電撃オンライン

【傷や汚れが、まるで本物】『幻想水滸伝』30周年記念展“幻想博物館”のディテールの細かさが、架空をこえてリアルすぎる。ルカ様やルックのグッズも理解度が深い

文:長雨

文:そみん

公開日時:

最終更新:

 『幻想水滸伝』シリーズの最新情報を紹介する公式番組“幻想水滸伝Live”が、2025年8月5日に配信されました。番組内では、初の大規模展覧会“シリーズ30周年記念 幻想水滸伝I&II展 ~幻想博物館~”の開催が明らかに!

[IMAGE]

 会場は東京ドームシティ Gallery AaMoで、期間は2025年12月6日~2026年1月12日(前期・後期で展示入れ替えあり※12月25日より後期スタート)です。

[IMAGE][IMAGE]

 展覧会プロデューサーかつ“幻想博物館”の館長である渡邉 美聡氏、『幻想水滸伝』シリーズIPプロデューサー・内藤 塁氏、IP監修・崎山 高博氏にインタビューを行いました。コンセプトなどをうかがうことができましたので、どのような記念展になるか、想像しながら目を通してみてください。

[IMAGE]

内藤 塁『幻想水滸伝』シリーズIPプロデューサー(株式会社コナミデジタルエンタテインメント)

崎山 高博『幻想水滸伝』シリーズIP監修(株式会社コナミデジタルエンタテインメント)

渡邉 美聡「シリーズ30周年記念 幻想水滸伝I&II展 ~幻想博物館~」 館長・プロデューサー

コンセプトは『幻想水滸伝』世界の中にある架空の博物館【『幻想水滸伝』シリーズ30周年記念展:“幻想博物館”インタビュー】


――30周年記念展の開催、おめでとうございます。まずは、今のお気持ちをお聞かせください。

渡邉
初めてプレイしたRPGが、『幻想水滸伝I』です。小学校のころリコーダーでよく作中のBGMを吹いていました(笑)。本当に大ファンです!

 なので、『幻想水滸伝 I&II HDリマスター』が発表された翌日には、KONAMIさんに展覧会の開催ができないか、とご相談をさせていただきました。それくらい思い入れのある作品の30周年展に携わることができ、仕事を頑張ってきてよかったと感無量です。力の限りを尽くして、全力で頑張っていきます。

――今回の展覧会は“幻想博物館”と銘打たれていますが、コンセプトを教えていただけますか?

渡邉
今回は“『幻想水滸伝』の世界の中にある架空の博物館”というコンセプトを設計しました。

[IMAGE]

 通常のIPものの展覧会では、キャラクターや名シーン・名セリフを紹介して、”ストーリー”を追体験するものが多いです。その方法もわかりやすく親しみやすいのですが、『幻想水滸伝』シリーズのように、ファンの方が繰り返し何度も遊んでいる作品においては、もう一歩、踏み込んだ体験を提供したいと考えました。

 そこで考えたのが、RPG作品ならではの体験を“リアルの場でも再現”する、というコンセプトです。RPGは”自分が作品内の登場人物となって物語に没入しながら楽しむ作品”なので、展覧会でも同じ体験をお届けしたいと考えました。キャラクターたちが《実際に》使用・着用していた武器や衣装、小物などを収蔵した博物館、”幻想博物館”に足を踏み入れれば、そこには『幻想水滸伝I』、『幻想水滸伝II』の世界が広がっている…“リアルRPG体験”の場を作ろうというコンセプトです。

[IMAGE]

 ゲームに登場する複数キャラクターの等身大立像を含む名シーンフォトスポットのほか、”架空の博物館”ということで、実際の戦いの中で使われた際の傷や汚れなど、細かいディテールにまでこだわりぬいた武器や衣装、小物などの展示を行います。

[IMAGE]

――内藤さんと崎山さんは、コンセプトを聞いた時にどう思われましたか?

内藤
最初から、すごい熱量で提案していただきました。そのときに、こちらから「30周年記念展にしてもらってもいいですか?」とお願いして、30周年で徹底的にやろうというお話をしたのを覚えています。

崎山
何年も前から、30周年という区切りは何かやりたいという話はしていました。

 これまで東京ゲームショウなどでも原画展はやっていましたが、スペースの兼ね合いで展示数も多くはなく、期間も短かったため、限られたお客様にしかお見せすることが出来ませんでした。

 今回は広い空間で原画に限らず、立像を何体も展示するなど、エンターテイメントとして体験出来る場になるというのを嬉しく思っています。

――博物館ということで、武器や衣服の実物が飾られるのも面白い試みですね。

渡邉
何度もプレイしてセリフまで覚えている方もたくさんいると思います。そんな方のために、ストーリーやセリフを振り返るだけに留まらない、もう一歩、プレイ体験を深める展示がいいのでは、と考えました。

 『幻想水滸伝』という作品は、設定の深さも魅力の1つだと思います。今回の展覧会に向けて改めてプレイしたのですが、王道のストーリーでありながら、未だに明かされていない要素やキャラクターの想いなどもあるんだろうなと再認識しました。その深い部分をそれぞれのファンの方が想像したり、想いを馳せたりできる展示にしていきたいです。

崎山
ゲームをプレイしているときは皆さま、画面のドットの中に自分がいる感覚だと思います。今回の展示では、画面から飛び出した世界をその場で体験できるというのが面白いなと思います。

――番組内では『I』の解放軍リーダー(ぼっちゃん)のバンダナと、『II』の新同盟軍リーダー(II主人公)の頭飾りが公開されました。実物をご覧になっていかがでしたか?

[IMAGE]
崎山
頭飾りは丸い棒のような印象がありますが、実は三角になっている部分もあります。そういう細かい形状をお伝えして、再現していただきました。

 実際に使っていたものが展示されている、というコンセプトなので、色合いや使い込んだ感じの質感、汚れ方もこだわっています。

 頭飾りなら「内側はかぶっているところなので、傷がなくて綺麗なままです」というところで、バンダナなら「実際にイラストにも描かれているように、紫の部分にはこすれて痛んで、欠けている部分があります」とお伝えしました。

 また、汚れ方についても、戦場での物語ということで、火に関連した煤(すす)での汚れにしていただきました。とても細かいお願いだったのですが、しっかり再現してくださいました。

[IMAGE][IMAGE]
渡邉
例えば、実際の博物館に「なになにの戦いで誰々がかぶっていて、銃弾を受けた兜」が展示されているような考え方ですね。金属の汚れ1つ、布の毛羽立ち1つとっても、その背景を考えて、世界に1つだけのものとして、リアルに表現していきました。

 色味や細かい角度、汚れ方や傷つき具合も調整し再現しました。

崎山
細かいご相談も多かったのですが、渡邉さんが真摯にこたえてくれたので、本当にクオリティが高いものとなっています。

渡邉
崎山さんの太鼓判もいただける“本物”に仕上がったということで、よかったです。

――物語のあと、語り継がれる存在になった主人公たちの持ち物が博物館に展示され、それを見るというコンセプトは本当にわくわくします。傷や汚れひとつからも、想像が膨らみそうですね。

渡邉
タイトルに”幻想”とはありますが、30年間作品を愛し、その世界を見続けていたら、それは現実と同じものなのではないだろうかと思っています。私のなかにも、フリックも、ビクトールも、旧知の存在としています(笑)。

 それくらいファンの皆さまにとって、それぞれの人生と『幻想水滸伝』の世界はシームレスになっていると思います。そのため、今回は“ゲームの先の体験”をとても大切にしています。

 崎山さんに指摘いただいた「内側には傷がない」というのも、言われてみればその通りだなと思い、制作してくださった方に大至急で直してもらいました。そこまでこだわらないと、コンセプトには合わない、と、目から鱗でした。

ファンや支えてくれた関係者が喜ぶ展示に【『幻想水滸伝』シリーズ30周年記念展:”幻想博物館”インタビュー】


――本作にはたくさんの人物が登場しますが、展示物はどのようにセレクトしていったのでしょうか?

渡邉
私だけでなく、今回の展示企画に携わる東京ドーム側のスタッフも全員、『幻想水滸伝』シリーズのファンで構成しています。

 まずはチーム内で「なによりもファン目線を大切にしよう」という軸を立てて、「これを作るべきだ」、「ファンが本当に見たいものは何か」を考えました。そこからKONAMIさんに相談し、共同で決めていった形です。

[IMAGE]

――内藤さんから、リクエストされたことはありますか?

内藤
今回の展覧会だけでなく、すべてのコンテンツで、ファンや原作の関係者などシリーズを支えてくれた皆さまが、何をしたら喜んでくれるか、いつも頭に置いているんです。

 そのため、渡邉さんにも「こんなのあったら楽しいよね」と、いろいろ提案しました。それに対して、とても前向きに進めていただいています。

――イラスト原画や資料展示も、大ボリュームになるとのことで楽しみです。未公開のものも見られる、貴重な機会になりそうですね。

崎山
未公開のものばかりになると思います(笑)。社内に保管してあるものを全て集めて、渡邉さんたちにお見せしています。

渡邉
本当に、宝の山でした。大判のイラストもあり、ファンの方が絶対に見たいものの1つだと思うので、飾らせていただきます。

 原画を拝見して、「こんなに柄が描き込まれているんだ」など、ただただすごいなと思い感激しました。原画状態も非常によく、本当に美しいです。

 印刷ではつぶれてしまう柄やグラデーションまで目にすることができて、石川 史さんの手描きのタッチや、河野 純子さんの水彩画のニュアンスなど、絵だけで何時間も立ち止まる方がいると思います。

[IMAGE]
崎山
動けなくなりますよね。一色に見えるものでも、青のなかに紫があったり、服の模様までていねいに描かれています。

 いくつか書籍に収められたものもありますが、印刷の限界といいますか、情報量が全然違うなと原画を見ると体感できると思います。

 『幻想水滸伝III』以降はほとんどデジタルになってしまいましたが、『幻想水滸伝I』や『幻想水滸伝II』の時代の手描きの魅力はすごいです。


 紙に対するインクや水彩ののせ方、いろいろな条件があって出てきた色によってニュアンスが生まれているのが、原画の魅力かなと思います。

[IMAGE]

――ちなみに、難しい質問だとは思いますが、あえてお聞きします。渡邉さんが一番好きなキャラクターは誰ですか?

渡邉
本当に難しい質問なのですが、番組用にも事前に聞かれていたので、ものすごく考えてきました。

 『幻想水滸伝』という“戦記もの”作品にもかかわらず、リーダーが女性であるということが小学生当時とても印象に残っていたという理由から、オデッサさんを選ばせていただきました。

[IMAGE]
▲オデッサ。

――最後に、ファンへのメッセージをお願いします。

崎山
30周年に、これだけ大規模で長期間、東京ドームシティさんで展覧会が出来ることを嬉しく思います。私自身も、楽しみにしています。

内藤
30周年、皆さま本当に愛していただいてありがとうございます。感謝の気持ちで、いっぱいです。

 ファンの皆さま、関係者の皆さま、そして原作者の皆さま、いろいろな方に楽しんでいただけたらなと思います。よろしくお願いします。

渡邉
『幻想水滸伝I』、『幻想水滸伝II』という作品から、クリエイティブに対する細部へのこだわりや、プレイヤーをとことん楽しませるというエンタメ作品としての心意気を感じ、強い感銘を受けました。

 そういった『幻想水滸伝』という作品が持つパワーやその魅力が十分に伝わる展覧会になるように、全力で、出来ることは全部やらせていただこうと思っています。コンセプト設計にも2年以上の時間をかけてじっくりと練り上げてきましたので、ご期待ください。

[IMAGE]
▲ルカ様のTシャツ付き入場券も! ハードコアチョコレートコラボというところもポイントが高いです。
[IMAGE]
▲衣装ラバーストラップについて、『幻想水滸伝I』『幻想水滸伝II』の主人公と並んでルックが選ばれているあたり、シリーズファンはニヤリとせざるをえませんね。
[IMAGE]

 前期・後期で展示物の入れ替えもあり、展示されるキャラクターの衣装が変わったり、マルチエンディングという部分を生かした演出なども行う予定です。グッズ付きの入場券も用意しておりますので、ぜひお楽しみに。

――ありがとうございました。


本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ている場合があります