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『サカつく2026』はちょっと変なゲーム!? RPG要素もある独自の育成+経営サッカーゲームの魅力を久井克也プロデューサーが語り尽くす

文:こひき庵

公開日時:

 セガはサッカーを題材にしたスポーツ育成シミュレーション最新作『プロサッカークラブをつくろう!2026(サカつく2026)』が2026年初頭にPlayStation 4、PlayStation 5、iOS/Android、Steamでリリースします。

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 今回は開発の陣頭指揮を執ってきた久井克也プロデューサーを直撃し、そのインタビューをお届けします。

 あらためて『サカつく』の魅力とは何か?

 サッカーファンにはファジアーノ岡山の熱心なサポーターとしても知られている久井プロデューサーの視点から、大いに語っていただきました。

そもそも『サカつく』とは?

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 『サカつく』は経営と育成を題材にしたサッカーゲームの人気シリーズです。

 1996年に第1作『Jリーグ プロサッカークラブをつくろう!』としてリリースされ、このときに生まれた略称“サカつく”がその後シリーズの正式タイトルとなりました。

 シリーズによってプレイヤーの立場は微妙に異なりますが、サッカークラブのオーナーや監督となって現場で指導するほか、クラブの施設を整えたり、選手を補強したりといった経営にも携わる点は基本的に共通しています。

 2026年初頭配信予定の『サカつく2026』は、そんな老舗シリーズの最新作となります。

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 この夏には大々的なクローズドベータテスト(CBT)も実施されており、ファンの期待も高まっています。

 その開発を率いるのは、過去に『サカつく6』や『サカつく7』にも携わった久井プロデューサー。

 CBTを経て、ユーザーから寄せられた多くの声に真摯に向き合い、今まさに最終調整の段階にあるといいます。

 “原点回帰”を掲げつつ、現代のゲーム環境に合わせたハイブリッドな形を目指す本作は、どのような進化を遂げるのか。

 CBTからの具体的な変更点、ファン待望の機能の復活、そして気になるリリース時期まで、久井プロデューサーに詳しく話を伺いました。

「ちゃんと昔の『サカつく』が遊べていた」手応えと新たな課題【サカつく2026インタビュー】

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――まず、久井プロデューサーのこれまでの『サカつく』シリーズとの関わりについてお聞かせいただけますか。

 私は2008年にゲームプランナーとして入社し、最初に携わったのがPSPで出た『サカつく6』でした。その後、『サカつく7』ではディレクターを務めました。

 その後しばらく『サカつく』から離れて別のゲームを作っていたのですが、4、5年ほど前に、あらためて新しい『サカつく』を企画したいと思い、立案して今に至ります。

――CBTも実施されましたが、現在の開発の進捗はいかがでしょうか。

 完成度はかなり上がってきていて、今はCBTでいただいたご意見に真摯に向き合っている段階です。そこからさらに、いろいろなものを足していこうと実装を進めている状況ですね。

――本作のコンセプトについてお聞かせください。

 コンセプトは“原点回帰”です。昔ながらの『サカつく』がまたあらためて遊べます、と。それに加えて、ビジネスモデルとしては今の世相も反映し、一部課金要素を入れさせていただいたハイブリッドな形になっています。

 CBTでは、このコンセプトがどう受け取られるか緊張感を持っていたのですが、狙い通りに「ちゃんと昔の『サカつく』が遊べていた」という声をいただけたので、安心しています。

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▲サポーターの存在があるのも『サカつく』の伝統的な要素。

『サカつく』の伝統を意識した機能を追加へ【サカつく2026インタビュー】

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――CBTではユーザーから多くの声が寄せられたと思いますが、具体的にどのような意見が多かったのでしょうか。

 例えば、声として多かったのは“留学”の機能ですね。

 選手の育成の自由度について、過去作に比べてやや少ないのではないかというご意見です。

 これは我々も迷いながらCBTを迎えた部分だったのですが、やはり声が大きかったので、実装することに決めました。

――留学機能復活は、往年のファンには嬉しいニュースです。

 まだ育ちきっていない選手を一度どこかに送り出して、戻ってきたらパワーアップしている、という育成の幅が広がりますからね。

 あとは、セーブデータを複数持てるようにします。CBTではデータが1つしかなく、やり直したい時はアカウントを削除するしかありませんでした。

 これでは遊びづらいですし、ビジネス面から見ても離脱の原因になりかねないので、複数持てるように変更します。

――複数セーブデータは、昔からのファンには馴染み深い遊び方ですね。

 はい。昔からセーブとリセットを繰り返しながら遊んでいた方々はもちろん、新しく遊ばれる方にもメリットがあると思っています。

 例えば、“課金した選手を使って遊びたいデータ”と“無課金でじっくり遊びたいデータ”を分けたいという声もありました。

 スタートするクラブもオリジナルからJリーグまで幅広く選べるので、さまざまなパターンを試せるのは大きいかなと思います。

――そのほかに、CBTから大きく変わる点はありますか?

 大きなところでは“クラブハウス”という要素をさらに足そうと思っています。

 CBTではスタジアムにすべての機能が集約されていて、施設の効果、とくに練習効果が大味になっていました。

 過去作にあった疲労回復のサウナなども表現しきれていなかったので、クラブハウスを設けて、そのあたりをより細かく設定できるようにします。

「リアルのサッカー界をシミュレーションするような“変化”を実装【サカつく2026インタビュー】

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――ゲーム体験が大きく変わりそうな変更点はありますか?

 CBTの時、COMのクラブは年数が経っても選手の構成があまり変わらなかったと思います。移籍が活発ではなかったんですね。ここに今、手を入れています。

 ほかのチームの状況が変わっていくことによって、プレイヤーそれぞれの箱庭の状況も変化し、面白い体験になると思っています。とくに昨今の、Jリーグからヨーロッパのクラブへ移籍するようなストーリーをゲーム内に取り入れたいと考えています。

――年数が経つと、他クラブの陣容がガラッと変わっているかもしれない、と。

 はい。数年経つとかなり状況が変わってくるはずです。本当にリアルのサッカー界で起きる変化みたいなものが、なんとなくシミュレーションできるような世界が作れるかなと思っています。

――COMクラブが強くなりすぎて、ゲームバランスが崩れる心配はありませんか?

 そこは内部のロジックで、COMクラブのトータルの強さが担保される仕組みがあるので、大丈夫だと思います。

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▲CBTでは10年経っても余り変化がなかった各チームの構成ですが、ここは大きく変わる模様です。

「課金ゲーかよって離脱されるのが一番怖い」課金モデルとの向き合い方【サカつく2026インタビュー】

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――やはり“課金”という言葉にアレルギー反応を示すユーザーも少なくないと思います。あらためて、本作の課金モデルについて教えてください。

 課金のポイントはCBTでお見せしたところがほとんどです。ガチャから“SP選手”という選手を引くことと、その選手を育てるための“特別練習カード”、この2つが大きなマネタイズのポイントになります。

 一方で、CBTの途中でも仕様変更をお伝えしていたのですが、当初あった“SP選手を必ずチームに入れなければいけない”という縛りはなくしました。

 ユーザーの課金に対する姿勢には向き合いつつ、ビジネスとして成り立たないラインも見極めながら、難しいバランスで進めています。

――いわゆる“ガチャ”で得た選手を必ずしもチームに入れる必要はないようにしたということですよね。まずは楽しんでもらうことが大前提、ということでしょうか?

 はい。最初に「やっぱり課金ゲーかよ」と圧力だけを感じて離脱されるのが一番怖いですから。

 幸い、CBTでは非常に高い継続率が確認できました。継続して遊んでいただけるゲームであれば、途中から「ちょっと課金してみようかな」と思ってもいただけるはずです。

 まずは「『サカつく』って楽しいゲームなんだ」と知ってもらうことが何より重要だと考えています。

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▲試合と試合の合間には豊富なイベントが用意されています。

「今までのサカつく以上にスターズたちが勢揃いする」ファン待望の架空選手たち【サカつく2026インタビュー】

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――『サカつく』シリーズの魅力の1つに、架空のレジェンド選手たちの存在がありますよね。河本鬼茂さんを筆頭に独特の人気を誇っています。

 はい。CBTでも意識して入れていたのですが、ファンの方々から「この人が入ってない」という声をたくさんいただきました。ですので、CBTのバージョンからかなり数を増やしています。

 加えて、公式Discordで“入れてほしいサカつくスターズ”を募集したところ、本当にたくさんのご意見をいただきました。

 なかには私も知らなかったような、セガサターン版の1作にだけ出ていたきりの選手などもいて、そうした選手たちをみんなで掘り返しながら今、実装を進めているところです。

――それは楽しみです。

 おそらく、今までのシリーズ以上にスターズたちが勢揃いする、というくらいの感じになると思います。ここは『サカつく』ならではのRPG的な、キャラクターゲームとしての面白さを大切にしたい部分ですね。

「リリースは2026年の初頭になります」ついに明かされたリリース時期【サカつく2026インタビュー】

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――ファンが最も気になっているであろう、リリース時期についてお伺いできますか?

 はい。CBTでいただいた課題、例えばセーブデータの複数化などは最低限リリースまでに入れたいという思いがあり、今少しお時間をいただいています。

 この記事が出る頃には発表されているのですが、リリースは2026年の初頭になります。また、タイトルについても『2025』から『2026』へとアップデートします。

“ちょっと変なゲーム”だからこその妙味【サカつく2026インタビュー】

――本作は“Powered by Football Manager”と銘打たれています。これはファンにとって、どのようなメリットがあるのでしょうか。

 『サカつく』の昔からの課題として、選手データの正確性に少し疑問符がつく部分がありました。一方で、『Football Manager』は全世界にリサーチャーを配置して作られているゲームであり、彼らのデータやノウハウには絶大な価値があります。

 今回は、そのデータベースにアクセスする権限をいただき、我々のデータチームがそこを参照して『サカつく』のデータに落とし込んでいます。

 これにより、サッカーファンの方々にも「この選手はこういうプレイスタイルだよね」と感じる部分が、違和感なくゲームに反映されていると思います。

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▲選手獲得はゲーム最大の醍醐味。リアルな能力設定の選手となれば、なおさら欲しくなるもの。
――最後に、リリースを待つファン、そしてこれから『サカつく』に触れるかもしれない方々へメッセージをお願いします。

 まず、これまでシリーズを遊んでくださったみなさんへ。

 CBTでいただいたご意見は真摯に受け止め、実装を進めています。CBTの時からさらに1.5倍くらいのボリュームになり、過去作で体験できたことはおおよそ体験できるように作っていますので、ぜひご期待ください。

 そして、まだ『サカつく』を知らないみなさんへ。

 本作は、スタイリッシュでカッコいいゲームではないかもしれませんが、サッカー界で実際に起きているようなことまで体験できる、“ちょっと変なゲーム”です。でも、そこがおもしろさだと思っています。

 プレイヤー目線でサッカーを楽しんでいる方なら、きっとハマる部分があるはずです。ぜひ一度、触ってみていただけると嬉しいです。

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