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『ストレンジャー ザン ヘヴン』横山昌義氏インタビュー。「豪華すぎて詐欺師の書類かと思った」ディーン・フジオカも驚愕した、スヌープ・ドッグ&Tupac起用の奇跡と裏側

文:Ak

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 セガより2027年1月15日発売予定の『STRANGER THAN HEAVEN(ストレンジャー ザン ヘヴン)』。RGGスタジオ代表にして、本作のエグゼクティブディレクターである横山昌義氏へのインタビュー記事をお届けします。

横山昌義氏RGGスタジオ代表『STRANGER THAN HEAVEN』エグゼクティブディレクター。シリーズには初代『龍が如く』よりシナリオ・演出として参加。『龍が如く5』からプロデューサーとして参加。

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企画当初からあった“50年の移り変わり”の構想【STRANGER THAN HEAVENインタビュー】


――まずはタイトルについてお伺いします。今回の『ストレンジャー ザン ヘヴン』というタイトル名ですが、決定するまでかなり悩まれたそうですね。

横山
そうなんですよ。タイトル名は本当に次回作としていっぱい考えていて、かなり最後の方までなかなか決まらなかったんです。わかりやすい名前をつけるかという選択肢もありましたが、この『ストレンジャー ザン ヘヴン』は、ものすごく“商品名っぽくない名前”なんですよね。

 映画だと『ストレンジャー・ザン・パラダイス』とか、少し詩的というか、1つのものをガチッと言い表さないタイトル名はけっこうあると思うんです。ですが、あまりゲームでは見ないパターンなのかなと思いつつ……。ただ、このタイトルには“天国よりも奇妙な場所”という意味合いもあるし、やっぱり“ストレンジャー(余所者、部外者)”という言葉を入れたかった。


――英語のタイトルへのこだわりがあったんですね。スタッフや周囲の反応はいかがでしたか?

横山
これに関しては、僕自身がTOEIC200点台というのを叩き出すくらいの英語力で生きてきましたから(笑)、最初は自信がなくて。海外スタッフや関係者にかなり意見を聞いたんです。そうしたら、アメリカのスタッフも、海外のコーディネートをやっている関係者も、みんな「いろんな候補の中でこのタイトルが一番好きだ」と言ってくれて。

 「あ、じゃあこれでいいのかな」となったんですが、最後の最後は社長にけっこう反対されました。「お前っぽくない」、「横山っぽくない」って(笑)。「ではどんな(タイトル)がいいんですか?」と聞いたら、もっとストレートな、ドン! とくる名前がいいんじゃないかって言われたんです。社長も英語がわかるからこそ、「商品名っぽくないよね」といろいろ言われましたが、周りのみんなの「絶対に大丈夫!」という後押しもあって、腹を括ってこれに決めました。

――今回は日本語のサブタイトルもなく、世界共通のタイトル名ですね。

横山
最初から世界共通の名前にしたかったので、和訳したような日本語タイトルを作る気はなかったんです。そこはいろいろな人にびっくりされましたね。まあ、もうこの作品の中身をそのまま表す言葉なので、これで勝負しようと。


――“50年という時代の移り変わりと共に、1人の人生を描く”という発想は、企画の最初からあったのでしょうか?

横山
ありましたね。これまでのスタジオのシリーズを長く作ってきた中で、ずっと僕の中で解消できずに残っていた疑問があったんです。それは「彼らはどうしてこういう生き方(極道としての生き方)をしたんだろう?」という部分。

 現代劇を描くと、すでに極道組織が厳然と存在する中で、そこへ足を踏み入れざるを得なかった人間たちを描くことになる。でも、「そもそも最初の最初の人たちは、どういうところからこういう集まりを作ったんだろう?」というのをずっと考えていたんです。

――そこを掘り下げたストーリーをやりたかったと。

横山
そうです。僕らのスタジオが作ってきたシリーズの“最初の部分”というか、人間の集まりがどうできあがっていったのかを描きたかった。じつは一番最初は“三部作(前編・中編・後編)”で考えていたんです。50年間の流れはゲームとして長すぎるし、今の時代、重すぎるゲームは敷居が高いかなと思って、もうちょっとライトにするために三部作で、と考えていたんですが……。

 やっぱり作っていると、全部一気に入れたくなっちゃう(笑)。三部作が同時に出るならいいですけど、間が1年以上空いてしまうと、遊ぶ方も作る方も途中で嫌になっちゃうじゃないですか。だったら1作品に全部入れちゃえ! という形で、最終的にこうなりました。これが正直なところです。

緻密に作り込まれた5つの都市と、驚異のボリューム感【STRANGER THAN HEAVENインタビュー】


――50年という壮大な歴史を共に歩む本作ですが、キャラクターの変化やゲーム全体のボリューム感、フィールドの作り込みはいかがでしょうか?

横山
ゲーム全体のボリュームは、まだ正しくは測れていないですが、すごいことになっていると思います。とくにメインストーリーがかなり長いです。これは狙ったというより、長くなってしまったという感じですが(笑)。

 マップの“広さ”自体は、過去作(龍が如くなど)と比較するなら、各街のサイズとしては同じようなものだと思います。無理に大きくも小さくもせず、5つの時代の都市によって大きさはまちまちですが、同じくらいですね。


――作り込みの密度について、過去作との違いはありますか?

横山
作り込みに関しては、入れる建物(入れる場所)がかなり増えています。そういう意味での作り込みは激しくなっていますね。ただ、当時の建物と今の建物は階層構造が違うので、建物自体は低いんですよ。だから入れる場所は増えていても、ビルをずっと登っていくような構造はないので、そういう意味ではトータルでイコールなのかなとも思っています。

 メニュー周りから何から、バトルも含めてシステムは一新されているので、プレイしてもらえれば、これが単なるスピンオフや外伝ではないということは、肌感覚でわかってもらえると思います。

――プレイスポット(ミニゲームなど)などの遊び要素はいかがでしょうか?

横山
プレイスポットと言われる部分は、あえて少なくしています。なぜかというと、あの時代は“遊びが少ないのが普通”だからです。無理に今の時代の遊びを入れても仕方がないので。ある程度の嘘(フィクション)を織り交ぜつつも、時代に即したものを入れているので、過度に増やしたりはしていません。現代の流行りものを無理やり入れるようなことはしていないですね。

1915年~1965年、5つの舞台を選んだ理由と“嘘のつき方”【STRANGER THAN HEAVENインタビュー】


――今回、1915年(小倉)、1929年(呉)、1943年(大阪)、1951年(熱海)、1965年(新宿)という5つの時代と舞台が選ばれています。この意図を教えてください。

横山
時代に関しては、完全に主人公の設定(大東が若くして船に乗り、小倉に辿り着き、そこから……という人生の足跡)から逆算して考えているので、狙ってこの年を選んだわけではないんです。

 最初は小倉に到着して、最後は神室町(新宿)に行くということだけを決めていて、その“点と線”をつないだ結果、間にあるエピソードを抽出していったらこの年代と舞台になった、という感じです。なので、最初からほかの舞台をいろいろと候補に挙げて考えていたわけではないですね。

――主人公の人生のエピソードに直結した舞台なんですね。

横山
大東は若くして船(オルフェウス号)に乗って小倉に辿り着く。小倉では大塚明夫さんが演じる八島の親分にお世話になりながら、日本での生き方を学んでいく。そこで歌の才能を発掘されたり、いろいろあったうえで広島(呉)に行く。トレーラーのヒントにもありますが、広島では“極道組織に入る”というエピソードが必要で、それが1929年の呉だった。そこから自然とつながっていく形ですね。


――実在の街や時代をリサーチ・描写するうえで、こだわった点や苦労した点はありますか?

横山
一言で言うと“どう嘘をつくか”が勝負でした。本作に限らず、我々はリアルな街を“再現”しているわけではまったくないんです。僕らのゲームは街を再現しているのが楽しいと言われますが、再現しているつもりはなくて、あれは表現(フィクション)なんです。

 今のマップデータを持ってきてテクスチャを貼る方がよっぽど“再現”になりますが、僕らは常に、オリジナル空間としてのフィクション・嘘をどう派手に入れるかにこだわっています。だから、当時の小倉にタイムスリップしても、絶対にゲーム内の小倉の街はないです。でも、“今遊んだときに楽しい1915年の小倉”じゃないと、エンタメとして意味がないですから。

――リサーチのなかで驚いた発見などはありましたか?

横山
調べてみてびっくりしたのは、すべての時代に“路面電車”があることです。1965年の神室町(新宿)にも路面電車があったのはびっくりしましたね。なので、それはゲーム内にも入れています。靖国通りの方とか花園神社のほうに向けて路面電車が走っていたり、調べないと知らなかったことが多くて面白かったです。

 ちなみに、今の小倉や呉に行っても、当時のものは残っていなくて何も参考にならないです(笑)。昔あったスポットが今はコンビニになっていたりするので。写真や新聞、映像といった手がかりはありますが、本当に手がかりでしかなくて、建物の並びや構成はゲーム向けに面白くアレンジした、架空の街として作っています。

――実在の時代や街をモデルにしながらも、史実の再現ではない世界を描くうえで、ストーリー面でのこだわりは?

横山
マップなどのアドベンチャー部分は今話したような“嘘のつき方”ですが、ストーリー部分で言うと、“大東の身の回りで起こること”に関しては描いていますが、それ以外の世界情勢や、その時代に起こった大きな事件などで大東に関わっていないものは、まったく描いていません。

 なので、これは“史実に基づいた話”ではなく、僕らが今まで作ってきた世界の、さらに前の世界をオリジナルで描いたフィクションです。そこは明確にしています。

“殴る重み”と“一瞬の恐怖”が新たな魅力を生むバトルシステム【STRANGER THAN HEAVENインタビュー】


――今回のバトルはコンバットシステムが一新され、左半身・右半身を思いのままに操るシステムとのことですが、操作感や爽快感はいかがでしょうか。

横山
今回の体験版(ロム)は、あえて敵を強くしています。すぐ倒せてしまうと操作感がわからないので、雑魚敵も普通より体力を削れないようにしてあるんです。自分の操作、左右の使い分けや“ガードってこうやるんだ”というのをわかってもらうための調整なので、実際の製品版では、雑魚戦はもう少し違う感覚、爽快に倒せるバランスになっていきます。あと、武器を使うとかなり強力になるので、そこはメインストーリーのレベル感に合わせてこれからチューニングしていきます。

――体験版を触った印象として、パンチやキックの“殴る重み”や“間”がすごくリアルに感じられました。

横山
そこは賛否両論あるところだと思いますが、僕は「遅くしてほしい」と開発チームにずっと言っていたんです。じつは今の形でも、初期のモックアップから見れば早くなっているくらいなんですよ。

 まず、“人間ができるパンチの速さ”からスタートしようと。プロボクサーの速さではなく、普通の人のパンチの速さ。モーションが早すぎると、ただの連打ゲームになってしまう。左と右をちゃんと使い分けるアクションにしたかったので、敵も含めて、人間の動きの速さまで一度落としたんです。


――その結果、手応えや“当たった感”が強く感じられるのですね。

横山
打撃音(SE)も、これまでのゲームに多かった「パン!」という派手な破裂音ではなく、骨と骨が当たるような「ゴツッ」という鈍い音、リアルな音に変えています。派手さを取って、殴った感覚・手触り感を大切にしました。刀で斬ったときも、ただ振り抜くのではなく、鎖骨で一回止まるような“引っかかり”を表現したり、そういうアナログな手応えにはめちゃくちゃこだわっています。

――バトルにおけるスリル、命のやり取りという部分はいかがでしょうか。

横山
“助からない(一瞬でやられる)恐怖”ですね。今回、体験版に出てきた大阪のステージのボス(ハゲの怖い敵)や、一撃必殺級の大ダメージを仕掛けてくる恐怖を味わってもらえたと思います。一瞬でやられかねない敵との、やられるか・やられる前にやるかというスリル、そこはボス戦や中ボス戦でとくに大事にしています。

――本作の大きな柱であるプレイスポット“ショービジネス(商売)”は、メインストーリーやバトルとどのように連動していくのでしょうか?

横山
バトルとの直接的な連動というよりは、基本的にこのショービジネスは“大東のシノギ(生きる糧)”であり、ストーリーのド真ん中にある要素です。

 大東はあの時代、見た目的にも目立つハーフ(ミックス)であり、世間からは「スパイじゃないか」と虐げられるような過酷な環境にいます。彼が“天国だと思ってやってきた日本”は、ストレンジャー(余所者)を拒む場所だった。その中で、見た目や言葉、国籍を超えて彼が生きられる唯一の道が“エンターテインメント(歌)”だったんです。

――歌や音楽という要素が、彼の人生の救いになるわけですね。

横山
歌は世界共通ですからね。良いものは良いと、人が素直に認め合える。それを体現するためにこのシステムが入っています。街で音を集め(大東には音を記憶する才能がある)、それをスヌープ・ドッグが演じるオルフェウスがプロデュースしていく。大東自身も歌いますが、後半はプロデュース側、興行側のサイドに回って、お金を稼いで自分の“地位”を作っていく。

 お金と成功がなければ、この時代の彼らには地位も人権も一気に失われてしまう。そんな過酷な環境でどう生き抜くかという物語に直結しています。だから、大東の人生の浮き沈みは本当にすごいです。僕、しんどい人しか描けないみたいで(笑)、本当に生きているよりしんどい人生を体験できると思います。

――探索中だけでなく、バトル中にも“音の収集”ができるとお聞きしました。

横山
バトル中、敵が発する変な音や、街の環境音(風鈴の音など)を収集できる要素が入っています。バトルがめちゃくちゃ上手い人は、そういう周囲の音を集める余裕が生まれるという、プレイヤーの腕前による“余裕の差”もゲームに反映されています。集めた音を曲に変換し、歌手や演奏者を集めて興行を行う、という一連のセットが今回の“商売”です。

世界の度肝を抜いた、奇跡のキャスティングの裏側とは?【STRANGER THAN HEAVENインタビュー】


――国内外の超豪華キャストが集結した本作ですが、このキャスティングが実現した経緯や、実在の人物をゲームに登場させる魅力についてお聞かせください。

横山
「話題性のためだけにキャスティングしているんじゃないか」と言われることもありますが、そう思われる時点で、それだけキャスティングが目立っている(成功している)ということだと思っています。

 僕が一番勉強になったのは過去作(龍が如く0)の時で、あの時の3幹部(小沢仁志さん、竹内力さん、中野英雄さん)って、世界的な知名度で選んだわけではありません。幹部、あの役柄(久瀬、阿波野、渋沢)に“めちゃくちゃ似合っていた”んですよね。似合うキャスティングに勝るものはないんです。

――今回のキャスト陣も、シナリオや役柄への“ハマり具合”を重視したのですね。

横山
そうです。話題性だけではなく、役者さんの演技が作品全体を面白くしてくれるという確信の元で選んでいます。今回のストーリーを考えるなかで、僕らが今まで挑んでこなかった“純粋な日本人ではない主人公”という設定を思いついた。過酷な日本を生き抜く彼を描くなかで、必然的にスヌープ・ドッグが演じるオルフェウスのようなキャラクターが必要になっていったんです。


――なんと、スヌープ・ドッグ氏の出演が最初に決まったのですね。

横山
手順としては、主人公とスヌープ・ドッグの決定が一番早かったです。たまたま別の件で彼との接点ができて、「僕の作品に出てみませんか」とオファーしたら、大変興味があると言ってくれて。

 彼の持つ音楽的なカルチャーやバックボーンは、このゲームのショービジネスというテーマにバッチリハマる。さらに、主人公の条件である“英語と日本語ができて、歌が歌えて、50年間の演技ができる演技力がある人”を探した結果、城田優さんしかいないなと。彼自身もスペインとのハーフという似た境遇を持っていて、運命的なものを感じてキャスティングしました。

――さらに、Tupac(トゥパック)氏の登場も発表され、世界中で大きな話題となっています。こちらの経緯は?

横山
スヌープ側といろいろとコミュニケーションを重ねていくなかで、「この役回りならTupacがいいんじゃない?」という話が出てきて。スヌープの息子(コーデル)が今でもTupac側の関係者とつながりがあって、そこから紹介してもらって交渉が進みました。

 ご遺族や関係者の方々が何人もいらっしゃるので、監修や了解を得るプロセスは本当に大変でしたが、1つ1つクリアして実現しました。ちなみに、ディーン・フジオカさんへのオファーの時、この企画書を見せたら「豪華すぎて詐欺師の書類に見える。実在しない嘘の企画書じゃないか」とめちゃくちゃ怪しまれましたからね(笑)。それくらい、あり得ない奇跡のキャストが揃いました。


――最後に、発売を心待ちにしている日本のユーザーへメッセージをお願いします。

横山
海外での盛り上がりもすごいですが、日本のアニメやゲームのファン、そしてこれまでのシリーズのファンのみなさんにこそ、この新しさをしっかり理解して遊んでほしいと思っています。

 これまでのシリーズと触り心地やゲーム性が全然違うので、実際に触ってもらう機会は、これから日本でたくさん作っていきたいと考えています。

 去年のTGS(東京ゲームショウ)のステージで「また来年お会いしましょう」というメッセージを残しました。有言実行で、今年のTGSでもみなさんに驚いてもらえるような、もっと深く本作を楽しめる計画を練っていますので、ぜひ大いに期待して待っていてください!

『ストレンジャー ザン ヘヴン』先行プレイ動画【STRANGER THAN HEAVENレビュー】

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