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『Beholder: Conductor』レビュー:乗客の監視があなたの仕事。人を助けることも陥れることもできる入国管理系アドベンチャーゲーム【電撃インディー#978】

文:あまも

公開日時:

 電撃オンラインが注目するインディーゲームを紹介する電撃インディー。今回は、Alawarが開発&パブリッシングを担当する、BeholderシリーズのスピンオフAVG『Beholder: Conductor』のレビューをお届けします。
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 なお、電撃オンラインは、尖っていてオリジナリティがあったり、作り手が作りたいゲームを形にしていたりと、インディースピリットを感じるゲームをインディーゲームと呼び、愛を持ってプッシュしていきます!


あなたは列車の秩序を守る車掌【Beholder: Conductor】

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 本作は、全体主義国家をテーマとしたゲーム、『Beholder』シリーズのスピンオフ作品で、マルチエンディングを採用したアドベンチャーゲームです。

 プレイヤーは列車“ディターミネーション・ブリンガー”に新米車掌として乗車しますが、その仕事のさなか、列車で起きようとしている何かに巻き込まれていきます。

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 ゲームの基本は、車掌としての業務をこなすことで進んでいきます。そしてその業務は、乗客のチケット確認や要望対応といった日常業務にとどまりません。

 プレイヤーには、規則違反者を見つけ出す監視の役目も課されています。鍵穴から客室をのぞいて何をしているか常に記録し、不在の隙をついて乗客の荷物を調べ、それらを報告する義務があります。

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▲乗客のチケットを確認。
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▲乗客のいない間に荷物を調査。バレないために意外と神経を使う場面です。
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▲乗客の行動はこのように報告します。
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▲鍵穴からのぞいているため、見えるのは一部のみ。

 表では乗客に丁寧な対応をし、裏ではこそこそと監視をする。そのプレイ感は、入国管理ゲームに推理ゲームの情報収集パートを加えたような感じに仕上がっていました。

自分の運命も乗客の運命もプレイヤーの手に委ねられている【Beholder: Conductor】


 入国管理系のゲームでありながら、プレイヤーの行動に選択肢が用意されているのが本作の魅力です。

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▲随所にこういった選択を迫られる場面が出てきます。

 入国管理系のゲームというと、正確さと効率が求められ、淡々と作業をこなすイメージを持たれる方も多いかもしれません。

 本作でも基本的には正しい対応が求められますが、あえて違反者を見逃すことで得られるものがあったり、違反を報告せずに直接相手を脅してお金を得たりと、ときには正しさ以外が大切になることもあります。

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▲脅迫状を書いている様子。

 さらには、荷物チェックの際に違反物を仕込んで、無実の乗客を違反者に仕立て上げることもできちゃいます。

 この要素が個人的に一番楽しんでいた部分なのですが、態度の悪い客に腹が立ったときやちょっとお金が欲しいときに、違反者を仕立て上げて通報し、痛い目にあわせたり小銭を稼いだりしていました。

 なんなら違反者を報告している働き者として国からの評価も上がるという、得しかない行動です。良心が痛まなければの話ですが。

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▲警察への報告もこの端末から行います。

 入国管理系のゲームでこういった自由度が出せるのは、検問のようなその瞬間だけ関わる場所ではなく、列車という目的地まで行動をともにする環境を舞台にしている本作ならではだと思います。

冷たい世界観ながらも、温かさを感じることができる短編アドベンチャーゲーム【Beholder: Conductor】

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 全体主義国家の監視社会という重たいテーマに加え、モノクロのキャラクターデザインやどこかどんよりと曇った風景が、冷たい世界観を演出しています。

 しかしそんな中でも、乗客を助けて感謝されたり、同僚の優しさがあったりと、ふとした瞬間に人の温かさを感じられる作品です。

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 また、ストーリーもよく練られており、「あの行動がここにつながるのか!」という驚きも楽しめました。

 難易度選択やセーブ機能もあり、気軽に遊びやすいと思いますので、大作ゲームの箸休めなどにいかがでしょうか?

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