プログラミング不要で誰でもゲーム作りが楽しめるツール『RPG Developer Bakin』(以下、Bakin)。
その新たなサンプルゲームとして、ホラーゲームの金字塔『コープスパーティー』の生みの親である祁答院慎氏が手掛けた『サバトの女王 Queen of the Sacrifice.』が、12月17日より無料配布されます。
その新たなサンプルゲームとして、ホラーゲームの金字塔『コープスパーティー』の生みの親である祁答院慎氏が手掛けた『サバトの女王 Queen of the Sacrifice.』が、12月17日より無料配布されます。
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祁答院氏がキャリアの原点で制作したゲームを、なぜ今『Bakin』でリビルドしたのか。そこには、ゲーム制作ツールからキャリアをスタートさせたクリエイターとしての“原点回帰”と、ツールが拓く新たな表現への探求心がありました。
今回は、祁答院氏と『Bakin』開発チームリーダーであるスマイルブームの長井氏に、本作に込めた想い、そして『Bakin』が持つ“沼”のような魅力、さらには“ゲーム制作で挫折しないための極意”まで、余すところなく語っていただきました。
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コードを知らなくても、思い描いた世界を現代的なグラフィックで表現できる
――まずはお2人から簡単な自己紹介をお願いいたします。
長井
『Bakin』のチームリーダーをしているスマイルブームの長井と申します。制作の仕様を切ったり、デバックをしたり、マーケティングの戦略を立てたり、PR素材を作ったりと、上流から下流まですべての企画をやっています。自分で手も動かしながら全体を見ているような立場ですね。小人数のチームですので、みんなで全部やるという感じになっています。
祁答院
作家の祁答院慎です。ゲームや舞台、音声コンテンツの脚本、漫画原作などいろいろなお話を書かせていただいております。今日はよろしくお願いします。
――ありがとうございます。では改めて、『Bakin』がどういうツールなのか、その魅力について長井さんからご説明いただけますでしょうか。
――ありがとうございます。では改めて、『Bakin』がどういうツールなのか、その魅力について長井さんからご説明いただけますでしょうか。
長井
『Bakin』は、どなたでもご自身の思い描いた世界をゲームにできる、ゲーム作りを楽しめるツールになっています。RPGを中心にアドベンチャーゲームなども作れますし、ユーザーさんのなかにはFPSやアクションゲームを作る方もいらっしゃいます。
特徴としては、まず“ノーコード”。いわゆるプログラミングなしでゲームが作れるというのが1つの大きな柱になっています。ユーザーさんはプログラミングのコードを書くのではなく、音を出す、絵を出す、選択肢を出すといったさまざまな“イベントパネル”を組み合わせていくことでイベントを作ることができます。ゲームはイベントの集合体ですので、それをノーコードでパネルを組み合わせながら作っていけるところが、本作の魅力の1つとなっています。
もう1つは、高度なポストエフェクトです。3Dならではのライティングですとか、DOF、いわゆる被写界深度。そういったさまざまなエフェクトを手軽に扱えるということも特徴です。これによって、ご自身の思った絵を現代風のグラフィックで作り上げることができるというのが特徴です。
イラストしか描いたことがない人や、思い描いた世界はあってもプログラミングはできない人が、ご自身の世界をゲームとして作る楽しみを覚えていただけるようなツールとなっております。
特徴としては、まず“ノーコード”。いわゆるプログラミングなしでゲームが作れるというのが1つの大きな柱になっています。ユーザーさんはプログラミングのコードを書くのではなく、音を出す、絵を出す、選択肢を出すといったさまざまな“イベントパネル”を組み合わせていくことでイベントを作ることができます。ゲームはイベントの集合体ですので、それをノーコードでパネルを組み合わせながら作っていけるところが、本作の魅力の1つとなっています。
もう1つは、高度なポストエフェクトです。3Dならではのライティングですとか、DOF、いわゆる被写界深度。そういったさまざまなエフェクトを手軽に扱えるということも特徴です。これによって、ご自身の思った絵を現代風のグラフィックで作り上げることができるというのが特徴です。
イラストしか描いたことがない人や、思い描いた世界はあってもプログラミングはできない人が、ご自身の世界をゲームとして作る楽しみを覚えていただけるようなツールとなっております。
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――『サバトの女王』をプレイさせていただきましたが、3Dダンジョンパートやアクションパートもあり、いろいろなことができるんだと驚きました。
長井
カメラを動かせるのが3Dのいいところなので、見下ろしでもできますし、完全なサイドビューのようなものもできますし、おっしゃったような主観視点のゲームもできます。しかも、1つのゲームの中で視点を切り替えたりもできますので、すごく面白いことができるかなと思います。
祁答院
本当に沼ですよね、『Bakin』。できることが多すぎてずっと触っちゃいます。
長井
自分も祁答院さんもお互い寝る時間がかなり減っています(笑)。本当に沼っていて、熱中しながら楽しくゲームを作れます。
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祁答院さんの第一印象は“目の底に謎の情念がある人”
――今回、『サバトの女王』をリビルドすることになった経緯についてお伺いしたいのですが、どうして祁答院さんと一緒に作ることになったのでしょうか?
長井
きっかけは祁答院さんが所属されている“チームグリグリ”のほかのメンバーのかたと弊社がお仕事でお付き合いがあったからですね。そのときに、祁答院さんから「ゲームを作りたいんですよね」という話を伺いました。
僕も祁答院さんとはご縁があって10年前ぐらいに新大久保の韓国料理屋で飲んだことがありました。爽やかなゲームクリエイターの人が来ると聞いていたのですが、実際にお会いしたところ、目の底に謎の情念がある感じだったことを、すごく覚えています。
また、うちのチームの人間が、祁答院さんのデビューのときからお付き合いがあったという縁もありました。
――祁答院さんは1997年がデビューですよね。
僕も祁答院さんとはご縁があって10年前ぐらいに新大久保の韓国料理屋で飲んだことがありました。爽やかなゲームクリエイターの人が来ると聞いていたのですが、実際にお会いしたところ、目の底に謎の情念がある感じだったことを、すごく覚えています。
また、うちのチームの人間が、祁答院さんのデビューのときからお付き合いがあったという縁もありました。
――祁答院さんは1997年がデビューですよね。
長井
ええ。祁答院さんのスタート地点はゲーム制作ツールを使ってのゲーム作りでしたよね。
祁答院
そうなんです……『Bakin』さんのインタビューですが、ほかのツールの名前を出しても大丈夫でしょうか?(笑)
長井
もちろんです(笑)。
祁答院
ありがとうございます(笑)。いわゆる『RPGツクール』シリーズで入った感じです。初めて作ったゲーム『サバトの女王』は『チャイムズクエスト』というツールで作りました。
長井
うちにいる杉内という人間が、当時アスキーに所属しておりまして、その『ツクール』の前身である『チャイムズクエスト』の担当だったんです。それで祁答院さんのデビューにも絡んでいたとか。
祁答院
ええ、そうなんですよ。
長井
祁答院さんご自身は、プログラムも絵も描けないけれど、ゲームを作りたい気持ちは人一倍あってコンテストに応募したんでしたっけ?
祁答院
はい。“アスキーエンタテインメントソフトウェアコンテスト”という企画がありまして、その第2回に応募をしてみたところ、最優秀賞をいただいたのがデビューのきっかけになっています。
長井
その時の担当が杉内だったと。そういうご縁もあって、まさに「プログラムもできないし、絵も描けないけど、気持ちと頭の中に浮かんでる世界はある」という人が、ゲーム制作ツールを使って自分の世界を表現したことこそ『Bakin』ユーザーとすごく合致しているなと。
その人が出発点となって、また制作ツールに戻ってきて、こういうものを作れるんですよと伝えるのが、今回の企画にぴったりだなと思ってお願いすることになりました。
その人が出発点となって、また制作ツールに戻ってきて、こういうものを作れるんですよと伝えるのが、今回の企画にぴったりだなと思ってお願いすることになりました。
自分のなかでの“原点回帰”
――なぜ題材として『サバトの女王』を選んだのでしょうか?
長井
祁答院さんと「じゃあ、何を作りますか」ということになったときに、目の奥がキランと光ったんです。何を持ってくるのかなと思ってしばらく待っていたのですが、そのときに「これなんですけど」と提案されたのが、この『サバトの女王』だったんです。
祁答院
久しぶりにデベロッパーソフトを使って作るのであれば、自分のなかでも“原点回帰”してみたいなという気持ちがありました。いちばん最初に作ったゲームが『サバトの女王』だったので、これを今の価値観で作ってみるとどうなるだろうという興味です。
――魔女狩りなどの題材は同じものの、世界観やキャラクターがガラリと変わっていますね。もとのものをゴージャスにするのではなく、リビルドという形で今の自分ならどういう風になるのか試してみたかったのでしょうか?
――魔女狩りなどの題材は同じものの、世界観やキャラクターがガラリと変わっていますね。もとのものをゴージャスにするのではなく、リビルドという形で今の自分ならどういう風になるのか試してみたかったのでしょうか?
祁答院
はい、そうですね。とはいえ初代の世界をなかったものにするのではなく、きちんと地続きのものと位置付けて制作しています。
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――実際に『Bakin』で作ってみていかがでしたか?
祁答院
何よりやはり、基本的にプログラムのスキルがない人でもパッケージを完成させられるという大きなアドバンテージが『Bakin』にはあると思います。僕が今まで触ってきたデベロッパーソフトは2Dがメインで、3Dも扱えるソフトは今回がはじめて触るぐらいの経験だったんです。
最初は正直「難しそう」というイメージがあったのですが、『Bakin』はすでにたくさんのクリエイターの方が情報発信してくださっていますし、スマイルブームさんでもチュートリアルの動画をたくさん用意してくださるなど、サポート体制が整っていて、非常に作りやすい環境になっていました。
「あ、これは楽しい世界だなあ」と思って、もうこの数カ月はずっと没頭して作っていました。朝に目が覚めて、顔を洗って歯を磨いて、パソコンを立ち上げてエディターを開くという毎日で、学生のときと同じような生活を久しぶりにしてしまいました。
――楽しくてしょうがない、という感じですね。3Dだと、2Dと違って映画的な演出も可能になると思いますが、そのあたりの調整はいかがでしたか?
最初は正直「難しそう」というイメージがあったのですが、『Bakin』はすでにたくさんのクリエイターの方が情報発信してくださっていますし、スマイルブームさんでもチュートリアルの動画をたくさん用意してくださるなど、サポート体制が整っていて、非常に作りやすい環境になっていました。
「あ、これは楽しい世界だなあ」と思って、もうこの数カ月はずっと没頭して作っていました。朝に目が覚めて、顔を洗って歯を磨いて、パソコンを立ち上げてエディターを開くという毎日で、学生のときと同じような生活を久しぶりにしてしまいました。
――楽しくてしょうがない、という感じですね。3Dだと、2Dと違って映画的な演出も可能になると思いますが、そのあたりの調整はいかがでしたか?
祁答院
最初は慣れている2Dライクなキャラクター劇をずっと作っていたのですが、ツールに慣れていくに従ってできることがどんどん増えてきました。
最初は3、4時間ぐらいで1つのイベントを作り終えていたのですが、気付けば1日かけるようになり、次の日には「いや、もうちょっとカメラこだわろう」と2日かけるようになり……ツールに慣れることで、どんどん制作スピードが……早くなるのか遅くなるのかわからなくなってゆきました(笑)。いや、本当に沼です。でも、ずっと楽しかったですね。
最初は3、4時間ぐらいで1つのイベントを作り終えていたのですが、気付けば1日かけるようになり、次の日には「いや、もうちょっとカメラこだわろう」と2日かけるようになり……ツールに慣れることで、どんどん制作スピードが……早くなるのか遅くなるのかわからなくなってゆきました(笑)。いや、本当に沼です。でも、ずっと楽しかったですね。
長井
同じイベントなんですけど、最初は本当に定点で撮ってるようなシーンが、毎回送られてくるたびにどんどんどんどん変わっていくんですよ。「あ、また変わってますね」みたいな感じで。自分も祁答院さんのことは言えませんが、いつ寝てるんだろうと(苦笑)。
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――ストーリーを進めていくとミニゲームが発生しますが、ああいうアイデアも作っているうちに浮かんでくるものなのでしょうか?
祁答院
浮かんでくるのもありますし、キャラ劇を組んでいくなかで、「遊んで面白い」という部分でさらにできることがないかなとチームリーダーの長井さんにご相談させていただくこともありました。
「じゃあこういうのどうですか」とご提案いただいたアイデアも次々に組み込んでいたらものすごいことになってしまいまして……。
「じゃあこういうのどうですか」とご提案いただいたアイデアも次々に組み込んでいたらものすごいことになってしまいまして……。
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長井
最初にキャラ劇を見るシーンが長く続いていたので、少しアクセントが欲しいというアドバイスをしました。途中でドキドキするシーンを、字や絵だけじゃなくて、プレイ感でも与えてあげた方がいいんじゃないかと。
とくに、焼き討ちをされて逃げていくシーンは、彼女が孤独になって1人で変わっていかなきゃいけないというシーンなので、ああいうところで何かゲーム的な手法ができないかなと考えました。
「アクションみたいなゲームを入れてみたらどうか」という話からディスカッションさせていただいて。「そんなに難しくないことだったら、こういうことができますよ」というのを祁答院さんにお伝えして、セッションしながら作っていったという感じです。
――実際に作ってみて、『Bakin』の細かいところで「ここがいい」と感じた部分はありますか? 個人的にはプレイしていて光の演出などが印象的でした。
とくに、焼き討ちをされて逃げていくシーンは、彼女が孤独になって1人で変わっていかなきゃいけないというシーンなので、ああいうところで何かゲーム的な手法ができないかなと考えました。
「アクションみたいなゲームを入れてみたらどうか」という話からディスカッションさせていただいて。「そんなに難しくないことだったら、こういうことができますよ」というのを祁答院さんにお伝えして、セッションしながら作っていったという感じです。
――実際に作ってみて、『Bakin』の細かいところで「ここがいい」と感じた部分はありますか? 個人的にはプレイしていて光の演出などが印象的でした。
祁答院
そうですね、エフェクトもそうですし音楽もイラストも、サンプル素材が非常にクオリティの高いものがたくさん用意されていますので、ゲームを作り始めたいと思った方がすぐに形にできるのは素晴らしいなと感じました。自分の中で気に入っている要素は、やっぱり“カメラ”の存在ですかね。
カメラを使うと、キャラクターの表情だったり、思っていることの表現力が格段に上がります。たとえば、キャラクターの深層心理を少し出すためにちょっとアップにしてみたりと、そういう表現を盛り込むことができます。
カメラを使うと、キャラクターの表情だったり、思っていることの表現力が格段に上がります。たとえば、キャラクターの深層心理を少し出すためにちょっとアップにしてみたりと、そういう表現を盛り込むことができます。
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――カメラのアングルを変えるといった操作も簡単にできるのでしょうか?
祁答院
僕でもできるようになったので簡単だと思います(笑)。最初は僕も怖がって触ってなかったのですが、我慢できずに触れ始めたら大変なことになりました。「これは何でもできるぞ」「演出を強化できるぞ」ということに気づいてしまって……。
――キャラクターがジャンプできるというのも、ほかのRPG制作ツールではあまり見ない機能ですね。
――キャラクターがジャンプできるというのも、ほかのRPG制作ツールではあまり見ない機能ですね。
長井
ジャンプはゲームを作るうえですごい鬼門でもあるんです。ジャンプがあるせいで行っちゃいけないところに行けちゃうとか、ジャンプの高さを変えることでステージの作りを変えなきゃいけなくなったりとか、いろいろなアクシデントが起きます。
実際、今回の『サバトの女王』にもあって、あるアクションシーン用に調整したジャンプ力だと、その前のシーンで建物を次から次へと飛び越えて行っちゃうんです。おてんばがすぎるぞと(笑)。
――(笑)。祁答院さんは今回『サバトの女王』を作り上げて、次に『Bakin』で何か作ってみたいものはありますか?
実際、今回の『サバトの女王』にもあって、あるアクションシーン用に調整したジャンプ力だと、その前のシーンで建物を次から次へと飛び越えて行っちゃうんです。おてんばがすぎるぞと(笑)。
――(笑)。祁答院さんは今回『サバトの女王』を作り上げて、次に『Bakin』で何か作ってみたいものはありますか?
祁答院
いろいろできることが技術的にも増えて、『Bakin』でのスキルも上がっているので、まずはこの『サバトの女王』の続きを作ってみたいですね。また、これだけやれることがたくさんあるので、アクションゲームも作ってみたいなと思いました。
――『Bakin』はRPG制作がメインのツールですが、ほかのジャンルも作ろうと思えば作れてしまう感じなんですね。
――『Bakin』はRPG制作がメインのツールですが、ほかのジャンルも作ろうと思えば作れてしまう感じなんですね。
長井
RPGはアクションRPGやダンジョンRPGなど、いろいろなゲームのベースになるジャンルだと思うんです。そのため、機能を組み合わせていただくことで、いろいろなゲームに挑戦できるような仕組みになっています。
実際、最初のほうはRPGではなくてアクションを作る人が多かったですね。RPGの制作は時間がかかるので、早く試せるアクションでおもしろいいことをやってみようという方が多かった印象です。
実際、最初のほうはRPGではなくてアクションを作る人が多かったですね。RPGの制作は時間がかかるので、早く試せるアクションでおもしろいいことをやってみようという方が多かった印象です。
挫折しないコツは“自分の好きを詰め込んだキャラクターを生み出すこと”
――これから『Bakin』を使ってゲームを作ろうという人もたくさんいると思うのですが、そういった方々へ祁答院さんからアドバイスをいただけますか? RPGを作ろうと思って始めても、頓挫してしまう人は多いと思うのですが、そうならないようなコツがあれば教えてください。
祁答院
そうですね……。まず最初は“自分の好きを詰め込んだキャラクターを生み出すこと”ですかね。心から愛せる自分のキャラクターというのは、本当に継続してモノを作っていくうえで強力な推進力になってくれます。ちょっと疲れたなとか、ちょっと怠けたいなと思ったときに、一番強く応援する味方になってくれる、その子たちです。
世界観から作ってみるのもいいんですが、広がり出すと収集がつかなくなって、まとめるのに苦労して心が折れてしまうこともあるかもしれません。そのため、まずは何よりも「自分の大好きな要素を詰め込んだキャラクター」を立てるのが一番大事だと思います。
設定をテキストファイルで書いてみるのもいいですし、僕みたいに落書きでもいいからキャラクターの絵を描いてみるのもいいですね。具体的な第一歩としては、その子のドット絵を書いてみるといいかと思います。愛着もどんどん湧いていきますから。
ドット絵の基礎とか技術的な知識などはいろいろありますが、そういうのはいったん置いておいて、とにかくまずはパッションで描いてみるのがいいかな。キャラクターが左右対称とか、綺麗になっていなくてもいいので、仕上がったらそのドットキャラをまず『Bakin』に組み込んでみて、ゲームのキャラクターとしてこの世に誕生させてみる……これができれば、もうあとは完成したも同然かなと思います。
キャラクターをゲームキャラとして生み出したという感動体験があれば、そこから進めていけますし、応用で作り続けていけると思います。
世界観から作ってみるのもいいんですが、広がり出すと収集がつかなくなって、まとめるのに苦労して心が折れてしまうこともあるかもしれません。そのため、まずは何よりも「自分の大好きな要素を詰め込んだキャラクター」を立てるのが一番大事だと思います。
設定をテキストファイルで書いてみるのもいいですし、僕みたいに落書きでもいいからキャラクターの絵を描いてみるのもいいですね。具体的な第一歩としては、その子のドット絵を書いてみるといいかと思います。愛着もどんどん湧いていきますから。
ドット絵の基礎とか技術的な知識などはいろいろありますが、そういうのはいったん置いておいて、とにかくまずはパッションで描いてみるのがいいかな。キャラクターが左右対称とか、綺麗になっていなくてもいいので、仕上がったらそのドットキャラをまず『Bakin』に組み込んでみて、ゲームのキャラクターとしてこの世に誕生させてみる……これができれば、もうあとは完成したも同然かなと思います。
キャラクターをゲームキャラとして生み出したという感動体験があれば、そこから進めていけますし、応用で作り続けていけると思います。
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――物語やシステムから考えるのがポピュラーだと思いましたが、キャラクターから入って自分のモチベーションを上げていくというのは、祁答院さんらしくて面白いです。
祁答院
まあ、アドバイスというより、僕の場合はという話ではあるんですけどね(笑)。自分の愛せるキャラクターが生まれれば、世界観などはあとからついてくると思います。いちばん大事なのはやっぱり「この子をなんとか世に出してあげたい」という想いなのかなと。
長井
そこがしっかりしていたからこそ、今回の制作もスムーズだったのかなと思います。最初にプロットをいただいたときに期間や技術的なことで内容が伸びたり縮んだりしたのですが、祁答院さんのなかに“表現したいキャラクター”という芯がしっかりあったので、周りの部分を柔軟に変えることができました。「ここはなくても問題ないですね」とか「ここは足しましょう」とか、ブレずに制作する様子がわかりました。
気がつけば僕のそばにホラーがあった
――愛するキャラクターを作るという祁答院さんですが、一方でホラーのゲームを作ることが多いのでそんなキャラクターたちが酷い目に遭うことも多いですよね(笑)。祁答院さんのホラー好きはどこからはじまったのでしょうか?
祁答院
気が付けば僕のそばにホラーがあったという感じです(笑)。昔はテレビの地上波で普通にホラー映画も放送していて、それを見た小学生の祁答院はたいへん衝撃を受けたんです。
そのときにちょうど劇場でやっていたのが『死霊のはらわた』だったのですが、小学生1人だと映画が観れなかったんです。ただ、パンフレットだけでもどうしても欲しいと思って、販売員のお姉さんに「お兄ちゃんに頼まれたんで、買いに来ました」と言って売ってもらいました、あのときの店員さんの目は今でも忘れられません(笑)。
――きっとバレていたでしょうね(笑)。
そのときにちょうど劇場でやっていたのが『死霊のはらわた』だったのですが、小学生1人だと映画が観れなかったんです。ただ、パンフレットだけでもどうしても欲しいと思って、販売員のお姉さんに「お兄ちゃんに頼まれたんで、買いに来ました」と言って売ってもらいました、あのときの店員さんの目は今でも忘れられません(笑)。
――きっとバレていたでしょうね(笑)。
祁答院
そう思います(笑)。パンフレットを買って帰ってきて、“見てはいけない本”にドキドキしながら、親の目を盗んで部屋に閉じこもってこっそり見て、出かけるときにはベッドの下に隠して……みたいな、そんな少年でした。ホラーの魅力は、改めて振り返ると“非日常に飛び込む開放感”なのかなと思います。
ほかのジャンルのエンターテイメントでも味わえるんですが、とくにホラーは、日常ではありえないような破滅的な世界観に主人公と一緒に放り出されることが多いです。いわゆる“安全なお化け屋敷”を探検して、ちゃんと安全な日常に戻ることができると確定している、そんなスリルを味わう楽しみかなと思います。
ほかのジャンルのエンターテイメントでも味わえるんですが、とくにホラーは、日常ではありえないような破滅的な世界観に主人公と一緒に放り出されることが多いです。いわゆる“安全なお化け屋敷”を探検して、ちゃんと安全な日常に戻ることができると確定している、そんなスリルを味わう楽しみかなと思います。
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――ホラーは“小中理論”のような基礎がありつつ、最近では白石晃士監督の作品のようなそのルールに囚われないものも増えてきている印象です。祁答院さんは最近のホラーは表現も進化していると感じますか?
祁答院
表現の手法としては、本当に多岐に渡り始めているなというのは感じています。現実に起こっているように見せるモキュメンタリーという手法も面白いですし、白石監督の作品のように最初はホラーを見ていたはずなのに後半は「何を見せられているんだろう」みたいな展開になるものも魅力的ですよね。
いまやよく言われるワードではありますが、ホラーとギャグは紙一重、というのは本当で、そのギリギリを攻めたような作り、規格外の作品を見るたびに、僕も手を叩いて喜んでいます。
いまやよく言われるワードではありますが、ホラーとギャグは紙一重、というのは本当で、そのギリギリを攻めたような作り、規格外の作品を見るたびに、僕も手を叩いて喜んでいます。
制約のなかでの最大限の表現を突き詰めるのも楽しい
――『Bakin』を使えば、ホラー表現も新しいことができそうな感じはしましたか?
祁答院
そうですね。たとえばデカール機能で赤い液体をバシャッとかけるような表現もできるのですが、今回はスマイルブームさんの土壌なので、それは過激すぎるので自重しました(笑)。
長井
最初に祁答院さんには「ホラー的なものでもぜんぜん構わないのですが、一応弊社は“スマイルブーム”という笑顔をみんなに届けるという方針なので、血がドバッとか、首がドバッとか、そういうリアルに見えちゃう感じのもはちょっと避けたいんですよね」というお話をしました。
笑顔で「なるほど」と答えてくださって。本当に納得してくれてるのかなと心配だったのですが、できあがってきたものは大丈夫だったので安心しました(笑)。
笑顔で「なるほど」と答えてくださって。本当に納得してくれてるのかなと心配だったのですが、できあがってきたものは大丈夫だったので安心しました(笑)。
祁答院
(笑)。できる範囲のなかで最大限の表現を突き詰めるのがやっぱり楽しいんですよね。
長井
確かに仰っていましたね。“血を出さなきゃ怖いわけじゃない”じゃないから、実際的な表現じゃないところで、どういうふうに「ああ、やだな」、「怖いな」と思わせられるようにしたいと。
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祁答院
“笑顔を届ける”というコンセプトは僕も本当に素敵なものだなと共感しておりますし、今回ホラー表現に気を遣うという課題を前にしても、“作りづらいな”とか“足枷があるな”と思ったことは一回もありませんでしたね。ちゃんとノリノリで、楽しんで作らせていただいているんです。
長井
祁答院さんは“ゲーム作りを楽しいと思う人を1人でも増やしたい”という僕の熱意に賛同していただきました。すごい楽しんでやっていただけたと聞いてうれしいです。
祁答院
デベロップソフトというのは僕の原点で、昔の楽しかった思い出や、ゲーム作りに引き寄せてもらった経験が詰まっています。物作りを始めるきっかけを支援されているスマイルブームさんのスタイルが本当に素晴らしいなと思っていて、僕に何かできることがあれば、というところで臨ませていただきましたね。
手を動かしていれば、それが自分の安心感にもなる
――制作中は孤独な作業になることも多いと思いますが、スランプからの抜け出し方のようなものはありますか?
祁答院
煮詰まってアイデアが出尽くしてカラカラになるというのは、物書きの作家の方であれば誰でも経験すると思いますが、そういうときはぜんぜん違うことを始めてみるのもいいかと。ポロッと詰まっていた部分のアイデアが降りてくることもあります。
それでもアイデアが降りてこないときは、もうあきらめて書き続けています。書き続けていればだいたい先に光が見えますし、手を動かしていればそれが自分の安心感にもつながります。作業が止まっているとプレッシャーが積み重なってどんどんつぶれていっちゃうので、手を動かすっていうのも(スランプを脱出する)1つの方法かなとは思いますね。
――『Bakin』はユーザーコミュニティも広がりつつあると思いますが、現状について長井さんはどのように感じていますか?
それでもアイデアが降りてこないときは、もうあきらめて書き続けています。書き続けていればだいたい先に光が見えますし、手を動かしていればそれが自分の安心感にもつながります。作業が止まっているとプレッシャーが積み重なってどんどんつぶれていっちゃうので、手を動かすっていうのも(スランプを脱出する)1つの方法かなとは思いますね。
――『Bakin』はユーザーコミュニティも広がりつつあると思いますが、現状について長井さんはどのように感じていますか?
長井
今年の8月に正式版をリリースしてから、本当にありがたいことに、日々SNSの発信や届くお問い合わせの数などでユーザーさんが国内外で増えていることを感じています。
イベントに出展したときも、今まではこちらから声をかける感じだったものが、『Bakin』を狙って見に来てくれたり、ほかの出展者さんが手が空いたタイミングで観てくれたりといったことが増えたなと如実に感じていますね。
あと『Bakin』で作ったゲームを出展してくださる方も増えてきました。出展された方にお話を聞くと、ゲームの専門学校に行っていたわけではなく、イラストを描いていたけどゲームは作れないと思っていたところに、『Bakin』が出たので挑戦してみたら完成させることができたと仰っていて、本当にさまざまな層に広がってきているなと実感しています。
――『Bakin』の広がりはユーザーコミュニティの力も大きいですか?
イベントに出展したときも、今まではこちらから声をかける感じだったものが、『Bakin』を狙って見に来てくれたり、ほかの出展者さんが手が空いたタイミングで観てくれたりといったことが増えたなと如実に感じていますね。
あと『Bakin』で作ったゲームを出展してくださる方も増えてきました。出展された方にお話を聞くと、ゲームの専門学校に行っていたわけではなく、イラストを描いていたけどゲームは作れないと思っていたところに、『Bakin』が出たので挑戦してみたら完成させることができたと仰っていて、本当にさまざまな層に広がってきているなと実感しています。
――『Bakin』の広がりはユーザーコミュニティの力も大きいですか?
長井
そうなんです。ユーザーのみなさんが本当に優しくて、SNSやDiscordを見ても、初心者の方の質問に真摯に答えてくださる方がたくさんいらっしゃるんです。
僕らだけの力ではなく、ユーザーさんも一緒になって新しい仲間をどんどん増やしていくということがすごく大事なんだなと、私自身ゲーム制作ツールを初めて作ってみて感じました。
ユーザーさんも一緒になって『Bakin』でゲームを作ることを楽しむ人を増やそう、と動いてくださっているのが、今すごく嬉しいし、日々やる気を出させてくれる要因の1つになってます。
ユーザーさんが“毎月18日は“#プレミアムバキンデー”いうのものを作って、SNS上でご自身の作品を紹介してくれているのですが、そこで見たことがなかったような作品が次々と発掘されていて、すごく盛り上がっています。そういうコミュニティの力に助けていただきながら、私たちもコミュニティの一員として、このゲーム作りの楽しさを広げていければなと思っています。
僕らだけの力ではなく、ユーザーさんも一緒になって新しい仲間をどんどん増やしていくということがすごく大事なんだなと、私自身ゲーム制作ツールを初めて作ってみて感じました。
ユーザーさんも一緒になって『Bakin』でゲームを作ることを楽しむ人を増やそう、と動いてくださっているのが、今すごく嬉しいし、日々やる気を出させてくれる要因の1つになってます。
ユーザーさんが“毎月18日は“#プレミアムバキンデー”いうのものを作って、SNS上でご自身の作品を紹介してくれているのですが、そこで見たことがなかったような作品が次々と発掘されていて、すごく盛り上がっています。そういうコミュニティの力に助けていただきながら、私たちもコミュニティの一員として、このゲーム作りの楽しさを広げていければなと思っています。
子どもを送り出す気分
――今回制作された『サバトの女王』は、どのような形で提供されるのでしょうか?
長井
ゲーム単体としては、弊社の公式サイトで無料で配布します。そして、ゲームプロジェクト、いわゆるその中身は、『Bakin』の中にサンプルプロジェクトとして組み込みます。そのため、『Bakin』をご購入いただいた方は、その中を見てどういう風に作られているのかを確認したり、今回新たに作ったキャラクターの絵やサウンドといったアセットもすべて無料で使っていただけるという形になります。
祁答院
こうやって作り上げたキャラクターをユーザーの方が自由に使って、新しいものを作ってくれる未来があれば、本当に楽しみです。主人公のファルミアを使った新作のストーリーがもしアップされたりしたら、僕はもう涙を流して喜びますよ。
長井
今回、祁答院さんはもちろん、キャラクターデザインの白羽先生(白羽奈尾さん)も、サウンドの濱本さん(濱本麻央さん)も、ユーザーさんが素材を利用できるようにすることについてお話したときに、みなさん“全然いいですよ。これを元にまた新たな世界が広がるのが面白い”という形で参加していただきました。ファルミアとご自身で作ったキャラクターが絡んでるような話とか、そういうものをみなさんに作っていっていただけるのが楽しみです。
祁答院
もう、子どもを送り出す気分です。「みなさんに可愛がってもらうんだよ」と思いながら。まぁ、作者が一番ひどい目に遭わせてますけど(笑)。
長井
デバッグを担当したうちのメンバーが、最初に返してきた感想が「ひどい話ですね」でした。「いい意味で」と言ってましたけど(笑)。
祁答院
まあ、ここからですね。本作はキャラクターの内面を描き出すことに注力した本当に序章ですので。ここからあの子たちがどうなっていくか楽しみです。
――これからプレイするユーザーに向けて、見どころを教えていただけますか?
――これからプレイするユーザーに向けて、見どころを教えていただけますか?
祁答院
僕が作っていた『コープスパーティー』というゲームがあるんですが、あの作品にも見られたようなキャラクターの動かし方だったり、感情の表現だったり、同じ演出手法でキャラ劇を仕上げています。「ああ、こういう表現でこのキャラクターの感情を出そうとしてるんだな」とか、『Bakin』のエディターでイベントの組み方などを見ていただけるとわかると思うので、そのあたりの愛情が伝わるといいなと思います。
――ありがとうございます。では、最後に読者へメッセージをお願いします。
――ありがとうございます。では、最後に読者へメッセージをお願いします。
長井
今回の12月17日のアップデートでは、『サバトの女王』が入るのが一番大きな部分ですが、ほかにも控えメンバーの活用の幅を広げる仕組みなど、さまざまな機能を追加しました。そして、『Bakin』としては初の20%オフセールもやっていますので、この機会にぜひ試していただきたいなと思います。
とにかく、自分の思い描いたキャラクターですとか世界をゲームにしたい、という欲をちょっとでも持ったことがある方は、ぜひ『Bakin』でのゲーム作りにトライしてみてください。本当にゲーム作りは楽しいので、その経験をした人を1人でも増やす、これが『Bakin』をやっているモチベーションです。ぜひ、みなさん体験してみてください。
とにかく、自分の思い描いたキャラクターですとか世界をゲームにしたい、という欲をちょっとでも持ったことがある方は、ぜひ『Bakin』でのゲーム作りにトライしてみてください。本当にゲーム作りは楽しいので、その経験をした人を1人でも増やす、これが『Bakin』をやっているモチベーションです。ぜひ、みなさん体験してみてください。
祁答院
『サバトの女王 Queen of the Sacrifice.』は、自分の創作の原点に向き合うことができた、愛情いっぱいのゲームになりました。ぜひみなさん遊んでみてください。そして、『RPG Developer Bakin』をよろしくお願いします。自分の想像を表に出して、この世界を面白くしましょう。