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『その着せ替え人形は恋をする』16話(2期4話)感想。不意に照れ始める喜多川さんの破壊力の高さよ。柏木の五条くんへのフォローは今回も完璧(ネタバレあり)【着せ恋】

文:米澤崇史

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 アニメ『その着せ替え人形は恋をする』第16話(2期4話)“あたしの体の事、全部知ってるんだ”の感想記事をお届けします。

【注意】キービジュアルより先のテキストでは、『その着せ替え人形は恋をする』第16話(2期4話)の物語に関する記述が多々あります。そのため本編をご覧になってから読むことをオススメします。[IMAGE]

あらゆるオタクにとって理想の友達すぎる五条くん【その着せ替え人形は恋をする】


 文化祭に向けてのもろもろの準備回として描かれていた第4話。『着せ恋』ってメインキャラは全員学生なんですけど、こういう学校行事的なものって今までほぼ描かれてなかったので結構新鮮な回でした。

 正直喜多川さんと五条くんが組んだら校内のミスコンくらいは楽勝だろう……と思いましたが、まさかの男装縛りという制限が。ちょうど前回が女装のお話だったのが、ある意味伏線のようになっています。

 喜多川さんが何のコスをするか悩んでいた時、周りがドン引きしかねないコアな作品を挙げないかちょっとヒヤッとしました。


 結果的には、メディアミックスの実写ドラマがヒットして世間に知られたタイプの作品だったので良かったですが、たぶん喜多川さんのことなので、空気を読んで皆が知っていそうな作品を挙げたというわけではないんでしょうね。単に一番コスプレしたかっただけだろうなと。

 その『生徒会長はNo.1ホスト』、題材がホストでTVアニメ・ドラマ化されているそうで、タイトルを聞いた時は『桜蘭高校ホスト部』的な作品をイメージしていたんですが、実際の作中のシーンを見ていると『マリア様がみてる』+『花より男子』的な感じでした(とくに鴻上麗のポジションが『マリみて』の祥子様みがありすぎる)。


 ただ、麗が働いているホストクラブが、あまりにも男ホストのキャラが俺様系に偏りすぎているのはちょっとツッコミたくなりました。もうちょっとタイプをバラけさせた方がいろんな需要に対応できて良いのでは……。

 あと今更ではあるのですが、コスプレ衣装のためとはいえ、オススメした作品をすぐに全話見て、しかもしっかりハマって自分なりの解釈を話してくれる五条くんって、コスプレイヤーじゃなくても、あらゆるオタクにとって結構理想的な友達だと改めて思いました。

 個人的にオタクって、やっぱり自分の“好き”を誰かに分かって欲しいという想いをもってる人が多いと思っていまして(自分がライターという仕事をやっているのもそうですし)、もし五条くんみたいな友達が現実にいてくれたら、毎日がすごく楽しいだろうなと思います。

今回もいい仕事をしてくれた柏木。五条くんの人間関係がどんどん広がっていく【その着せ替え人形は恋をする】


 今回個人的にとくにツボだったのが、五条くんが男装にあたっての喜多川さんの腰の細さを指摘して、喜多川さんが照れ始めるシーン。

 衣装を作っている五条くんがスタイルを知り尽くしているのは当然の話なんですが、それまで平気そうにしていたのが、一度意識し始めると急に恥ずかしさに耐えられなくなるギャップが喜多川さんの魅力ですよね。

 コスプレしてる最中は、コスプレだけに思考が行っているぶん、恥ずかしいという感情もどこかに行っているのかもしれません。


 そしてその喜多川さんの口から飛び出した、一人で衣装を作る宣言。その後の、喜多川さんがあそこまで弱気になってる姿って初めて見たんじゃないかなと。

 最初は自分で衣装も作ろうとしていたはずなので多少経験はある気がするのですが、衣装製作そのものよりも「五条くんがいない不安」というのが大きいんだろうなと思います。一度衣装を頼んでからはずっと五条くんに頼りっきりでしたからね。

 あと、今回もクラスメートの柏木が神がかったフォローをしてくれていました。

 2話のカラオケのシーンでも、五条くんが化粧ができることをごく普通のこととして受け入れてましたし、ほとんど話したこともないはずなのに今回は五条くんが無理をしていることを見事に見抜いていました。

 その上で、五条くんの力が一切いらないというわけではなく、「たまに力を貸して欲しいけど全然断ってくれていい」と付け足すのは、喜多川さんでもなかなかできないレベルのパーフェクトコミュニケーションだと感じました。

 五条くんが素直にスケジュールが厳しいと口にできるようになったことも成長を感じましたし、喜多川さんのコスプレ衣装を五条くんが作っていることが知れ渡っても、他のクラスメートが一切引いたり冷やかしたりしないのが、本当に皆人間ができているクラスだなと。

 クラスの皆からの応援を受け、ここまで五条くんのテンションが上がっているのは見たことがなかった気がします。


 2期は1期であまり登場していなかったクラスメートたちも展開に関わって、五条くんの人間関係が着実に広がっているのが実感できるのが個人的なエモいポイント。

 ただ、柏木たちクラスメートは五条くんのことをちゃんと“友達”と認識していそうですが、五条くん自身はまだその域には行ってないんじゃないかと思うので、そのあたりが今後の成長の余地なのかな……と楽しみにしたりもしています。

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米澤崇史:ロボットアニメとRPG、ギャルゲーを愛するゲームライター。幼少期の勇者シリーズとSDガンダムとの出会いをきっかけに、ロボットアニメにのめり込む。今もっとも欲しいものは、プラモデルとフィギュアを飾るための専用のスペース。

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