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『ユミアのアトリエ』やり込みレビュー:クリアしてわかった本当の魅力とは? パッチ対応でUI周りの弱点も解消され、あらゆる面で太鼓判を押せる名作は今からでもプレイしないともったいない!

文:編集O

公開日時:

 Nintendo Switch/PS5/PS4/Xbox Series X|S/Xbox One/PC(Steam)で好評発売中の“記憶”をテーマに描かれる『ユミアのアトリエ ~追憶の錬金術士と幻創の地~』。

 発売から約1カ月が経過し、クリアした人たちからも高い評価を得ている本作ですが、まだまだ購入を検討中の人も多いはず。

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 そこで今回はそんな迷いを後押しするべく、舞台となる4つの地方をすべて探索し、ストーリーをクリアしたいわゆる“やり込み目線”でのレビューをお届け(プレイは約60時間)。どんな部分がRPG好きに刺さったのかに触れつつ、「アトリエ」シリーズのコアファンとしての満足度も語っていきます。琴線に触れる言葉が何か1つでもあれば、ぜひ手に取ってみてください。なお、ネタバレは極力避けていますので未プレイの方もご安心を。

 4月17日には本作の魅力がわかるアコレードトレーラーが公開されていますので、そちらもあわせてチェックしてみてください。

「アトリエ」シリーズであたりまえだった錬金術に一石を投じた考えさせられる物語【ユミアのアトリエ クリア後レビュー】


 まずはRPGとして重要な核となる物語について。個人的にプレイ前の情報で注目していたのが『ユミアのアトリエ』では、錬金術が禁忌扱いされているという設定です。これまでの「アトリエ」シリーズでは、錬金術は使うだけで周りの人に喜ばれて当たり前なことがほとんどで、錬金術士も人々から頼りにされることはあれど忌み嫌われるという、ネガティブな描き方はあまりされていませんでした。

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 それだけに、ユミアが所属するアラディス調査団の団員たちから、かなり邪見にされる姿に胸が痛みました。だからこそ、そんな彼女にいち早く寄り添ってくれる仲間たちがすごく頼もしく感じたし、パーティの団結感が強調されたのではないでしょうか。

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 また、ノーマルクエストではユミアの錬金術で団員たちがサポートを受け、彼らとの距離も縮んでいく過程も知ることができます。RPGではNPCとの会話が状況で変化していくことも楽しみの1つですが、そこも本作ではしっかりフォローされているので、可能な限りノーマルクエストもこなしながら先に進めてほしいですね。

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 そんな物語では4つの地方を探索しながら、突然発生した謎の天変地異によって滅亡したとされるアラディス帝国の歴史をたどりながらその真実に迫っていきます。読み進めると「強大な力を手に入れたならばまあそうなるよな」と腑に落ちる展開で、敵対するヴィランのメンバーたちの背景も含めて、すごくていねいに描かれている印象でした。

 まあ「設定がメチャクチャ斬新か?」と問われると、錬金術を扱うエンタメをたしなんでいる人からするとそうではないかもしれません。でも、冒険を進めていくと少しずつ真実を隠すベールが脱がされ、そこに仲間の加入やヴィランの介入といったイベントでしっかりアクセントが加えられた物語は、テンポも区切りもよくグイグイ惹き込まれて、クリアして冒険を終えた時の満足感がしっかり味わえました。

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秀逸なデザインを生かす設定でガッツリ心を奪われたキャラクターたち【ユミアのアトリエ クリア後レビュー】


 そんな良質な物語を支えているのが、べにたま氏がデザインしたキャラクターたち。造形については文句なしのクオリティで、フェティッシュになるような意匠が施されており、デザイン的な推しは誰かと問われたら個人的にはどうしてもユミアに軍配が上がっちゃいますね。蹴りを主体としたバトルモーションに加え、プロセラ(バイク)にまたがったときの姿やギミックの装置を操作する仕草など、どの瞬間もセクシーすぎてスクショの撮影が捗る捗る(笑)。

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 もちろん秀逸なデザインが映えるのは、キャラクターが魅力的な立ち回りをするからにほかありません。ユミアが錬金術士であった母が亡くなった理由を探すように、仲間たちにも調査団に参加する大義名分があり、そこはキャラクタークエストとして掘り下げられていきます。詳細はネタばれになるので触れませんが、すごくわかりやすい動機や「え、まじでそんなことを?」と驚く内容もあり、知るほどにキャラクターがどんどん好きになっていくこと間違いありません。

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 ちなみに、個人的にグッと来たのはレイニャですね。彼女は自分に自信がなくおどおどした態度が印象的なキャラクターですが、彼女がなぜそうなってしまったのかが語られるエピソードは、知るとけっこうエグイなと(苦笑)。だからこそ、そんな彼女が周りに認められて自信をつけていく様は、見ているこちらも元気がもらえるんですね。あと、何気に表情がコロコロ変わる感情豊かな一面も魅力的かな。こちらもユミア同様、スクショの撮影が捗りました(笑)。

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さまざまな要素とリンクするオープンフィールドは自然と踏破したくなる【ユミアのアトリエ クリア後レビュー】


 『ユミアのアトリエ』を象徴するシステムといえば、めちゃくちゃ広大なオープンフィールド。4つの地方が一続きになっているマップには、探索できるポイントが山ほど配置されています。物語を進めるだけならば寄り道する必要はありませんが、これらを探索することで“開拓任務”が達成されて開拓率が上昇し、そのパーセントに応じたご褒美がもらえる仕組みです。

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 とくに拠点に新しい施設(後述)を建てられるようになったり、堅固な障害物やツタを排除できる特殊な弾丸を調合できるようになったりする報酬は、是が非でも手に入れたいものとなっています。もともとこの手のマップを埋める系の探索が好きな自分にとっては、未発見ポイントが徐々に開示されていく満足感とご褒美がもらえる達成感が同時に味わえたので、今回のオープンフィールドは大満足でした。

 ちなみに、各エリアはそれぞれまったく異なるデザインになっており、新しいエリアに足を踏み入れたときに味わったワクワク感も推しポイントの1つ。また、本作は光源の描写がすごく美しく、夜明けの瞬間などは思わず立ち止まって眺めてしまうほどでした。

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 最後はフィールドの関連話として移動関連について言及。1つはダッシュの切り替えについて。こちらはパッチによるアップデートの適用後から切り換えタイプを選択できるようになり、常時ダッシュすることが可能になりました。ボタンの入力回数が減り、快適性がかなり上昇しています。

 また、物語中盤で手に入るプロセラは移動速度が速く、移動中に銃杖を利用できるなど利便性は悪くないのですが、いかんせん小回りがあまり効かない&高低差に弱いんですよね。アップデートによりダッシュの使い勝手がよくなったので、相対的に利用頻度も下がる感じに……。魔物にぶつかるとバトルになる点も使いづらく、たとえば乗車中は魔物を吹き飛ばすなどエンカウントが無効化できたら、もう少し使い勝手がよくなりそうだなと思いました。

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スピーディーな展開が爽快感を加速させるバトル【ユミアのアトリエ クリア後レビュー】


 次はリアルタイムに進行するバトルについて。なんといってもフィールドで敵シンボルに接触→その場で即バトルというスピーディーな展開は快適で、戦うことがまったくストレスになりません。戦闘もスキルやアイテムをセットしたボタンを押せば発動し、最初から最後までノンストップで進行します。

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 序盤はレベルが低くアイテムも極まっていないので、ボタンの入力可能回数が少なく再入力可能になるまで手持ち無沙汰な時間が生じやすいですが、装備品やアイテムが極まっていくとそれこそ入力がほぼ無限に続けられる状態になるなど、比例して爽快感がグンと加速していく点がお気に入りです。

 また、本作では敵の攻撃をガードしたり避けたりする防御行動をプレイヤーが行うことができ、攻防一体の駆け引きが味わえる点は、常に緊張感があってすごく好みです。演出周りもメチャクチャ派手だし、仲間同士の掛け合いも聞いていてテンションが上がりましたよ。まあ「エフェクトが盛り盛りでちょっと見づらい」という意見が無きにしも非ずですが(苦笑)。

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 ちなみに、これは自分が調合をやり込みすぎたからかもしれませんが、難易度がNORMALだとそこまで敵が強く感じられなかったという印象でした。難易度はいつでも自由に変更できるので、手応えを求めるならばHARDで遊ぶのをオススメしたいですね。

 あとこれは声を大にしてお伝えしたいのですが、発売当時はバトル終了後にカメラが360度グルっと回る演出がありました。ですが現在はアップデートによりその演出をOFFにすることが可能です。配信動画などを見て「これは3D酔いするから無理だ……」と避けていた人も安心してプレイできますよ。

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手順さえちゃんと踏めばラクに強力なアイテムを作れる手軽な調合【ユミアのアトリエ クリア後レビュー】


 錬金術での調合は「アトリエ」シリーズの核と呼べる要素であり、新シリーズごとにシステムをガラッと変えてくるのが特徴です。『ユミアのアトリエ』では材料を投入する際に発生する共鳴を利用し、調合品の性能を高めていくという仕様になっています。

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 最初はルールを理解できずに「どうやって強いアイテムを調合するんだ!?」と悩んでいたのですが、“材料を投入する土台のアトラスコアは1つだけ選択できるのではなく、すべてのコアに材料を投入できる”と理解してからは、「この調合、おもしろいかも!?」とのめり込んでいった感じです。

 さらに、レシピはフィールドで回収できる残響片を投入することで想起&レベルアップさせることができるのですが、レベルアップの要素が加わったことで残響片さえあれば序盤から強力なアイテムを調合できるようになりました。

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 もちろん、採取系のスキルをある程度習得して高ランクの残響片を手に入れる必要があるなど、ある程度の壁はありますが、スキル獲得のSPも調合のリビルドを活用すればラクに手に入るため、がんばれば最初の地方で相当強いアイテムを用意できます。

 「バランスが~」と言われるかもしれませんが、これを利用するもしないのも自由だし、むしろチート級な遊びこそが錬金術士らしくていいのかなと(笑)。とくにガッツリ強くなってボス戦などをラクに進めたいタイプの自分は、この仕様が本当に助かりました。話題にした残響片やSP獲得のコツなどは以下の記事を参考にしてみてください。


 ちなみに、後半になると投入材料も増えて1回の調合にかける時間が長くなりがちですが、本作には投入の傾向を選択する“お任せ材料投入”が用意されています。これがかなり優秀で使い勝手がいいので、調合回数を重ねる人はぜひ利用してみてください。

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 あと、バトルの演出カットと同様に、パッチの配信によるアップデートで、調合直前の演出をスキップや高速化できるようになったのもありがたいですね。ただ、毎回ボタンを押す必要があるので、バトル同様に常にカットできるようになったらいいなと密かに願っています。

探索拠点以外にも役立つ施設を建設可能で選択肢が多いハウジング【ユミアのアトリエ クリア後レビュー】


 オープンフィールドの探索中に行える要素として、本作では拠点でのハウジングがあります。基本的に調合場所やベッドなど休息ポイントとして利用する通常(フリー建築)を利用しますが、じつは先述したように「アトリエ」シリーズでおなじみの材料複製やアイテム複製、さらにはコンテナの最大値を上げる倉庫など、地方ごとの開拓率を上げることで重要な施設を建てることができるようなるんですね。

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 地方にはだいたい4つくらい建築可能な場所が用意されているので、自分は「ここをホームに活動しよう」と脳内設定して、それ以外の施設を建てていくという遊び方を堪能していました。自分は倉庫を多く置いてコンテナの収納数を増やすのを優先するタイプですが、きっと共感してくれる「アトリエ」シリーズのコアファンも多いはず(笑)。

 ハウジング自体は土台や壁など基礎から建てることができるし、カタログから選ぶいわゆる“テンプレ建築”も可能と、どんなプレイヤー層にも対応できる間口の広さが好感触でした。カタログで選べるものも地方の開拓率の報酬で増えていくし、デザインもこだわったものが用意されているので、自分は外観はカタログを利用して、家具の配置で自分の色を出す形で楽しませてもらっています。

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 なお、ハウジングでは快適度が低いままだと、魔物に襲撃されて配置した家具が破壊され、利用できなくなる襲撃イベントが発生します。魔物に襲撃されないようにしっかり快適度を上げようと考えるきっかけになりますが、危険度的な指標が確認できない&襲われてるよ的な警告が出ないのが残念でした。たとえば敵を撃退するような防衛装置的なものが作れたら、もっと拠点作りに力が入るかなぁ。

【結論】新しい「アトリエ」シリーズのその先に期待がかかる【ユミアのアトリエ クリア後レビュー】


 というわけで、さまざまな挑戦のもと発売となった『ユミアのアトリエ』。探索を幹にさまざまな要素が枝葉のように連なり、どこから手を付けても構わないという自由度の高さは、アラディス調査団という設定だからこそ輝いたのではと思っています。

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 個人的にはフィールドをじわじわ踏破していくタイプのRPGが大好物なので、歴代「アトリエ」シリーズでもトップ3に入る好きな作品になりました。また、イベントの演出周りはヴィランとの対決シーンからラスボスの演出まで、カメラワーク含めて間違いなく「アトリエ」シリーズでナンバー1だと断言したいです。お約束もしっかり踏んでいて、「こうこなくちゃ!」とメチャクチャテンションが上がりましたし。

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 今後のタイトルがどんなスタイルのゲームになるのかは不明ですが、「またユミアたちで知らない場所を探索したい!」と思えるくらいお気に入りの作品になったことをお伝えし、レビューを締めくくりたいと思います。

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