三つ子の魂百までと言われますが、幼少期に限らず、ゲームで遊んだ思い出は脳に深く刻まれるもの。
何年、何十年たっても、「なんでこんなこと覚えてるんだろ…」と愕然とするような記憶が残りがちでして。
そんな脳のメモリ(記憶・容量)を無駄づかいしている例を語ります! 今回は、日本では2023年10月26日にリリースされた『リバース:1999』について語ります。
何年、何十年たっても、「なんでこんなこと覚えてるんだろ…」と愕然とするような記憶が残りがちでして。
そんな脳のメモリ(記憶・容量)を無駄づかいしている例を語ります! 今回は、日本では2023年10月26日にリリースされた『リバース:1999』について語ります。
索引
閉じるソシャゲの入り口が読書だった私にとっての、運命的な出会い【リバース:1999】
小さい頃から、私は本を読むことが何より好きだった。そんな私がソーシャルゲームに手を出すきっかけとなったのは『あんさんぶるスターズ!』。メインシナリオライターがライトノベル作家・日日日先生だったからだ。学生の頃から私は、『ちーちゃんは悠久の向こう』や『狂乱家族日記』などのライトノベルを愛読していたから、感慨もひとしおだった。
やがて、ソーシャルゲームがコンテンツの中心のひとつに据えられるようになった。そのなかでも、実在の英雄や文豪を“擬人化”した作品が増えていった。シェイクスピアやアンデルセンが登場する『Fate/Grand Order』のほかにも、『文豪とアルケミスト』など、「文学作品を知っていると面白い」と思えるようなゲームはいくつかある。
ただ、いままでやってきたソーシャルゲームとは段違いに“本好き”を引き寄せる力を持っていたのは、『リバース:1999』だった。
『リバース:1999』では、ゲーム作中でフィッツジェラルドの『グレート・ギャツビー』が引用される
本格ミステリ小説やライトノベルを読んでいると、冒頭に有名な文学作品(小説や詩)が引用されることがある。これは“エピグラフ”と呼ばれる技法で、私はこれをきっかけに海外文学を読むようになったくらいに好きだ。
『リバース:1999』でも、ゲームの途中で有名文学作品の引用が挟まる。『リバース:1999』が独特のSF的世界観なのもあいまって、メフィスト賞受賞作品を読んだときのような引き込まれ方をした。「きっと、私が好きな文学作品を、同じように好きな人たちが作っているゲームなんだ!」と教えてくれる。
ソーシャルゲームというゲームの仕組みは、私にとっては「終わりが見えない物語を追いかける」博打みたいなものだ。「物語を追いかけたい」と思えないと、ファンになるのは難しい。そんな中で、『リバース:1999』は颯爽と“物語”への信頼を見せてくれる。文学を愛する同志であると、証明してくれる。
各章のタイトルが書名になっている!
『リバース:1999』の各章のタイトルは、世界的文学作品に由来する。
『われらの時代』はヘミングウェイ、『夜はやさし』はフィッツジェラルドの著作だ。イベントのストーリータイトルも書名由来で、「なんか倫理とか文学史とかで勉強した気がするけど、読んだことないかも……」という名著が目白押しだ。
細かいネタとして、文学作品が使われていることも多い。サブクエストの敵キャラの能力が『そして誰もいなくなった』(『そして誰もいなくなった』は、アガサ・クリスティが書いた古典ミステリ)。
モブキャラだって、マーク・トウェインを引用してくるくらいである。こんな反社組織の人間も読書家なのは、ちょっと面白い……。
難解な内容に翻弄されながら読むシナリオ
どの章のイベントも好きな演出があるが、中でも群を抜いてわくわくしたのは、第8章“狂気と非理性”だ。
第8章“狂気と非理性”は、ミシェル・フーコーの『狂気の歴史』の初期タイトルから名前が取られている。また、フーコーが著作で説明に用いた“パノプティコン”という概念も、第8章“狂気と非理性”では大きく取り上げられている。
ラテンアメリカの地で文学運動を起こすキャラクター・レコレータは、『ペドロ・パラモ』やボルヘスの名前を口にするし、少しでもラテンアメリカ文学について触れたことがあれば、「知っているタイトルだ!」と思わず反応してしまう。
「ラテンアメリカ文学って何?」という人も、もしかしたら『バベルの図書館』などは聞いたことがあるかもしれないし、2024年に庫化して話題になった『百年の孤独』は、本の存在を知っているかもしれない。『リバース:1999』を通じて、「この本、気になる!」となって、心の積み本がドカドカ増えていくのである。
私自身、趣味で小説を書く人間だから、レコレータが小説を書いている途中に悩むくだりは、「わ、わかるー!」という共感がついてまわった。ソシャゲのキャラにこんな「わかり」が発生することがあるんだ……。
キャラクターが個性的…個性的すぎる!
個性的なキャラクターがたくさんいる。
主人公(プレイヤーキャラクター)はヴェルティ。時間の逆行現象“ストーム”に唯一影響されない故に、“ストーム”をひき起こそうとする組織“マヌス・ヴェンデッタ”の暗躍を阻止するために活動することに。
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ヴェルティと同じ学校出身のソネットは、とても健気。ストーリーを読み進めるごとに、ヴェルティとの友情をかみしめてしまう(余談だが、『リバース:1999』はキャラクターの衣装の種類も多いのもポイント)。公式的にゲーム内で、キャラクターの香りが紹介されているのも、オタク心をくすぐる。
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ほかにも、『リバース:1999』は変わったキャラクターがたくさん登場する。たいていのソシャゲなら出てこないような、異形頭、動物、メカ、リンゴ……。でもシナリオを読むと、誰も彼も魅力的なのだ。
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『リバース:1999』のキャラクターにおいて、Xで群を抜いて言及されているのは、ピクルスだろう。“声優:斉藤壮馬の犬”などと言及されていることもあるくらいだ。
デフォルメというわけでもなく、潔いまでの“犬”としか言いようのないビジュアル、モーションが、いい……(ピクルスは犬なので、基本的にはコミュニケーションとしては“吠えている”のだが、翻訳機の声が斉藤壮馬氏なのである)。
斉藤壮馬氏自身が大の読書家として知られているので、最初のイベントキャラという大役にはうってつけの存在に思える。
デフォルメというわけでもなく、潔いまでの“犬”としか言いようのないビジュアル、モーションが、いい……(ピクルスは犬なので、基本的にはコミュニケーションとしては“吠えている”のだが、翻訳機の声が斉藤壮馬氏なのである)。
斉藤壮馬氏自身が大の読書家として知られているので、最初のイベントキャラという大役にはうってつけの存在に思える。
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とはいえ、私がずっと『リバース:1999』をやっているのは、ミュオソティスという敵キャラ(声優は諏訪部順一氏)が気になって仕方がないからなのだが……。
イベントごとにミニゲーム(パズルゲームやボードゲーム)が設定されていて、ついやりこんでしまう。
なぜなら、ミニゲームによっては、ミュオソティスも駒キャラとして選べることがある。そのせいで、ずっとミニゲームに夢中になってしまう日が続いてしまう時すらあって、大変困ってしまう。
世界観の奥深さ、こだわりも魅力
『リバース:1999』は、人間と神秘学家(アルカニスト)という二つの種族がいる世界だ。神秘学家は、魔法など特殊な力を持っていることから、人間から迫害されている。“差別”について真摯に向き合って描くことを心掛けているゲームなのだ。
また、基本的には我々が生きている世界と同じような歴史で、“ストーム”を阻止するために、ヴェルティたちは様々な時代を行き来する。その時代の歴史考証を丹念におこなっているのがありありとわかる。キャラクターの衣装、背景スチルなどにもそれは見て取れる。
こだわりはキャラクターボイスにも表れている。英語版では、キャラクターの住む土地の訛りを持つように現地の出身声優が担当しているほど。日本版でも、レディ・Zは、中国上海出身の声優であるLiyuu氏が担当している。
今まで、ゲームのキャラクターボイスを“日本語以外”に設定するなんて、考えたこともなかったから、『リバース:1999』をやると、どんどん新しい世界が見えてくる。
いろんな意味で、“新しい世界”に連れて行ってくれるソーシャルゲームこそが、『リバース:1999』なのだ。