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『メダリスト』7話感想。いのりと一緒に成長していく司のドラマが熱い。そして属性盛り盛りの京都弁娘・すずのかわいさに惹かれる(ネタバレあり)

文:米澤崇史

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 放送中のTVアニメ『メダリスト』第7話“1級バッジテスト”の感想記事をお届けします。

【注意】キービジュアルより先のテキストでは、『メダリスト』6話の物語に関する記述が多々あります。そのため本編をご覧になってから読むことをオススメします。 [IMAGE]

こっそりと2回転を成功させて、いのりが珍しくドヤ顔を披露したものの……?【メダリスト】


 京都の大会に向け、特訓を続けるいのり。目標が20点と具体的に提示されると、名港杯で97点超えを叩き出していた光との現在の力の差が、改めて大きく感じられます。

 そのために必要となる2回転ジャンプは、名港杯でプログラムに組み込むのを断念していた技。ですが、司がいない時の練習でこっそりと成功させていたのをドヤ顔でアピールしてくるのがかわいいですね。

 今までいのりは自信なさげな所作が多かったので、こういった姿は結構新鮮でした。


 もっとも実際には司の前では2回転の再現はできず、タブレットで撮影されながらの練習もどんどん動きがおかしくなっていっていましたが……いざ見られることを意識したり、直そうと意識すればするほど、ギクシャクしてしまう感覚は分かるような気がします。そんな時に、いのりを焦りをすぐに見抜いてフォローした司はナイスでした。

 今回のやりとりでは、自分自身もいのりから教わって成長している最中であることを実感していて、司がいのりのことを子供ではなく、ひとりの人間としてきちんとリスペクトをもって接しているのが良いなと。結果、言葉が足りなくて勝負を挑んでいるような構図になっていたのは面白かったです(今回の司は全体的に言葉足らずの場面が多めな印象)。

 バッジテストでは、京都の名門クラフ蓮華茶FSCに所属する蛇崩、すず、絵馬の3人が登場。個人的にツボに入ったのが、光に次ぐ実力者でもあるすずでした! 京都弁でちょっと大人ぶったあざとかわいい女の子って、あまりにも属性が盛り盛りすぎます。

 かなり級が空いているにも関わらず、友だちの絵馬の番にはしっかりと声援を送っていたり、現状は遥か下にいるいのりからライバルのような宣言をされてもノリノリで返したり。良い意味でクセがありそうでしたが、性格がいい娘そうなのも好印象だったポイント。

 すずを演じる演じる伊藤彩沙さんは京都の出身ということもあってか、『甘神さんちの縁結び』の梅ノ木みつ子とか、いろんな作品で京都弁のキャラクターを演じられています。これ以上ないハマり役だと感じました。


 司が蛇崩に指導法を教えて欲しい、と頭を下げていましたが、「選手人生は1回きりなんだから」という言葉はグッと来ました。先生にとっての生徒は何人もいる中の1人だけど、生徒にとっての先生は1人しかいない……といった教育論もありますが、それを考えると本当に大変な仕事だなと。

 普通の社会人だったら、経験が浅い時代の失敗はある程度勉強の期間としてしょうがないことも多いと思うのですが、親御さんや生徒の立場からすれば、先生側に経験がないとか何の言い訳にもならないんですよね。

 いのりのためにも、自分が少しでも早く成長したいと頭を下げるのは、本当にいい先生をしているなと感じます。

大会出場も危ぶまれるアクシデントがいのりに降りかかる……!?【メダリスト】

 そのあとの、蛇崩と指導方法を共有するシーンも今回の見所となっていたポイント。

 蛇崩がいのりのことを褒めているのを聞いて、自分から頼んでおきながら対抗心を燃やし始めるのは、本末転倒すぎて笑いました。司、仮にアイドルのファンをやっていたら同担拒否勢になってしまうのではないでしょうか。

 一方、蛇崩がすごかったのが、司の本質をこの短い交流の間に見抜いていたこと。今までのエピソードを通しても、司は一定の結果を残せているにも関わらず、とにかく自己評価が低すぎるという印象を受けてきましたが、蛇崩が指摘した「自分を信じること」の必要性というのは、まさにその部分なんですよね。

 これは今まで誰も指摘ができていなかった部分で、コーチとしての司の最大の問題点でもあったので、その意識改革ができたのは、司にとってかなり大きな変化と言えます。

 前回の6話も司が内面と向き合う話でしたが、冒頭で司自身も言っていた通り、メダリストを目指すにはいのりだけではなくコーチの司自身も成長しなければならない、というのが分かる構成になっているなと感じました。

 京都大会の会場では、今後のいのりのライバルになりそうな個性的なキャラクターたちが多数登場することに。

 中でもいのりに真っ先に声をかけてきた獅子堂星羅は、同じ級の仲間がいたことを喜びつつ、「来年頑張れ」と遠回しに「今年は自分が優勝するから諦めろ」と言っているのが面白い。アスリートを目指す上で必要なメンタルでもあると思いますが、名港杯の時のミケといい、自分の能力に対して自信をもっている子が多い印象があります。


 一方、Aパートにも登場していた、絵馬が小さい子供たちと一緒にテストの順番を待っているのは、絵馬の心境を想像するとちょっと見ているのが辛かったです。

 司よりもコーチ経験が長い蛇崩が、初めて初級から指導した生徒と言っていたので、おそらく絵馬がスケートを始めたのはいのりよりも早いはず。本格的にスケートを始めてから4ヶ月しか経っていないいのりですらこれだけ"焦り”に近い感情を抱いていたことを考えると、なかなか初級に上がれなかった絵馬の内心にはいろんな苦悩があるんだろうなと。

 絵馬と蛇崩の二人の関係性は、いろいろな情報が仄めかされているだけに、どんなことがあったのか妄想が広がります。


 とはいえいのりとしては、まずは目の前の大会に集中するだけ……と思いきや、キャリーバッグをなくしてしまうというまさかのアクシデントが発生!

 シーンを見直すと、そもそも会場についた時点でキャリーバッグらしきものを持っていなさそうだったので、無くしたとすればそれよりも前の可能性が大。いのりがずっと持っていたとすればいのりの失敗ではあるんですが、京都に行く前から一緒だったであろう司かのぞみには気づいてもらいたかったところです。

 入っているのが着替えとかお土産ならともかく、大事な衣装やスケート靴もキャリーバッグの中でしょうから、このままでは大会の出場自体ができなくなるということに……。今までの中でも最大のピンチといえる展開かもしれません。

 いのりは大会に出られるのか、8話の展開にも注目です。



米澤崇史:ロボットアニメとRPG、ギャルゲーを愛するゲームライター。幼少期の勇者シリーズとSDガンダムとの出会いをきっかけに、ロボットアニメにのめり込む。今もっとも欲しいものは、プラモデルとフィギュアを飾るための専用のスペース。

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