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『菜なれ花なれ』5話感想。杏那と穏花にはこんな面もあるのか…! 2人の仲を堪能でき、ダンスシーンではキャラらしさを表現するこだわりも感じられたのが最高(ネタバレあり)

文:米澤崇史

公開日時:

 TVアニメ『菜なれ花なれ』5話“ありったけカーニバル音頭”の感想記事をお届けします。

【注意】キービジュアルより先のテキストでは、『菜なれ花なれ』第5話の物語に関する記述が多々あります。そのため本編をご覧になってから読むことをオススメします。 [IMAGE]

小さい涼葉の存在を詩音は感じとっている?【菜なれ花なれ 5話感想】


 第4話では、杏那にとっての大切な居場所である、スタウトレコードが閉店の危機に瀕していることを知ったPoMPoMs(ポンポンズ)。

 どんな曲で踊るべきかの話し合いのシーンでは、詩音の動作が気になりすぎてちょっと話し合いの内容が入ってこなくなっていました。

 恵深が食べなかった羊羹を満面の笑みで頬張るシーンも当然かわいいんですが、穏花が喋っている時にも背景でニコニコとした笑顔で残ったもう一切れの羊羹(元々の自分の分かなと)を美味しそうに食べているのがまた良い。4話でも、特大の羊羹を頬張るシーンがあったので、とくに羊羹が大好きなんでしょうね。


 涼葉の本音でもある小さい涼葉はイメージ的な存在なので目には見えないはずなんですが、作曲を期待され「杏那ちゃんに聞いてみないと……」と口ごもるシーンをよく見てみると、小さい涼葉に詩音が視線を向けているようにも見えます(その直前に涼葉本人を見た瞬間と明らかに見ている場所が違います)。

 単純に"答えづらくて目をそらした”という表現なのかもしれませんが、小さい涼葉から向けられるプレッシャーみたいなのを、詩音が本能的に察していると考えるとちょっと面白いシーンです。


 カーニバルに向けてかなた達が準備を進めている一方で、店を存続させるため杏那は常連客に協力を呼びかけていました。MIYAが世界的に著名なミュージシャンになっているのは判明していましたが、それ以外の常連もすごいメンバーが揃っている様子。一体何者なんだYJ……。

 そんな中で閉店の話を聞きつけ、真っ先にYJの元を訪れていた佐藤は、自分が4話の感想で少し触れた、杏那の父が好きだった曲が店内に流れた時、ノリノリになって踊り始めたお客さんたちの中、一人ビックリしていた人物でまず間違いないと思います。


 これは穏花がビビってしまうのも無理はないな……と思うくらい、結構な強面の外国人客が多い中で、真面目でおとなしそうな佐藤はタイプが全然違っています。自身で言っていた「普通に生きていたら絶対に出会わないような人たちが出会い~」というくだりは、自分の経験談なんでしょうね。

 地味に店内に飾られた写真、その全部に杏那が映っていて、いかに杏那が皆に可愛がられて育ってきたかもよく分かりました。父親を亡くした杏那にとっては、もう一つの家がスタウトレコードであり、YJや常連客にとっては、杏那は妹分だったり娘のような存在だったんじゃないでしょうか。

意外と照れ屋だった杏那とストレートに気持ちを表現する穏花【菜なれ花なれ 5話感想】


 今までハツラツとしたシーンばかりだったので、不機嫌で常にイライラしている杏那はなかなか新鮮でした。

 ただ過去のシーンを振り返ると、杏那って元々はダウナー寄りの性格だったみたいですし、あの明るさは周囲と仲良くなるために演じていた部分もあるんだろうなと。杏那なりに頑張ってはいましたが、結局何やっても閉店は止められないと、内心では理解していたからこその歯がゆさを感じていたんですね。


 そんな杏那の手を引っ張って、くじけかけていた杏那を勇気づけたのはやはり仲のいい穏花でした。「応援なんかしたって……」と弱音を吐く杏那に対して、「私は応援するよ。お店が元気になれば、杏那ちゃんも元気になるでしょ」と一切照れることなく言い切った姿はめちゃカッコよかった。

 本作に登場するコンビの中でも、杏那と穏花はかなり距離が近くて、親しいからこそ互いの存在の大切さみたいなのを伝えるのって、結構気恥ずかしさが出たりすると思うんですが、ここの穏花は本当に堂々と「杏那ちゃんのため」と言い切っているのがすごい。

 心なしか顔も男前に描かれていたように思えますが、そこから杏那にぷりぷり怒り始めると、いつもの穏花に戻るギャップも良かったです。


 第3話では挿入歌『You for You』がエンディングテーマとして使われていましたが、今回は劇中のカーニバル本番のダンスシーンで新たな挿入歌『FeverFestaFever!』が流れたのもインパクトありました。

 ちょっと注目していただきたのがダンス終盤、かなたをジャンプさせるためのフォーメーションになる直前に、かなたを上に持ち上げる役の詩音と涼葉がポンポンを外すシーン。ここで涼葉は一切足を止めず、ちょっと無造作な感じでポンポンを落としてるんですが、詩音は少し腰を下げてから丁寧にポンポンを落とすという、二人の性格の違いが仕草にも反映されていて、細かいこだわりを感じられました。


 パフォーマンスが終わったあと、杏那が大分恥ずかしそうにしながら穏花を始めとした面々にお礼を伝えていたのは、その前のストレートな穏花とは対象的。

 穏花って杏那に対してだけはストレートに自分の気持ちを表現できていて、それまでの活発な杏那と引っ込み思案な穏花というイメージが、二人だけの関係性になるとひっくり返るのが面白いです。


 無事スタウトレコードの存続も決まり、杏那の故郷を守ることができたポンポンズ。次は誰を応援することになるのか、6話が待ち遠しいです。

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米澤崇史:ロボットアニメとRPG、ギャルゲーを愛するゲームライター。幼少期の勇者シリーズとSDガンダムとの出会いをきっかけに、ロボットアニメにのめり込む。今もっとも欲しいものは、プラモデルとフィギュアを飾るための専用のスペース。

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