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『青春ブタ野郎はサンタクロースの夢を見ない』5話感想。麻衣から溢れ出る人妻オーラで咲太と気持ちがシンクロした。他人の運命を変える責任について考えされる(ネタバレあり)

文:米澤崇史

公開日時:

 アニメ『青春ブタ野郎はサンタクロースの夢を見ない』5話“不協和音”の感想記事をお届けします。

【注意】キービジュアルより先のテキストでは、『青春ブタ野郎はサンタクロースの夢を見ない』5話の物語に関する記述が多々あります。そのため本編をご覧になってから読むことをオススメします。[IMAGE]

姫路から感じる魔性の女の空気感【青春ブタ野郎】


 第5話では、“ナイチンゲール編”のヒロインである赤城郁実がついに本格的に物語に関わってきました。

 まず前回の合コンで久しぶりに登場した上里沙希との再会。

 ひたすら咲太を敵視していた高校時代と比べると、「上里も随分柔らかくなったなぁ……」と感慨深くなってたんですが、よく考えればそれは我々が高校時代の関係性を知っているからこそで、今でも険悪な空気感は福山たちにも伝わるレベルだったようです。


 予想していた通りまだ国見との交際は続いているようで、しかも看護師を目指しているのが消防士になった国見を支えるためだというのが、本当に二人は好きで付き合っているんだなと改めて思いました。

 また、少しずつ印象が強くなっているのが、咲太の塾に在籍している姫路紗良の存在です。

 前回、塾の先生を勘違いさせてかなりの騒動に発展していたようでしたが、そこから何事もなかったかのように咲太のクラスを見学に来るメンタルはなかなかすごい。普通はしばらく塾に行けなくなるか塾を変える気がします。


 言動を見ていると、自分に好意があるんじゃないかと勘違いしてしまう男が出るのも納得できる雰囲気がありつつも、具体的に誘惑するような行動をとっているわけではないんですよね。このあたり、小原好美さんの「好意を抱いているかのような声音で話しかけている」演技が素晴らしいからこそなんだろうなと。

 その咲太と姫路が頭をぶつけるシーンも、ちょっと意味深で気になりました(頭を近づけているところを誰かに見られて勘違いされる展開になるのかなと一瞬思いましたが)。姫路の話はまだ先なので、このあたりのシーンの意味は今後分かってくるのかもしれません。

時に嫉妬して時に寛大な麻衣があまりにかわいい【青春ブタ野郎】


 そして個人的に今回何よりも語りたいのが、とにかく麻衣がかわいかったこと。

 とくに家でカレーを咲太に振る舞うシーン、咲太から味の感想を聞いて「良かった」と微笑むシーンはヤバかった。あの瞬間、完全に鼻の下を伸ばして「僕の麻衣さんはかわいいなぁ」とのろけていた咲太と感情がシンクロしていたと思います。

 今回の髪型と服装の雰囲気がそうさせていたんだと思いますが、もう女子大生というより人妻の色気みたいなのが漂っています。


 2期の麻衣って登場する度に衣装や髪型が変わっていて、制作陣からものすごく愛情をもって描かれているのが伝わってきます。ストーリー的にそこまで焦点があたっているわけではないのに、存在感がめちゃくちゃありますよね。

 家で咲太が赤城の話をした時は、一瞬嫉妬するような視線を向けているのに、学祭デートになると咲太を赤城のところに行かせたり、大学生になってからの麻衣は、可愛げと器の大きさみたいな要素が本当に絶妙なバランスで成り立っているキャラクターだなと。

 家のシーンだと、卯月が再登場したのも、3話の別れのシーンで、これからはあまり咲太と絡みがなくなるのかなとしんみりした後だったので嬉しかったですね。

 個人的には、花楓が自分の“推し”である卯月とどんな会話をしていたのかが気になるところです。


 あと卯月たちが見ていた特撮番組で悪の女幹部役をやっていたのは、おそらくスイートバレットのメンバーの岡崎ほたるかなと。スイートバレットって、作中だとイマイチ売れてないアイドル……みたいに扱われたりしてますが、それでもアイドルグループの中でかなりの上澄みの方だと思うんですよね。

 人気が爆発した卯月はもちろんですが、のどかも一緒にバラエティ番組に出てましたし、メンバー全員が武道館の夢のために頑張っているんだなぁと嬉しい気持ちになりました。

 そして今回の主役とも言える赤城郁実については、いろいろなことを考えさせられました。

 赤城が人助けにこだわっているのは、追い詰められた中学時代の咲太に対して何もできなかった経験が影響しているのかなと感じました。とはいえ、思春期症候群について知らなければ、あの状態になった咲太に対して何もできなかったのは無理はないと思います。


 咲太もそれは理解していたからこそ、赤城に対して特別マイナスの感情は抱いていないようでしたが、どこか心に引っかかっているものがあったような描写もありました。

 ただ、咲太はその後に翔子や麻衣、双葉や国見といった面々との出会いで救われたので、どちらかというと引きずっているのは赤城の側なんだろうなと。赤城自身が善人だからこそ、あの時の咲太に何もしてあげられなかったことがしこりのように残っていた……と考えると、現在の行動にも合点がいきます。

 一方、咲太と麻衣が赤城の人助けを良いことだと思っていないのも納得で、咲太と麻衣は『ゆめみる少女の夢を見ない』で、誰かを救おうとした結果、別の誰かが犠牲になってしまう二者択一を迫られた経験があるんですよね。

 結果としては、翔子も咲太も麻衣も生き残る世界にすることはできたわけですが、それでも咲太たちが認識できていないところで、見知らぬ誰かが前の世界よりも不幸になっている可能性は十分にありえます。そのリスクと責任は認識しておくべきなんでしょうね。


 ただその赤城が、かつての咲太や花楓たちに似たタイプの思春期症候群に掛かっていることも分かり……。次週以降、さらに赤城の内面がどう掘り下げられていくのか楽しみです。

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米澤崇史:ロボットアニメとRPG、ギャルゲーを愛するゲームライター。幼少期の勇者シリーズとSDガンダムとの出会いをきっかけに、ロボットアニメにのめり込む。今もっとも欲しいものは、プラモデルとフィギュアを飾るための専用のスペース。

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