2025年1月17日にPlayStation5/Xbox Series X|S/PC(Steam)で発売予定の『真・三國無双 ORIGINS』の製品版レビューをお届けします。
なおクリア済みレビューではありますが、ストーリー展開の直接的なネタバレなどはありませんのでご安心ください。
アクション:集団戦はより気持ちよくスケール感アップ! 武将相手には駆け引きが楽しめる戦闘に【真・三國無双 ORIGINSレビュー】
本作でも、従来の『真・三國無双』シリーズと同様に、通常攻撃と強攻撃を組み合わせて簡単にコンボが繰り出せるアクション性は健在。兵士相手には、今までの『真・三國無双』シリーズと同様の爽快感を味わえます。最新ハードに合わせた圧倒的なグラフィック表現で、歴代シリーズでも屈指のスケール感のある集団戦が体験可能です。
大きく変わったのは、武将相手の戦闘。従来は武将はいわゆる“ハメ”のような戦略で対処することが多く、やや単調な印象もありましたが、本作では回避アクションの実装により、敵の攻撃に合わせた多彩な駆け引きが楽しめるようになっています。
武将との戦闘では、通常のガードや回避に加えて、“弾き返し(いわゆるジャストガードやパリィ)”や“見切り(いわゆるジャスト回避)”が重要。
弾き返しはややタイミングがシビアですが、敵の攻撃を妨害しつつ反撃が可能なので成功したときの恩恵が大きいです。見切りは成功時に闘気(スキルゲージのようなもの)がわずかに回復。そこまで攻勢に出れるわけではないですが、判定が非常に緩く、敵の攻撃に合わせやすいのが利点です。
アクションに自信がある場合は弾き返し、ない場合でも見切りを積極的に狙っていけば武将相手に有利に戦えます。見切りの手軽さのおかげで、アクションが苦手でも気持ちよく武将との戦いの駆け引きが楽しめるようになっていますね。
いわゆる“死にゲー”のようなシビアなバランスにはなっていないものの、アクションに歯応えを求めるプレイヤーでも満足できるかと思います。
相手武将には“外功”というバリアのようなものがあり、これを0にすることでスキを生じさせ、追撃が可能になります。ただし外功はそこまで気にしなくても攻撃後のスキに攻撃するだけでも減らせるので、あるていどはゴリ押しでもOK。武将を削って倒す爽快感が味わえるのがいい感じです。
また特定の攻撃に対して【発勁】という名称がつく“武芸(スキル)”を使うと、敵の体勢を崩すことも可能。そこから攻撃していくことで効率的に外功を減らせます。いわゆるカウンターみたいなものですね。【発勁】は判定が厳しくないので、積極的に狙っていくといいでしょう。
ちなみに【発勁】効果のある武芸は武器種ごとに数種類存在します。闘気の消費量の少ないものが使いやすい印象ですが、消費量の多いものはそのぶん威力や追加効果が強力。いずれにせよ、【発勁】効果のある武芸が使えるだけの闘気は常に残しておくのが大事そうですね。
武器種:武器の使い分けでアクションに個性が生まれる!【真・三國無双ORIGINSレビュー】
本作では選べる武将が主人公の1人だけとなっているぶん、武器種の使い分けによってアクションに変化が生まれています。
どの武器種もアクションが個性的で、使い込んだり新たな武芸を覚えたりすることでどんどん魅力を増していきます。
個人的にはカウンターに特化した“槍”がお気に入り。初期から習得している武芸にカウンター効果があるので、武将との戦闘や一騎討ちに非常に強い! しかも中盤以降に習得できる武芸は単体への攻撃力にも優れるので、スキがない武器種です。
そのほか、構えからの追撃で武芸なしでも多彩な攻撃が繰り出せる“手甲”や、連続攻撃で攻撃力が増していく“偃月刀(えんげつとう)”なども多用していました。武器種の使い分けで変化はあるものの、基本操作は共通なので初見の武器でも気軽に使えます。
ちなみに攻撃中以外であれば、戦場でも武器の持ち変えは可能。集団戦では攻撃範囲の広い武器を使いつつ、武将との戦闘では火力に優れる武器に持ち変えるといった戦術も可能です。
武器種は基本的に特定の敵を倒すことで開放されていきますが、ストーリーを進めるだけで自然と開放できます。実際、1周目クリアまでにほぼすべての武器種が開放されました。
ちなみに、特殊な条件を満たすことで開放される武器種もあります。ネタバレになる+初見で驚いて欲しいので詳細は伏せますが、開放されたときは思わず「おお!」と言ってしまったほど大興奮! 『三国志』好きほどうれしいサプライズになっていると思います。
戦場&随行武将:臨機応変な判断が重要となる戦術性が楽しい【真・三國無双 ORIGINSレビュー】
戦場の状況によって、自分がどこに駆けつけるか臨機応変に判断していく『真・三國無双』シリーズらしい戦術性も健在。ただし本作ではより自由度が増しており、ステージによっては、敵本陣へのルートが開放されると同時に敵大将に突っ込むことなどの行動も可能です。
ただし軍師や総大将の指示に従わないと、難易度が高くなる傾向はあります。ステージによっては特定条件を満たすことで戦況が有利になるので、慣れないうちは素直に従うのがオススメ。ステージに挑む前の軍議をしっかりチェックしておくといいでしょう。
それでも基本的には主人公が一番戦力になるので、けっこう忙しいです。味方を完全に撤退させないのはステージによっては厳しいバランスですね。自軍の敗北条件となる武将以外は、ときとして見捨てる判断も重要になるかもしれません。
拠点の占領や敵武将の撃破、一騎討ちの勝利などで“士気”を上げると、味方も強くなって頼りになるようになります。
やられそうな味方を救援しに行くか、信頼して任せて、拠点をとって士気を上げるかといった判断が重要となる戦術性が楽しいですね。プレイヤーによって攻略法にも個性が生まれそうです。
敵兵士にも個性があり、槍兵であればジャンプ攻撃で槍を回避しながら攻撃する、盾兵であればジャンプで踏みつけるといったように、兵科ごとに攻略法を考えるのが有効です。
とはいえ何も考えずに武芸や無双乱舞などでぶっ飛ばす! という判断でも十分に戦えるようになっています。
またストーリー進行によって主人公に護衛兵が付いてきてくれるようになり、味方の兵士に指示を出す“戦法”を使用可能に。こちらはいわゆる“作戦”のようなものではなく、兵士が使えるスキルのようなものです。
護衛兵が増えるほど使用可能な戦法が増えていくので、戦術性も増していきます。クールタイムのみで使用可能なので、気軽に使ってしまって大丈夫!
弓や石を放つ戦法であれば高所から使用する、突撃系の戦法であれば距離をとって使用するなど特定条件で特効も発動しますが、そこまで気にせずにどんどん使ってしまっても大丈夫なバランスですね。
ステージ開始時からプレイヤーキャラクターに随行してくれる随行武将は、非常に頼りになる存在。交代ゲージがたまると任意のタイミングで一定時間交代して戦ってくれます。
いわゆる無敵モードのようなもので、一気に戦況を覆せるのが気持ちよすぎる! まさに一騎当千の活躍で敵を蹴散らしてくれます。従来の『真・三國無双』シリーズと異なる視点で、無双武将たちの強さが表現されていますね。
随行武将は各勢力に3人ずつで、合計で9人が参戦。誰を選んでもそこまで戦力に差は出ないので、基本的にはお好みで決めてしまっても大丈夫そうです。
■曹操軍の随行武将
・夏侯惇
・郭嘉
・張遼
■孫堅軍の随行武将
・黄蓋
・孫尚香
・周瑜
■劉備軍の随行武将
・関羽
・張飛
・趙雲
ただし戦場によっては、選んだ随行武将によってスタート地点などに変化があることも。とくに顕著な例が劉備軍での“長坂の戦い”ですね。
張飛を選ぶと曹操軍相手に橋で殿を務めることになり、趙雲を選ぶと劉備嫡子の阿斗を決死の覚悟で守りながら戦場を駆け抜けることになります。どちらも『三国志演義』で有名なエピソードで、専用のイベントシーンも用意されているのが熱い!
また戦場では自分のとった行動によって、武将たちから多種多様な反応があるので、さまざまな行動を試したくなります。軍師の策を無視して突っ込んだときの、ちょっとガッカリした反応は罪悪感がすごいです(笑)。
育成&収集要素:主人公が1人になったことで育成要素が充実【真・三國無双 ORIGINSレビュー】
育成&収集要素も多彩ですが、そこまで複雑ではなく、基本的にはストーリーを進めるだけでもさまざまな要素が開放されていく作りになっています。
プレイヤーキャラクターが1人になったぶん、育成要素も充実している印象ですね。じっくりと主人公を育成することで、プレイヤーそれぞれの成長を実感できるようになっています。
とくにスキルパネルの開放は、どの順番でスキルを習得していくかの判断が楽しいです。
宝玉や装飾品といった、いわゆるアクセサリの収集要素も充実。また武器にはランダムで特性が付与されており、ハクスラ要素も楽しめます。
育成&収集要素に関しては、1周目はそこまでこだわらなくても大丈夫なバランス。2周目以降(クリア後)は大幅に収集要素が強化されていくので、よりやり込みを楽しむことが可能に!
ストーリー&キャラクター:より魅力的になった悪役が印象的! ストーリーボリュームは3勢力クリアで50時間ほど【真・三國無双 ORIGINSレビュー】
本作はマルチエンディングになっていますが、分岐方法は比較的シンプル。ストーリー中にどの勢力に付くか選択することで、以降はその勢力を中心としたストーリーへと分岐します。
そこまでにどの勢力に助力したかによって所属できる勢力は決まりますが、各勢力への貢献度はしっかり可視化されているので安心。分岐条件に悩むことはないと思います。
気になるストーリーのボリューム感は、あくまで筆者の場合ですが、1周目(1勢力目)は30時間。3勢力分のストーリーをクリアするまでには50時間ほどでした。
クリア後は分岐直前の状況からストーリーを再スタートできるので、2周目以降のプレイはお手軽です。しかも再会地点は章ごとはもちろん、主要な戦いごとにも選べるので、何か取り逃した場合やいろいろ試したい場合でも安心!
ちなみに筆者は劉備軍、孫堅軍、曹操軍の順番でストーリーをプレイしました。『三国志演義』を元に“赤壁の戦い”までを描くなら、個人的にはこれが王道の順番! とはいえもちろん、お好みでプレイする順番を決めてしまってOKです。
同じ戦いであっても陣営が違うと登場する武将や描かれ方も異なるので、新鮮な気持ちでストーリーが楽しめます。“赤壁の戦い”での諸葛亮の活躍は、むしろ孫呉の視点のほうがしっかり分かるようになっていますね。
ストーリーは基本的に『三国志演義』に沿った王道展開ですが、今までの『真・三國無双』シリーズと比べても非常にていねいにひとつひとつの戦いが描かれています。
そのおかげで章ごとのクライマックスの展開が素晴らしく、張角などの敵武将との決着が付く戦いはかなり盛り上がります。
とにかく敵対する武将たちが魅力的に描かれているのが印象的ですね。もちろん、シリーズ最強の敵であり『真・三國無双』の顔ともいえる呂布も印象深いです。
体験版での強さも凄まじかった呂布ですが、製品版でもかなり例外的な強さになっています。筆者の場合はてきとうな武器で挑んだ初戦は敗北してしまい、結果的に使い込んだ槍を引っ張り出してきました。
とはいえ体験版と違ってさまざまな方法で育成やカスタマイズが可能になっているので、ここで詰まるということはないかと思います。どうしても難しい場合は難易度を下げるのもアリかも?
武将たちとの交流要素も充実。比較的中立な立場である主人公であるからこその交流を深めていくことができます。
ちなみに女性武将との交流ももちろん可能。いい感じの雰囲気にもなりますが……将来的に誰かの妻になるのがわかっていると、少し背徳的でしたね(笑)。
アクションやストーリーが大胆に刷新されて、『真・三國無双』らしい魅力を継承しつつ新たなチャレンジにあふれている本作。
膨大な武将が登場するいわゆる“お祭りゲー”としての『真・三國無双』が好きだった人は物足りなく思う部分もあるかもしれません。しかしシリーズにマンネリ感を感じていて、変化を求めていたプレイヤーほど魅力を感じられるかと思います。
『ORIGINS』という名称の通り、本作がシリーズ初プレイでも大丈夫! とにかくバトルの気持ちよさや戦術性が直感的に味わえる作品になっているので、アクションゲーム好きや『三国志』ファンはぜひ一度遊んでみるのがオススメです。