三つ子の魂百までと言われますが、幼少期に限らず、ゲームで遊んだ思い出は脳に深く刻まれるもの。
何年、何十年たっても、「なんでオレ、こんなこと覚えてるんだろ…」と愕然とするような記憶が残りがちでして。
そんな脳のメモリ(記憶・容量)を無駄づかいしている例を語ります! 今回は1997年にPSで発売された『モンスターファーム』について語ります。
何年、何十年たっても、「なんでオレ、こんなこと覚えてるんだろ…」と愕然とするような記憶が残りがちでして。
そんな脳のメモリ(記憶・容量)を無駄づかいしている例を語ります! 今回は1997年にPSで発売された『モンスターファーム』について語ります。
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本作は、「音楽CDやPSソフトをPS本体に読み込ませてモンスターを誕生させる」という一風変わったシステムを持つモンスター育成シミュレーションゲームです。
レアモンスター「ゴースト」の出現条件はモンスターの死亡。わざと死なせると作りこまれたイベントに心が痛んだ
この世界には“円盤石”と呼ばれる不思議な石にモンスターが封印されています。現実でPS本体にCDをセットすると、『モンスターファーム』の世界で円盤石として認識され、モンスターが生まれる仕組みです。「ゲームソフトをCDに入れ替えているのに、なんでゲームが止まったりしないんだろう?」と、当時は不思議に思いましたね。
ですが、今回語りたい「ゴースト」は円盤石(CD)からではなく、ある特殊な方法でゲットできる例外的なレアモンスター。その方法とは……「自分のモンスターをわざと死なせる」なんです。
本作のモンスターは、寿命や大けがによって本当に死んでしまいます。その後に新しいモンスターを育てていると、体にドクロのマークが浮かび上がる怪奇現象が稀に起こるのです。「死んだモンスターの魂」を象徴するというドクロマークを持つモンスターを他のモンスターと合体させると、希少なゴーストが生まれる仕組みでした。なんだか怪談の幽霊みたいな話ですよね。
この入手法は半分トラウマです。理由は、本作でモンスターを死なせるのは基本的に“わざと”になるから。寿命が近づくと助手のホリィさんからモンスターの引退を促されるので、その時点で冷凍保存させれば死ぬことはありません。戦闘でKOされる、体力がないのに仕事や修行で酷使する、といった理由で死ぬ場合もありますが、こちらも事前に注意されます。
「これ以上育てたらあなたのモンスターが死んじゃうよ!」という警告をすべて無視し、自分の意思でモンスターを死なせる。それがゴーストと出会う第一歩なのです。筆者も攻略本でこの存在を知らなければ、モンスターをわざと死なせるなんて絶対にやらなかったと思います。
ゴーストのために初めて見た死亡イベントは、今でもハッキリ覚えています。急にモンスターが動かなくなり、ホリィさんが「…死んじゃったよ」と教えてくれました。お葬式も開かれ、参列者が「残念でした」と言ってくれるたびに、わざと死なせた罪悪感をじわじわと実感します。なにより、ゲームを始めてからずっと一緒にがんばってきたホリィさんの悲しそうな顔が見ていられない! まだ子供だった筆者は、本作を通して“死”がどんな出来事なのかを学んだのかもしれません。
重い出現条件と打って変わって見た目も動きもキュートなゴースト。そのギャップが忘れられない
そんな苦労の末にようやく出会えるゴーストですが、個人的には一番のお気に入りモンスターでした。その名の通り幽霊らしい見た目に大きなシルクハットを被っていて、なんだかぬいぐるみのような愛嬌があります。戦い方もかなり面白く、シルクハットの中から出てきた鳩に攻撃させたり、急にゴリラみたいなマッチョ体型になってぶん殴ったり、見ていて飽きません。罪悪感が愛着に変わるまで、そう時間はかかりませんでした。
ヘビーな経緯で生まれたにも関わらず、姿も立ち振る舞いもユニークなゴースト。なぜ、こうもアンバランスな造形なのでしょうか……。死んでしまったモンスターの魂が、後悔しているプレイヤーを励まそうとしている……と考えるのは、さすがに都合が良すぎる解釈でしょうか。