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【スパロボY参戦作品紹介】機動武闘伝Gガンダム:放送終了から約3カ月で参戦を果たした『第2次G』での伝説。成長したドモンに感慨深さを覚えた『R』も忘れられない【スーパーロボット大戦Y】

文:米澤崇史

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 『スーパーロボット大戦Y(スパロボY)』に参戦する作品を紹介。連載第9回は『機動武闘伝Gガンダム』について語ります。

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 2025年8月28日にバンダイナムコエンターテインメントから発売予定の、シミュレーションRPG『スーパーロボット大戦』シリーズ最新作となる『スーパーロボット大戦Y』。機体のみのものも含め、21作品が本作に参戦します。


 『スーパーロボット大戦30』から数えると(間にDLCや追加ストーリーはありましたが)、4年弱ぶりのコンシューマ向け『スパロボ』ということで、久しぶりにワクワクしているシリーズファンも多いのではないでしょうか(もちろん筆者もその一人)。

 『スパロボ』でまったく知らない作品に触れる……というのも、勿論立派な楽しみ方の一つではあるんですが、ある程度作品の知識があったり、原作を見たことがあれば、「こんなクロスオーバーを仕込んできたか」みたいな感動を得られたりするのも、『スパロボ』ならではの魅力。

 そこでこの連載では、『スパロボY』に向けての予習・復習を兼ねて、参戦作品についての大まかなあらすじや、『スパロボY』での注目ポイントを紹介していきます。

 なお、核心に触れるようなものは避けますが、ある程度の作品のネタバレを含む内容となっているので、未視聴の場合はご注意ください。

『機動武闘伝Gガンダム』とは【スパロボY参戦作品紹介】


 『機動武闘伝Gガンダム』は、1994年~95年にかけて放送されていたTVアニメ。

 『ガンダム』シリーズの1作ではあるのですが、いろんな意味で異色と言える『ガンダム』なのが本作で、『SDガンダム』シリーズなどの一部の例外はあるにしろ、当時は宇宙世紀以外の『ガンダム』作品はほとんど作られていませんでした。

 現在は『機動戦士ガンダムSEED』や『機動戦士ガンダム 水星の魔女』のような、宇宙世紀ではない作品群をオルタナティブシリーズ(当時はアナザーガンダムと呼ばれていました)と呼ぶようになりましたが、『Gガンダム』はそのオルタナティブシリーズの第1作とされている作品です。


 もし『Gガンダム』がなければ『SEED』や『水星の魔女』のような作品が作られていたかは分からず、『ガンダム』シリーズの歴史が大きく変わっていた可能性があります。『ガンダム』シリーズ初の続編となった『Zガンダム』に次いで、大きなターニングポイントだったと言っても過言ではないでしょう。

 加えてすごいのが、当時ブームになっていた格闘モノの要素を取り入れて、各国の代表がルールに則って決闘し、優勝国が世界の覇権を握る“ガンダムファイト”という競技の道具にガンダムを位置づけ、従来のシリーズ作品と大きくかけ離れた世界観とストーリー、キャラクターを構築したこと。

 このぶっ飛びっぷりは半端ではなく、放送から30年以上が経った現在でも『ガンダム』シリーズの一番の異色作は何かという話になると、多くの人が『Gガンダム』の名前を挙げるんじゃないかと思えるほどです。

戦いを通じて成長していくドモン・カッシュの熱いドラマ【スパロボY参戦作品紹介】


 一方で、ぶっ飛んだ世界設定やアクの強いキャラクター、個性的すぎるガンダムのデザインなどの個々の要素のインパクトは強いのですが、展開されるストーリーはかなり重めでシリアス色が強いのも特徴です。

 主人公であるドモン・カッシュは、デビルガンダムと呼ばれる巨大な異形のガンダムの行方を追いかけているのですが、本来のデビルガンダムは、ドモンの父・ライゾウ博士が地球再生を目的に開発したアルティメットガンダムと呼ばれる機体でした。

 しかし、ドモンの兄であるキョウジ・カッシュがアルティメットガンダムを強奪して逃亡。その際の騒動でドモンの母・ミキノは死亡し、ライゾウも責任を取らされ冷凍刑に処されてしまいます。

 ドモンは父の冷凍刑を解除させるため、幼馴染のレイン・ミカムラと共に、兄・キョウジと、デビルガンダムに変質してしまったアルティメットガンダムの行方を追いかけるため、ネオジャパン代表のガンダムファイターとして第13回ガンダムファイトに参加。

 尊敬する師匠である東方不敗・マスターアジアとの再会を果たしたり、各国の代表ファイターたちと拳を交え、絆を深めあったりしながら、ガンダムファイトの頂点を目指して戦い続けます。

 頼もしい味方であると同時にライバルでもある各国代表のファイターたちとドモンの関係性、かつての師・東方不敗との戦い、そしてヒロインのレインを交えてのドモンの成長ドラマは『ガンダム』シリーズでも随一。

 とくにドモンと東方不敗の最後の決闘は、『ガンダム』シリーズのベストバウトの一つとして必ず挙がるほど人気が高いです。

 最初の頃こそ『ガンダム』ファンからの反発があったと言われる『Gガンダム』ですが、本質には『ガンダム』らしさがしっかりあり、その上で従来のシリーズ作品にはない魅力が詰まっていたことが視聴者にも伝わり、尻上がりに人気が上がっていった作品でもあります。

放送終了から約3カ月でスピード参戦。『新スパロボ』での設定も語り継がれる伝説に【スパロボY参戦作品紹介】


 『Gガンダム』の『スパロボ』初参戦はゲームボーイで発売された『第2次スーパーロボット大戦G』(1995年)とかなり早め。

 というのも、『Gガンダム』の放送終了が1995年3月31日なのに対して、『第2次G』は約3カ月後の同年6月30日に発売という、凄まじいスピード参戦を果たしています。

 一応前例として、同じゲームボーイ向けに発売された初代『スーパーロボット大戦』(1991年)にも、『機動戦士ガンダムF91』が劇場公開から1カ月で参戦していたりはするのですが、初代『スパロボ』はパイロットなしで機体のみ、原作のストーリーも描かれない特殊な作品だったからこそ実現できた面があると思われます。

 対して『第2次G』は、登場キャラクターは限られるとはいえ『Gガンダム』第45話までの主要なストーリーが再現されており、かなりギリギリのタイミングまで開発していたことが伺えます。

 このあたりは、ある程度開発期間が短めだったゲームボーイ向けだからこそ実現できたところはありそうですが、パッケージ化や流通にかかる時間を考えると、当時のスタッフは本当に凄まじいことをやっていたなと思います(後に『スパロボ』シリーズの顔になる寺田貴信氏がプロデュースした最初のタイトルでもあります)。


 ちょっと余談ですが、実は自分が初めてプレイした『スパロボ』もこの『第2次G』でして、リアルタイムで放送を見ていた『機動戦士Vガンダム』と『Gガンダム』が参戦していたことが最初に興味をもったきっかけでした。

 なので『Gガンダム』は、自分にとって『スパロボ』と出会わせてくれた作品でもあるので、ちょっと他の『ガンダム』とは違った方向での思い入れがあります。

 ストーリー面では、ゲームボーイアドバンス向けに発売された『スーパーロボット大戦R』(2002年)なんかも印象深いです。

 『スパロボR』は当時としては結構珍しく、原作のストーリーが終わった後の時間軸のドモンたちが登場したのが新鮮でした。

 それまでの『スパロボ』のドモンって精神的に未熟で、いろんな作品のキャラクターとの出会いを通して成長していくことが多かったのですが、原作終了後だった『スパロボR』では、初参戦だった『GEAR戦士電童』の出雲銀河にかつての自分を重ねて兄貴分として接するようになっていて、「あのドモンがこんな立派に……」と謎の目線で感慨深くなっていた記憶があります。

 あとは原作終了後だからこその展開として、『真ゲッターロボ対ネオゲッターロボ』とのクロスオーバーで、東方不敗の加入イベントにゲッター線が意外な形で関わる展開が用意されていたのも驚きました。

 東方不敗には『新スーパーロボット大戦』で「実は異星人だった」という原作にはない衝撃の設定が追加されたことも。『Gガンダム』を代表する人気キャラだけに、『スパロボ』でも印象的な扱われ方が多いですね。

 ただ、仲間にするにはいろいろ厳し目の条件が設定されていることも多いですが、加入してくれれば大体最強クラスのユニットとして大活躍してくれています。

 あと『新スパロボ』ではデビルガンダムに『蒼き流星SPTレイズナー』のゴステロが乗ってラスボスになるという、おそらく今だと絶対にできないであろう前代未聞のクロスオーバーもあり、『Gガンダム』の扱いとしてはいろんな意味で衝撃的な作品でした。

主人公との“忍者”繋がりでシュバルツは登場するのか?【スパロボY参戦作品紹介】


 『スパロボY』ではどうかというと、ストーリーの軸になるのではないかと予想される『水星の魔女』との設定の親和性が高いのもあり、結構早めにドモンたちが加入して活躍してくれるのではないかと期待をしています。

 『水星の魔女』のアスカティシア学園における“決闘”制度での「ブレードアンテナを折られると敗北」というルールは、ガンダムファイトの「頭部を破壊された者は失格となる」というルールを思わせますし、ガンダムファイトを参考にして考案した制度になっていたりしたら面白いなと。


 あとは原作終了後参戦だと一気に登場が難しくはなるのですが、ネオドイツ代表の“ゲルマン忍法”を使うシュバルツ・ブルーダーが出るのかどうかもちょっと気になるところ。

 『スパロボY』の主人公である月ノ輪兄妹は忍者という設定のキャラクターで、今回は他に忍者繋がりでクロスオーバーしそうな作品があまり出ていないのもあって、シュバルツの登場に期待しています(もしくは、ドモンがシュバルツの技を懐かしむとかもありそう)。


 また、6月19日の生放送内で公開された2.5弾ショートPVにて、『Gガンダム』からはレイン・ミカムラとライジングガンダム、ウルベ・イシカワとの登場が確定。

 映像だとウォルターガンダムしか映っていませんが、おそらくウルベが乗っているのはグランドマスターガンダムで、ウォルターガンダムは武装扱いだと思われます。

 ヒロインであるレインの参戦はもちろん嬉しいですし、ウルベは『Gガンダム』の物語における重要なキャラではあるものの、『スパロボ』での参戦はそれほど多くなかったので、PVに出てきた時は結構驚きもありましたね。

 ウルベが出てくるなら、原作終了後だと登場が難しそうなデビルガンダム四天王のキャラクター達も登場する可能性もあり、ますます楽しみな部分が増えてきました。

『スパロボY』参戦作品紹介バックナンバー(第6回~第8回)


米澤崇史:ロボットアニメとRPG、ギャルゲーを愛するゲームライター。幼少期の勇者シリーズとSDガンダムとの出会いをきっかけに、ロボットアニメにのめり込む。今もっとも欲しいものは、プラモデルとフィギュアを飾るための専用のスペース。

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