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『BrokenLore』シリーズ開発者が語る、4年の構想から生まれた作品『UNFOLLOW』へのこだわりと思い入れ【電撃インディー#1231】

文:sexy隊長

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 電撃オンラインが注目するインディーゲームを紹介する電撃インディー。今回は、Serafini Productionsが開発し、松竹がパブリッシャーを務める2026年1月16日に発売予定の一人称視点のホラーアドベンチャーゲーム『BrokenLore』シリーズ最新作『BrokenLore: UNFOLLOW』の開発者インタビューをお届けします。

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 現代社会の多様な"不安"をテーマに、独自のホラー世界を構築するインディーゲームシリーズ『BrokenLore』。その最新作となる『BrokenLore: UNFOLLOW』は、SNSに潜む心の闇を鋭く描き出します。

 今回、先行試遊会の開催にあわせ、シリーズの生みの親であるセバスチァーノ・セラフィニー氏へのインタビューを実施。構想から4年、シリーズの原点ともいえる本作に込められたメッセージ、実在のインフルエンサーを起用した意図、そして壮大な『BrokenLore』ユニバースの未来とは。その核心に迫ります。

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▲開発者:Sebastiano Serafini(セバスチァーノ・セラフィニー)氏

 なお、電撃オンラインは、尖っていてオリジナリティがあったり、作り手が作りたいゲームを形にしていたりと、インディースピリットを感じるゲームをインディーゲームと呼び、愛を持ってプッシュしていきます!




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他人と比較してしまうSNSの悩みが本作のテーマ【BrokenLore: UNFOLLOW】


――本日はお時間をいただき、ありがとうございます。『BrokenLore』シリーズは現代社会の不安を描いていますが、今回「SNSの闇」というテーマを選んだきっかけは何だったのでしょうか?

 インフルエンサーの友人が何人かいて、彼らの悩みを聞いたことがきっかけです。それをテーマにしようと思いました。

――実体験が元になっているのですね。

 そうですね。実際にこのゲームにも出てくるアキさん(Akidearest氏)のようなインフルエンサーを他のインフルエンサーではない人が、自分と比較してしまう……といった悩みを聞いて、このテーマをホラーゲームという形で表現すれば伝わりやすいのではないかと考えました。

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永遠に終わらない承認欲求というリアルな恐怖


――本作にはアキディアレスト氏(Akidearest)やナイト氏(Knite)など、実在するインフルエンサーが出演されています。架空のキャラクターではなく、彼らを起用した狙いはどこにあるのでしょうか?

 実際にその仕事をしている人が演じることで、よりリアルに伝わると思ったからです。彼らが日々感じている悩みを、想像ではなく、現実のものとして描きたかったのです。このシリーズは、いじめなどをテーマにした過去作もそうですが、常にリアルな恐怖を追求しています。

――インフルエンサーの方々と作業をする中で、彼らのSNSに対する考え方や体験談が、ゲームの脚本や演出に影響を与えた部分はありますか?

 はい、ありました。例えば、フォロワーが少ないインフルエンサーも、大きな影響力を持つインフルエンサーも、意外と同じような悩みを抱えていました。

――具体的にはどのような悩みでしょうか。

 フォロワーが増えれば増えるほど、目指すところがどんどん大きくなっていく、というものです。「フォロワーが1万人になればいいな!」と思っていたのが、実際に達成すると「次は10万人がいいな!」となってしまう。

 まるで、ゲーム内で主人公アンの家に現れる、いくら食べても食欲が満たされないミミズ人間のようです。

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――終わりのない“承認欲求”ということですね。

 もちろんすべてのインフルエンサーがそうだというわけではありません。しかし、つねに自分より少し上の人を目指し、そこに到達するとさらに上の人を見てしまう。いつも比較をしてしまうから永遠に終われない……といったインフルエンサーもいます。

 承認欲求が止まらなくなってしまう。そういったリアルな体験談が、本作には反映されています。

タイトルへのこだわり


――タイトルである『UNFOLLOW』についてお伺いします。これはSNSのフォローを外すという意味の言葉ですが、このタイトルに決めた理由は何でしょうか?

 まず、主人公の名前が「アン(Anne)」で、“アン”を“フォロー”で“アン・フォロー(UNFOLLOW)”になります。

 そして、彼女の母親は「ロー(LOW)」という名前です。以前リリースした『LOW』というタイトルと同じですね。つまり、『LOW』、『FOLLOW』、『UNFOLLOW』と、タイトルが繋がっているんです。

――なるほど!

 『FOLLOW』というゲームと『UNFOLLOW』には、ほとんどのプレイヤーの方々がまだ気づいていないかもしれない、一つの大きな違いがあります。それは、今後の作品をプレイしていくことで明らかになるかもしれません。

クリーチャーは、怖いというより“かわいそう”

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――本作に登場するクリーチャーは、恐ろしいと同時にどこか悲哀を感じさせます。これらのクリーチャーは、主人公アンの心理やトラウマを具現化したものなのでしょうか?

 そうですね。怖いというより「かわいそう」だと感じていただけたなら、嬉しいです。アンの心理状況やトラウマが具現化した存在です。

――というと、アンの内面世界を描いているということでしょうか?

 はい。例えば、いじめられている側から見ると、相手がどんな風に見えるのか。もしかしたら、ゲームの中ではクリーチャーとして見えている存在も、実際は人間なのかもしれません。このあたりは、ぜひゲームをクリアして確かめてみてください。

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『BrokenLore』シリーズは『UNFOLLOW』から始まった物語


――シリーズを通して、シュールレアリズム的な世界観とリアルな現代風景が混在したアートスタイルが特徴的です。インスピレーションを受けた作品やアーティストはいますか?

 『BrokenLore』は日本のフォークロア、特に江戸時代の浮世絵のような昔のイラストから影響を受けています。

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――『UNFOLLOW』の舞台は海外の学校や家のように見えますが、舞台設定へのこだわりを教えて下さい。

 実は、『UNFOLLOW』はシリーズの中で一番最初に開発を始めた作品なんです。ここから全てが始まりました。

 その後、自分が日本に住んでいることもあり、日本のほうがよりリアルな舞台設定ができると感じたので、日本を舞台にした作品が多くなりました。

 多分これからも日本を舞台にした『BrokenLore』の作品が増えていくと思います。先日発表した『BrokenLore: ASCEND』も東京タワーを登っていく作品になっています。ちなみに実際に東京タワーにライセンスを貰って制作しました。


――今後のシリーズ展開も楽しみです!

 ただ、日本だけではなく今後はウクライナを舞台にしたゲームも作っていますし、いつかはイタリアのシチリアか、ベネツィアでもやる予定です。世界中のさまざまな場所で、いろいろなストーリーを語っていきたいですね。

実は未発表作品が登場している!?


――本シリーズは各作品が独立しつつ、全体を繋ぐ謎があるとのことですが、他作品との関連性や隠し要素について、教えていただける範囲でヒントはありますか?

 たくさんありますよ。例えば、ゲーム内の特定の場所へ行くと、過去作である『DON’T WATCH』の要素があったり、まだリリースされていないゲームのワンシーンがちょっとだけ見えたりします。現時点では何も分からないと思いますが、次回作をプレイすると分かるような仕掛けになっています。

 特に病院の最初の部屋には、他のゲームの情報がたくさん隠されていますね。

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――細かい部分まで探す楽しみがありますね。

 はい。特にシークレットエンディングを見ると、シリーズ全体のメインストーリーに繋がるヒントがもう少しだけ明らかになります。『UNFOLLOW』に限った話ではなく、『LOW』も『DON'T WATCH』もシークレットエンディングを見るとメインストーリーと繋がるようになっています。

 ただ、何よりも大事にしているのは、一つの作品をプレイしただけでも、そのストーリーに完全に満足できることです。シリーズを追いかけても、単体で遊んでも楽しめるように作っています。

インディーズならではの“自由度の高さ”


──驚異的なハイペースでリリースが続いていますが、複数のタイトルを並行して開発されているのでしょうか?

 そうですね。実は1つ作品を完成させると、その経験や資産が次の作品に生かせるので、制作自体はどんどんやりやすくなっていくんです。例えば、メニュー画面のシステムや翻訳データなどは、他の作品でも流用できるという利点があります。

 また、以前“視界(POV)が狭い”というご意見をいただいたことがあったのですが、そうしたプレイヤーの皆さんの声をすぐに次の作品で改善できるのも、ハイペースで制作している強みですね。何より、信頼できるチーム作りができていることが一番大きいです。

──リリースされるごとにプレイしやすく進化しているんですね。

 ちなみに、私個人としては、永遠にストーリーを書き続けています(笑)。

 それこそ毎週のように新しい物語を生み出しています。 制作の流れとしては、まずストーリーが完成し、それを翻訳し、ボイスレコーディングへ進む。それが終わるとカットシーンや音楽制作に入る……といった具合に、各工程が段階的に動いています。かかわっているメンバーは基本的にいつも一緒なので、それぞれが“今の『BrokenLore』”の作業をしているか、“次の『BrokenLore』”の準備をしているか、という違いで並行して動いているイメージですね。

 インディーズならではの“自由度の高さ”も開発スピードに繋がっています。大きな会社だと何かを決めるたびに承認プロセスが必要になりますが、私たちはやるかやらないかの取捨選択を即座に自分たちで決められますから。

 たとえセリフが完成していても、必要ないと思えば1ページまるごとカットすることさえあります。でも、そのカットしたセリフが永遠に消えるわけではありません。『BrokenLore』シリーズは登場人物が他の作品にも登場したりと世界観が繋がったりしているので、別の作品でそのセリフが使われる可能性も全然あるんです。無駄になるものは何もない、それがこのシリーズの面白いところですね。

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注目ポイントは過去作の5倍あるボリューム


――インタビューも終盤になりますが、『BrokenLore: UNFOLLOW』の一番の注目ポイントを教えてください。

 注目ポイントは、過去作の『Don’t Watch』や『LOW』などと比べて、ボリュームが約5倍あります。そしてボリュームがあるので、主人公であるアンのストーリーを掘り下げています。彼女がなぜ今のようになってしまったのか、その背景が明らかになります。

――プレイヤーには、アンの物語を深く味わってほしい、ということでしょうか?

 その通りです。インベントリがスマートフォンになっていたり、食べ物を拾うとカロリーが表示されたり、つねにフォロワー数の増減が表示されたり。そういった細かい演出は、プレイヤーがアンという人物に近づき、感情移入するための仕掛けです。彼女の経験を追体験することで、より深く物語を楽しめるはずです。

 ただ、同じストーリーでも受け取る人によっては違う感じ方をすると思います。例えば、アンにとってインフルエンサーのアキディアレスト氏は完璧で理想的な人生を歩んでいるように見えるが、実際はどうなのか? その人自身にならないと見えない部分があると思うんですよ。

 そういった深い部分も感じ取って、注目してもらいたいポイントです。

映画化を期待したい!

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――最後に、ユーザーの皆様へ一言お願いします。

 いつも『BrokenLore』シリーズを応援してくれて本当にありがとうございます。今回の『UNFOLLOW』は、ボリュームもたっぷりあるので、じっくりと楽しんでいただきたいです。そして、この物語が皆さんの心に届くことを願っています。

――本作はシリーズの原点でもあるそうですね。

 はい。構想から4年、この作品から全てが始まりました。当時はUnreal Engineのことすら知らなかった自分が、ここまで来られたのは感慨深いです。特にリリース初日からコンソール版と同時に発売するなんて、昔なら考えられないぐらいありえない話だった。それだけに、とても思い入れのある作品です。

――ストーリーに定評がある『BrokenLore』シリーズなので、ゆくゆくは映画化なども期待してしまいます!

 そうなるように、ストーリーをどんどん書いていきたいと思います。『BrokenLore』の物語はまだまだ続きますので、これからも応援よろしくお願いします。

――本日は貴重なお話をありがとうございました。

『BrokenLore: UNFOLLOW』公式トレーラー

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