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【スパロボY参戦作品紹介】重戦機エルガイム:マップ兵器が厄介すぎた『F』のバッシュのトラウマ。『COMPACT』ではV-UPユニットでエルガイムが最強ユニットに【スーパーロボット大戦Y】

文:米澤崇史

公開日時:

最終更新:

 『スーパーロボット大戦Y(スパロボY)』に参戦する作品を紹介。連載第14回は『重戦機エルガイム』について語ります。

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 2025年8月28日にバンダイナムコエンターテインメントから発売予定の、シミュレーションRPG『スーパーロボット大戦』シリーズ最新作となる『スーパーロボット大戦Y』。機体のみのものも含め、21作品が本作に参戦します。


 『スーパーロボット大戦30』から数えると(間にDLCや追加ストーリーはありましたが)、4年弱ぶりのコンシューマ向け『スパロボ』ということで、久しぶりにワクワクしているシリーズファンも多いのではないでしょうか(もちろん筆者もその一人)。

 『スパロボ』でまったく知らない作品に触れる……というのも、勿論立派な楽しみ方の一つではあるんですが、ある程度作品の知識があったり、原作を見たことがあれば、「こんなクロスオーバーを仕込んできたか」みたいな感動を得られたりするのも、『スパロボ』ならではの魅力。

 そこでこの連載では、『スパロボY』に向けての予習・復習を兼ねて、参戦作品についての大まかなあらすじや、『スパロボY』での注目ポイントを紹介していきます。

 なお、核心に触れるようなものは避けますが、
ある程度の作品のネタバレを含む内容となっているので、未視聴の場合はご注意ください。

『重戦機エルガイム』とは?【スパロボY参戦作品紹介】


 『重戦機エルガイム』は、1984~1985年にかけて放送されたTVアニメ。

 地球よりはるか遠くの銀河系“ペンタゴナワールド”を舞台に、独裁者オルドナ・ポセイダルにより滅ぼされたヤーマン族の末裔であるダバ・マイロードが、仲間たちと共にポセイダルの圧政に立ち向かう物語が描かれます。


 『機動戦士ガンダム』や『聖戦士ダンバイン』で知られる富野由悠季氏の監督作品の一作であり、メカニックデザインを担当しているのは、後に『ファイブスター物語』や『花の詩女 ゴティックメード』を手掛ける永野護氏。

 永野氏が手掛けた本作に登場するメカ“ヘビーメタル”は、“ムーバル・フレーム”と呼ばれる、人間の骨格にあたるフレームに外部装甲を装着する独特の構造で設計されており、非常に広い可動域を誇るのが特徴です。

 この構造は後のロボットデザインにも大きな影響を与えており、『ガンダム』シリーズでも、富野監督と永野氏が共に参加した『機動戦士Zガンダム』にて“ムーバブル・フレーム”として取り入れられています。


■『重戦機エルガイム』を見る

あまりにも手強かった『F』のポセイダル軍【スパロボY参戦作品紹介】


 個人的には『スパロボ』では準レギュラーくらいの印象がある『エルガイム』なんですが、よくよく振り返ってみると、実はイメージほど参戦回数は多くありません。

 『エルガイム』が『スパロボ』に初参戦したのは、SFC用ソフト『第4次スーパーロボット大戦』(1995年)。

 その後の参戦は『F(及び完結編)』『COMPACT』『GC(及びXO)』『OE』『X-Ω』、『30』となっています。

 そのうち、『GC(XO)』と『OE』は3D路線の『スパロボ』、『X-Ω』はスマホ向けアプリなので、熱心なシリーズファンでも『30』で『エルガイム』を見たのは『F』以来だった……という方も少なくなかったのではないかと思います。

 個人的に印象深いのは、『F』及び『F完結編』でしょうか。

 というのも、この2作では『エルガイム』の敵であるポセイダル軍がとにかくゲーム的に手強く、厄介なんです。

 とくに自分のトラウマになっているのが、A級ヘビーメタルのバッシュで、序盤こそギャブレット・ギャブレーを始めとする名前ありのパイロット用の機体として少数が出てくるくらいなのですが、途中から量産されていき、モブの一般ポセイダル兵まで乗り始めます。


 基本的にこの頃のヘビーメタルの最強武装は、直線状のマップ兵器である“バスターランチャー”なのですが、これは敵味方の両方の陣営に共通する武装で、恐ろしいことに一般兵が乗るバッシュにも標準で搭載されており、遠慮なくガンガンぶっ放してきます。

 まだボス級が使ってくるだけなら直線状に並ばないようにして対処可能ですが、複数同時に相手にすると、どうしても並ばざるを得ない状況が生まれたり、うっかり範囲内にいるのを見落としてしまったりして、自軍に甚大な被害が出ることも多かったです。

 アムロやカミーユが乗ったモビルスーツであれば普通のポセイダル兵の攻撃ならほぼ回避できますが、基本的にヘビーメタルはビームのダメージを軽減するビームコートの特殊能力も持っているので、ビームが主体のモビルスーツで相手をするのは分が悪いです。

 ならばショウの乗ったビルバインなどオーラバトラーで……といいたいところですが、ポセイダル軍と戦うのは宇宙マップも多いので、宇宙の適応地形が低いビルバインは弱体化してしまうことが多かったり、絶妙に『F』の自軍ユニットで相手をするのが難しい性能をしています。

 筆者自身、今までかなり多くの『スパロボ』をプレイしてきましたが、その中でも“戦うのが辛かった勢力ランキング”のトップ5くらいに『F』と『F完結編』のポセイダル軍は食い込んできますね。

 それ以外だと、ワンダースワン初の『スパロボ』である『COMPACT』での思い出も結構記憶に残っています。

 『COMPACT』は、初めてパーツスロット数が多ければ多いほど武装の攻撃力が上がる“V-UPユニット”という強化パーツが登場した作品なのですが、『COMPACT』のエルガイムは、パーツスロット数が最大である4枠あり、性能を最大限に引き出せたんです。

 パーツスロット数が4なのはボスボロットとかブルーガーとかの支援系のメカが多いのですが、エルガイムはその中でも戦闘力が高めで、なおかつ加入が少し遅いのもあってか、全パラメータが6段階改造された状態で自軍入りするので、“V-UPユニット”をつけるだけで即主力として戦える性能に強化されます。

 『COMPACT』では、ダバは最初からエルガイムMk-IIでの登場で、エルガイムにはファンネリア・アムが乗っているんですが、パーツスロットが2しかないMk-IIよりも、“V-UPユニット”をつけたエルガイムの方が遥かに強かったため、早々に能力の高いダバを即エルガイムに乗せ換える……ということをやっていました。

 間違いなくあれが歴代の『スパロボ』の中で最強のエルガイムだったと思います。


 その頃は原作を知らなかったのでまったく意図してなかったのですが、ある意味、ダバがエルガイムに戻るのは、原作再現とも言える形になっていたのは面白かったなと、後になってから気づきましたね。

『GC』で実装されていた合体攻撃の復活に期待【スパロボY参戦作品紹介】


 では『スパロボY』ではどうかというと、前作の『30』で原作再現をある程度やっていたのもあり、個人的に予想が難しい作品の一つです。

 ただ、『エルガイム』に関しては原作終了後のストーリーというのはやや考えにくく、第2.5弾ショートPVでギャブレット・ギャブレーが敵として登場するのも確定しています。地球での人類同士の戦争が終わった後、新たな脅威としてポセイダル軍が現れ、『エルガイム』のストーリーが展開される可能性は高いと見ています。


 仮にポセイダル軍が地球侵攻をしてくるとなると、絡みそうなのは"地球を襲う宇宙からの侵略者”という共通点(原作ではポセイダル軍は地球侵攻はしていませんが)がある、『銀河機攻隊 マジェスティックプリンス』の敵であるウルガルでしょうか。

 ただ、ウルガルは種の存続のため、強靭な遺伝子を集めることを目的としているので、同盟を結ぶというよりは“ペンタゴナワールド”の人類に対しても攻撃を仕掛けそうなイメージがあります。

 あと個人的にありえるのかなと思っているのが『機動戦士ガンダム 水星の魔女』とのクロスオーバー。

 ポセイダルに一族を滅ぼされたダバのポジションは、『水星の魔女』のプロローグで発生したヴァナディース事変と重なるところがありますし、巨大複合企業であり、軍事ビジネスも行っているベネリットグループと、『エルガイム』に登場する“死の商人”アマンダラ・カマンダラの相性が非常に良さそうなんですよね。

 ストーリーの各所で暗躍するアマンダラ・カマンダラの姿が容易に思い浮かびますが、『スパロボ』シリーズのアマンダラ・カマンダラは、新型のヘビーメタルや資金をプレイヤー部隊に提供してくれることが多いので、なんとなく憎めない印象もあります。

 あとは、個人的にちょっと期待したいのが、新武装として合体攻撃の追加で、『スーパーロボット大戦GC』の時に実装されていたエルガイムとエルガイムMk-IIの合体攻撃の“ダブルバスターランチャー”を復活させてくれないかなと。

 バスターランチャー最大出力という必殺武装があるダバは良いとしても、レッシィやアムを一緒に使いたい時、必殺武装がないのがボス戦での運用が辛かったりしたので、合体攻撃という形で必殺武装を実装してくれると、ダバ以外のキャラクターも使いやすくなるんですよね。

 個人的にレッシィが好きなのもあるのですが、合体攻撃は好きなキャラ同士の掛け合いが見れる楽しさもありますし、いつか再び実装してほしい武装です。

『スパロボY』参戦作品紹介バックナンバー(第11回~第13回)


米澤崇史:ロボットアニメとRPG、ギャルゲーを愛するゲームライター。幼少期の勇者シリーズとSDガンダムとの出会いをきっかけに、ロボットアニメにのめり込む。今もっとも欲しいものは、プラモデルとフィギュアを飾るための専用のスペース。

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