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『新機動戦記ガンダムW -Operation 30th-』感想。後期OP再現カットに感涙し、完全新規映像には度肝を抜かれた! あのキャラの映像化や“カスタム”機にもビックリ

文:米澤崇史

公開日時:

 2025年7月26日に公開された、『新機動戦記ガンダムW』の30周年記念映像『新機動戦記ガンダムW -Operation 30th-』について語ります。

当時の後期OPを再現したカットに感涙。まさかのあのキャラクターの映像化にもビックリ【新機動戦記ガンダムW】


 2025年4月7日に30周年を迎えた『新機動戦記ガンダムW』。2025年はアニバーサリーイヤーということで、様々な企画が実施されていますが、今回公開された『新機動戦記ガンダムW -Operation 30th-』はその中でもとくにインパクトがある内容になっていました。

 既に多くの『ガンダム』ファンがご覧になっていると思うのですが、あまりにもその内容が良すぎたので、ファンの一人として改めて語りたいと思っています。


 まず最初にブチ上がったのが、新規作画で描かれたヒイロのカットと、TVシリーズ後期OPの『RHYTHM EMOTION』のイントロ、そして聞き慣れたSEがなり始めた瞬間です。

 ヒイロが新衣装だったので、リマスターではなく新規映像ということが瞬時に分かりつつも、オリジナル版のOP映像のカット割や作画が再現されていて、リアルタイム世代のファンとしては感涙もの。

 オリジナル版のスタッフだった、石垣純哉さんら当時のスタッフ陣が関わられていることが後で分かり、さらにエモさが上がりました。


 なお、今回新バージョンとして収録されていた『RHYTHM EMOTION』、後期OPという位置づけの楽曲ではあるんですが、『ガンダムW』は後半からは制作現場が火の車になっていた事情があり、実際にOPとして流れたのは全49話中41話からという、後半どころか終盤に差し掛かろうというタイミングだったんですね。

 さらに本編で流れるよりも先にCDが発売されてしまったり、41話からの映像も本編中の映像を流用した未完成版となっており、最終的な完成版のOPに差し替わったのは最終話の2話前だったりと、いろんな意味で伝説の逸話があります。今回の映像は、この最終版のバージョンが元になっていました。


 冒頭の「ピピピ…」というSEや、音にあわせてウイングガンダムの頭部が連続でアップになる演出もその再現で、ウイングガンダムゼロが『エンドレスワルツ』版になり、翼を羽ばたかせながら出撃するシーンは激アツ。「『エンドレスワルツ』版の機体デザインで後期OPが作られていたら?」といったIFを感じました。

 また驚いたのが、張五飛の妻である妹蘭のアニメデザインがお披露目されたこと。実は五飛は結婚していて、その妻を眼の前で亡くしたという過去を持っているんですね。


 妹蘭はTVシリーズでも裏設定上は存在していて、本編の前日譚『新機動戦記ガンダムW EPISODE ZERO』で登場したキャラクターでしたが、アニメで明確にビジュアルが描かれたのは今回が初めて。まさか放送から30年経って改めてデザインが起こされることになるとは、予想外すぎました。

 個人的にめちゃくちゃ興奮したのが、ちょうどサビ部分のデスサイズヘル登場のシーンからでして、次々と登場するガンダムに合わせて耳馴染みのあるSEが流れたのが最高でした。

 とくに「光へと導いて~」のタイミングで入ってくるサンドロックのカットは、例の「ブッピガン」のSEが流れるタイミングまで完全一致していて、あの瞬間にテンションが最高潮に達したのはおそらく自分だけではないでしょう。

終盤からはまったくオリジナル版と異なる映像に!?【新機動戦記ガンダムW】


 そのカットの後からは、かなりオリジナル版と違っていましたね。オリジナル版はウイングゼロとエピオンの戦闘シーンだったのが、仲間たちの元にパラシュートで降下していくヒイロというシーンになっています。

 妄想になってしまうんですが、このあたりはTVシリーズや『エンドレスワルツ』よりも後の時系列をイメージした映像になっているのかなと。ラストのヒイロの優しげな微笑みとか、5人が仲間のように集合する構図とか、TVシリーズではありえない構図が意図して描かれている気がします。

 『ガンダムW』ってこのあたりが『ガンダム』の中でも異質で、ガンダムパイロットの5人は各々に違った目的があって独自に行動するので、5人が勢揃いする場面ってかなり貴重なんですよね。


 そして何より度肝を抜かれたのが、最後に流れた完全新規映像。

 それまでは当時の作画を最新の技術で再現した映像になっていて、それはそれで興奮してたんですが、その縛りを取っ払って、完全に最新のクオリティでの新規作画が来たのはさらに驚かされました。

 自分は最初、冷凍睡眠中のヒイロや、ヒイロの実父“アディン・ロウ”ではないかと思わせる人物がちらっと映ったのもあって、本編の後日譚である『新機動戦記ガンダムW Frozen Teardrop』の映像化なのかとも思ったのですが、その後に登場した機体は、どうやら『Frozen Teardrop』のガンダムとは別物だったようです。

 詳しい設定は明かされていないものの、機体名はすでに公式で公開されており、各々に“クロークドカスタム”という名前がついています。


 『ガンダムW』における“カスタム”っていう名前には少し特別な意味があり、以前は『エンドレスワルツ』版の機体は“ウイングガンダムゼロカスタム”、“ガンダムデスサイズヘルカスタム”と呼んで、TV版の機体と差別化していたんですね。

 しかし、設定的には完全に同機体のはずなのに、名称が違うのは混乱を招きやすかったからか、近年では“ウイングガンダムゼロ(EW版)”という表記で統一されるようになり、“カスタム”呼びはされなくなりました。

 ただ、頭では分かっていてもつい“カスタム”呼びしそうになってしまっていたくらい、なまじこっちの名前が定着していたので、“カスタム”がつかなくなったことに一抹の寂しさを覚えていたのですが……こういう違った形で“カスタム”が帰ってくるとは思わなかったですね。

 “ウイングガンダムゼロ クロークドカスタム”はさすがに長いので、略して“ゼロカスタム”呼びすることが許される……かもしれません。

 なお、ガンダムエース10月号からは新連載として『新機動戦記ガンダムW 0.5POINT HALF PREVENTER-7』がスタートすることが発表されています。


 こちらは物語の時系列がA.C.197年という、『エンドレスワルツ』の少し後になることが明かされているので、今回公開された映像の終盤のイメージといろいろ合致しそうなんですよね。

 公式で発表されているわけではないので、あくまで自分の妄想になってしまいますが、『0.5POINT HALF PREVENTER-7』にクロークド カスタムになった5機のガンダムが出てくる可能性はありそうだなと。

 『エンドレスワルツ』の後なら、ガンダムの姿をマントで隠そうとするのは自然ですし、『Frozen Teardrop』とは別の機体として設定されているのも含めて、いろいろ納得がいきます。

 今回の盛り上がりを見て、やっぱり『ガンダムW』がいかに人気があるかを再確認しました。最近はアニバーサリーにいろんな過去の『ガンダム』シリーズが新しい動きを見せていて、ファンとして非常に嬉しいですね。

 記念動画にあわせて、デュオ・マックスウェルが本編の内容を解説してくれる『ゼロから分かるガンダムW!』も公開されているので、こちらも合わせて視聴してみてください。

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米澤崇史:ロボットアニメとRPG、ギャルゲーを愛するゲームライター。幼少期の勇者シリーズとSDガンダムとの出会いをきっかけに、ロボットアニメにのめり込む。今もっとも欲しいものは、プラモデルとフィギュアを飾るための専用のスペース。

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