『頭文字D』のしげの秀一氏が描く新たな“公道最速伝説”漫画『MFゴースト』。最新刊22巻が発売されましたので、読み終えてみての感想記事をお届けします。
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索引
“熱海ゴースト”も中盤戦に突入。“カナタライン”という単語には“藤原ゾーン”に通じるアツさがある【MFゴースト】
世界中で爆発的な人気を誇る公道レース“MFG”での戦いを軸に、青年たちの葛藤と成長が描かれてきた本作。最新22巻には、最終戦となる“熱海ゴースト”の中盤戦が収録されており、物語はいよいよ過熱してきております。
主人公の片桐カナタを中心に据えつつ、脇を固めるさまざまなドライバーたちの思惑や葛藤、そして成長が描かれていく群像劇でもある本作。今回もさまざまなドラマが生まれており、ハラハラしながら読み進めてしまいました。
心がグッとつかまれるシーンはいくつもありましたが、とりわけ語っておきたいところをピックアップしていきますね。
まずはやっぱり“カナタライン”について。まさかのヒルクライムで、ハチロクが首位に躍り出るきっかけとなった奇跡の“外・外・外を回っての超インベタライン”の登場には胸が躍りました。
こちらは、3車線区間の1番右だけアスファルトの材質が異なる熱海の山道ならではのからくり。冬季のスリップ防止のため、表面がザラついた摩擦係数の高いアスファルトが敷かれていることに気づいたカナタが、これをうまく利用した形です。これによってハチロクは通常では考えられない加速力を発揮し、首位を守って来た沢渡 光輝のアルピーヌのオーバーテイクに成功しました。カナタはドライビングテクニックのみならず、発想力も圧巻ですね。
これを見た解説役の高橋啓介が、カナタをベタボメしながら名付けたのが“カナタライン”。往年のファンからしたら、辛抱たまらんネーミングです。
『頭文字D』の主人公にしてカナタの師匠でもある藤原拓海は、かつて“なぜか拓海のハチロクだけは曲がれてしまう”という“藤原ゾーン”を有していました。主人公の名を冠したゾーンの存在って、ぶっちゃけそれだけでアツくなれるわけですが。時を超えて今度はカナタが、その血統を受け継いだラインを生み出す。そしてその命名者が高橋啓介ときた日には、グッとこないほうが嘘ってものでしょう!
「天然の教え子は輪をかけたド天然だぜ!!」
という高橋啓介の言葉は、天然でもあり天才でもある2人の主人公をカンペキに表現していて、マジで泣きそうになりましたよ。個人的に、このネーミングセンスこそしげの秀一先生の素晴らしさだと思いますね……。
かつての“藤原ゾーン”が拓海ならではの異能(ある意味オカルトに近いゾーン)であったことに対し、今回の“カナタライン”はちゃんと理屈がとおっており、他のドライバーでも応用できるところもポイント。トップドライバーたちがカナタの能力を認め、そのラインをマネするようになる……このシチュエーションに鼓動が高鳴るってものですよ。
いち早くこれを取り入れたヤジキタ兄妹がフェラーリを駆る赤羽海人ですら退けたシーンは、間違いなくこの22巻の山場のひとつ。あらためてスゴすぎるドライバーだぜ、片桐カナタ!
主人公の片桐カナタを中心に据えつつ、脇を固めるさまざまなドライバーたちの思惑や葛藤、そして成長が描かれていく群像劇でもある本作。今回もさまざまなドラマが生まれており、ハラハラしながら読み進めてしまいました。
心がグッとつかまれるシーンはいくつもありましたが、とりわけ語っておきたいところをピックアップしていきますね。
まずはやっぱり“カナタライン”について。まさかのヒルクライムで、ハチロクが首位に躍り出るきっかけとなった奇跡の“外・外・外を回っての超インベタライン”の登場には胸が躍りました。
こちらは、3車線区間の1番右だけアスファルトの材質が異なる熱海の山道ならではのからくり。冬季のスリップ防止のため、表面がザラついた摩擦係数の高いアスファルトが敷かれていることに気づいたカナタが、これをうまく利用した形です。これによってハチロクは通常では考えられない加速力を発揮し、首位を守って来た沢渡 光輝のアルピーヌのオーバーテイクに成功しました。カナタはドライビングテクニックのみならず、発想力も圧巻ですね。
これを見た解説役の高橋啓介が、カナタをベタボメしながら名付けたのが“カナタライン”。往年のファンからしたら、辛抱たまらんネーミングです。
『頭文字D』の主人公にしてカナタの師匠でもある藤原拓海は、かつて“なぜか拓海のハチロクだけは曲がれてしまう”という“藤原ゾーン”を有していました。主人公の名を冠したゾーンの存在って、ぶっちゃけそれだけでアツくなれるわけですが。時を超えて今度はカナタが、その血統を受け継いだラインを生み出す。そしてその命名者が高橋啓介ときた日には、グッとこないほうが嘘ってものでしょう!
「天然の教え子は輪をかけたド天然だぜ!!」
という高橋啓介の言葉は、天然でもあり天才でもある2人の主人公をカンペキに表現していて、マジで泣きそうになりましたよ。個人的に、このネーミングセンスこそしげの秀一先生の素晴らしさだと思いますね……。
かつての“藤原ゾーン”が拓海ならではの異能(ある意味オカルトに近いゾーン)であったことに対し、今回の“カナタライン”はちゃんと理屈がとおっており、他のドライバーでも応用できるところもポイント。トップドライバーたちがカナタの能力を認め、そのラインをマネするようになる……このシチュエーションに鼓動が高鳴るってものですよ。
いち早くこれを取り入れたヤジキタ兄妹がフェラーリを駆る赤羽海人ですら退けたシーンは、間違いなくこの22巻の山場のひとつ。あらためてスゴすぎるドライバーだぜ、片桐カナタ!
“グリップウェイトレシオの均一化”というMFGならではのルール。その根底に秘められた“FRスピリッツ”に号泣【MFゴースト】
車重に応じてタイヤのトレッド幅が決まるという“グリップウェイトレシオの均一化”というMFGならではのルール。MFGの発起人であるリョウ・タカハシによって定められたこの謎の規定に秘められている真意が、本巻でついて明かされたのもアツかったです。
みなまで語るのも無粋ですが、その根底に秘められていたのはFR車(フロントにエンジンを搭載した後輪駆動方式のクルマ)に対する可能性の追求という、ロマンこの上ないものでした。リョウ・タカハシの……ひいてはしげの先生のアツいFRスピリッツと愛をバリバリに感じた瞬間。
FRがドラテクの基本を身に着けるために最も適した駆動方式である……という主張は、『頭文字D』の頃から一貫して作品の根幹に流れて続けてきた“しげのイズム”だと思うのですが。そのメッセージがこの『MFゴースト』の22巻で、ついに言葉となって表現されたことには感極まるものがあります。
「F・Rを極めろ!!」
この言の葉が持つパワーたるや……涙がちょちょぎれるぜ。MFG運営の本部長である史浩の言葉を借りれば「群馬プライド=F・Rプライドなんだよなあ」ってところ。まさにこれ! かつて『頭文字D』の連載がスタートした1995年から、ずっとこのシリーズを追いかけてきた自分のような往年のファンには本当に最高の言葉だと思います。
FRスピリッツ、そして群馬プライドの申し子である藤原拓海から、直々にテクニックと心意気を伝授された愛弟子たる片桐カナタ。ここまできたら彼のハチロクには是が非でも首位でチェッカーフラッグを受けてほしいわけですが‥…。盛り上げに盛り上げたところで、最悪のアクシデントに巻き込まれてしまいましたね……。
そりゃあエンタメの王道として、このまま主人公がすんなり優勝するなんて僕も思っていませんでしたが。まさかあんな形であんなことになるなんて! だ、大丈夫なのか?
さまざまなアクシデントが重なったがゆえの悲劇。そのきっかけとなったのが、かつてMFG第1戦“小田原パイクスピーク”でカナタとしのぎを削ったジャクソン・テイラーというところも、独特の因縁を感じました。もちろんテイラーに悪意なんて微塵もなし。そもそも彼はカナタの実力を早くから認め称えてくれていたこともあり、自分としてはかなり好きな人物なんですよね。悪く思う所はひとつもないんですが、それゆえに、あのトラブルには胃がキリキリしました。なんてこった!
それでも、やっぱりカナタを信じて応援するしかないなと思ったのは。謝罪するテイラーに対して「ウェルカム ミスターテイラー。レースにアクシデントはつきものです」と笑ってみせたカナタの心意気を見せてもらえたからからこそなんですよね。こんな状況で笑えるのかよこの青年は……なんというハートの強さか?
ブースから見守っている緒方はもちろん、いつも冷静な奥山すら涙目にさせたカナタの「まだレースは終わっていない」という言葉には、読んでる僕まで涙腺崩壊寸前でした。もうね、好き。大好きですよこの主人公。最高にカッコいい!
とんでもないシチュエーションで締めくくられたこの22巻。当然ながら先が気になって仕方ないです。巻末の予告によれば、次でこの『MFゴースト』もついに最終巻とのことで……。ますます盛り上がることは間違いないと言えるでしょう。予告カットには羽根が……あの羽根が描かれていたことだけは付記しておきたいところです。まさか予告で鳥肌が立つことになるなんて(汗)。
ということで今回ご紹介した『MFゴースト』第22巻は現在好評発売中です。ここで紹介したエピソード以外にも見どころ多数となっておりますので、未読の方はぜひ手に取って読んでみてください。それでは、今回はこのへんで!
みなまで語るのも無粋ですが、その根底に秘められていたのはFR車(フロントにエンジンを搭載した後輪駆動方式のクルマ)に対する可能性の追求という、ロマンこの上ないものでした。リョウ・タカハシの……ひいてはしげの先生のアツいFRスピリッツと愛をバリバリに感じた瞬間。
FRがドラテクの基本を身に着けるために最も適した駆動方式である……という主張は、『頭文字D』の頃から一貫して作品の根幹に流れて続けてきた“しげのイズム”だと思うのですが。そのメッセージがこの『MFゴースト』の22巻で、ついに言葉となって表現されたことには感極まるものがあります。
「F・Rを極めろ!!」
この言の葉が持つパワーたるや……涙がちょちょぎれるぜ。MFG運営の本部長である史浩の言葉を借りれば「群馬プライド=F・Rプライドなんだよなあ」ってところ。まさにこれ! かつて『頭文字D』の連載がスタートした1995年から、ずっとこのシリーズを追いかけてきた自分のような往年のファンには本当に最高の言葉だと思います。
FRスピリッツ、そして群馬プライドの申し子である藤原拓海から、直々にテクニックと心意気を伝授された愛弟子たる片桐カナタ。ここまできたら彼のハチロクには是が非でも首位でチェッカーフラッグを受けてほしいわけですが‥…。盛り上げに盛り上げたところで、最悪のアクシデントに巻き込まれてしまいましたね……。
そりゃあエンタメの王道として、このまま主人公がすんなり優勝するなんて僕も思っていませんでしたが。まさかあんな形であんなことになるなんて! だ、大丈夫なのか?
さまざまなアクシデントが重なったがゆえの悲劇。そのきっかけとなったのが、かつてMFG第1戦“小田原パイクスピーク”でカナタとしのぎを削ったジャクソン・テイラーというところも、独特の因縁を感じました。もちろんテイラーに悪意なんて微塵もなし。そもそも彼はカナタの実力を早くから認め称えてくれていたこともあり、自分としてはかなり好きな人物なんですよね。悪く思う所はひとつもないんですが、それゆえに、あのトラブルには胃がキリキリしました。なんてこった!
それでも、やっぱりカナタを信じて応援するしかないなと思ったのは。謝罪するテイラーに対して「ウェルカム ミスターテイラー。レースにアクシデントはつきものです」と笑ってみせたカナタの心意気を見せてもらえたからからこそなんですよね。こんな状況で笑えるのかよこの青年は……なんというハートの強さか?
ブースから見守っている緒方はもちろん、いつも冷静な奥山すら涙目にさせたカナタの「まだレースは終わっていない」という言葉には、読んでる僕まで涙腺崩壊寸前でした。もうね、好き。大好きですよこの主人公。最高にカッコいい!
とんでもないシチュエーションで締めくくられたこの22巻。当然ながら先が気になって仕方ないです。巻末の予告によれば、次でこの『MFゴースト』もついに最終巻とのことで……。ますます盛り上がることは間違いないと言えるでしょう。予告カットには羽根が……あの羽根が描かれていたことだけは付記しておきたいところです。まさか予告で鳥肌が立つことになるなんて(汗)。
ということで今回ご紹介した『MFゴースト』第22巻は現在好評発売中です。ここで紹介したエピソード以外にも見どころ多数となっておりますので、未読の方はぜひ手に取って読んでみてください。それでは、今回はこのへんで!