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アニメ『ザ・ファブル』13話感想。海老原の小島への思いを考えるとツラい――。明るい洋子やクロの存在が救い――(ネタバレあり)

文:カワチ

公開日時:

 TVアニメ『ザ・ファブル』の第13話“アニキ……アニキ……。”の感想をお届けします。

【注意】キービジュアルより先のテキストでは、『ザ・ファブル』第13話の物語に関する記述が多々あります。そのため本編をご覧になってから読むことをオススメします。[IMAGE]


死と隣り合わせの世界観であることを思い出させる! アニメ『ザ・ファブル』13話感想


 “ファブル”と呼ばれる伝説の殺し屋が、1年間、誰も殺さずに一般人として大阪で暮らす姿を描く『ザ・ファブル』。アニメ版は『装甲騎兵ボトムズ』で知られる髙橋良輔さんが監督を務めます。

 一般人を殺して15年服役していた小島との戦いがメインとなる“小島編”のラストだった今回。『ザ・ファブル』の各話サブタイトルはコミカルな物が多いですが、今回は小島が海老原にすがるような声を出すシーンから抜粋しているストレートなタイトルになっていました。小島は海老原にだけは心を開いていたのに、その海老原は彼を……。そういったことを考えさせられる切ないサブタイトルでした。


 前回の第12話まではデリヘルをはじめようとする小島と、自分のテリトリーを荒らされて激怒した砂川が抗争。また、小島がアキラの職場のアルバイト先でお世話になっているミサキをデリヘル嬢にしようとしていたため、アキラ自身も抗争先のビルに潜入して、彼女を救い出すために行動していました。

 潜入はバレてしまったものの、超人的な能力を持つアキラはミサキを助け出し、小島を海老原のもとに連れ戻すことにも成功します。今回の第13話はアキラに邪魔をされた砂川のシーンから。利用価値が無くなった仲間を容赦なく殺す姿が描かれ、彼の狂気が伝わってきましたね。小島に関しては今回のストーリーで決着しましたが、まだまだ油断はできなさそうです。

 小島をトランクに詰めて海老原のもとに運んだアキラ。海老原は穏やかな口調で小島をたしなめます。また、小島が出所したあとに食欲や性欲といった欲望には無関心で暴力に走ったのは彼がEDであることが原因であることも看破。小島が砂川の部下を殺し、高橋に恐怖を植え付けたシーンもあったので、ここは視聴者としても納得できますね。

 驚いたのはそのあと。アキラにふたりきりで話がしたいと頼んだ海老原は、小島に対して「大丈夫や。俺が付いている」と安心させておき、彼を射殺します。その直前まで小島本人に病院に連れていくと伝えていたので、ここで殺すことは予想外で驚いた人も多いのではないでしょうか。言い残したことを聞いたりしなかったのは、少しでも死への恐怖を与えないための海老原なりの優しさだったのかもしれませんね。

 その後、戻ってきたアキラに「どう思う?」と問いかける海老原ですが、そんな彼にアキラが「俺がいなかったら小島はすでに工場でやられていた」と返すのが優しかったですね。アキラは戦闘に特化した能力の持ち主で、前回の第12話ではアキラがサヴァン症候群であることを匂わせるシーンもありましたが、彼自身はお世話になったミサキを助けたいという気持ちがあったり、感情がないわけではありません。2度も「どう思う?」と聞かれたことで、海老原が傷ついていることが分かり、優しい慰めの言葉を伝えたのでしょうね。

 また、このシーンはヤクザならではのケジメを描いたシーンであり、一般とは異なる価値観、倫理観で動いていることが分かりましたね。砂川を黙らせるには、もはや小島を始末するしかなかった。料理が趣味でかわいらしいところもある海老原ですが、彼もまたそちら側の人間であることを思い出させられました。とはいえ、死体の処理のためにやってきた男に、海へ捨てるのではなく山に埋めて欲しいと頼むシーンで根幹はいい人であることは分かりましたね。海老原自身も小島には死んでほしくなかったのでしょう。

 後半は今回の出来事がショックで独りで家でいることができなかったミサキが洋子の部屋を訪れてくる展開。ここは洋子の明るさと優しさに救われるシーンになっていましたね。ただの酔っ払いといえばそれまでですが、今はその酔っ払いの能天気さが救いでした。


 なお、ミサキがトラウマを思い出すところでは、彼女が性的な要求を受けた場面だけでなく、アキラがジャッカルのモノマネをする場面も入っていて笑ってしまいました。ミサキにとってはそこも恐怖だったんだ!(笑)

 また、終盤にはクロが登場するシーンも。海老原を見舞いに行ったクロはその後にキックや高橋からアキラの活躍を聞き、さらに彼の強さに惚れこんでいきます。完全にファンボーイのようになっているクロがかわいくてよかったですね。


 今回の第13話で1クール目が終了し、次からは2クール目へ。原作でも人気の高い“宇津帆編”に突入しますが、宇津帆玲役を藤真秀さん、佐羽ヒナコ役を安済知佳さん、鈴木ヒロシ役を子安武人さんが演じることが発表されています。アニメ版では実力派の声優陣がどのように本作のキャラクターを表現してくれるのか今から楽しみです!





カワチRPGとビジュアルノベルが好きなゲーマーで、誰にも気付かれないようなマニアックな小ネタを記事に織り込むのが好き。深みのあるゲームが好きかと思えば、本当は肌色が多ければなんでもいいビンビン♂ライター。

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