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『鬼武者 Way of the Sword』インタビュー。最新作は死にゲーではなくアクションが苦手でも楽しめる。さらなるリマスター作品やネトフリアニメとの関係は?

文:Ak

公開日時:

 2026年にPlayStation5/Xbox Series X|S/PC(Steam)で発売予定の『鬼武者 Way of the Sword』で、開発チームへのインタビューを実施。本作の開発コンセプトやゲームデザインについて聞いてきました。

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門脇 章人氏2007年、カプコンに入社。アーケードタイトルや『MARVEL VS. CAPCOM 3 Fate of Two Worlds』をアシスタントプロデューサーとして担当。その後、『戦国BASARA4』、『モンスターハンターダブルクロス』、モンスターハンターライズシリーズのプロデュースを担当。現在、鬼武者シリーズのプロデューサーとして全体を統括する。

二瓶賢氏2009年、ゲームデザイナーとしてカプコンに入社。戦国BASARAシリーズ、『ドラゴンズドグマ オンライン』、『エグゾプライマル』など、15年以上にわたりアクションゲームのプレイヤーや敵のアクション部分を専門に開発。現在は、ディレクターとしての初作品『鬼武者 Way of the sword』で開発を指揮している。

最新作はオープンワールドでもなく死にゲーでもない『鬼武者』らしい作品に【鬼武者新作インタビュー】


――家庭用タイトルとしては『新 鬼武者 DAWN OF DREAMS』から20年ぶりの新作になりますが、ここまで時間が空いた理由は?

二瓶
『鬼武者』の新作をやりたい、という声は常に社内にあったのですが、人員の確保やほかに開発しないといけないシリーズなどもあり、手を付けられない状況でした。それが2020年ごろ、REエンジンによる開発環境が整ってきたのと、開発のコアメンバーがそろってきたのがあって、ようやく開発をスタートできたという感じです。

――『鬼武者』の新作として、新しく変えた部分と変えなかった部分はなんでしょう?

門脇
新しく変えた部分としては、“侍としてのアクション”をより面白いものにしたいというものがありました。それを実現するために、剣と剣のぶつかり合いというところは大事にしています。“受け流し”と“弾き”というパリィアクションの追加もその1つですね。これらのアクションでボスのゲージを削り、複数部位から狙った場所を攻撃するというのは、ボス戦で誰もが体験できる要素になっています。

 逆に変えなかったのは、“鬼の籠手”を使った魂吸収や鬼武者への変身といった要素ですね。これらの要素は『鬼武者』シリーズのアイデンティティのようなものなので、大切にしていきたいと思っています。

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――過去作ではラジコン操作になっていたと思いますが、本作では違う操作になりますか?

二瓶
カメラ固定ではない、スティックで操作して移動する操作になります。使うボタンは多いですが、そこまで複雑にはならないように調整しています。

――本作はオープンワールド形式のゲームになっているのでしょうか?

二瓶
いえ、オープンワールド形式ではありません。今回のプレゼンテーションの舞台となった清水寺のステージのように、リニアステージをベースに構成されています。

――難易度はどのような調整となっているのでしょうか?

二瓶
いわゆる“死にゲー”のようなバランスにはしていません。アクションが苦手なプレイヤーもやり応えを求めるプレイヤーも楽しめるようなものを目指しており、難易度変更という形で対応する予定です。通常の難易度でも難しいというプレイヤーもいると思うので、そこは経験値をためて強化するような要素も用意しています。

――昨今のゲームでは難易度変更が細かい項目に分かれているものもありますが、本作ではどうでしょう?

二瓶
あまり細かく分けてはいません。これまでの『鬼武者』シリーズに近いものにする予定です。過去作の“易しい”に相当する難易度を実装するかについても検討中ですが、その場合はただ敵を弱くするだけでない調整が必要だと思っています。

武蔵はスキルツリーで成長! やり込み要素の実装については検討中【鬼武者新作インタビュー】


――武蔵の剣戟アクションはかなりリアルでしたが、制作上のこだわりについて教えてください。

門脇
武蔵のアクションに関してはかなりこだわっていて、剣の達人の方をお招きしてモーションキャプチャーを行っています。撮影を進めるなかで剣術には“太刀筋を見せない”というのがプロの技術としてあることがわかりましたが、それをそのまま採用するとわかりにくいものになってしまうので、ゲーム性とどうバランスをとって落とし込むかについては考えましたね。

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――畳をひっくり返して敵の攻撃をガードできましたが、畳はどれくらい敵の攻撃に耐えられるのでしょうか?

二瓶
無限に耐えられるものではなく、一定数攻撃を受けると破壊されてしまいます。ガードしつつ、畳を蹴飛ばして敵にダメージを与えるといった活用方法もありますね。ちなみに、耐久力は見た目で判断することはできませんが、何回か使ううちにどれくらい耐えられるか判断できるようになると思います。

――武蔵の成長要素にはどのようなものがありますか?

門脇
スキルツリーを成長させていくことで、新たなスキルを習得したり、ステータスを伸ばすことができます。

――実機プレイでは武蔵が敵の攻撃を回避したときに残像のようなものが見えましたが、あれもスキルの一種なのでしょうか?

門脇
いえ、あれはスキルではなく、あくまで回避したときの演出ですね。

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――刀以外の武器は登場するのでしょうか?

二瓶
メインとなるのは刀ですが、青魂をためて発動できる必殺技では刀以外の武器も扱えます。2ndトレーラーにあった、2本のこん棒を使って空間を破壊するような技がそれですね。

――やり込み要素に関しては、どのようなものがあるのでしょう?

二瓶
何かしら入れたいとは思っていて、現在検討中です。

佐々木巌流はサイコパスな侍で正統派侍である武蔵との対比がストーリーの見どころに【鬼武者新作インタビュー】


――過去作とストーリー的なつながりはありますか?

二瓶
いえ、まったく新しい世界観になっています。これは過去作を遊んだユーザーと本作から『鬼武者』に触れるユーザーで差を付けたくないというのが理由としてあります。

――過去作は槍を振り回す安国寺恵瓊が仲間にいるなど、あくまで歴史を元にしたファンタジーといった感じでしたが、本作では歴史ネタはどの程度盛り込んでいるのでしょうか?

門脇
グローバルで考えたときに、歴史に沿いすぎると話についていけない人もいると思うので、そこまで歴史ネタを盛り込んではいません。あくまで歴史を元にしたファンタジーであるという点は、過去作と変わらないスタンスですね。

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――佐々木巌流はどんなキャラクターなのでしょう?

二瓶
昔から武蔵と因縁があり、何度も戦ったことがある関係性です。常に武蔵が勝ってはいるんですが、佐々木巌流は負けたとは思っていないですね。巌流の剣術は自己流で、性格の曲がった部分がアクションにも出ています。“鬼の籠手”を手にしたことで、より狂気的な性格になり、悪に染まっていくことになる巌流と、まっとうに侍として生きる武蔵が対峙していくのも、本作のストーリーの見どころです。

――あえてよく知られる“佐々木小次郎”ではなく“佐々木巌流”という表記にしているのには、何か理由があるのでしょうか?

門脇
シンプルに“巌流”という漢字の響きがカッコよかったからですね。海外でも同様の発音になるので、それも意識しています。

――ちなみに、“巌流島の戦い”は描かれるのでしょうか?

門脇
描いてはいないんです。江戸初期が舞台ではありますが、具体的にどの年代を描くということはしていないですね。

――声優について、武蔵役に細谷佳正さん、佐々木巌流役に岡本信彦さんを起用した理由を教えてください。

二瓶
武蔵に関しては正統派の侍であり、野性的なイメージのキャラクターということで、とくに迷うこともなく細谷さんに決まりました。佐々木巌流の声優に関しては選定に時間はかかりましたが、サイコパスっぽい狂気的な表現ができる人として、岡本さんにお願いしました。

――操作できる仲間は登場するのでしょうか?

門脇
今回、操作キャラクターは武蔵のみです。そのぶん、武蔵のアクションはこだわりを持って作っています。

――仲間はどのような形で登場するのでしょう? 『鬼武者2』の“絆値”のように絆を深めていく要素はありますか?

二瓶
仲間はストーリー進行で登場して、武蔵と交流していきます。ストーリー上で関係性を深めることになりますが、“絆値”のようなシステムはないですね。

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――幻魔のデザインコンセプトについて教えてください。

二瓶
本作の幻魔のデザインについては、グロテスクでありながらもカッコいいと思ってもらえるようなものを意識しています。和服を着ている幻魔も存在すれば、肉体が鎧のようになっている幻魔も存在しますね。

開発チームの考える『鬼武者』らしさとは?【鬼武者新作インタビュー】


――『鬼武者』で宮本武蔵といえばNetflixでのアニメ作品がありましたが、本作との関係は? あちらもモデルが三船敏郎さんですが、どちらのプロジェクトが先に進んでいたのでしょう?

門脇
とくに関係はなく、それぞれ独立した作品になっています。三船敏郎さんをモデルにしたのも、たまたま被っただけですね。

――開発チームの考える『鬼武者』らしさとはなんでしょう?

門脇
“鬼の籠手”を使った鬼武者になる要素や、戦国ダークファンタジーとしての世界観などですね。単純なチャンバラアクションではないのが『鬼武者』らしさだと思っています。

――ドイツで開催されるgamescom2025では本作を試遊できるとのことでしたが、日本国内で本作を体験できる機会はありますか?

門脇
さまざまな調整が必要になるので断言はできませんが、私個人の気持ちとしては本作を試遊できる機会を作りたいと思っています。続報をお待ちください。

――『鬼武者』シリーズのさらなるリマスターなどは計画していないのでしょうか?

門脇
『鬼武者3』や『新 鬼武者 DAWN OF DREAMS』などのリマスター化要望が多いことは把握しています。できればやりたいなと個人的に思ってはいるんですが、リマスターでもけっこうな開発期間がかかるので……。とくに『鬼武者』と『鬼武者2』のリマスターでは、権利関係の整理にもかなりの期間が必要でした。現在は最新作の開発に注力していますので、そちらを期待していただけると幸いです。

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――最後にメッセージをお願いします。

門脇
『鬼武者 Way of the Sword』は“バッサリ感”を代名詞とする『鬼武者』シリーズの最新作として、爽快感あふれるアクションゲームを目指しています。2026年の発売を目指して現在は開発も佳境に入っていますが、各所をブラッシュアップしてさらに磨きをかけていますので、続報をお待ちください。

二瓶
長らく新作をお待たせしたこともあって、期待値の高さを感じています。私たち開発陣が思う『鬼武者』を作り上げたいと思うと同時に、シリーズファンからこれは『鬼武者』だね、と認めていただけるように一層開発に集中していきます。初めて『鬼武者』に触れるユーザーの方については、剣戟アクションとしての魅力はもちろん、ストーリーやキャラクターも楽しんでいただけるようなものにしていきたいと頑張っていますので、ご期待ください。

『鬼武者 Way of the Sword』発売日と基本情報


タイトル
鬼武者 Way of the Sword

対応機種
PlayStation5、Xbox Series X|S、Steam

ジャンル
剣戟アクション

対応言語
日本語、英語、フランス語、イタリア語、ドイツ語、スペイン語 - スペイン、アラビア語、スペイン語-ラテンアメリカ、ポルトガル語-ブラジル、ポーランド語、ロシア語、中国語(簡体字)、中国語(繁体字)、韓国語

発売日
2026年予定

希望小売価格
未定

開発
カプコン

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