
身近な人を救いたいという主人公の願いから始まり、いつの間にか帝国や解放軍を巻き込む大きな物語へ。さらに、仲間を集めることが戦闘、育成、里の発展のすべてにつながっており、シリーズ初見ながら夢中で遊び続けてしまいました。今回は、先行プレイで感じた『幻想水滸伝 STAR LEAP』の魅力を紹介します。
※この記事には『幻想水滸伝 STAR LEAP』のネタバレが含まれます。
物語の始まりは、主人公が暮らす里での穏やかな日常。主人公の目的も、最初から世界を救うことや帝国を倒すことではありません。
一方で、物語を進めるほど、赤月帝国の腐敗、解放軍の活動、紋章を集める謎の組織などが見えてきます。
当初は別々に見えた出来事が人物や思惑を通じてつながっていき、小さな里の危機が世界を揺るがす戦いの一部へと変化していく。筆者自身、登場人物と同じ目線で世界の広さを知っていく感覚を味わえました。
平和な日常から一転。里を救う旅が大きな戦いへ広がっていく
主人公が暮らす里での物語は、平和な一日から始まります。しかし、その日の夜、紋章を求める者たちが里を襲撃。炎が上がり、村人たちも巻き込まれる凄惨な状況へと変わってしまいます。

主人公は父親のホウと協力して襲撃者に立ち向かいますが、敵は村人を人質に取り、強力な紋章を差し出すよう要求。ホウが要求を拒んだことで、主人公たちは窮地へ追い込まれます。

しかしそこでヒスイの紋章によって危機を脱したものの、里にとある異変が・・・。
かなり深刻な状況なのですが、本作は暗さ一辺倒ではありません。里の住人たちが前向きな反応を見せるなど、要所にクスッと笑える会話が挟まれます。


目の前では里が燃え、多くの人が困っている。それでも、そこに暮らす人々の個性までは失われていません。重い出来事の中にも生活感やユーモアが残っているため、先の展開が気になりつつも、重苦しくなりすぎずに物語を追えました。
主人公たちは里の復興に向けた手立てを求めて、占い師のニージェを訪ねることになります。そこで課せられたのが、盗賊に奪われた荷物を取り返すという試練です。
ところが、彼女が本当に見極めようとしていたのは、任務を達成できるかではありませんでした。どのような状況でも安易に紋章の強大な力に頼ろうとしないか。
紋章は人に強大な力を与える一方で、その力を巡って戦争が起きることもある。本作では序盤から、単純に強い力を手に入れて悪を倒すのではなく、”力とどう向き合うのか”が問われます。
里を復興させるというわかりやすい目的を追ううちに、紋章が持つ力と危険性が見えてくる導入は、シリーズ初見の筆者にも理解しやすいものでした。
また、ストーリーの進行状況を確認できる画面があり、次の目的地だけでなく、物語の流れを振り返りやすいのも好印象。少し間を空けてプレイしたときも、「いま何をするべきだったっけ?」と迷いにくい親切な設計です。

腐敗した帝国と紋章を狙う組織。2つの悪が複雑に絡み合う
物語が進むと、主人公たちの問題は里の中だけでは収まらなくなります。
里の復興を目指して各地を旅する途中、主人公たちはオデッサと出会います。グレッグミンスターへ入るには通行料が必要だという嘘を信じかけたところを、彼女に助けてもらったのが最初の出会いでした。
オデッサと結婚式を挙げていたアキレスは、不正と腐敗が広がる帝国を変えようとする改革派のリーダー。しかし、帝国からは罪人としてとらわれている立場にありました。華やかな結婚式と、罪人の処刑が同時に描かれる展開は衝撃的です。
主人公たちは処刑を阻止しようとしますが、アキレスは大きな傷を負い、全員で逃げ切ることが困難な状況に陥ります。オデッサや主人公たちを逃がすため、ひとりで別の道を選ぶアキレスの姿には、プレイを止めて見入ってしまいました。
一方で、主人公たちの里を襲ったのは、強力な紋章を集めている正体不明の組織です。
一見すると、オデッサ率いる勢力と腐敗した帝国の戦い、主人公たちと謎の組織の戦いは、それぞれ別の物語に見えます。
しかし、主人公たちがオデッサを助け、オデッサたちが里を救うために駆けつけるなど、ふたつの戦いは少しずつ交わっていきます。さらに、謎の組織が帝国側の人物を利用する場面もあり、単純に善と悪の勢力が二組存在しているだけではありません。
帝国の腐敗と、紋章を集める組織の思惑。ふたつの大きな悪がどこで結びつき、主人公や解放軍をどのような戦いへ導くのか。第1章をプレイした段階で、今後の展開を追いたくなる導線がしっかり作られていました。
シリアスな旅でも会話が絶えない。仲間を好きになれる群像劇
本作をプレイしていて、個人的にもっともうれしかったのが会話の多さです。
RPGでは街から目的地へ移動したり、ダンジョンの奥まで歩いたりする時間が長くなりがちです。もちろん、宝箱や素材を探す楽しさはありますが、何度も移動していると単調に感じることもあります。
『幻想水滸伝 STAR LEAP』では、フィールドやダンジョンを移動している最中にも、パーティのキャラクターたちが頻繁に会話してくれます。
目的地への道中で仲間が感想を口にしたり、ストーリーに沿った会話をしてくれるため、ただ歩いているだけの時間がほとんどありません。
イベントシーンでは帝国の腐敗や処刑、里の襲撃といった重い題材が描かれますが、旅の道中では仲間たちの軽妙なやり取りに和まされる。この緩急があるからこそ、先の気になる物語を疲れずに追い続けられました。

WEAK属性からアンバランスを狙う戦闘は編成を考えるのが楽しい
通常バトルは、前列と後列を合わせた最大6人編成で挑むタイムラインターンバトルです。戦闘で特に重要になるのが、敵の”WEAK属性”とバランス値です。
WEAK属性に対応する攻撃を当てると、通常よりも与えるダメージが増加します。さらに攻撃によって敵のバランス値を削り切れば、”アンバランス状態”に移行。
アンバランス中の敵は行動不能になり、受けるダメージも大幅に増えます。敵の弱点を突くメリットが単なるダメージ上昇だけではなく、相手の行動を止めて一気に畳みかける好機につながっているわけです。
狙いどおりに敵のバランスを崩し、仲間たちの攻撃を連続で叩き込めたときの爽快感は格別でした。



この仕組みによって、育てたキャラクターの数がそのまま攻略の引き出しになります。
どれだけ強いキャラクターでも、すべての敵のWEAK属性に対応できるわけではありません。普段使っている6人だけで固定するより、複数の属性や役割を持つ仲間を育て、相手に応じて入れ替えたほうが有利に戦えます。
心得バトルとクイズで戦闘システムを無理なく学べる
属性、行動順、アンバランスなど、戦闘には複数のルールがあります。そこで役立つのが”心得”です。
心得には、実際に戦いながらルールを学ぶ”心得バトル”と、問題に答える”心得クイズ”が用意されています。説明を一度読んで終わりではなく、実戦とクイズの両方で内容を確認できるのが親切でした。
RPGに慣れている人は実際に戦って感覚をつかみ、細かな条件を確認したい人はクイズで理解を深めるといった使い分けも可能です。

初心者向けのミッションでも、メインストーリー、討伐クエスト、キャラクター育成、心得などへ順番に触れられるようになっています。遊べるコンテンツが多い一方で、「何から始めればよいかわからない」と放り出されにくい導線が整っていました。

仲間全員の力を示す”総戦気”が育成の視点を変える
キャラクターの主な育成要素には、レベルや上限解放、装備、スキル・技の強化などがあります。
里の討伐屋では、モンスターの討伐依頼を達成することで、経験値や育成素材、ポッチを獲得可能。キャラクターごとに異なる能力や技を習得・強化できるため、同じ役割に見える仲間でも育て方や使いどころが変わってきます。
育成項目の多さだけなら、モバイル向けRPGとして珍しくないかもしれません。本作ならではだと感じたのは、所持キャラクター全体の力を表す”総戦気”が存在すること。
総戦気は、現在編成しているパーティだけではなく、加入している仲間全体の成長を意識させる指標。今回プレイした範囲では、一定の条件を満たすことで報酬を獲得したり、キャラクターの力を底上げしたりできました。
この仕組みがあるため、育成の考え方が”強い6人を完成させる”だけでは終わりません。
ボスのWEAK属性へ対応するために別の仲間を育てる。育てた仲間によって総戦気が高まり、手持ち全体が強くなる。さらに新しい人物を仲間に迎え、編成の幅を広げていく。
仲間集め、個別育成、全体強化が循環しており、控えのキャラクターにも経験値や素材を使いたくなります。
レベル、装備、技などを全員分強化するのは、決して軽い負担ではありません。この育成コストの重さが、現時点で満点ではなくおすすめ度9点とした理由のひとつです。

とはいえ、育成対象が多いだけで、使い道のないキャラクターを義務的に鍛えさせられる感覚はありませんでした。
WEAK属性へ対応できる仲間を増やせばボス攻略の選択肢が広がり、戦争では複数の部隊を動かすことになります。育てた人数が増えるほど、できることも目に見えて増えていきます。
里を復興すると食事会、釣り、サイドストーリーまで広がる
里は物語の出発点であると同時に、さまざまなコンテンツを利用する拠点でもあります。
襲撃によって傷ついた里を豊かにし、今後の戦いに備えて力を蓄えることが主人公たちの大きな目的。仲間が増え、復興が進むにつれて、利用できる施設や遊びも増えていきます。
なかでも印象的だったのが、仲間と料理を囲む食事会です。
食事会では、一緒に食事をするキャラクターと料理を選びます。料理に使う食材はフィールド探索やミニゲームで入手できるため、さまざまな遊びが仲間との交流にもつながっています。
食事会を通じて絆を深めると、絆ランクに応じて支援スキルが解放されるなど、戦闘面での恩恵も得られます。
素材を集め、料理を作り、仲間と食べる。その結果、人物同士の関係が深まり、戦闘でも力を貸してくれる。収集、交流、育成がひとつの流れになっているのが魅力です。

里では釣りも楽しめます。初めて釣った魚には名称だけでなく、生態や特徴についての説明も表示されるため、ただ素材を獲得するだけでなく、図鑑を埋めるような収集の楽しさも感じられました。

酒場を発展させると、サイドストーリーや遊技場も利用できます。遊技場では、サイコロを使ったチンチロリンに挑戦可能。戦闘や重い物語から少し離れて遊べる、よい気分転換になっています。

街で受けられる人助けの依頼も、単なる報酬獲得の手段ではありません。依頼を達成すると住民との友好度が上がり、店の品ぞろえがよくなるなど、街そのものに変化が起こります。
戦闘に必要な素材を集めるだけではなく、人を助け、仲間と交流し、里を少しずつ豊かにする。プレイヤーの行動が拠点の変化として目に見えるため、復興を進めることにも自然と愛着が湧きました。

仲間を集めるほど戦術も里の暮らしも豊かになるRPG
『幻想水滸伝 STAR LEAP』は、里を襲った謎の組織を追う物語を軸に、腐敗した赤月帝国との戦い、解放軍との共闘、仲間の育成、里の復興といった複数の要素が絡み合うRPGです。
第1章の序盤から里が襲撃されるため、かなり重い物語を想像していました。実際、人質や処刑、戦争といったシリアスな出来事も描かれます。
それでも、住民たちの反応や、移動中の仲間同士の会話、里で楽しめる食事会や釣りのおかげで、物語全体が暗くなりすぎません。

個人的には、何も起きていない移動時間にも会話があることが、とてもうれしく感じました。仲間の多い作品だからこそ、短い掛け合いの積み重ねがキャラクターへの愛着につながっています。
戦闘でも、強い6人を固定して終わるのではなく、敵のWEAK属性に合わせて編成を考え、アンバランス状態を狙う楽しさがあります。さらに、所持する仲間全体の力を示す総戦気があることで、控えのキャラクターまで育てたくなりました。
仲間が増えれば編成の選択肢が増え、総戦気が高まり、戦いやすくなる。
仲間集め、バトル、育成、復興がそれぞれ独立したコンテンツではなく、互いにつながっていることが本作の大きな魅力です。
シリーズ初見の筆者でも物語に置いていかれることはなく、むしろオデッサたちが登場する他のシリーズ作品にも興味が湧きました。
里の復興に向け旅に出る主人公たちと、腐敗した帝国に立ち向かう解放軍。そして、紋章を集める謎の組織。複数の思惑が今後どのように交差していくのか、一刻も早く続きをプレイしたいです。
幻想水滸伝SPレビュー一覧

「過去作を知らないから」で避けるのは絶対もったいない! 『幻水SP』を遊んだら108人の仲間集めと村の復興に時間泥棒された件【幻想水滸伝 STAR LEAPレビュー⑧シリーズ初見:おすすめ度9点】

『幻想水滸伝 STAR LEAP』レビュー⑦ナンバリング全作クリア済:スマホゲームの快適さと『幻水』らしさが完全融合した“真のシリーズ最新作”【おすすめ度9点】

若きフリックやオデッサ! 『幻水』ファンが見たかった懐かしキャラとの再会、思い出のエピソードの補完が満載。主人公の父ホウやヒスイなど新キャラも魅力的【幻想水滸伝 STAR LEAPレビュー⑥ナンバリング全作クリア済:おすすめ度10点】

『幻水SP』シャプール(声優:佐藤拓也)が沼の気配。元将軍で重い過去持ちの“バカ執事”…好きになる要素しかない【幻想水滸伝 STAR LEAPレビュー⑤『I』クリア済:おすすめ度:9点】

『幻想水滸伝 STAR LEAP』ぼっちゃんやジーン、SSRシャプール狙いでガチャ40連。72時間限定の確定で、誰が来てくれた!?

『幻水』はやはりドット絵表現がベストだと再認識。物語、システムともに死角なしの丁寧な作りで手触りよし!!【幻想水滸伝 STAR LEAPレビュー④ナンバリング全作クリア済:おすすめ度9点】

美麗ドット絵から落ちた『幻水』沼…。動く2Dイラスト、細やかな動きまで描かれた女の子達が超可愛い!【幻想水滸伝 STAR LEAPレビュー③『II』クリア済:おすすめ度:9点】

『幻想水滸伝 STAR LEAP』レビュー①:50時間かけて初期ストーリーをクリアした感想は1人で遊べる神ゲー。1章のラスボス曲と2章の学園編をぜひ堪能してほしい【ナンバリング全作クリア済:おすすめ度10点】
電撃オンライン読者レビュー募集中
電撃オンラインでは、読者による点数付きレビューを募集中です。おすすめしたいゲームがあったら、ぜひ投稿お願いします。
【注意事項(2026年7月時点)】
●投票は1人、同一作品に対しては月1回までです(月が変わったら再投票可能)。同一作品について月2回以上の投票があった場合、無効票とします。
●特定のゲームを他の人におすすめしたい方のみ、10点満点中でおすすめ度を記入してください。
(5点以下は、おすすめしたくないということなので、回答不要としています)
●入力いただいたハンドルネームおよびコメントは、文字数等を編集のうえ電撃オンラインほか、当社の刊行物、Webサイト、イベント等にて紹介する場合があります。
点数付き読者レビュー

【読者レビュー:8.8点】オープンシナリオとシビアな冒険の思い出が印象的な『英雄伝説IV 朱紅い雫』

【読者レビュー9.2点】半キャラずらし、極上のBGM、そしてフィーナ、レア…『イースエターナル』読者コメントでよみがえる赤毛の剣士の原点

『英雄伝説ガガーブトリロジー』読者レビュー8.5点:「BGMの効力が絶大」「人生に必要なゲーム」など熱い声が続々

『ダレカレ』読者レビュースコア9.8点:不可解な操作性すらも伏線に。プレイ後に「小説を読み切ったような満足感」が残る、唯一無二の体験

『Million Depth』読者レビュースコア9.7点:“時間停止”でアクションと戦略が融合。過去の選択が未来を変えるタイムリープSF傑作
