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『菜なれ花なれ』4話感想。寝起き激弱な穏花の心底面倒くさそうな顔がたまらない。回を増すごとに“推し”が増えていく(ネタバレあり)

文:米澤崇史

公開日時:

 TVアニメ『菜なれ花なれ』4話“カポエイララプソディ”の感想記事をお届けします。

【注意】キービジュアルより先のテキストでは、『菜なれ花なれ』第4話の物語に関する記述が多々あります。そのため本編をご覧になってから読むことをオススメします。 [IMAGE]

寝起きの不機嫌な穏花が普段とのギャップでめちゃかわいい【菜なれ花なれ 4話感想】


 かなたがトラウマを乗り越えて、無事チアダンス動画を撮影することに成功した第3話。続く4話では、杏那と穏花に焦点を当てたエピソードが描かれていました。

 冒頭ではかなたたちのチーム名が“PoMPoMs(ポンポンズ)”に決定。3話でもいつの間にかチーム名のロゴ入りのユニフォームも出来上がっていましたが、「ポンポン作るの大変だから」という投げやりにも聞こえる発想が杏那らしい。でも安易に決めた割に、「応援したい」という方向性が誰にでも伝わりやすい、いいチーム名になっていると思います。

 またバイト先のスタウトレコードのシーンでは、杏那が英語ペラッペラでビックリ。いや、もちろんキャラクターとして英語を話せるのは分かっているんですが、声優としての技量だけでなく、純粋な英語力も求められる演じるのが大変そうな役柄だと改めて思いました。武田羅梨沙多胡さんすごい!

 レコードを流し始めるシーンからシームレスにオープニングが始まる演出も、なかなかオシャレで印象的です。


 個人的に4話で一番好きだったのが、学校に行く前に杏那が穏花を起しにいくシーン。今まで穏花に対する自分のイメージは、“引っ込み思案なほんわか系”の女の子だったので、起こされた瞬間、「この子誰だっけ?」と一瞬穏花と認識できなかったくらいでした。穏花の家族の反応からして、杏那が起しにいくのはいつもの光景なんでしょうね。


 2話・3話の感想でも、涼葉と詩音のイメージとのギャップが好きという感想を書いてたくらい、自分はこういう女の子のギャップにときめくタイプなので、今回の穏花に対してもこの朝のシーンだけで好感度が爆上がりしました。

 家を出たあともしばらくまだ目が覚めきってなくて、今まで見てきた穏花とは喋り方も明確に違っていました。純粋に朝が弱いのはもちろんあるでしょうけど、たぶん杏那とか家族とか、本当に親しい人の前でしか見せない素の顔でもあるんだろうなと思います(その後かなたと遭遇した時には普段の調子に戻っていましたし)。もし今後、ポンポンズのお泊り回なんかがあったりしたら楽しみ。果たして隠しきれるのか……(笑)。


 それはそれとして。いきなり店を閉めると言われるのは、純粋に従業員として困りますが、杏那にとってのスタウトレコードはそれ以上の意味をもつ場所だったようです。

 「店が無くなる」とつい口にして杏那を怒らせてしまった穏花ですが、すぐに結構軽い調子で謝って、即学校の話に切り替えるあたりなかなかドライ。

 さらにその後、機嫌が悪い杏那に八つ当たり同然の態度をとられて「なんなん?」って拗ねるのが、年相応な一面って感じでかわいかったですね。これまで穏花って杏那の保護者みたいなイメージもあったので、あくまでも二人は同世代の友達なんだと改めて認識させられました。

穏花の口から明かされる杏那の過去。語られなかった二人の馴れ初めも気になる【菜なれ花なれ 4話感想】


 そんな穏花の口から杏那の過去も語られましたが、幼い頃の人見知りな杏那はかなり新鮮。3話で、かなたに気を使った提案を頑なに拒否した時から予想はしていましたが、やっぱり杏那自身が周囲から遠ざけられた経験をしていたようです。

 これがイジメがあったとかじゃなく、どう接していいか分からず気を使って距離を取られたっていうのが、なかなかリアリティがありますよね。実際、自分が小学生の時にその場にいたとしたら、当時のクラスメートや穏花と同じような行動をとってしまっていたような気がします。


 また今回は濁されていましたけど、その後に二人が仲良くなったきっかけも気になるところ。この頃はまだ杏那も今ほど積極的じゃないでしょうし、穏花も引っ込み思案なタイプなので、すぐに仲良くなれるかというとなかなか難しそうだなぁと。

 ただ、穏花が小さい頃から育ったであろう商店街のお向かいさんとほとんど会話したことがないのは、さすがに「コミュ力的に大丈夫か?」と思いました(店に入ってからの話も、ほぼかなたと詩音が二人で進めていますし)。外国人が集まってる個人店って、入るのを躊躇する気持ちは痛いほど分かるんですけどね……!


 元々人見知りだった杏那が今のようになったのはスタウトレコードのコミュニティの影響が大きかったようです。確かに1話を見返すと、かなたに対しても詩音に対しても挨拶(という名のハグ&キス)から入っていて、杏那にとって“挨拶”は仲良くなるための一歩として大事なことだと今も考えているんでしょう。

 音楽が鳴り始めてノリノリになってくれるお客さんの中で、よくみると一人ちょっとビックリしてる日本人のお客さんっぽい人がいるのも細かくて面白い。子どもの頃って学校っていう狭い共同体を絶対視しがちなので、学校に馴染めない場合には学校外のコミュニティに所属してるのって結構救いになりますよね。

 詩音ありきでポンポンズに参加した涼葉ですが、すでに杏那のこともきちんと仲間として認識していることが分かったのも良かった。4話ではまた心の声が表現されなくなったので、ついクールキャラの印象に引っ張られそうになりますが、感情表現が下手なだけで中身はめちゃいい子なんですよね。


 詩音、涼葉に続いて今回は穏花と、これまでのイメージと違うギャップを感じられる作りになっていて、回を増すごとにどんどんキャラクターを好きになっているなと。1クール終わってみたら「メインキャラ全員推しです!」みたいな状態になりそうな気がします。

 そして今回はまさかの前後編? で、杏那の悩みの解決は次回へと持ち越しに。さすがに閉店を覆す……というのはかなりハードルが高いとは思いますが、ポンポンズにとって初めてとなる本当の他人への応援の結果がどうなるのか、見届けたいと思います。

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米澤崇史:ロボットアニメとRPG、ギャルゲーを愛するゲームライター。幼少期の勇者シリーズとSDガンダムとの出会いをきっかけに、ロボットアニメにのめり込む。今もっとも欲しいものは、プラモデルとフィギュアを飾るための専用のスペース。

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