電撃オンライン

重みのある『原神』吹奏楽演奏に感激。団長さんの“名解説”で未プレイの『百英雄伝』『ラグナロクオンライン』『グランディア2』の演奏も存分に楽しめた【岩垂徳行/Arc-hive Philharmonic Winds3回演奏会レポ】

文:ことめぐ

公開日時:

最終更新:

 ゲーム音楽専門非営利吹奏楽団“Arc-hive Philharmonic Winds(アークハイブ・フィルハーモニック・ウィンズ)”の第3回公演が、2025年1月18日(土)に東京・八王子“J:COMホール八王子”で開催されました。

[IMAGE]

 
 第3回公演は『-Journey of the Quests-』と題し、『百英雄伝』『ラグナロクオンライン』『原神』『グランディア2』などの楽曲が演奏されました。

 本記事では、今回のセットリストにもある『原神』が特に大好きな筆者が本公演を鑑賞してきたので、その様子をレポートしていきます!

吹奏楽の重厚なサウンドに終始驚かされっぱなし。楽器とゲームへの愛が溢れた団長さんの名解説も素晴らしく「また来たい!」と思えた公演でした【アークハイブ・フィルハーモニック・ウィンズ】


 筆者はゲーム音楽を生演奏で聞くことが大好きで、プロ公演はもちろん、かなりの数のアマチュア団体ゲーム音楽演奏会にも参加していました。ですが、コロナ禍を境にアマチュア公演への足はすっかり遠のいてしまっていたのです。

 そんな時、偶然にも電撃オンラインを通してアークハイブさんを知りました。しかも大好きな『逆転裁判』『逆転検事』シリーズの作編曲を手掛ける岩垂徳行さんが指揮と顧問をされている、ということにオドロキ。

 以前の書かせていただいた記事の通り、筆者は『原神』の大大大ファンで、曲がセットリストに含まれているので、正直なところ「取材関係ナシに絶対に行きたい!!!!!」と心に決めておりました。


 アークハイブさんは事前の権利者への許諾、ガイドラインにそった範囲での演奏を行う非営利演奏団体の為、なんとチケット代が無料(※事前申し込みが必要)なのです。

 今回の会場“J:COMホール八王子”は、ゲームのイベントで何度も足を運んでだことがあり「ここでやるのかー!!!!」と感激。そんなゲーム縁の地(?)で「早く『原神』曲浴びて〜!」といざ会場へ!
 
 実は筆者、大変恐縮ですが演奏されたゲームタイトルのなかでプレイ経験があるのは『原神』のみです。もちろんタイトルはすべて存じておりますが、曲は完全に初見でした。ですので、曲を聴いての率直な感想を書ければと思います。

 本公演のMCは、楽団の団長を務める村上晶紀さん。(※MCはブリドカットセーラ恵美さんの予定でしたが、体調不良の為お休みでした)

オーケストラ編成に負けないほどの音圧に感激【アークハイブ・フィルハーモニック・ウィンズ】


 まず第一部として演奏されたのは
『百英雄伝』

[IMAGE]
●曲目
・「エルンサイド」
・「森」
・「本拠街〜開拓・発展」
・「シャークシップ」
・「バトル1」
・「百英雄伝〜英雄達の出立」

 ……すごい。

 筆者はお恥ずかしながら音楽の知識が乏しいのですが、吹奏楽でもオーケストラ編成に負けないほどの音圧が出るいうことにとても感激してしまいました……。しかも、アマチュアどころかこれはプロ演奏では……!? と1曲目から感激しっぱなし。

 『百英雄伝』は未プレイですが、団長さんがゲームの情景が浮かんでくるような解説をしてくださるので、なぜだか目に景色が浮かんできて不思議な気持ちにもなりました。ですので、とても演奏に没入できました。

 優しいフルートの演奏が美しいこれから始まる冒険のワクワク感が伝わってくる「エルンサイド」。2曲目、3曲目は、作曲を担当された“なるけみちこ”さんがゲストとして登場し、自ら指揮をされました。

[IMAGE][IMAGE][IMAGE]
▲MCでは「とても緊張した」となるけさん。そんななるけさんに岩垂さんが「練習の成果が出ていましたね」伝えると、ホッとされていました。
[IMAGE]
▲サプライズで、本作のサウンドチームの東さん、SiNさん、MIZさんが登壇されました。なんと、御三方は最後まで合唱として参加されるのだとか!
 
 ズンズンと砂原を進んでいく壮大な演奏が印象的だった「シャークシップ」、激しい戦闘の様子を奏でた「バトル1」。一部のラストは本作のテーマ曲「英雄達の出立」が演奏されました。

[IMAGE]

 電子パンフレットには本作の音楽プロデューサー・東さんのコメントが掲載されているのでぜひチェックしてみてください。

プレイしたことがないのに、また脳内に情景が……!【アークハイブ・フィルハーモニック・ウィンズ】

 
 第二部前半は、
『ラグナロクオンライン』

[IMAGE]
●曲目
・「Title」
・「Theme of Juno」
・初心者メドレー
 「One Step Closer」~「Theme of Prontera」~「Everlasting Wanderers」~「Be Nice’n Easy」~「Ancient groover」
・転生メドレー
 「Naive Rave」~「Dancing Christmas in the 13th Month」~「We have Lee but you don’t have」~「Monastery In Disguise」

 このパートでは、指揮が山田 雅彦さんにバトンタッチ!

[IMAGE]

 ……あれ、おかしいな? プレイしたことがないのに、またまた脳内に情景が浮かんでくる……!

 アークハイブさんの公演で思ったことが、司会の団長さんのMCトークが本当に巧み、ということ。

 演奏前にゲームの情景が浮かんでくるような細やかな解説をしてくださったので、未プレイにも関わらず情景が目に浮かんできたのです。しかもこの『ラグナロクオンライン』は、団長さんは20年来のプレイヤーらしく、尚更詳しく解説してくださったというのもあります(笑)。

 このパートでは、ヘラルドトランペットとトロンボーン奏者、合わせて11人がステージ前方に出て演奏を始めるというシーンがあり、その際は2階で岩垂さんが指揮をされていたとのこと。

[IMAGE][IMAGE]

 団長さん自らも演奏をされているのですが、大好きなゲームというのもあってかすごく体を揺らして楽しそうだったのも印象的でした。

 電子パンフレットには、そんな団長さんの超愛がこもった解説が載っておりますので必見です!

待ちに待った『原神』に興奮! さらにシークレットも!!【アークハイブ・フィルハーモニック・ウィンズ】


 第二部ラストを飾るのは、筆者が待ちに待っていた
『原神』

[IMAGE]
●曲目
・「メインテーマ」
・諸国漫遊メドレー
 「風花の招待」~「遠足に行こう(軽策昼間)」~「天領奉行御帳」~「賑やかな港」~「ロマリタイムの想い」
・戦闘曲メドレー
 「彷徨する輝き」~「凛々しい遊侠」~「空を翔ける不羈」~「渦巻く激流」~「嘆きと凱旋」

 ちょっとここからはテンション高めで失礼致します。

 まずはコーラスのみで「夢のアリア」。筆者は毎日夜にログインすることが多く、瞬時にあの回廊と扉の画面が頭に浮かびました。毎日聴いている曲を生で聞けるのはやはり嬉しいもの。

 ひゃ〜! ここから、アークハイブさんの音楽で辿るテイワットの旅の始まりだ〜!!!!

 “諸国漫遊メドレー”では、モンド、璃月(りーゆえ)、稲妻、スメール、そしてフォンテーヌへの旅路を音楽で紡いでき、なんだかまるで各国を散歩している気分に。

 やっぱり『原神』の曲は、音だけでどの国の曲というのが分かるなぁと思いました。

 そして、5国それぞれで流れるバトル曲の“戦闘曲メドレー”では、筆者が特に推している曲『嘆きと凱旋』がラストを飾りました。

[IMAGE][IMAGE][IMAGE]

 吹奏楽で聴く『原神』は初めてで、一体どんな風になるのだろう? と思っていたのですが、あんなにも原曲に近い厚みのある音になるんですね……! しかもめちゃくちゃカッコいい。公式コンサートで聴いた時と同じ感動が蘇ってきて、体が本当に震えました。あぁ……アークハイブさんとのテイワットの旅、最っ高だったぁ。

 フォンテーヌまでの選曲だったのは、昨年の時点で行けた国までだったからとのこと。ということは、今年初頭に追加された“ナタ”の曲もいつか聴ける日が来るのかなと期待しちゃってます!

 「さて、これでテイワットの旅路は終りを迎えたからお手洗いに……」と思っていたら、まさかのシークレット曲なるものが!?!?

●曲目
・シークレットメドレー
『原神』より
「凱旋の詩を奏でよう」~「渦巻に踊れ」

 アークハイブさんの公演は初参加だったのですが、まさかの“シークレット”なるものが存在していたとは。しかも選曲がニクイ!! 

『GRANDIA Ⅱ』では深みのある重厚な演奏で思わず涙が溢れそうに……【アークハイブ・フィルハーモニック・ウィンズ】


 2回目の休憩が明けると、第三部
『GRANDIA Ⅱ』パートへ。

●曲目
・「神々の記憶」
・街メドレー
 「カーボの村〜敬虔な信徒」~「サイラム王国~繁栄と自由」~「セントハイム法国〜敬虔な信徒」~「交易都市リリグ〜見せかけだけの繁栄」
・「A Deus」
・「崩壊」
・「Despair and Hope」
・最終戦闘メドレー
 「ヴァルマー」~「リュ―ド覚醒~人々の祈り」~「FIGHT!! Ver.4~最終戦闘」

 以降は、演奏されたすべての曲の作編曲を岩垂さんが担当しており、ご自身で指揮をされました。

 心が澄み渡るような「神々の記憶」、ドンチャンドンチャンとしたリズムに思わず体を揺らしたくなる曲もあった「街メドレー」、美しい女性コーラス曲など、指揮の岩垂さんもジャンプをしたり体を揺らしたりしながら、とても楽しまれているようでした。「最終戦闘メドレー」ではコーラスを交え、神々しい雰囲気に。

[IMAGE]

 アンコールは、『GRANDIA II』より「Cancao do povo」、『GRANDIA』より「グランディアのテーマ」の2曲でした。

 とても深みのある重厚な演奏で、1曲目を聴いた時のように思わず涙が溢れそうに……。そして、最後の曲が終わると客席からは「ブラボー!!」と声が上がり、再度大きな拍手で会場が包まれました。

[IMAGE]

まさかの「異議あり!」からの『逆転裁判3』!!【アークハイブ・フィルハーモニック・ウィンズ】


 「ーー以上を持ちましてー……」というアナウンスが流れ、帰ろうとしたら……団長さんが「待った!」と声を上げてビックリ。「もう1曲忘れてません?」と言うと、「異議あり!」のポーズをする岩垂さんたち。

[IMAGE]

 まさかまさかの筆者が大好きな『逆転裁判3』より「追及~とっつかまえて」が演奏されたのです。

 公式のオーケストラコンサート以外でも聞けるなんてー!!!! 全然予想していなかったので本当にオドロキました。

 アークハイブさんの公演、こんなにもサプライズが詰まっているんですね。

[IMAGE]

このクオリティで“無料”でいいの? 次があったらまた来たい! 次回の本公演、2026年が待ち遠しい!【アークハイブ・フィルハーモニック・ウィンズ】

 
 この公演に参加して、久しぶりにプレイしたことがないゲームの音楽を聴くという体験をしました。

 筆者が大好きなゲームのひとつ『UNDERTALE』も、そのパターンで好きになったのです。

 最初はほとんどの作品を知らないから行くのは失礼かな……とも思ったのですが、むしろ知らずに行って良かったとさえ思いました。

 やはり音楽を通して新しい作品との出会いがあるから、音楽を聴くのをやめられない!

 というか、アークハイブさんがすごすぎました……。

 正直なところ“アマチュア”と表現するのがおこがましいくらいです。

 1曲目を聴いた瞬間から「あ……“アークハイブ・フィルハーモニック・ウィンズ”は只者ではない」と、嘘偽りなく思いました。

 これまで何度もアマチュア公演に参加してきましたが、「好きな曲を聴けた!」と思うのですが、次回公演への参加へはなかなか繋がることはありませんでした。

 ですがアークハイブさんの本公演は、瞬時に「次があったらまた来たい」と思えたのです。それほど楽団全体の完成度が素晴らしかった……いや本当に。1曲目からこれが吹奏楽なのか!? と思うほど音に厚みがあって衝撃を受けました。このクオリティで“無料”でいいのか……? と、公演中何度思ってしまったことか(笑)。

 次回の本公演は、来年2026年ということで本当に本当に待ち遠しいです。 

 入場時に貰ったプログラムには他団体の公演チラシが挟んであり、気になる公演がいくつかありました。アークハイブさんの次回本公演までは、アマチュアのゲームコンサートにまたたくさん足を運んでみようかな。

 今回『原神』が好きというきっかけで行かせていただきましたが、こんなにもゲームに対しても、ゲーム音楽に対しても、再度深く考えさせられた程魅力的な演奏を届けてくださったアークハイブさんには感謝しきれません。

 次回の本公演は『LUNAR 2 エターナルブルー』 の曲が演奏予定、「合唱が胸アツ」な曲も予定しているとか!? 気になった方は来年の1月31日は予定をぜひ空けておいてください。筆者は予定さえ合えば、プレイしたことがないタイトルのセトリでも行ってしまう気がします(笑)。

[IMAGE]

 高クオリティで、ゲームが更に更に好きになってしまう愛の詰まったアークハイブさんの演奏、ぜひ一度聴きに行ってみてください。思わぬゲームとの出会いがあるかも?

2025年3月22日(土)には、能登復興支援のための『ウインドボーイズ!』コンサートin金沢が開催


 早速ではありますが、アークハイブ・フィルハーモニック・ウィンズの直近の公演は2025年3月22日(土)! 復興支援ということで無料ではありませんが、能登復興支援のための『ウインドボーイズ!』コンサートin金沢が開催されます。

 本当に素晴らしい演奏に出会えると思いますので、お近くの方はぜひ会場へ。配信もありますので、遠方の方はそちらもチェックしてみてください!

[IMAGE]

●関連記事

    本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ている場合があります