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【スパロボY参戦作品紹介】聖戦士ダンバイン:異世界×巨大ロボはここから始まった。『EX』や『F』からお世話になりまくりのショウ&ビルバインには足を向けて眠れない【スーパーロボット大戦Y】

文:米澤崇史

公開日時:

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 『スーパーロボット大戦Y(スパロボY)』に参戦する作品を紹介。連載第7回は『聖戦士ダンバイン』について語ります。

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 2025年8月28日にバンダイナムコエンターテインメントから発売予定の、シミュレーションRPG『スーパーロボット大戦』シリーズ最新作となる『スーパーロボット大戦Y』。機体のみのものも含め、21作品が本作に参戦します。


 『スーパーロボット大戦30』から数えると(間にDLCや追加ストーリーはありましたが)、4年弱ぶりのコンシューマ向け『スパロボ』ということで、久しぶりにワクワクしているシリーズファンも多いのではないでしょうか(もちろん筆者もその一人)。

 『スパロボ』でまったく知らない作品に触れる……というのも、勿論立派な楽しみ方の一つではあるんですが、ある程度作品の知識があったり、原作を見たことがあれば、「こんなクロスオーバーを仕込んできたか」みたいな感動を得られたりするのも、『スパロボ』ならではの魅力。

 そこでこの連載では、『スパロボY』に向けての予習・復習を兼ねて、参戦作品についての大まかなあらすじや、『スパロボY』での注目ポイントを紹介していきます。

 なお、核心に触れるようなものは避けますが、
ある程度の作品のネタバレを含む内容となっているので、未視聴の場合はご注意ください。

『聖戦士ダンバイン』とは【スパロボY参戦作品紹介】


 『聖戦士ダンバイン』は、1983年~84年にかけて放送されていたTVアニメ。

 『機動戦士ガンダム』で知られる富野由悠季氏が手掛けた、異世界“バイストン・ウェル”を舞台にした西洋ファンタジー風の世界観と、巨大ロボットモノのエッセンスをかけ合わせた作品です。


 今では西洋風の異世界ファンタジーといえば誰もが世界観をイメージできると思うのですが、『ダンバイン』が放送された1983年は初代『ドラゴンクエスト』が世に出るよりも3年前(初代『DQ』は1986年発売)というタイミングで、まだ異世界モノが一つのジャンルとして成り立つよりも前に作られています。

 玩具メーカーがスポンサーとなってアニメが作られていた当時ならではの発想ではありますが、異世界ファンタジーというだけでも十分に挑戦的だった時代に、さらに巨大ロボを混ぜるという発想が凄まじいところ。

 後に『魔神英雄伝ワタル』や『魔法騎士レイアース』といった作品も作られますが、異世界と巨大ロボットものの組み合わせは『ダンバイン』が元祖になると思われます。


 今やライトノベルやアニメを語る上で欠かせなくなった異世界転生(転移)の要素もいち早く取り込んでおり、富野監督の作品の中でも、とくに時代の先を行っていた作品と言えます。

 斬新すぎたが故か、放送当時こそ商業的に苦戦したそうなのですが、2005年には同じバイストン・ウェルを題材とした富野監督の小説『リーンの翼』がOVA化されたり(こちらも『スパロボ』に参戦済)、2015年から稼働したサミーの『CR聖戦士ダンバイン』が人気を博したり、2023年には本編の一部とオープニング・エンディングを現代の技術でリメイクした実験動画『AURA BATTLER DUNBINE』が公開されるなど、定期的に新しい企画が展開されており、かなり根強い人気を誇っている作品です。


■『聖戦士ダンバイン』を見る

『スパロボ』シリーズでのストーリー再現は、主に地上に帰還してから【スパロボY参戦作品紹介】


 主人公のショウ・ザマは、バイクでの運転中、海と陸の間に存在する、魂の安息地とされる異世界バイストン・ウェルへといきなり召喚されます。

 バイストン・ウェルでは、オーラ力(ちから)と呼ばれるエネルギーによって動く巨大ロボット“オーラバトラー”が存在し、高いオーラ力をもつ“聖戦士”となったショウは、オーラバトラーに乗り、自身を召喚したアの国の王であるドレイク・ルフトの元で戦うことになります。

 しかし、反ドレイク勢力と戦っていく内に、ドレイクがバイストン・ウェルの支配と地上への侵攻を目論んでいることを知ったショウは、アの国を離反してドレイクと戦うことを決断。

 反ドレイク勢力に所属するマーベル・フローズンやニー・ギブン、ナの国女王であるシーラ・ラパーナと出会いながら、バイストン・ウェル全土を巻き込む戦いに身を投じていく……というのが主なあらすじ。

 物語の中盤まではバイストン・ウェルで物語が展開されるのですが、戦いが激しくなりすぎたことですべてのオーラマシンが地上に送られ、以降は地上でストーリーが展開されていきます。

 バイストン・ウェルは『スパロボ』での扱いが難しいのもあってか、『スパロボ』シリーズにおける『ダンバイン』は、この地上に帰還するタイミングからの登場となることが多いです。

 『スパロボα』や『COMPACT』など、一部の作品ではバイストン・ウェルに自軍が召喚されることもありますが、ほとんどがその後すぐに地上に送還される展開になっています。

シリーズ初期のビルバインは装甲まで厚かった【スパロボY参戦作品紹介】


 『スパロボ』シリーズには準レギュラーに近いくらいの頻度で参戦している『ダンバイン』ですが、個人的に思い出深いのが、ウィンキーソフトが開発を担当していた最初期のシリーズですね。

 『ダンバイン』が『スパロボ』シリーズに初参戦したのは、1994年にスーパーファミコン用ソフトとして発売された『スーパーロボット大戦EX』。

 『スパロボEX』は、『スパロボ』オリジナル作品である『魔装機神サイバスター』の舞台となる異世界“ラ・ギアス”を舞台とした異色の『スパロボ』で、ラ・ギアスがバイストン・ウェルに近いイメージなのもあってか、初めて登場した作品になりました。

 概ね『スパロボ』シリーズにおけるオーラバトラーはサイズが小さいこともあり「回避力は随一で、オーラバリアでビーム兵器にも強いが、HPと装甲が低く一発当たるとすぐに墜とされる」という方向性になっているのですが、この頃のオーラバトラーは一味違います。

 一線級のモビルスーツ並の運動性を持ちながら、マジンガーZに匹敵する装甲も兼ね備え、“ハイパーオーラ斬り”はエネルギー消費が低い割に攻撃力はスーパーロボットの必殺技並という、かなりぶっ飛んだ性能になっていました(原作内での、地上の兵器がオーラバトラーに通用しなかった点を反映させた形かと思います)。

 『スーパーロボット大戦F』あたりのタイミングで今のオーラバトラーの性能に落ち着いてくるんですが、それでも後半ショウ・ザマが乗り換えるビルバインは、救済措置に近いレベルの強さを誇っていて、ウィンキーソフト時代の『スパロボ』プレイヤーで、ビルバインのお世話にならなかった人はほとんどいないんじゃないかと思えるほど。


 あの頃は、とりあえずビルバインが加入したら、ENと運動性、あとはオーラビームソードや反撃用のオーラソードライフルを改造して敵陣に突っ込ませる……というのがパターン化していました。

 その後の作品でもビルバインが弱かった記憶がまったくといっていいほどなく、どの『スパロボ』でも敵陣への切り込み役として大活躍してくれているのもあって、改造資金の使い道に迷ったらとりあえずビルバインに使っておけば間違いないような印象が未だにあります。

 いろんな参戦作品の中でも、『スパロボ』での思い出がとくに深いユニットと言えるかもしれません。

久しぶりの共演となるチャムとリリスの絡みに期待【スパロボY参戦作品紹介】


 『スパロボY』ではどうなのかというところでは、実は『ダンバイン』って、しばらく参戦していなかった時期があり、『リーンの翼』がOVA化されて参戦した『スーパーロボット大戦UX』あたりからまたレギュラーに近い頻度で参戦するようになっていったという経緯があります。

 『スーパーロボット大戦X』なら『魔神英雄伝ワタル』、『スーパーロボット大戦T』なら『魔法騎士レイアース』といった感じで、『ダンバイン』とクロスオーバーしそうな異世界舞台のロボット作品がだいたい同時に参戦していたんですね。

 今回は『New Story of Aura Battler DUNBINE』以外には異世界が舞台のロボット作品は参戦していないので、どの作品との絡みはメインになるかの予想が難しいです。

 一つ楽しみにしているのは『重戦機エルガイム』との絡みで、『ダンバイン』にはチャム・ファウという妖精のキャラクターが登場し、ショウのパートナーとして活躍するのですが、『エルガイム』にもチャムとそっくりな妖精キャラクターのリリス・ファウが登場しています(声はどちらも川村万梨阿さんで、見た目もそっくり)。


 『第四次』や『F』でも共演していて、実際にチャムとリリスが仲良くなるシーンがあったりしたんですが、『エルガイム』が久しぶりに参戦した『スーパーロボット大戦30』はちょうど『ダンバイン』が参戦していなかったのもあって、『スパロボY』では久々にチャムとリリスの妖精同士の絡みを期待できるのではないでしょうか。

 あとはPVではショウとダンバイン(ビルバイン)だけではなく、据え置きの『スパロボ』シリーズではかなり久々の参戦となるシーラ・ラパーナとグラン・ガランの戦闘シーンも確認できたので、ストーリー再現が行われる可能性も十分にあります。

 『スパロボT』では、イラストストーリー『AURA FHANTASM』で出渕裕氏がデザインした“ヴェルビン”が登場するサプライズもあったりしたので、『AURA BATTLER DUNBINE』など意外なところからネタを引っ張ってくる可能性もあるのかなと予想したりもしています。

『スパロボY』参戦作品紹介バックナンバー(第4回~第6回)


米澤崇史:ロボットアニメとRPG、ギャルゲーを愛するゲームライター。幼少期の勇者シリーズとSDガンダムとの出会いをきっかけに、ロボットアニメにのめり込む。今もっとも欲しいものは、プラモデルとフィギュアを飾るための専用のスペース。

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