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『モンハン アウトランダーズ』インタビュー:冒険者の参戦やクラフト要素を盛り込んだ理由は? 開発者が語る新たな“モンスターハンター”の可能性【TGS2025】

文:アツゴロウ

公開日時:

 カプコンのライセンスを受けたTiMi Studios Groupが開発するモバイルゲーム『MONSTER HUNTER OUTLANDERS(モンスターハンター アウトランダーズ)』。本作の開発陣へのインタビューの内容をお届けします。

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 『モンスターハンター アウトランダーズ』は、Tencent Games傘下のモバイルゲーム開発スタジオのTiMi がライセンスを受けて、カプコン監修により開発中のモバイルゲーム。『モンスターハンター』シリーズの迫力のハンティングアクションをモバイル上で遊べるタイトルとして、全世界のアクションゲームファンから注目を集めています。

 この記事では本作の監修などを務めるカプコンから、プロデューサーの砂野元気氏と、TiMi Studiosのプロデューサー・黄冬氏へのインタビューを敢行。TGS2025に出展されたプレイアブルの内容を踏まえて、本作の気になる部分について聞いてみました。

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▲右が砂野氏、左が黄冬氏。両人ともTGS2025のステージイベントなどでお忙しいなか、インタビューの時間を作ってくださいました。

 なお、TGS025のプレイアブルの詳細については以下の記事を参照してください。

タイトルに込めた想いと“冒険者”への転換の狙い【モンスターハンター アウトランダーズ インタビュー】


──まず、タイトル名『アウトランダーズ』に込められた意味合い、そしてなぜこのタイトルを選ばれたのかをお聞かせください。

砂野氏:“アウトランダーズ”という単語は、“未知なる島を冒険する人”といった意味合いがあります。本作では、従来の『モンスターハンター』シリーズの“ハンター”とは異なり、クラフトや多様な技能を交えながらサバイバル探索を行う人々を指して“冒険者”という新しい呼び方を採用しています。これらをタイトルに冠することで、『モンスターハンター アウトランダーズ』と名付けました。

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──シリーズで初めて“ハンター”ではなく“冒険者”という名称を採用した経緯について、社内での議論や狙いはどのようなものだったのでしょうか。

 
砂野氏:過去には『モンスターハンター ストーリーズ』などで“ライダー”という存在も登場していましたが、今回は従来の『モンスターハンター』の“ハンター”という枠組みに囚われないほうが、本作の“新しい遊び”に適していると考えました。

 そのため、“冒険者”という新たな人たちにしようという形になり、それがタイトル名になったほうがより分かりやすいだろうと判断し、社内で決定しました。これは、『モンスターハンター』の世界に“こういう人たちもいる”という1つの作品だと捉えていただければと思います。

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広大な世界とハイスピードな移動体験の実現に向けた努力【モンスターハンター アウトランダーズ インタビュー】


──本作は広大なフィールドを探索していくことになると思いますが、具体的な世界観やメインストーリーの概要についてお聞かせください。

黄冬氏:本作の舞台は未知の島になります。冒険者たちがこの島に上陸し、そこに存在するさまざまな不思議な謎を解いていくことがメインストーリーです。この謎が最終的に解き明かされた時、皆様の期待を裏切らないものになると確信しています。

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──PVや試遊で非常に印象的だったのが、フィールドでの移動の速さです。モバイル端末での広大なフィールドの移動において、このハイスピード感を出すための取り組みやポイントを教えてください。

 
黄冬氏:携帯端末で広大なマップをストリーミングしながらデータをローディングしていくのは、非常に負担がかかる点であり、開発チームにとって最大の難点でした。この課題に対して、私たちはよりユーザーが楽しめるような取捨選択を行いました。

 何を取って何を捨てるかという判断基準において、ユーザーさんの体験を優先し、テストを通じて「ここは捨ててもいい」「ここは優先したい」といったバランスを測ってきた結果が、現在の快適な移動速度に繋がっています。

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──実際に試遊したところ、方向キーを入れて目的地へ移動する際、途中崖や岩があっても、キャラクターが最適な経路を判断し、回避やジャンプをしてくれることに驚きました。これはプレイヤーのストレスを軽減する素晴らしい取り組みだと感じました。

黄冬氏:従来の作品では障害物を自分で避けたり跳躍したりする必要がありましたが、本作では目的地へ移動する際、自動的に障害物を判断して回避やジャンプをして、プレイヤーの負担を軽減しています。テスト中にいただいたこのようなご意見やご感想は、今後の改善に必ず活かしていきたいと考えております。

クラフトに冒険者、そしてオトモ。新規要素が新たな遊びを提供する【モンスターハンター アウトランダーズ インタビュー】


──今回導入される新しい要素“クラフト”の魅力について、まだ未体験のプレイヤーに向けてご紹介いただけますでしょうか。

砂野氏:本作は、TiMi Studioさんから「『モンスターハンター』の世界で、従来の調合や装備生産とは異なる、新しいクラフトをしながら探索・サバイバルする作品は面白いのでは」という提案があり、企画がスタートしました。

 試遊版ではジップラインやカタパルトなど、主に移動手段として登場していますね。PVなどで少し触れられていますが、今後は狩猟前の準備やいわゆるファーミング的な活動、そしてハウジングなど、クラフトで遊べる幅を広げていきたいと考えています。

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 狩猟中のクラフトなら、試遊版でも巧作タイプのキャラクターを使ったり、オトモにルタコンを連れていくといろいろ体験できます。最終的には従来のシリーズにあった、バリスタや撃龍槍みたいなものも任意に作れるようにして、パーティメンバーも使えるようにできれば面白いと思い、絶賛作り込み中ですので期待してお待ちいただければと。

──本作では、プレイヤーキャラクター以外にも、ほかの冒険者を操作できるのが特徴的ですが、この設計の狙いをお聞かせください。

黄冬氏:私たちは、『モンスターハンター』で最も面白いのは“組隊(チーム)やパーティプレイの体験”だと考えています。しかし、ネットワーク環境や、シリーズ初心者の方が「うまくプレイできなかったらどうしよう」と、リアルな組隊にプレッシャーを感じるケースがあります。

 そこで、より多くのプレイヤーに気軽に遊んでもらうため、サポートしてくれる冒険者を増やし、彼らに助けてもらうという仕組みを取り入れました。自分以外の冒険者も操作できるようにすることで、協力や分業を可能にし、従来のモンハンとは違う取り組みを実現しました。

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 ちなみに、試遊版では選べる冒険者が女性ばかりになっていますが、正式サービスの際は男女比のバランスはよくなる予定ですので、男性冒険者を使いたいという方もご安心ください(笑)。

──試遊版の冒険者のなかで最も好きなキャラクターを挙げるとしたら誰になりますか?

砂野氏:ミドリですね。彼女はTiMi Studioさんから最初にキャラクターの企画が上がってきた冒険者で、このあとのキャラクターをどう作っていくかのたたき台になったこともあって、愛着も深いです。三味線に仕込まれた太刀を武器にしていたり、気品のある佇まいだったりと、これまでにないキャラクター性が魅力的にも感じます。

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黄冬氏:じつは私もミドリです(笑)。制作の過程で、美術スタッフが彼女の顔の設計をする際、非常に長い時間をかけて作っていましたし、造形にはこだわりました。スタッフ内では双剣使いのラヤが一番人気みたいですよ。

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──オトモは従来のアイルーを含めて3種類登場しますが、これらはどういった経緯で実装が決まったのでしょうか。

 
砂野氏:オトモについては、クラフトを狩猟体験に盛り込むという初期の考えに基づき、ロール分け(役割分担)を明確にしました。まずアイルーは極撃(アタッカー)タイプで、従来のハンター的な攻撃特化の役割を担います。

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 巧作(クラフター)タイプはクラフトを駆使して狩りの状況をコントロールしたり、味方をサポートしたりします。この役割を担うオトモは何がふさわしいかを考えた結果、手先が器用そうで力もある猿っぽいモチーフからルタコンが生まれました。

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 支援(サポート)タイプは回復効果やバフ効果を提供します。この役割を担うオトモとして、狩猟笛のように音で癒やしの効果を出せそうな動物を考えたとき、鳴き声を出せる鳥のようなモチーフがいいだろうということで、メドリーが生まれました。

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新たな脅威“融光種”と今後の展望について【モンスターハンター アウトランダーズ インタビュー】


──今回、新しい種類のモンスター“融光種(ゆうこうしゅ)”が公開されました。どのような特徴を持っているのでしょうか。

砂野氏:“融光種”とは、生物学的な系統種(飛竜種など)とは異なり、本作の舞台となるアイソレシア島特有の鉱石である“融石”の影響を受けて変異してしまったモンスターを指します。

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 変異の結果として彼らはパワーアップしており、ゲーム序盤からではなく、島の秘密に迫るストーリーを進める中で、強いモンスターとして登場します。特徴としては単に攻撃力が強くなるだけでなく、従来のプケプケやリオレウスでは行わなかった新しいアクションを見せます。

 さらに、狩猟の途中で見た目のオーラが紫色に変わり“凶暴化”し、大技を繰り出したり行動が変化したりする要素もあります。これは、スマートフォンでの限られた時間の中で、遊びの味が途中で変わるという面白さを提供したいという狙いがあります。

──最後に、11月からクローズドβテストが始まる予定です。リリースを待ち望んでいる人たちへメッセージをお願いします。

砂野氏: 『モンスターハンター アウトランダーズ』には、今までの『モンスターハンター』になかった要素や、「『モンスターハンター』の世界でこういうことができたら広がるのでは」という要素をたくさん盛り込んで制作しています。

 皆さんがこれを心から楽しんでいただけるか、面白いものになっているか、という点は、実際にプレイしていただいてフィードバックをいただきたいと強く思っています。クローズドβテストや試遊の感想を通じて、「これは本当にいるのか」「これはもっと伸ばしたら楽しんでもらえそうだ」といった見極めを行い、リリースに向けて良いものに作り上げていきたいと考えています。ぜひご意見をお聞かせください。

黄冬氏: まず、プレイヤーの皆様からのアドバイスやご意見を非常に大切にしていますので、ぜひテストに参加して貴重なご意見をいただきたいです。また、本作はモバイル上のFree to playのゲームであり、分業や協力ができるゲームです。難しそうだとためらっている方がいらっしゃったら、どうかプレッシャーを感じることなく、気軽に楽しむという気持ちで触れてみてください。そうすれば、このゲームの魅力が分かっていただけるのではないかと思います。

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