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『青春ブタ野郎はサンタクロースの夢を見ない』6話感想。咲太が母親と普通に会話をしている感慨深さ。知るはずのないことを知っていた赤城は何を隠しているのか?(ネタバレあり)

文:米澤崇史

公開日時:

 アニメ『青春ブタ野郎はサンタクロースの夢を見ない』6話“記憶領域の君と僕”の感想記事をお届けします。

【注意】キービジュアルより先のテキストでは、『青春ブタ野郎はサンタクロースの夢を見ない』6話の物語に関する記述が多々あります。そのため本編をご覧になってから読むことをオススメします。[IMAGE]

咲太を助けられなかった後悔を引きずっていた赤城【青春ブタ野郎】


 5話で思春期症候群を発症し、医務室へと運ばれていた赤城。

 上里を呼んだのは赤城自身のようでしたが、上里の方も赤城のことを結構気にしているようで、思った以上に二人の関係性は深かったようです。

 ただ、一方で赤城のことを「気持ち悪い」と感じることもあると明かした一幕も。

 どんな善人でも、少なからず自己顕示欲とか人からよく見られたいとか、何らかの打算があるのが普通ですが、赤城はそれがないタイプ。上里は看護師を目指した理由も一番は国見の力になりたいからという結構私的な理由だったので、ある種の“欲”がない赤城は理解し難い存在なのかもしれません。


 また赤城の思春期症候群に、予想通り咲太の存在が関わっていることも分かってきました。

 咲太がそのことを忘れているのを仄めかして「今のは思わせぶりでウザいか……」と自虐したシーンは、今までのヒロインにはいなかった卑屈さのようなものも感じて印象に強く残りました。

 赤城について思い出すため、咲太もいろんな人から意見を集めていましたが、花楓とはまったく関係のないエピソードだったので、赤城が不登校児の支援をやっている話はあったとはいえ、友部が再登場したのは結構予想外。


 咲太を救えなかった後悔が今の“正義の味方”としての行動に駆り立てているという説は完全に自分の予想とも一致していて、すごく納得できました。咲太もすぐその話を赤城に直接ぶつけていますし、一番しっくりくると感じたんじゃないかなと。

 咲太って、ある程度大人びているのと、周りに麻衣という頼れる存在がいるからか、大人を頼るシーンってほとんどないんですが、友部には定期的に相談してるんですよね。咲太の信頼を得ている大人という、珍しいポジションのキャラだと改めて感じました。

 あとは、赤城の着替えを手伝って背中を見たことを双葉に黙ってもらおうとしていたのには爆笑しました。もっとも、麻衣なら事情を話せば分かってもらえそうではありますが。

赤城は咲太に嘘をついていた?【青春ブタ野郎】


 個人的に今回とくに印象的だったのが、咲太が麻衣と一緒に実家を訪れていたシーン。咲太と家族のエピソードは『ランドセルガールの夢を見ない』で描かれていて、あの経緯を知っていると、咲太がごく自然に家族との時間を過ごせていることが感慨深いです。

 麻衣については「お嫁さんが来てくれたみたい」という発言もありましたが、あれで「そういえばまだ結婚してなかったのか……」と逆に思い出したくらいでした。二人はもう漂っている空気感が新婚夫婦のそれなんですよね。


 その実家のシーンでは、赤城が言っていた「優しさにたどり着きたい」という言葉が、卒業文集には書かれていなかったことも判明。

 しかもまったくのデタラメというわけでもなく、翔子と出会った後の咲太の心境に沿ったものになっていて、ほとんど咲太と接点のなかったはずの赤城がなぜそれを知っているのか……という話になってきます。

 咲太を助けられなかった後悔が赤城を駆り立てているという方向で概ね片付きそうな流れになっていただけに、これはかなり予想外でした。

 現実的なところでありそうなのは、翔子と出会った後、どこかで咲太が赤城と出会った時に会話をしていて、咲太がそのことを忘れてしまっている……というもの。ですが赤城のタイプ的に、これなら「卒業文集に載ってた」という嘘はつかない気がします。

 それに咲太自身も言っていた通り、ここまで調べればおそらく自力で何があったか思い出せているはずです。


 そうなると、他で考えられるのは『ランドセルガールの夢を見ない』で描かれていた、咲太と赤城が同じ高校に通っていたもう一つの世界が何らかの形で影響を及ぼしているということ。

 我々が認識している咲太はあの世界の咲太とは別人で、記憶も共有していないので、咲太だけが覚えていないという不自然な状態にも納得がいきますし、様々な並行世界の記憶をもっている翔子という前例もすでにいますから、赤城が何らかの形で別の世界の記憶を得ても不思議はないんじゃないかなと。

 霧島透子と咲太の会話の中で出てきた、赤城の思春期症候群はポルターガイスト現象ではないという発言も気になっていて、このまますんなりとは終わらないだろうな……という予感がビンビンしています。

 ……それはそうと、あの速度で見せられた霧島透子の電話番号を咲太が覚えられたのかも気になるところです。

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米澤崇史:ロボットアニメとRPG、ギャルゲーを愛するゲームライター。幼少期の勇者シリーズとSDガンダムとの出会いをきっかけに、ロボットアニメにのめり込む。今もっとも欲しいものは、プラモデルとフィギュアを飾るための専用のスペース。

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