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新作『ヘブンリーギターズ』インタビュー。「思い出をカタチにする」浅井Pが語る対戦型音ゲーへの挑戦とは?

文:ハチ

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 2025年5月にブラウザ版がリリースされ、アプリ版も事前登録中の『Heavenly Guitars』。ここでは、プロデューサーである浅井Pこと浅井大樹氏が新たな挑戦となる本作への想いを語るインタビューをお届けします。

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『Heavenly Guitars』ってどんなゲーム?


 本作は『白猫プロジェクト』などを手掛けた浅井Pの最新作で、エレキギターにフォーカスした対戦型の音楽ゲームになっています。

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 ギター奏法(楽器を演奏する方法やテクニックのこと)をモチーフにした直感的な演奏操作、ギター特有の豊かなサウンド表現、戦略性を持たせたスキル・エフェクター要素など、ギター好きをも唸らせるライブ体験が可能!

 ギター、アンプ、エフェクター、アバターのギタリストなど自由にカスタマイズできるので、自分らしいスタイルで遊ぶことができます。

 さらに、育てたギターは、Web3技術を活用してNFT化も可能! 合成・育成を通じて、世界にひとつだけのギターを自分自身の手で生み出すことができるのはWeb3ゲームならではです。

 Web3に興味はあるものの、デジタルウォレットやガス代の用意など煩わしいと感じている方も、最初はデジタルウォレットなどの登録はなしでも遊ぶことが出来るのでハードルが低いのもポイントです。

デジタルに価値を持たせ、カタチに残るゲーム体験をお届けしたい!


――本作の開発の経緯について教えていただけますでしょうか。

浅井さん
我々は以前、スマートフォン向けのゲームをずっと作ってきました。かつては時代の最先端だったスマートフォンプラットフォームも今では当たり前のものとなっています。

 で、「スマートフォンのその次ってなんだろう?」ってなったとき、一つの道としてweb3ゲームがあるのかなと。

 スマートフォン向けゲームは運用型が多くなっていて、いつか終わってゲーム自体がなくなっちゃうじゃないですか。僕自身、プレイしてきて、これがなくなっちゃうとすごく寂しいという思いがあったんです。

 「このゲームの体験とか思い出が形に残るといいな」という想いはずっと持っていました。その想いから「NFTって、デジタルに価値を持たせるのって、思い出をカタチにするものじゃん」と考えて、Web3やNFTと結びついていきましたね。

 その後は「何かいいフックがないか」を探しながら過ごしていました。

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 今回のクライアントさんであるソネットゲームスタジオの代表の永田さんがギター大好きな方で、その時点でギターゲームを作りたいって話になっていたわけではないんですけど「思い出をNFTでカタチにする」みたいな話とギターが結びついた時に、ギターはこう不思議な文化……例えば、ギター1本にすごい値がついたりとか、ヴィンテージみたいなのがあったりとか、はたまた、自分で弾くわけじゃないのにギターをコレクションしていたり、なんかこれって相性いいんじゃないかと思って“ギターのNFTゲーム”を作ってみましょうという話になりました! 

 その後、企画書を作ったりとかディスカッションを重ねていったんですが、初期に企画していたものと出来上がったものの差がほとんどないんです。コンセプトは最初からブレなかったですね。

 仕様変更とか微妙な調整はありましたけど、本当にコアなところは初めの3カ月で決めたもののまま来ているので、当時のイメージのまま今日まで作りきったかなと思います。

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――先ほどお話にもあったんですが、NFTの要素を取り入れた理由は“思い出を形にする”っていうところが大きいですか?

浅井さん
そうですね! Web3ゲームはゲーム業界にいる人だったら誰でも気にはしてるなと思いますし、なにかできるんじゃないかなって思ってる人は今もいらっしゃると思うんです。

 ただ、僕自身は「Web3ゲームだからゲームが面白くなる」ってどういうことなんだろうというのはすごく考えていて。Play to Earn(ゲームをプレイすることで、暗号資産や仮想通貨、NFTなどの報酬を得ることができる仕組み)と言われても、何それみたいなところは結構思いとしてありますね。

 そういう方面でWeb3ゲームが面白くなる道は、今のところまだ思いついてはいないんですが、デジタルな物を形にできるとか、思い出を形にできるみたいな部分には、一定の価値があるんじゃないかなと思っています。

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 ただ、それが先に来るわけじゃないと思うんですよ。思い出が先に来るって変な話じゃないですか。基本的には、面白いゲームがあって、そこで面白い体験をしていただいて、できればこれが数年積み重なった先に初めて価値が出てくるものだという風に思ってるので、本作における本当に価値を生み出されるのはもうちょっと先のことだと思って頑張んなくちゃいけないんですけど、そういうような形でNFTを導入できるといいなという風には思っていますね!

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――今回、対戦型ゲームにした理由はありますか?

浅井さん
ひとつは、先にそのアイディアが浮かんじゃったってというのが大きいですね(笑)。「やっぱりギターといえば対バン(複数のバンドやアーティストが同じライブイベントで順番に演奏すること)だろ」みたいなイメージ作りの過程で出てきたんです。

 音楽ゲームで対戦型ってあんまりないなと思っていたのもありますね。ゲームセンターで2レーンで2人で遊ぶとか、結果対戦になっているっていうケースがあったり、スマートフォン向けゲームでも対戦があったりとかっていうのはもちろんあるとは思うんですが、対戦がコンセプトになってるゲームっていうのはなかなかないですよね。

 web3で本格的な音楽ゲーム、しかも対戦型となればユニークだな、ということで走り出したっていうのがありますね。

 もうひとつは、ギターをコレクションする方々って、見せたいと思うんです。せっかく思い入れを持って作り込んだものを自分の中だけにとどめるのももったいないなと思ったので、見せる機会が欲しいなと考えました。

 ギターを手元に置いとくだけじゃなくて、人に見せるっていう要素も、対戦型にした理由の一つです。

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――交互に演奏するシステムも珍しいですよね!

浅井さん
そうですね! 順番に演奏していって相手のターンの間に自分の演奏の難易度を変えられるって、なかなかないですよね。負けてたらちょっと難易度上げて頑張ってみようとか、明らかに勝っていたら安全に行きたいから簡単にしようとか、状況によって戦略が変わっていくのも面白い部分だと思います。

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――本作はWeb3の部分をPlay to EarnではなくPlay to Collectと呼んでいますが、理由はありますか?

浅井さん
そもそも出発の時点で、思い出にフォーカスしていきたいという想いがあり、それを形にしたものがギターであったっていうところだったので、そもそもPlay to Earnとはちょっと違うなという風に考えていました。

 最後の最後までWeb3の領域のところをPlay to Collectと呼んでいたわけではなくて、そのような方向性で進んで完成形を見たときに本作にはじめてバチッとはまる言葉だなと感じたんです。

 実際、改めて出来上がってから振り返ってみてみると、ギターを集めたり、ギター1本1本を丁寧に育成できるシステムがあったり、パーツのカスタムが細かくできたり、1本のギターをとことん突き詰めていくとか、突き詰めたギターを何本もコレクションしていくことができるゲームになっているので、Play to Collectは本作を形容するのにピッタリな言葉じゃないかなと!

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――カスタマイズしたギターがNFTになると思うんですが、その後にカスタマイズの変更は可能なのでしょうか?

浅井さん
ちょっとシステム的な話になっちゃうんですが、今はNFT化できますという状態なんです。実際にどのタイミングでNFTになるのかというと、ゲームから持ち出した瞬間、エクスポートした瞬間なんですね。なので、エクスポートをしてしまうと、インポートするまでは変えられなくなります。

 インポートしていただくと、また新たにカスタムすることはもちろん可能です。それこそ実物のギターに近いというか、カスタマイズされたものがそのままになって、それを誰かが買ったら、部品ごと引き継ぐことができます。

 誰の手に渡ったのかも履歴が残るので、10年後、20年後に履歴を開けてみたらずらっとユーザーさんの名前が並んでいたらいいなと! メタバース空間にギターを持ち込んで、演奏してるアバターがいたりとかも最高ですね!

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――ブラウザ版はすでにリリースされていますが、ユーザーさんの反応などいかがでしたか。

浅井さん
コンセプトがギターをしっかり作り込むみたいなところだったんですが、届きすぎるほどに届いたなという風に思っています!

 ギターのビジュアルもそうですし、あの細かいパーツもそうですし、音とかもすごいこだわっていて。音に対してエフェクターをかけられるとか、分岐して音が変わるよとか、できる限りのものを入れました。

 私は元々そこまでギターに興味があるタイプではないので、必要なのかなって思っていた仕様がいくつかあるんですよ。でも、みなさんやっぱり、気が付くんですよね(笑)。ぶっ刺さる人にはぶっ刺さったなと感じています!

 なので、第1段階をクリアしたなと思っています。ただ、僕らとしてはやっぱりギターをモチーフにはしてますけど、リズムゲームや音楽ゲームとして面白いものを作ったっていう自負があるので、音楽ゲーム好きだよって方にもぜひ入ってきていただきたいですね。

 ギター型コントローラーでもプレイできるんですが、やっぱり圧倒的に楽しいんですよ! いつか公式で出したいですね。



――20曲以上のオリジナル曲がリリースされていますが、今後増えていったり、既存の楽曲がリリースされることもありますか?

浅井さん
ぜひ、やりたいなと思っています。楽曲は増やしていかないと、皆さんもだんだん飽きてきちゃったりっていうのもあると思いますし、現段階でいろんな権利関係とかあるのでクリアしていかないといけないですが、有名楽曲なども追加していきたいですね。

 楽曲は、主にINSPIONさんへお願いしました。多くのゲーム作品のサウンドを手がけている音楽プロデューサーや、著名ギタリストの黒沢ダイスケさんが制作に参加されています。

 いい曲が揃ってるので、しっかりとこう、知っていただく機会を作っていきたいです。

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――アプリ版が事前登録中ですが、ブラウザ版からアップデートされた部分はありますか?

浅井さん
基本的には全て同じ機能を実装する予定です。ちょっと違いがあったりして、できるできないところ、多少出てくるかもしれませんが、現状で大きな違いを作るつもりはありません。

 ただ、スマートフォンなので、プレイ方法を変えなくちゃいけないんです。その辺りは今、絶賛作り直しているところなので、どちらのプラットフォームでもしっかり楽しく遊べるようにしていきたいですね。一応、特に問題なければクロスマッチングに対応する予定です!

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――今後のアップデートについてなんですが、やりたいことや予定してることはありますか?

浅井さん
そうですね。ブラウザ版を出したばかりというところもあるので、ちょっとソーシャル性のある要素やランキング、フレンドマッチみたいなものも予定はしてるので、その辺りはしっかりと実装していきたいですね。

 その後、「フェスモード」のような協力要素も入れたいと考えていて、企画を進めています。レンタルのようなWeb3面でもアップデートもしていきたいと考えています。

 オフラインイベントとかで、対戦するのも面白そうなのでやってみたいですね。リズムゲームの面白いところって、スーパープレイを見たりとか聖地みたいなところがあって、スーパープレイヤーが集まっていたりとか、知り合いではないけど、誰かのプレーを見ることが面白いって確実にあると思っているので、それができたら最高だなと思っています。

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――最後にユーザーさんへのメッセージをお願いします!

浅井さん
Web3ゲームと言っているんですけど、それがついた瞬間にとっつきにくさを感じる方もいそうだなと思っています。「それゲームなの?」と思われる方もいらっしゃると思うんですが、その部分は絶対に払拭したいですね! どなたでも楽しめるゲームを目指してしっかりと面白いものを作ったつもりなので、ぜひ触っていただきたいと思います。
 
 アプリ版が出れば特にそうですが、はじめるときにデジタルウォレットアカウント情報の登録など煩わしいものは一切なく、ゲームとして純粋に遊べる形になっています。遊んだ先にWeb3だからやっぱり熱くなれるよね、とか面白いよねとか、そういったところも用意してきたので、うまくいくとひとつのゲームの進化を見届けていただけると思います。

 将来的にNFTで盛り上がるためには、ゲーム自体の盛り上がりが必要になると考えています。出して終わりのゲームではないので、今のゲーム全部そうですけど、ユーザーさんと一緒に育てていくという要素が必要になってくるので、ぜひ一緒にご協力いただけるとうれしいですね! もしなにか気に入らないことがあれば、Xでもなんでも反応してきますのでぜひ連絡をください(笑)。

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