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『ダイイングライト:ザ・ビースト』レビュー:圧倒的な力“ビースト”による抑圧からの解放は今作ならでは! 夜に怯えるゾンビサバイバルももちろん健在

文:シュー

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※『ダイイングライト:ザ・ビースト』は、CERO Z(18歳以上のみ対象)のソフトです。
※18歳未満の方は購入できません。


 Techlandが開発した2025年9月19日に発売されるPS5/Xbox Series X|S/PC用ソフト『ダイイングライト:ザ・ビースト』。本作の発売に先駆けてプレイしたレビューをお届けします。

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抑圧からの解放。逆転劇が今作の要【ダイイングライト:ザ・ビースト】


 『ダイイングライト』シリーズは、一人称視点のゾンビサバイバルゲームとして人気を博したタイトルで、パルクールを利用して高低差のある街中を探索できる自由度の広さやあらゆる道具を用いて近接武器をクラフトする要素など、シリーズならではのサバイバル感覚が特徴。

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 個人的にシリーズ一番のポイントは夜にあります。

 夜の間だけ他のゾンビとはケタ違いの強さを持つヴォラタイルが街中を徘徊。いままで高台に避難して簡単に振り切れるほど単なる障害物くらいにしか感じてなかったゾンビたちに対し、高台だろうがお構いなしに圧倒的な機動力で追ってくるヴォラタイルから逃れるフェーズに変わる夜の緊張感といったら……。

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 安全な昼間のうちに素材集めや探索範囲を広げておき、夜が近づくにつれて安全区域の周辺を活動範囲に留めるなど、単なるサバイバルホラーではない、夜への恐怖が『ダイイングライト』の象徴的な部分であり面白さのエッセンスだと思っています。

 今回の『ダイイングライト:ザ・ビースト』でもその緊張感は健在で、昼間のうちに動き夜に向けて安全区域を確保するお馴染みの感覚は変わらず。

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 シリーズ経験者なので、正直パルクールで動き続ければ序盤でもヴォラタイルは振り切れるだろうと思っていましたが、簡単に補足されてゲームオーバーを体験した際に、この夜への緊張感こそが『ダイイングライト』の本質だなあとしみじみ思いました。

 夜=ヴォラタイルへの恐怖という抑圧から、徐々に対抗できる武器が揃ってくる反撃の時間や彼らのいない昼間が解放だとするならば、今作では“ビースト”という能力で敵を蹴散らせる瞬間もストレスからの解放と言えます。

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 この“ビースト”は専用のゲージが満タンになると自動発動する能力で、素手でゾンビを容易く切り裂けるほどの力と、1回のジャンプで2階建ての建物の屋上に着くほどの跳躍力を獲得する、いわばヴォラタイルさながらの存在になれるものとなっています。

 武器が貧弱な序盤はかなり頼りになったほど、あまりに圧倒的な能力。被弾が重なるとゲージが増えていくので、劣勢になるほど力に目覚める生存本能でもあり、これもまた抑圧からの解放という『ダイイングライト』らしさのあるシステムでとても爽快感がありました。

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“ビースト”の力を高めていく楽しさと不安【ダイイングライト:ザ・ビースト】


 シリーズの物語の大筋はおおよそ共通しており、今作もゾンビで溢れ隔離された街中からの脱出劇です。今回は特定のゾンビから血液を採取して“ビースト”の力を高める要素があり、力を高めることで地面を殴って衝撃波を発生させたり、大岩を投げてゾンビどもを一掃したりと今までにないアクションが解禁。人間とは違うまさに獣のような攻撃の数々はかなり新鮮でした。

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 それと並行して、従来のスキルポイントを消費して新たなアクションや便利な能力を獲得していく成長要素もあります。お馴染みの低空ドロップキックでゾンビどもを吹っ飛ばす楽しさも相変わらず。

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 ただ“ビースト”発動の瞬間は無敵タイムなのでかなり楽しいのですが、ストーリー的にどんどん人間からかけ離れていく主人公の行く末が気がかりです。楽しい一方で不安がよぎる力への不信感みたいなものは今回の物語の面白さ。

 また“ビースト”が超強いのは確かですが、武器が不要になるというものでは一切なく。むしろ人間での活動時間のほうが圧倒的に長いので、探索や戦闘が“ビースト”一辺倒になることはなく、しっかり素材を確保して、武器をクラフトしてという流れは変わらず存在します。

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 どちらかといえば“ビースト”は暴走のようなもの。“ビースト”の力を成長させていけば任意で発動可能になりますが、基本はゲージが溜まったら勝手に発動する抑えられない力なので、切り札的にボス戦前に残しておくことは難しく、その辺りのバランスはしっかり考えられています。

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無人の街に広がる絶景と期待【ダイイングライト:ザ・ビースト】


 ちょっとした段差から看板や街灯を経由して屋根へと渡り、屋上に登る。このパルクールを駆使して建物を簡単に登っていく軽快さと屋上から見える絶景も、シリーズお馴染みの楽しさだと個人的に感じています。

 中心街にそびえる時計塔のてっぺんを目指したり、川を渡る大橋の支柱を登ったり。ゾンビたちが辿り着けない上へ上へと安全な場所を求めて登るのもお約束の一つであり、そこから見える景色の自由さと、ゾンビたちのいない安心感が得られる瞬間は今作で数少ない安らぎでした。

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 また高層ビルの立ち並ぶメトロポリス的なロケーションが中心だったこれまでとは異なり、今作はスイスの街並みを参考にしているようで、自然豊かな山岳地帯の風景と相まって独自の絶景が広がっていました。

 ゲーム的には高いところから見ることでどんな建物があるのか、重要拠点になりそうな場所はどこかなど、当たりを付けられるので意外と大切な動きなのですが、高層ビルの景観とはまた違う自然と融合した街並みも注目かなと思います。

 “ビースト”という圧倒的な力だけに頼らない、頼れないゲームの基本的なサバイバル感やゾンビアポカリプスの絶望感などは健在。夜への恐怖も変わっておらずで、どのように安全区域を広げながら素材を集めていくかの試行錯誤が非常に楽しく、心地よい体験でした。

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 新たな力というシリーズ経験者にも新鮮な体験ができるのでおすすめですし、過去作未プレイでもこれを機にゾンビサバイバルの面白さに触れてみてはいかがでしょうか。

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