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『シレン6』開発者インタビュー。14年ぶりとなるナンバリング新作の手応え、そしてSteam版リリースの経緯は【不思議のダンジョン 風来のシレン6 とぐろ島探検録】

文:滑川けいと

公開日時:

最終更新:

 スパイク・チュンソフトより発売中のダンジョンRPG『不思議のダンジョン 風来のシレン6 とぐろ島探検録(シレン6)』の開発者インタビューをお届けします。

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 『シレン6』がNintendo Switchで発売されて、間もなく1年が経とうとしています。これを記念して、電撃オンラインで『シレン6』の開発スタッフにインタビューを実施しました。

 『シレン6』プロジェクトマネージャーの篠崎秀行氏と同ディレクターの櫻井啓介氏に、14年ぶりとなるシリーズ最新作『シレン6』をついて、その手応えや反応はどうだったのかを振り返っていただきました。12月12日にリリースされたSteam版についても語っていただいたので、ぜひご一読ください。
※インタビュー中は敬称略

篠崎秀行氏『不思議のダンジョン 風来のシレン6 とぐろ島探検録』プロジェクトマネージャー

櫻井啓介氏『不思議のダンジョン 風来のシレン6 とぐろ島探検録』ディレクター

『シレン』らしさを大切にしてつかみ取ったユーザーの心


――『シレン6』発売から1年が経とうとしています。現在の心境を教えてください。

櫻井
発売から約1年、細かなものを含めてたくさんのアップデートを行いました。大型アップデートでは追加要素の配信もでき、そこがよいセールスにつながったと思っています。発売時はこんなに細かなアップデートができるとは思っていませんでした。

 当初の予定としては、本当に1、2回のアップデートがあるかなというイメージだったんです。ですが、たくさんの方々に買っていただいたというのが会社にも届きまして。みなさんによりよくプレイしてもらうために無料アップデートをはじめ、有料DLCも配信していこうとなったんです。最終的にはかなりの完成度になったと実感しています。

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篠崎
当初は全然考えていなかった追加の機能も、ユーザビリティを考えて櫻井がどうしても入れたいと。それをユーザーの状況を分析しつつ入れていったという感じです。

 正直なところをお話しますと、今(12月10日)の時点ではSteam版にバグがないか気になっているというのが私の心境です(笑)。こういったリリース時やパッチを当てるときは緊張します。もう毎回やっても慣れないです。

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――ユーザーからの反応で印象的だったことはありますか?

櫻井
印象的というより、ユーザーの皆さんから「これぞ『シレン』!」という言葉をいただいたことがありがたかったです。

篠崎
今回はみなさんがクリアできやすいよう、難易度のバランスは考えました。物足りないという方のために、「とぐろ島の神髄」には星の石のような要素も入れたのですが、それも「楽々クリアした」と書かれたりすると、楽しんでいただけているなと。そう感じつつも、すごい人たちがいるもんだなと感心します。

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櫻井
過去作をプレイしていたユーザーは、その頃覚えたテクニックを使えるような作りになっています。ですので、昔を思い出しながらプレイするという方もかなりいたのではないでしょうか。過去作の経験の積み重ねで、すごい速度でクリアしていくなというのは見ていて思いました。

篠崎
今作では最初にボス戦があり、そこで倒されてから本格的にスタートするという流れなのですが、もう発売してかなり経ちますのでお話してしまいますと、実は最初に戦うボスが倒せるというちょっとした遊び心を入れていました。1週間ぐらいはバレずに持つかなと思っていたのですが、甘かったですね。発売してから5分くらいでもうパッとクリアされました。……早かったなぁ。「なんか倒せたよ!」「嘘つくんじゃねえ」くらいのやりとりがあったらいいなとは思っていたのですが(笑)。

櫻井
この試みはかなり挑戦的でした。ボスに勝てると、その後のシナリオがかなりスキップされてしまうんです。シナリオは説明しなくてはいけませんし、やるとなるとシナリオのフローが複雑化してしまい。ただ、ゲームとしてはやられてから始まるというのが流れとしてマッチしていましたし、コストをかけてもやろうと。

篠崎
言い出したの私なんですけどね。「シナリオも何にもないところで、先立って今回ボスから始めたいんです。そして倒せちゃいたいんです」って。何言ってんだコイツって思われながら説明していたのが思い出深いですね。

――挑戦的なこともかなり盛り込まれていた本作ですが、開発していく中で「よし、イケる!」と思った瞬間はありましたか?

櫻井
常にギリギリな状況で開発していたので、瞬間という意味ではないですね。ですが、やり直しができない、道具がロストするなど本来の『シレン』のポテンシャルは引き出せているなとは開発中に常に感じていたので、これが既存ユーザーに届けばちゃんとハマってくれるだろうとは思っていました。

篠崎
私がイケると思ったのは……本当にもう最後、やっと売れたよと言われてからホッとしましたね。開発中の話でいうと、『シレン』が上手な人と下手な人と、開発のメンバーでも様々な人がいるんです。そこでデバッグの会社さんも含めてご協力をいただいて、ゲームの上手な方にプレイする機会を作りました。そのときに、楽しかったよという報告を多くいただいたんです。その報告を見たときに少しだけ手ごたえを感じた、と言えばそうなのかもしれません。

 やはり自分たちで作っていると、自分たちは楽しいんですよ。自分たちの描いた通りに作っているので。なので第三者的な目で見ないと、そのゲームが本当におもしろいかの判断が難しい。協力いただいた方たちやユーザーから意見や反応を聞いて、そこでようやく今回もちゃんと皆さんに喜んでいただける作品ができたかなと思いました。

――発売から何度かアップデートがありましたが、ユーザーの反応はいかがでしたか。

櫻井
無料アップデートと有料追加コンテンツで前作『シレン5』と並ぶボリュームにできました。ユーザーからは、ここまでアップデートするのか、と驚いている方が多いなという印象です。

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 あととても多かった意見が、“装備品かけ”です。皆さん装備を集めたい欲が強いんだというのを再認識しました。

篠崎
ユーザーがどういったもので楽しめるのかと予算のせめぎあいでしたね。

櫻井
装備品かけは追加配信が決まる前からチクチク作っていました(笑)。

 また、新ダンジョンもいろいろと追加しました。これは通常のダンジョンにも言えることですが、毎回異なる冒険になるようにするというところはすごく意識しています。追加のダンジョンではそれに加えて、本編ではあまりみんなが使わなかった、話題になってない道具を表に出そうというのがテーマとしてありますね。

 あとすごく短くてもゲームになるんだということで“GOGOダンジョン”や、ボスと再戦したいといった声が多かったため“首領の連戦場”を出すなど、ユーザーの声も取り入れつつ作っています。

篠崎
ダンジョンの内容で気をつけたところという点でいうと、私たちも理不尽に難しいというのはなるべく避けるようにしていますね。これがゲットできないとクリアできない、ここで矢を稼ぎ増やさないとクリアできないなど、特定の行動をしないといけないような遊び方にはならないように気をつけて作っています。

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 ただ、やはり『風来のシレン』という作品は、どうしてもユーザーに経験値が積まれているゲームなんです。そういった意味では、いや今のダンジョンでももう十分に理不尽じゃねえかと思われる方もいるかもしれない。このあたりは、人によって大きく変わるかもしれません。

 ただ、優しくするだけだと面白味も減ってしまうと思っており、この理不尽か理不尽ではないかの線引きは非常に難しいなと感じながら開発しています。

Steam版『シレン6』はクロスプレイ対応でNintendo Switch版と変わらず遊べる!


――Steam版のリリースはどのような経緯で決定したのでしょうか。

篠崎
開発としてはもともとSteam版を出そうとは決めていました。様々な検討の結果、まずNintendo Switch版を先行で出すことになったんです。

 その中で、これまでのアップデートや有料追加コンテンツを後々から作ることになったこともあり、それらが落ち着いてからSteam版を出すことになりました。結果、発売の時期が今になったという感じです。

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 ターゲットは、やはりNintendo Switchを持っていないけれど『シレン』を遊びたい人たち。あとは配信をしたい人たちですね。Steam版であればPCひとつで環境が整うと思います。ですので、配信をされるような方々に関しては、もしよければSteamで遊んでいただけるとより配信しやすいのではないかなと思います。

 また、とことんタイムアタックなどで1秒を削ってプレイされたい方は、もしかするとPCのほうが早くなる可能性もあるかもしれません。あとは画質ですね。Nintendo Switch版も十分なのですが、Steam版は高解像度なのでハッキリくっきり見たいという方にはぜひプレイしていただきたいですね。

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 『風来のシレン』はよくも悪くもスペックなどに影響されづらい作品ですが、あとに出したSteam版の方が要素が増えているということも避けたく、基本的な遊び部分に関しては変わりないように作っております。

 ちなみに風来救助やパラレルプレイといった通信を必要とする要素は、相互でクロスプレイができます。プレイ人口が増えたと思って楽しんでいただけたらうれしいですね。

――ゲーム内外での今後の展開で何かあれば教えてください。

櫻井
今までのように公式パラレルというイベントはやっていこうとしています。Nintendo Switch版もSteam版も両方から参加できるので、より人口が多くなって盛り上がればと思っています。

篠崎
本当であれば来年がシリーズ30周年になるので、30周年記念で何かあるんですよね、と言われると思うのですが、今年に色々と出しちゃいました(笑)。ただ、せっかく30周年ですので、何かしらは展開できたらいいなと思っています。

 今回、今作の広報展開で『シレン1』の原画が見つかったという内容をXにポストしたんですが、過去のシリーズの原画が何十枚と見つかっているんです。今年のゴールデンウィークに行った長谷川(※注:『シレン6』キャラクターデザイン担当・長谷川薫氏)のライブドローイングのようなイベントももちろん、そういった原画を見ていただくような機会を作れたらうれしいですね。

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▲今年のゴールデンウィークに開催された風来のシレン展では、長谷川氏のライブドローイングが実施されました。
――最後に、『風来のシレン』のファンにメッセージをお願いします!

櫻井
皆さんに『シレン6』を楽しんでいただいて何よりです。非常に好評だったおかげで約1年間かけて細かなアップデートやDLCの配信ができ、さらにクオリティを上げることができました。

 Steam版では画面共有も簡単にできるようになったと思うので、友だちと画面見せ合いながらプレイを楽しんでください!

篠崎
まずは買っていただいた方、ありがとうございます。そして楽しんでいただけていたら何よりです。同時に発売して、と何人かにコメントでは怒られましたが、Steam版も無事に発売できる形となりましたので、今後はどちらでも好きな方で遊んでいただけたらうれしいです……!

 今後も『風来のシレン』という作品の火を消さぬよう頑張っていきたいなと思っております。私もずっと『シレン』作品に携わらせていただいており、今後も続けていく気持ちは120%持っていますので、引き続き応援をいただけるとうれしいです。

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『風来のシレン6』Steam版 概要

ゲーム本編

タイトル:不思議のダンジョン 風来のシレン6 とぐろ島探検録
発売日:2024年12月12日
価格:5,980円(税込)

有料追加コンテンツ

タイトル:不思議のダンジョン 風来のシレン6 とぐろ島探検録 plusパック
発売日:2024年12月12日
価格:1,980円(税込)

デジタルサウンドトラック

タイトル:不思議のダンジョン 風来のシレン6 とぐろ島探検録 劇伴音楽之巻
発売日:2024年12月12日
価格:3,600円(税込)
収録内容:全109曲(BGM99曲/ME10曲)

バンドル版①

タイトル:不思議のダンジョン 風来のシレン6 とぐろ島探検録 plusパックセット
発売日:2024年12月12日
価格:6,926円(税込) ※単品販売の総額7,960円から約13%OFF
収録内容:ゲーム本編+有料追加コンテンツ『plusパック』

バンドル版②

タイトル:不思議のダンジョン 風来のシレン6 とぐろ島探検録 plusとサントラセット
発売日:2024年12月12日
価格:9,826円(税込) ※単品販売の総額11,560円から15%OFF
収録内容:ゲーム本編+有料追加コンテンツ『plusパック』+デジタルサウンドトラック『劇伴音楽之巻』

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