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【スパロボY参戦作品紹介】SSSS.DYNAZENON:豊富なギミックや武装はどこまで再現されるのか? 他の合体ロボットとのクロスオーバーにも期待【スーパーロボット大戦Y】

文:米澤崇史

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 『スーパーロボット大戦Y(スパロボY)』に参戦する作品を紹介。連載第6回は『SSSS.DYNAZENON(ダイナゼノン)』について語ります。

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 2025年8月28日にバンダイナムコエンターテインメントから発売予定の、シミュレーションRPG『スーパーロボット大戦』シリーズ最新作となる『スーパーロボット大戦Y』。機体のみのものも含め、21作品が本作に参戦します。


 『スーパーロボット大戦30』から数えると(間にDLCや追加ストーリーはありましたが)、4年弱ぶりのコンシューマ向け『スパロボ』ということで、久しぶりにワクワクしているシリーズファンも多いのではないでしょうか(もちろん筆者もその一人)。

 『スパロボ』でまったく知らない作品に触れる……というのも、勿論立派な楽しみ方の一つではあるんですが、ある程度作品の知識があったり、原作を見たことがあれば、「こんなクロスオーバーを仕込んできたか」みたいな感動を得られたりするのも、『スパロボ』ならではの魅力。

 そこでこの連載では、『スパロボY』に向けての予習・復習を兼ねて、参戦作品についての大まかなあらすじや、『スパロボY』での注目ポイントを紹介していきます。

 なお、核心に触れるようなものは避けますが、ある程度の作品のネタバレを含む内容となっているので、未視聴の場合はご注意ください。

『SSSS.DYNAZENON』とは【スパロボY参戦作品紹介】


 『SSSS.DYNAZENON(ダイナゼノン)』は、2021年に放送されたTVアニメ。

 2018年放送の『SSSS.GRIDMAN』と共に、1993年に放送されていた特撮ヒーロードラマ『電光超人グリッドマン』を原作としたアニメ作品です。


 『SSSS.GRIDMAN』はグリッドマン自身が出てくるので分かりやすいのですが、『ダイナゼノン』の特徴は、特撮の『電光超人グリッドマン』に登場したサポートメカ“ダイナドラゴン”に焦点を当てたアニメになっていること。

 『電光超人グリッドマン』は、いわゆる『ウルトラマン』シリーズに近い巨大特撮ヒーローなのですが、巨大ロボットモノのエッセンスも取り込んでいる異色作。ダイナドラゴンはグリッドマンとの合体機能をもつ“ゴッドゼノン”に続く第2のメカとして、物語の中盤に登場します。

 “ダイナファイター”と“キングジェット”という2機のメカが合体・変形した形態で、グリッドマンと合体することでもう一つの強化形態である“キンググリッドマン”へとパワーアップします。

 このダイナドラゴンをベースにゴッドゼノンの要素も盛り込んだのが、『ダイナゼノン』の主役メカであるダイナゼノンとなっています。


 2号メカを主役に抜擢するのも驚きなのですが、さらにすごいのが、『電光超人グリッドマン』の1エピソードだけ登場した設定が、本作の世界観の軸になっていること。

 モチーフに使われたのは第18話“竜の伝説”という回。5000年前に竜を操る力をもち国を守っていた“竜使い”と呼ばれる一族が姫と愛を深めるも、その力を恐れた周囲により毒殺されたという伝承と、竜使いの一族の一人と思わしきミイラが登場します。

 このミイラが本作の主人公である“ガウマ”に相当する存在で、原作で少しだけ使われた設定をTVシリーズ1本分の物語に膨らませた、一風変わった背景をもつ作品となっています。

■『SSSS.DYNAZENON』を見る

見ていてもどかしくなる蓬と夢芽の関係性【スパロボY参戦作品紹介】


 本作の物語は、フジヨキ台に暮らす高校生・麻中蓬(よもぎ)が、ある日“怪獣使い”を名乗る不審なホームレスの男・ガウマを助けたところから動き始めます。

 蓬は同じクラスの南夢芽にいきなり呼び止められ、待ち合わせの約束を交わしますが、なぜか夢芽は現れず、待ちぼうけをくらいます。そこに偶然現れたのがガウマで、どうして約束を破ったのか夢芽を問い詰める最中、怪獣が出現してフジヨキ台を襲撃し始めます。

 ガウマは巨大ロボット・ダイナゼノンを呼び寄せてそれに対抗しようとしますが、蓬と夢芽に加えて、偶然近くを歩いていた無職の青年・山中暦も巻き込まれ、ダイナゼノンの搭乗者として戦うことに。

 さらに、暦の従妹・飛鳥川ちせを含めた5人は通称“ガウマ隊”のメンバーとして、怪獣を操って街を襲う“怪獣優生思想”なる存在に立ち向かうことになる……というのが、本作の主なあらすじです。


 ガウマ隊の5人を取り巻くドラマが大きな見どころになっていて、とくにインパクトがあるのが、ガウマと並ぶもう一人の主人公と言える蓬と、夢芽の関係性の行方。

 夢芽は蓬以外に対しても約束をすっぽかしまくっていて、学校ではすっかり浮いた存在になっているのですが、どうして夢芽がそうなってしまったのか……という点が、序盤の物語のフックになっています。近づいたり離れたりの、夢芽と蓬のもどかしい関係性が少しずつ変わっていくところは、『ダイナゼノン』の大きな魅力です。

 個人的には、山中暦も印象的なキャラクターで、33歳で無職という、人生においてはかなりドン底な状態ではあるのですが、この手のタイプにありがちな戦いを怖れて逃げ出そうとするのではなく、ダイナゼノンのパイロットという仕事に一種のやりがいのようなものを感じて、前向きに取り組んでいこうとする姿勢は新鮮でした。

 自分のやりたいことは何なのかを見つけようとする成長や、意外な人物との過去のつながりもあったり、作品によっては主人公になっていたんじゃないかと思えるくらいドラマの多いキャラクターでしたね。

4人分の精神コマンドとLサイズ、豊富な武装で性能面や戦闘アニメにも期待【スパロボY参戦作品紹介】


 『スパロボ』で個人的に楽しみにしているのが、ガウマたちが乗るダイナゼノンは分離・変形・いろんな武装とギミックがかなりテンコ盛りの機体でもあるので、どこまで『スパロボ』で再現されるのかというところ。

 1話からすでに合体しているのもあって、ダイナソルジャー、ダイナウイング、ダイナストライカー、ダイナダイバーの4機の分離形態はさすがに省略されそうですが、アニメでも一つの戦いの中で結構な頻度で分離・合体を挟んで戦ったりしているので、『スパロボ』では戦闘アニメの演出や武装として分離機能が再現されそうな予感がします。

 恐竜のような形態である“ダイナレックス”への変形については、是非ともユニットとしての実装を期待したいところです。

 原作の戦闘シーンもロボットアニメらしい外連味が満載で、『スパロボ』の向きな機体でもあると思うので、原作の演出を再現した戦闘アニメも楽しみなポイントです。

 ネタバレになってしまうので内容は伏せますが、『ダイナゼノン』終盤で見られたアレがどんな性能で『スパロボ』に落とし込まれるのかも気になっています(絶対に強そう)。

 ダイナゼノン形態だと全高が63メートルもあるので、おそらくはLサイズに分類されるでしょうし、ガウマ、蓬、夢芽、暦で4人分の精神コマンドが使えるはずなので、精神コマンドの種類が豊富で使い勝手も良さそうです。

 シナリオ面では、『ダイナゼノン』は『スパロボY』がシリーズ初参戦ということもあって、しっかりとしたストーリー再現が行われる可能性が高いと思われます。

 その上で、作品の雰囲気だったり世界設定の相性が良さそうな『ゴジラ S.P <シンギュラポイント>』や『勇者ライディーン』との絡みに加えて、学園要素という繋がりがある『機動戦士ガンダム 水星の魔女』との絡みがあっても面白そうだなと。

 あとは、アニメの中でガウマ隊の面々が操縦の特訓をしているエピソードが結構あるので、他の作品のキャラクターから操縦やチームでの連携のコツを教わるクロスオーバーもあったりするかもしれません。

 とくに『超電磁ロボ コン・バトラーV』のバトルチームあたりは、同じ合体ロボで大人数乗りということもあって、コーチ役としてはうってつけな気がします。

 今回の目玉とも言える初参戦だけに、性能・ストーリーの両面から『スパロボY』での活躍に期待が持てそうです。

『スパロボY』参戦作品紹介バックナンバー(第3回~第5回)


米澤崇史:ロボットアニメとRPG、ギャルゲーを愛するゲームライター。幼少期の勇者シリーズとSDガンダムとの出会いをきっかけに、ロボットアニメにのめり込む。今もっとも欲しいものは、プラモデルとフィギュアを飾るための専用のスペース。

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