ダンジョン――。
そう聞くと、薄暗くてじめじめした洞窟のような場所にほのかな灯りが輝き、慎重に地面を踏みしめる冒険者たちの姿が、ふと浮かぶ。未知のエリアにはまだ見ぬ財宝、危険なモンスターたちが跋扈しているといったイメージも抱く。
そう聞くと、薄暗くてじめじめした洞窟のような場所にほのかな灯りが輝き、慎重に地面を踏みしめる冒険者たちの姿が、ふと浮かぶ。未知のエリアにはまだ見ぬ財宝、危険なモンスターたちが跋扈しているといったイメージも抱く。
そんなダンジョン探索要素のイメージと、指定時間内までに生存地域が狭まり、PvPが白熱するバトルロイヤル、レベルや装備品で成長していくRPGなどの楽しさが絡み合ったのが、KRAFTON傘下のゲーム制作スタジオであるBluehole Studioが開発している脱出系ダンジョンRPG『ダークアンドダーカーモバイル』(Dark and Darker Mobile)である。
なお、PC版の『Dark and Darker』も存在するが、そちらと本作は開発会社が違うという点を前置きしておく。
クラスは現時点で5種類。オレはファイターでいく!
じつは日本でのサービス開始に先駆けて韓国にあるKRAFTON本社で本作をプレイさせてもらった。
ゲームを始めると、最初はキャラクターメイクからスタート。クラスと性別、簡単な見た目などを決められる。
だいたいファンタジー要素があるゲームをプレイする際は、剣と盾を持ったキャラクターを選ぶので、オーソドックスなファイターで遊ぶことに。本プレイで選択できた5つのクラスのおもな特徴は下記だ。
- バーバリアン:両手武器を使うクラス。両手武器の重量面で移動速度などがほかのクラスよりも落ちる場面があるが、一撃が重い攻撃的なタイプ。
- レンジャー:弓を扱うクラス。扱いが難しく、開発が注力して作成し、モバイル版で作るのが難しかったと語っていた。
- クレリック:メイスと盾などを使うクラス。味方への回復なども可能だ。
- ローグ:短剣などを扱うクラス。姿を消して奇襲をしかけることが可能。
- ファイター:剣と盾、ハルバードといった両手武器も扱えるクラス。オーソドックスで扱いやすい。
プレイ時点ではプレイヤーデータを5個作成できたので、遊ぼうと思えば全クラスを万遍なく育てることも可能だ。とはいえ、アカウント内の倉庫は共有なので、まずはひとつのクラスをメインに据えるのがいいだろう。
そのクラスを育てる途中に取得した装備品などを倉庫に入れておけばアカウント内で共有ができる。
ダンジョンに潜る。そこに自分以外の誰かがいる緊張感が楽しい
この世界に降り立つと、ソロ用のダンジョン“ゴブリンの洞窟”に挑むことになる(無論、チュートリアルはある)。自分を含めて数人のプレイヤーが、それぞれソロでダンジョンに潜るモードだ。
マッチメイキングが完了すると、薄暗いダンジョンに飛ばされる。
本作の主目的を乱暴にまとめると、ダンジョンで強力なアイテムを手に入れ、それを無事に持ち帰ることになる。そのためにはモンスターとのバトルに勝ち、ほかのプレイヤーを出し抜くか倒して戦利品を多く手に入れなくてはならない。
そして、時間経過で安全に行動できる範囲は狭まっていくため、そのあたりも考えながら動く必要がある。最後に脱出ポータルから無事にダンジョンを抜け出せば、最低限の目的は達成だ。ちなみに途中で死亡してしまうと、その時点で持っている装備やアイテムをすべて失うことになる。この絶妙な緊張感がたまらない。
遠目には沈黙を貫いているが、近くに寄ると動き出すスケルトン、ほかのプレイヤーが開けたであろうチェスト、ほかのプレイヤーがキルされた際に出現するボックス……。
そんなものを横目にまだ開けられていないチェストを漁ってみたり、こっそりモンスターたち相手に戦ってみたりと、ほかのプレイヤーに見つからないように遊んでみるのが思いのほか楽しい。
もちろん、ダンジョンに入ってすぐにほかのプレイヤーに勝負を挑むというプレイスタイルも問題はない。早々に競争相手を減らして、自分が獲得できるアイテム量などが増えるといったメリットもある。逆にゲーム後半で勝負をしかけると、相手の装備やアイテムが強力になっていることも多いので、苦戦を強いられてしまう場合もあるだろう。
個人的には探索が非常に好きなので、もう少しマップが広いとうれしいと感じたが、1プレイにかかる時間やカジュアルさとのトレードオフになってしまうので、難しいポイントである。
レベル3になったらパーティプレイをしてみるべし
キャラクターレベルが3に到達すると、3人でパーティを組んでプレイすることができる。複数人でのプレイは本作のだいご味だ。ソロのときよりもダンジョンは広くなり、出現するモンスターも強くなる。
ソロプレイでもパーティでも大事なのは画面右上に表示されるマップのチェックになる。ほかのプレイヤーが近くにいる際は画面とマップ上に足跡(あしあと)マークが表示され、他人がいるおおよその方向がわかる仕組みになっている。探索中やモンスターとの戦闘中にこれが表示されると、なんとも言えない緊張感がはしる。
本作ではゲーム内ボイスチャットも使えるので、うまく連携しながら生存と脱出を目指していきたい。
また、パーティプレイ時にはゴーレムといった強力なボス級のモンスターが登場することも覚えておきたい。強力なだけに倒すと指輪などの貴重なアイテムをドロップする。倒す際は準備をするのは当然として、後ろからきたパーティによいところを掠め取られないようにも注意しよう。
さらに複数人でプレイする際の注意点として、脱出ポータルの存在があげられる。脱出ポータルは基本的にひとつでひとり脱出するものなので、パーティ全員が脱出するには3つ見つける必要がある。
さて、残りの脱出ポータルはひとつ。パーティは3人残っている。困ったな……という状況もあると思うが、手に入れたアイテムはほとんどドロップすることが可能なので、脱出するプレイヤーにアイテムを託して、自分たちはデスしてしまうのもひとつの手だ。
ひとりから3人でのプレイになるだけで、クラスを組み合わせるシナジーを考えたり、プレイスタイルにも幅が出たりするので、ぜひとも体験してほしいモードだ。
ダンジョン探索から帰ったら?
ダンジョン探索から無事に帰ってきたあなたには、おめでとうを送りたい。しかし、帰ってきてもまだまだやることはある。
まずは必ず倉庫に行って預けるべきアイテムを預けよう。インベントリから倉庫に移したアイテムは次回のダンジョン探索でデスしても失うことはない。
続いて商人のもとへ行くのがいいだろう。さまざまな種類の商人がいるが、だいたい表示されているアイコンを見ると何を扱っているのかがわかる。商人からは商品の売買やクエストの受注が可能だ。
売買やクエストクリアを通じて友好度が上がっていき、商品の割引やレアアイテムの販売などが恩恵として受けられる。とくに回復アイテムはなくなりがちなので、機を見て補充しておこう。
序盤は商人から購入できる装備も強力なので、あまりないがしろにしないほうがよい。さらにある程度装備レベルを上げていくと、ハードなどの高難度にも挑戦できるようになっていく。難度が高いほうが強力なドロップ品を期待できるが、その代わりに出現するモンスターなども脅威度が上がる。
また、コレクションでは指定されたアイテムを納品することで、追加ステータスを得られる。入手難度が低いものから高いものまであるが、こちらも大切な要素なので余裕ができてきたら積極的に活用していこう。
さらに鍛冶場では武具の基本ステータスが強化可能。強化失敗した際には装備が壊れてしまうこともあるという脂汗が止まらない仕様だ。
レベルが5まで上がると傭兵(NPC)を雇用して、いっしょに探索することなどもできる。傭兵にはいくつかランクがあり、高位のSランクともなると雇用に5,000も必要になる(序盤ではまず雇用できない)。
ある程度なんでもできちゃうファイターの楽しさを語る
本作で、もっともオーソドックスなクラスと言って差し支えないのがファイターだ。
武器と盾といった基本的な装備構成に、ものによっては両手武器の装備も可能だ。基本的に両手持ち武器は移動速度が下がるので、移動時は武器+盾、戦闘時には両手武器に持ち替えるといった運用をしてみた。
もう少し人と違うことがしてみたい人は素手という選択肢も用意されているが、かなりピーキーなため、素手で戦っていくならば相応の覚悟が必要だ。
また、同じクラスでも人との違いを如実に出せるのがスキルの存在だ。本作ではアクティブスキルを2種。パッシブスキルをレベルに応じて合計で6個装備できる。
ファイターのアクティブスキルは7種の中から使用する2種を選ぶ形になるので、プレイスタイルによってスキル構成を考えていくのがおすすめだ。ファイターが初期から装備しているのは、8秒間移動速度を75%上げる“スプリント”と、10秒間最大HPの20%を回復していく“セカンドウィンド”になる。
それなりに強力なスキルであれば、当然リキャストタイムが長くなっており、使用タイミングをよく考えなければ危険である。クラスによっては回数制限のあるスキルも存在しているが、ファイターには該当スキルはなかった。
気に入って使っていたのはスプリント+勝利の一撃というスキル構成。本作において移動速度が上がるというのは単純に大きなアドバンテージである。戦闘中の回避行動がしやすくなるだけでなく、探索速度の上昇、プレイヤーから逃げることも容易になる。
勝利の一撃は、8秒以内の次の攻撃の最終ダメージが50%増加、スキル発動中にプレイヤーを倒すとHPが50%回復する血気盛んなスキル。両手武器を持って攻撃力を上げながら運用するのがお気に入りポイント。パーティでダンジョンに挑むときは乱戦になりやすいので、とくに重宝したスキルのひとつ。クールタイムが短いのもグッドだ。
パッシブスキルもユニークで、おもに基本的なステータスに影響を与えるものが多い。こちらは5レベルごとに装備できる枠が増えていくため、基本的にはほとんどのものが装備できるようになると思ってよいだろう。
さて、筆者のプレイスタイルだが、基本的には探索をメインとしつつ、アイテムを集めながら、ほかの探索者と戦うタイミングは後半にするといった感じ。序盤から戦っても大きなデメリットはないものの、自己回復系のスキルを生かしたいので、少し無理してモンスターを狩ってドロップ品などが充実してから戦いたいのが本音だ。
端的に表すのであれば、どっしり構えてじっくりいくタイプ。ただし前述した通り、開幕早々にほかプレイヤーを探して勝負を仕掛けることができないクラスではないので、自身のプレイスタイルにあった運用をしてもついてきてくれるのがファイターのよいところだ。
遠距離攻撃がしたいなどの限定的な条件を除いて、ある程度なんでもできてしまうので、クラス選びに迷ったらまずはファイターで遊んでみよう。
全体的には好印象。改善希望はあるものの、ひとりで遊んでもみんなで遊んでも楽しいタイトルになりそう
2時間ほどプレイをして傭兵を解放したところで先行プレイは終了。ソロプレイでは頼れる仲間がいないので、つねに緊張感のあるプレイを、パーティを組めば「ああしよう、こうしよう」と楽しく騒ぎながら仲間内でのプレイを楽しめた。
ひとりで遊ぶタイトルとしても秀逸だが、パーティプレイでも楽しませてくれる作品である。よい点を挙げればキリがないが、正直に気になったポイントも挙げておこう。
スマートフォンの操作性上、仕方のないことではあるが、攻撃と移動に少し引っかかる瞬間があった。ただ、本作のUIはかなり細かく調整でき、設定を最適化していけば、操作性を改善することもできる。なお、UIに関しては改善を検討しているとの発言があったことも付け加えておく。
攻撃して回避を繰り返す戦闘はかなり硬派で「これはこれでダンジョンや世界観の雰囲気に合っているな……」と思えなくもない。これは難易度が上がって登場するモンスターや使える装備・道具などが増え、スキル回しの正確性などプレイヤーの習熟度が高まれば、また違うイメージになりそうだった。
またクラスもひとつしか遊べていないので、ファイター以外のクラスを含めて全体の評価をできないことは残念だった。
何はともあれ、記事序盤でも語ったように探索中にほかプレイヤーに襲われる可能性や所持品をすべて失うかもしれない緊張感がほどよいストレスとなり、刺激的なプレイを楽しませてくれた。
先行プレイでは体験できなかった要素も多数あるため、そちらにも期待をしたい。ペットやプレイヤーたちが交流できるコミュニティ機能などが加わり、正式サービスに向けてどのような完成度になっていくのかも気になる。
次回のビルドテストでは日本をはじめグローバルのユーザーも参加できる予定のため、本作が気になっている方は続報に期待してほしい。
別途掲載予定のインタビューでは、本作のP/Dであるアン・ジュンソク氏に『ダークアンドダーカーモバイル』に関するお話を聞いている。そちらも合わせてチェックしてほしい。