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『その着せ替え人形は恋をする』17話(2期5話)感想。人形劇で思い出したあの懐かしの番組たち。他人を頼ったり自分でやってみたり、五条くんと喜多川さんのそれぞれの成長がエモかった(ネタバレあり)【着せ恋】

文:米澤崇史

公開日時:

 アニメ『その着せ替え人形は恋をする』第17話(2期5話)“8億”の感想記事をお届けします。

【注意】キービジュアルより先のテキストでは、『その着せ替え人形は恋をする』第17話(2期5話)の物語に関する記述が多々あります。そのため本編をご覧になってから読むことをオススメします。[IMAGE]

手作り弁当でトキメキな展開かと思いきや…?【その着せ替え人形は恋をする】


 4話に引き続いて、文化祭に向けての準備が描かれた5話。とくに五条くんと喜多川さんのそれぞれの成長が印象的なエピソードでした。

 まず五条家の雛人形の工程を解説するシーンでいきなり人形劇に切り替わったのは、今までの劇中劇とは違った驚きがありました。 

 自分の中で人形劇といったら、『ざわざわ森のがんこちゃん』とかNHK教育テレビの番組が真っ先に思い浮かぶのですが、人形劇内の喜多川さんと五条くんが、そのNHK教育テレビ繋がりの『つくってあそぼ』のワクワクさんとゴロリ、おじいちゃんは『できるかな』のノッポさんのオマージュになっている気がします。とくに『つくってあそぼ』は個人的に直撃世代なのもあって、結構すぐに気付けました。

 説明を受けながらパクパクご飯を食っている、ゴロリっぽい喜多川さんが絶妙にアホそうでかわいいです。


 また、喜多川さんが五条くんのために手作り弁当を作ってくるという、普通のラブコメならトキメキ展開になりそうな場面もあったのですが、普段の喜多川さんの食事を知っている五条くん視点だとホラーのような演出に。

 その上で、せっかく頑張って作ってきてくれた喜多川さんの気持ちが(多少勘違いもあるとはいえ)ちゃんと報われたのは非常に良かった。


 喜多川さんは2期に入ってから結構な頻度で五条くん大しゅきモードに入ってますが、その後の五条くんとの会話の口調まで影響が出ていたり、いきなり頭身が下がってちびキャラみたいになってたり、今回は壊れっぷりが過去最高だった気がします。

 ただ五条くん、普段お爺ちゃんと生活しているからか、大分食事の好みが老成しています。確かに今の歳だとブリ大根の美味さも分かるんですが、高校生の頃だったら毎日唐揚げとかスパムが弁当に出てきてくれた方が自分は嬉しかったですね。

喜多川さんと五条くんに起きた対照的な変化【その着せ替え人形は恋をする】


 五条くんから、女子の集団に男子が1人で混ざる時のやりにくさみたいなのを感じつつ、喜多川さんがこっそりとボタンを留めようとしたシーンはグッと来ました。


 4話で喜多川さんが衣装を自分で作るという展開になりかけていた時、内心ワクワクしていたので、五条くんが参加できたことに安心しつつも、喜多川さんが奮闘する姿を見られなかったのがちょっと残念だったんですよね。

 その点、今回ボタンをつけようとしていたことがバレそうになった時、五条くんに直してもらうのではなく、「自分で直すからそのままにしておいて」と頼んだのがすごく良くて、喜多川さんにも自分でもやってみたいという気持ちがあるんだろうなと。

 お金を出しているとはいえ、衣装製作とメイクを全部五条くんに任せるのは、ちょっとコスプレイヤーとして依存しすぎな気がするので、こういう喜多川さんの変化を感じられたのは非常に良かったです。

 あと、スーツを着ている時の喜多川さんがイケメンすぎる。

 まだ首から上は普段のままだったので、コスプレというよりは“ホストっぽい喜多川さん”という印象が強く、なんか不思議な感覚がありました。割と恥ずかしがり屋なのに、ホストモードで五条くんに迫るのは平気なのも面白かったところです。


 一方、その後のクラスメートとのやり取りは五条くんの成長をこれ以上なく感じられたシーンだったなと。

 とくに、まるっきり正反対のタイプの森田に声をかけたのは、以前からどこかノンデリな森田への苦手意識がちょっとありそうだと感じていて(森田自身にはそんなつもりはないでしょうけど)、緊張する気持ちもよく分かっただけに感動しました。

 村上に向けて言った「恥ずかしいことじゃないのに」という台詞も、昔の五条くんだったら絶対に口にしていないですよね。言った本人もビックリしていたくらいでしたが、隣にいた喜多川さんも驚いていたのは、五条くんの変化を感じたからだと思います。


 ただ、最終的に撮影したのが、首から下の衣装部分だけだったのは、衣装にしか興味がないんだろうなとちょっと共感しつつも爆笑しました。ある意味、喜多川さんのコスプレに対してもっともシビアな評価を下した人物かもしれません(自身が無下に扱われてキレる喜多川さんは新鮮でした)。

 五条くんに頼りきるのではなく、自分の力で挑戦を始めた喜多川さんと、自分だけでやろうとするのではなく、他人を頼れるようになった五条くん。対照的な二人の成長が感じ取れるエピソードだったなと思います。

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米澤崇史:ロボットアニメとRPG、ギャルゲーを愛するゲームライター。幼少期の勇者シリーズとSDガンダムとの出会いをきっかけに、ロボットアニメにのめり込む。今もっとも欲しいものは、プラモデルとフィギュアを飾るための専用のスペース。

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