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『メダリスト』3話感想。「必ず優勝させる」と断言する司がイケメンすぎた回。スケートシーンの力強い描写含めて惚れるしかない(ネタバレあり)

文:米澤崇史

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 放送中のTVアニメ『メダリスト』第3話“たい焼きとケーキ”の感想記事をお届けします。

【注意】キービジュアルより先のテキストでは、『メダリスト』3話の物語に関する記述が多々あります。そのため本編をご覧になってから読むことをオススメします。 [IMAGE]

ミケと那智の関係性がどう出来上がったのかが気になる【メダリスト】


 フィギュアスケートを続けるのは“中学まで”というタイムリミットを設けられてしまったいのり。最初に司から大会の話を出された時は、まったく想像もしていなさそうだったにも関わらず、すでに光と勝負をしたがっているあたり、なかなか戦闘民族みたいなメンタルをしています。

 母親に認めてもらうだけであれば、優勝とはいかずとも上位へ入賞すれば可能性は十分に示せると思います。

 が、光と戦えるレベルになるにはそれくらいのスピードで上達していく必要があるのは確かで、目の前の問題よりもさらに先まで見据えて考えているのがいのりのすごいところです。

 あと、ここで2人が“たい焼き”を食べていたのって、さり気ないフラグだったんだなと見返した時に改めて気づきました。

 シットスピンやサルコウも習得し、順調に成長を続けているいのりでしたが、恥ずかしさからダンスが壁になっている様子。

 ただでさえいのりは恥ずかしがり屋な性格ですし、自分の経験でも運動会でダンスの練習とかしている時もちょっと恥ずかしさを感じていたので、感覚的にすごく分かるような気がします(余談ですが、ジャージを頭に被ってチャックを開きながら顔を覗かせている仕草がめちゃくちゃかわいい)。

 お手本として披露された、司のスケートシーンの作画も素晴らしかったです。短いシーンではあるのですが、力強さとしなやかさが合わさった男子スケートならではの動作がしっかりとアニメーションで描かれていて、こちらにもかなりの力の入れようを感じました。惚れるしかない。

 今まで実績として語られるだけだった全日本選手権出場の経歴は伊達ではないことが分かると同時に、フィギュアスケートをある程度知っている人の中でも、司の現役時代の滑りを見たことがある人はぼぼいない……という、フィギュアスケート界の厳しさも感じさせます。


 そのあとには、新たな登場人物・グラビティ桜通FSCの三家田(ミケ)とコーチの那智が登場。選手とコーチとしてお互いを尊重しあっているいのりと司に対して、終始子供同士のように喧嘩が耐えないミケと那智は、まったく違う選手とコーチの関係性になっていて面白いです。

 最初は気を使っていたものの、あまりのミケの生意気さに那智がブチ切れてこうなったんじゃないかとかいろいろ想像はできますが、この2人がどういう経緯でこの関係になったのか、結構気になるところですよね。

 子供であるミケはともかく、親御さんから預かっている立場を考えると、生徒にそんな言葉を使ってもいいのかという司の心配はもっともすぎるとは思いました。


 一応、ミケは小学3年生なのでいのりより2つも歳下のはずですが、まったくそれを感じさせないですね。ただ、スケートを始めたのも自分の意思のようですし、いわゆるめちゃくちゃ早く反抗期が来ちゃったタイプなんろうなと。

 小学3年生はタイミングとしては早すぎる気はしますが、光も小学生とは思えないくらい大人びていましたし、幼い頃から勝負の世界に身を置くということは、必然的に精神的な成長も早まるのは納得いきます。

ハイリスク・ハイリターンの作戦を選ばない新鮮さ【メダリスト】


 しかし、司に対して絶対的な信頼を寄せていたいのりは、大人を敵視するミケの地雷を踏んでしまい、友情が一気に反転してライバル心を抱かれてしまうことに。大会で優勝するには、すでにほぼ初級のレベルにいないミケの演技を越える必要も出てきました。

 司がいのりに対して2つの選択肢を提示するシーンでは、さりげなく司の意見を聞いてそれに従おうとするいのりに、こういうこと自分もやっちゃうんだよなぁ……と、個人的に共感したりもしていました。

 それを見抜いた上で、いのり自身に決めさせるのは、小学5年生という年齢を考えるとなかなか酷なことをするなと。けど、いのりはすでに自分の人生が変わる岐路に立ちつつあるので、その選択の責任を自分で負えるようになる必要があるのも理解できます。


 その結果、いのりが選んだのは2回転ジャンプにこだわらない"たい焼き”作戦でした。この手のハイリスク・ハイリターンとローリスク・ローリターンの択になった時、大抵は優勝という一点を目指してハイリスク・ハイリターンの策が選ばれるのがほとんどのイメージだったので、ここでいのりがこの先も見据えて"たい焼き”作戦を選んだのは結構ビックリしましたね。

 その上で、「どちらを選んでも必ず優勝に導く」と宣言する司が、めちゃくちゃ頼もしくてイケメンすぎる。選手の意思を尊重した上で、その決断を全力を尽くしてサポートする、本当についていきたくなるタイプのコーチだなぁと。司のような滑りに憧れて、いのりが苦手なダンスを克服するために"たい焼き”作戦を選択するのも、すごくエモさを感じます。

 成功体験を積ませるためにも、なんともしてもいのりを優勝させたい司は、犬の動きをヒントにダブルサルコウではなく、フライングシットスピンという別技をプログラムに組み込む作戦を思いつきます。

 フィギュアスケートを始めとした採点競技って、傍からみると審査側の塩梅ですべてが決まりそうに見えますが、実際にはかなり基準がシステマチックに決められているとは聞いたことがあります。ただ、ここまで具体的に点数を計算しているとは知らなかったので、勉強になりました。

 今まではさりげなく見ていましたが、今後リアルのフィギュアスケートを見る時、どういう狙いでプログラムが決まったのか、自然といろいろ想像が膨らむようになりそうです。

 ミケのダブルサルコウと、いのりのフライングシットスピン。互いの技同士がぶつかり合う、少年漫画チックな熱い展開にもなってきました。

 いのりにとっての初の大会、どんな結果とドラマが待ち受けているのか楽しみです。



米澤崇史:ロボットアニメとRPG、ギャルゲーを愛するゲームライター。幼少期の勇者シリーズとSDガンダムとの出会いをきっかけに、ロボットアニメにのめり込む。今もっとも欲しいものは、プラモデルとフィギュアを飾るための専用のスペース。

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