担保にするしか……となった時、余裕綽々としたハガが来てくれた時には凄まじい安心感がありました。


 しかし最終話になって、NPC相手のポーカーでの対決シーンが続くというVRMMOアニメもなかなかにすごい。途中、ギャンブルアニメを見ているのかと錯覚いてしました。

感動のクライマックス……と思いきや、そんなオチはアリなのか!?


 一方、ハガたちと離れ離れになって残されたニコラが、脱出に備えて一人トレーニングしているシーンには癒やされました(実際のデータ的には成長の余地がないことを考えると、ちょっと切なくもあるのですが……)。

 ハガたちに置いて行かれたという嘘に騙されてしまい、村に帰るための路銀を渡され一度は帰路に着こうしますが、そもそももうニコラが帰れる村はもうないんですよね……。アルバたちには知るよしもないことですが、騙すだけではなく二重に残酷なことをニコラにしてしまっています。


 無事アマノたちと合流したハガは、ここでも壁抜けバグを活用して借金を踏み倒すという、なかなかにグレーな行為でカジノを脱出。その手があったかと感心させられつつも(これが『不思議のダンジョン』シリーズだったら店主が追いかけてくる展開だよなぁ)と思っていたら、本当にその展開に。

 危険なダンジョンの奥深くにある以上、魔物が運営してそうとも予想していたのでかなりの納得感がありました。そりゃ臓器も気軽に担保にしようとしてくるだろうし、アマノが理不尽な負け方をしたのも、そもそもプレイヤーが勝てないようにイカサマ設定がされていたんじゃないかという気もします。

 カジノの店員が襲いかかってきたことは、ハガにとっても計算外だったようですが、サイレンスとの同士討ちを誘発させる結果オーライな形に。最後にいいところを持っていった木下は、かわいい見た目と声に対して武器が日本刀という渋さのギャップがたまらない。リザードマンの時の姿も違った良さがありそうですが、今の姿との相性もいい味出してます。


 その後のニコラがハガたちを探すために城に戻ることを決意したシーンでは、テスラではなくニコラががっついて食事をとっているのが印象的。テスラの方が食べるシーンはたくさんありましたが、ニコラの食事シーンがここまでピックアップされるのは初めてで、クライマックスに相応しいいいシーンだったんじゃないかなと。

 ただ、もう残された尺があまりにも少ないけどどうなるんだろう……と心配したのもつかの間、まさかのサイレンスの第2形態からの“to be continued?”表記。

 「やばい、前回の感想で次最終話って書いちゃったけど、実はもう1話あったか?」と、他の方々とはちょっと違う焦り方をしてたんですが、何度確認してもやっぱり13が最終話になってるし……と困惑していたら、公式Xのポストと「#このアニメは不完全すぎる」のハッシュタグを見ていろいろ納得。……確信犯かい!


 まさかの形でのタイトル回収はさすがに予想外。“不完全すぎる”方向の突き抜けっぷりも面白くはあるのですが、ニコラの復帰やサイレンスとの戦いや木下がダンジョンに飛ばされた理由など、解消していない問題は山のように残っているので、2期も見たくなりますよね。

 総じて盛り込まれるいろんなゲームのバグネタが面白く、ゲーマーとしては「あるある」と納得できるポイントがたくさんで、非常に楽しませていただいた作品でした。いつの日かアニメにもまたハガたちが帰って来ることにも期待したいです。



米澤崇史:ロボットアニメとRPG、ギャルゲーを愛するゲームライター。幼少期の勇者シリーズとSDガンダムとの出会いをきっかけに、ロボットアニメにのめり込む。今もっとも欲しいものは、プラモデルとフィギュアを飾るための専用のスペース。

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