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『LET IT DIE: INFERNO』開発者インタビュー。累計900万DL突破の人気シリーズ最新作は地獄の最底辺を目指して突き進む! 理不尽でサイコーなバトルシステムとは?

文:滑川けいと

公開日時:

 ガンホー・オンライン・エンターテイメントがPS5/PC(Steam)で発売を予定しているアクションゲーム『LET IT DIE: INFERNO(レットイットダイ インフェルノ)』。ついに発表された本作の開発者インタビューをお届けします。

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 『LET IT DIE: INFERNO』は、ガンホー・オンライン・エンターテイメントの人気シリーズ『LET IT DIE』の最新作。今回は、プレイヤーが不死身の探索者“レイダー”となって突如現れた“地獄門”を攻略し、誰も見たことのない最下層を目指すアクションゲームです。

 数年ぶりに発表されたシリーズ最新作となる本作を、楽しみにしていた方もいるのではないでしょうか。

 本稿ではそんな『LET IT DIE: INFERNO』について、開発者インタビューを実施。ディレクターの新英幸氏、そしてエキセントリック・プロデューサーのアンクル・デス氏に気になる内容をうかがってきました。(※インタビュー中は敬称略)

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▲左がアンクル・デス氏、右が新英幸氏。

理不尽でサイコーな『LET IT DIE』最新作は、これまでのシリーズイイトコ取りの注目作!

アンクル・デス氏『LET IT DIE』シリーズの水先案内人で、本人曰く“ひやかし担当”。

新英幸氏本作のディレクターで、担当は祈り。アンクル・デス氏のひやかしを受けつつ、祈りの力で何とか作り上げています。(本人談)


――まずは『LET IT DIE: INFERNO』の開発経緯を教えてください。

元々『DEATHVERSE: LET IT DIE』というゲームを展開していたのですが、一度開発を見直すためにサービスを止めることになったんです。そこでみんなで話し合い、どうすればもっと多くのユーザーさんが喜んでくれるかを考えた結果、ガラッと作り直すことになりました。

アンクル
新くんは記憶がちょっと曖昧なところがあるんですよ。

――記憶が曖昧とは……?

アンクル
サーバーがいろいろありまして、そこをやり直すなら全部作り直そうということになったんです。そのとき新くんは寝ちゃっていたんで起こして。起きたらすべて作り直すことになっていたんだよね?

そうですね。祈りながら寝てて、その祈りが通じたのか起きたら作り直すということが降りてきました。

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――なるほど(笑)。では実際に新作はどのようなゲームになるのでしょうか。コンセプトもあわせてお願いします。

『LET IT DIE』で絶対に外せないのは“近接”のアクションゲームだということです。徹底的にこだわっています。

 『LET IT DIE』1作目では武器があってダンジョンを延々と繰り返し攻略する、『DEATHVERSE』ではそれを対戦に振り切りつつ、できる限り多くの武器で戦って誰が一番強いのかを決めると。このふたつのいいとこ取りをしたのが本作になります。

 実際のプレイについての特徴ですが、本作では右手と左手に別々の武器を装備して攻撃できるんです。その使い分けや、組み合わせによってモーションが変わる特殊な技を楽しんでもらいたいですね。できるだけマンネリ化しないアクションゲームを目指しています。

――マンネリ化しないシステム作りは苦労されたのではないでしょうか。

そうですね。何かひとつ、強力な武器を持ってさえいけばクリアできるというようなものにはしたくありませんでした。やはり地獄門のなかで拾った武器や防具を、そのときそのときで組み合わせて遊んでほしい。これまでのシリーズで培った経験値を活かして、いわゆる“最適解”が安易に出てしまわないよう入念に調整しています。

アンクル
そうそう。本作はローグライクとハクスラの生まれなので、新くんが言ったような要素は一番大事にしていますね。

ゲームを進めて拾った一期一会の武器や防具を組み合わせてキャラクタービルディングをする仕組みは『LET IT DIE』のときよりも顕著になっています。今の自分の状態を常に見て方向性を決めて、その後拾った装備で方向修正をする。そしてどれだけ深く進められるかを楽しむゲーム性なんです。

 地獄門に挑む前もキャラクタービルディングしますし、そのあとも武器や防具の取捨選択でキャラクターをビルドしていく。ずっとキャラクターを育てているような感覚なんですよ。その繰り返しが楽しいんです。本作では偶発性が強いこともあり「次はこうしよう」が難しく、策を講じても通じない可能性が高い。要は自身のプレイヤースキルが育っていかないと、先に行けないようになっているんですよ。

アンクル
この武器を持っていたら「勝ち筋が見えたな」っていうのはあります。でも、それはプレイヤーであるあなた次第!

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そう、僕が使いやすい武器と、アンクルが使いやすい武器はまったく違うんです。それと、やはりプレイスタイルの違いですね。本作では地獄門に挑戦する前に自分の用意した装備を持ち込めるのですが、例えば攻略中「あまり得意ではないけれど、能力値が現在の装備よりも高い」武器が出たとします。

 僕の場合は、得意じゃない武器でも性能を見ると悩んでしまうのですが、アンクルの場合は自分の得意なもので突き進むため、いくら能力が高くても目当ての武器じゃない時点で見向きもしない。どちらが正解ということはなくて、自分のプレイスタイルで積んだ経験で進めていくため人によって全然違った攻略法が生まれるんです。それが本作のおもしろいところですね。

アンクル
気に入る武器もプレイヤーによって全然違うものになりますからね。

それに武器には“特性”というものが付くようになっていて、同じ武器でも特性によって能力が変わります。その特性の効果を重視して、武器を持ち替えるかどうかも人それぞれです。アンクルなんて、自分の理想の武器は決めているので、それ以外にどんないい武器が出ても捨てるんですよ。

アンクル
重さの概念もあるからね。すべてを持ち続けられるわけでもないから、使わないと決めたものはもう捨てる! “断捨離力”が大事なワケですよ。

持てる枠がまだ空いてても捨てますからね。断捨離力がすごいですよね。

アンクル
でもね、みんな勘違いしているんですよ! なぜしっかり武器を決めてほかは捨てているかというと、理不尽……うん、ひと言でいうなら理不尽極まりないんです。このゲームは!

 悠長にインベントリを開いてアイテムを整理していると、その間にボコボコにされちゃうんです。だからすぐに捨てる。物資と所持重量のやりくりを考えているあいだにあとがなくなるから、こうせざるを得ないんです。

やられたら、それでまた最初からですからね。コントローラーをぶん投げたくなる……けれど、またやりたくなる中毒性があるのが『LET IT DIE: INFERNO』です。

――やられたらすべてなくなるというのは確かに悔しいですね。でもそれを超えてトライしたくなるゲーム性だと。

はい。スタート時の能力を上げることができる機能を入れているため、やられても完全にゼロからということはないようにしています。地獄門からの生還報酬でもらえるコアを使うなどで能力を上げて、探索に挑んでプレイヤースキルを上げて、やられたらまたコアを見直して……という繰り返しで遊べるサイクルですね。

アンクル
コアもそうですし、地獄門内で拾った装備を持ち帰る仕組みもあるので、積み上げられる部分は用意しています。倉庫にコツコツ備蓄しておけば困りません。備えあれば憂いなし!

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――バランスなど入念に調整して開発していくなかで手応えを感じたのはどのタイミングでしょうか。

ここまで聞いてもらってもわかると思うのですが、本作は一筋縄ではいかない難度です。ですが、プレイしていると、それまでできなかったことが少しずつできるようになってくるんですよ。その喜びがかなり大きくて、作っていても「これは楽しんでもらえるだろうな」と自信を持って思えるようになりました。

 あとはシリーズおなじみとも言えるビジュアルと設定ですね。アンクルが関わると、こうなってしまうんですよね。

――今回地獄門のビジュアルは和風のような印象を受けました。

アンクル
確かに和のテイストは入っています。海外の方が本作を見たときに、日本はこうなっているのかなと勘違いしてほしいですね(笑)。

 勘違いといえば新くんも、“しん”と言っていますが本当は“あらた”さんですからね。

そんな息をするように嘘を(笑)。

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アンクル
もうひとつ勘違いエピソードを。新くんは地方からでてきたのですが、昔“ザウス(※)”というスキー場施設がありまして、彼はそれを見て高速道路の入り口と勘違いしたらしいんですよ。

それは本当です。上京して大きさに驚いて。都会の道は大きいなと思っていて人に話したら笑われました(笑)。
※編注:ザウス……1993年に千葉に建設された世界初の都市型屋内人工スキー場。2002年に営業を終了。

『LET IT DIE』らしさはそのままに、プレイしたい人が誰でも遊べるような仕組み作りを


――時代的にゴア表現の難しさがあると思うのですが、その点はいかがでしょうか。

ゴアについては、好きなスタッフもいますし僕も好きです。ですが本作を世に出していくときに、血が出ていればいいのか、ちぎれていればいいのか……と考えたんですね。さらにCEROをZにしたくないという思いもあったので、『LET IT DIE: INFERNO』では残酷表現は抑えています。

 ただ勘違いしてほしくないのは、『LET IT DIE』の表現面がよかったのは「残酷だけではない」ということです。吹っ飛んでいったり気付いたら骨になっていたりと、やられたときの演出がおもしろかったんですよね。なので、そういった演出のおもしろさはより作り込んでいます。

アンクル
そう、『LET IT DIE』はアホっぽさがあるんです! 『LET IT DIE』は累計900万ダウンロードされていますが、そのほとんどがアメリカなんですよ。日本でも有名な配信者の方のプレイを見て興味を持っていただいた人もいると思うんですが、CEROがZだと国内で購入する際にクレジットカード認証が必要となり、そこがハードルになっていそうだなと。

 いろいろな人に本作を遊んでほしいので、CEROはZ以外にしています。なので、決して「時代が」、「社会が」ということで迎合しているつもりはありません。いろいろな人にプレイしてほしいという思いからゴア表現は抑えめになっていて、より遊びやすくなっていると思います。

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――『LET IT DIE』では塔の“上”を目指していましたが、今回のストーリーでは“下”を目指すことになります。こうしたストーリーやシステムなどで、『LET IT DIE』との違いを教えてください。

『LET IT DIE』ではハクスラ要素が強く出ていましたが、本作ではローグライク要素が強くなっています。やられたら終わり感がもう理不尽だと言われるのですが、その分ヒリヒリ感が増しています。

アンクル
あと、本作では装備は壊れません。やられたら全部なくなりますけどね(笑)。

正直に言うと、手っ取り早いのは『LET IT DIE』そのままにすることです。しかし『DEATHVERSE』で得た経験もありますし、せっかくだから変えてみようと。

――プレイ人数が本作では1~8人となっていますが、複数人による協力プレイや対戦要素があるのでしょうか?

基本はソロでプレイするので、最初はあまりほかのプレイヤーを意識することはありません。ですが、少しずつ慣れてきたぞ、先に進めるようになってきたぞというタイミングでほかのプレイヤーと交わる作りになっています。それはNPCかもしれませんし、ほかのプレイヤーかもしれません。

 ただ、必ず戦う必要はなくて、装備などから相手の情報を得たうえで戦って倒して武器を奪う、負けそうだから逃げるという選択はプレイヤー次第。これまでにもやられたら最初から、とは言っていますが、やられる前に所持アイテムを持ち帰る仕組みも用意してあるので、手持ちのアイテムを見てからどうするかを判断するのもいいでしょう。

 自分で武器や防具を集めるよりも、武具を豊富に所持しているやつを倒す方が手っ取り早い! という考えの人は、ぜひ好戦的にやってもらえたらいいと思います。

――ソロプレイをしつつ、PvPも楽しめるということでしょうか。

 「PvEvP」が一番近い考え方かもしれませんね。PvPを楽しみたい人はそれができますし、ゆっくり育てたいという人はPvPを避けつつ遊べるようになっています。対人戦をすれば、それはそれで大きなリターンはあるんですけどね。

――お話を聞いていると、いよいよやめ時がわからなくなってきますね。

腹が立ったときじゃないですかね(笑)。

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アンクル
すべては言いませんが、腹が立ちすぎてプレイをやめざるを得なくなったときね。

 地獄門の探索には制限時間があり、制限時間以内に出てこないとキャラクターは死んでしまいます。そのタイミングでやめることは可能なのですが、結局何度も行っちゃうんですよ。

「次はうまくプレイできるかもしれない」という気持ちが強く残るので、繰り返してプレイしてしまう仕組みになっていますからね。コンパクトな制限時間も相まって気軽に繰り返せる。だからついやってしまうんですよ。緊張感が続く設計になっていて常に気が抜けませんし、プレイしていると疲労がたまってきます。ですので……疲れたらやめる感じですかね。結局やめざるを得ない状況ということなのですが(笑)。

アンクル
やられて振り出しに戻ったときに緊張の糸が切れてすっごい楽になるんですよ。これを味わいたくてもう一度挑戦するか、となる。こうしてプレイしていくと、完全にやめ時を失います。一度挑戦すると休む暇が本当にないので、お手洗いと水分補給はしっかり!

――ちなみに特に注目してほしいポイントはありますか?

アンクル
今回の楽曲では、K-POPにチャレンジしています!

(笑)。楽曲は確かに注目してほしいですね。山岡(作曲家の山岡晃氏)が担当しているのですが、本作では緊張感とともに音が重なっていったり、プレイによってテンポが変わったりとおもしろい試みをしているんです。

 そのときのプレイにあったテンポに自然に変わっていくので、やっていて気持ちいいんですよ。これから映像がどんどん出てくると思いますが、ぜひ注目してみてください。

――最後に、本作を楽しみにしているシリーズファンにメッセージをお願いします!

『LET IT DIE』のシリーズを出すたびにわちゃわちゃとなるのですが、今回も負けじとわちゃわちゃになるのではないかと思っています。みなさんにはそこも含めて楽しんでもらいたいですね。理不尽で歯ごたえがあり、ほかでは体験できないようなゲームになっています。ご期待ください!

アンクル
『LET IT DIE:INFERNO』のディレクター“あらた”さんのことは嫌いになっても、アンクルのことは嫌いにならないでください!

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