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『ドラクエ3』リメイクレビュー。HD-2Dになって"約束されたおもしろさ"は進化? それとも変化?【冬のレビュー祭】

文:編集O

公開日時:

 スクウェア・エニックスから2024年11月14日に発売されたPS5/Nintendo Switch/Xbox Series X|S/PC(※Steamは11月15日発売)用RPG、HD-2D版『ドラゴンクエストIII そして伝説へ…(DQIII)』のレビューをお届けします。

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 電撃オンラインでは、この冬に遊びたい発売済みの名作や発売前の新作を対象とした特別企画“電撃冬のレビュー祭”を展開中です。

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“約束されたおもしろさ”にプラスアルファされた遊びにハマる!【ドラゴンクエストIII そして伝説へ…】


 出荷本数が200万本突破のリリースが発表され、国民的RPGとしての貫禄を見せつけたHD-2D版『DQIII』。ファミリーコンピュータ版は1988年に発売され、その後はスーパーファミコンやゲームボーイカラーなどでリメイクを重ね、長年にわたってファンに愛され続けてきた作品です。

 そんな名作がドット絵と3Dが融合したHD-2Dでリメイクされたわけですが、バトルシステムやストーリーなど、作品の根幹となる部分は原作の『DQIII』を踏襲しています。

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 だからある意味HD-2D版『DQIII』には前提として“約束されたおもしろさ”があるわけで、そこに令和の時代に合わせたプレイアビリティの向上が加わったのだから、ハマらないわけがないですよね。事実、自分も発売から2日ほどでクリアしてしまうほどのめり込んじゃいましたし(笑)。

 というわけで以下では、ファミコン版からスマホ版まで『DQIII』を遊び倒してきたコアファン目線で、HD-2D版『DQIII』の注目要素をピックアップしたいと思います。

こんな場所にもルーラで飛べて消費MPが0! 転職するほど強くなる!! キラキラでこんな貴重品が拾える!!! 驚きの連続で遊びやすさは格段にアップ【ドラゴンクエストIII そして伝説へ…】


 まずプレイして感じたのは、いまのプレイヤーに好まれるいわゆる“時短”を考えた調整が多いなという点です。たとえばレベルアップでHPとMPが全回復、王様ではなく町の入り口などでセーブが可能、ルーラがどこでも使えてしかも天井に頭をぶつけない、ルーラの移動ポイントがかなり細かく用意されています。

 プレイ時間を重ねていくほど気になる部分が解消されていて、いまの時代にあったプレイスタイルに調整されているなと感じました。まあ、ファミコン版を知っている自分としては、ルーラ+リレミトの消費MPを計算しながら、どきどきしながら探索をしていた、あのヒリついた緊張感も捨てがたいですけどね(笑)。

 そしていちばん驚いたのが、『DQIII』の代名詞でもある転職のバランスについて。これまでの感覚ではあまり育てずに転職すると、パラメータがそこまで伸びず、ここぞというタイミングでの転職だけに留まっていたんですね。

 でも本作は真逆の方向で、転職すればするほどパラメータが伸びますし、とくぎも覚えられるのでキャラクターが格段に強くなるんです。なんだかんだと最終的には勇者を除く3人は、全職業をコンプリートするくらいまで育てちゃいましたね。

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 とはいえ、経験値がたくさんもらえるメタル系のスライムがはぐれメタルまでなので、欲を言えばメタルキングが欲しかったなと。あと、転職するほど強くなるスタイルのため、勇者のパラメータが頭打ちになっちゃうのがもったいなかったです。まあ、自分はたねを集めてドーピングしまくりましたが(笑)。

新職業の“まもの使い”は想像以上の強さである意味必須!? 戦闘用のとくぎの追加で職業のイメージが刷新!!【ドラゴンクエストIII そして伝説へ…】


 HD-2D版『DQIII』の目玉でもある新職業の“まもの使い”。『DQIII』を遊び倒してきた自分は当然新職業だから初期パーティに入れたわけですが、これが選んで大正解。

 今回フィールドやダンジョンで“はぐれモンスター”を保護し、保護したモンスターで遊ぶ“モンスター・バトルロード”が登場していますが、このはぐれモンスターを集めた数でまもの使いは一部のとくぎを覚えます。

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 なかでも“まものよび”は集めた数で威力が上がり、後半になると主力になるくらい強力なんです。まもの使いがいると、はぐれモンスターに逃げられることなく確実に保護できるので、これから始める人はパーティに入れておくことをオススメします。

 さらに職業で言うと、先述したようにこれまでとくぎを使えなかった戦士や武闘家にも追加された点が大きいですね。とくに武闘家の“会心必中”ははぐれメタル狩りに欠かせず、お世話になりました。なので、とくぎ目当てで転職をするという選択肢が出たので、職業のイメージがだいぶ変わりました。

脳内で補完していた部分のエピソード追加で物語の満足度がアップ!【ドラゴンクエストIII そして伝説へ…】


 最後は物語について。散々プレイしてきたので脳内に刻み込まれているわけですが、スーパーファミコン版ではオルテガ周りの深堀がされたとはいえ、まだまだ脳内で補完せざるを得ない部分がありました。それが本作でエピソードがボイス付きで補完され、さらにボスの追加で父の軌跡をしっかりたどることができるんです。ここはかなり胸アツポイントでしたね。

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 あと、個人的にアリアハンの王様がルイーダの酒場に貴重なたねを出資していることや、ルイーダとオルテガとのつながりなどを知ることができたのも、HD-2D版『DQIII』をプレイしたかいがあったなと大満足でした。

ちょっとだけ不満の声をあげるとすれば……【ドラゴンクエストIII そして伝説へ…】


 最後と言いながらも2点ほど気になる点が。それは船とラーミアの操作がもっさりしている点。もうちょっとスピードアップしてくれたら、壮大な音楽とともに快適な冒険が楽しめるのにと思っちゃいました。ラーミアの操作はクセがあるけど……これはHD-2Dという表現の都合上仕方ないのかもしれませんね。

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 というわけで、HD-2D版での注目要素について体験をもとに語りましたが、最後に触れておきたいのが2025年に『DQIII』からのちの時代を描くHD-2D版『DQI&II』が発売されるという点。

 あえて“ロトシリーズ”の原点から描いたことで、どんな形で物語を膨らませて補完していくのか? 本作に用意されていた“とある仕込み”を見届け、トロフィーコンプリートも済ませた自分は、その発売を首を長くして待ちたいと思います。

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