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『この世界は不完全すぎる』第6話感想。またまた"MMOあるある”を利用したハガの戦い方が面白い。事前のフラグが満載だったラストは、自業自得ながらも…(ネタバレあり)

文:米澤崇史

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 TVアニメ『この世界は不完全すぎる』第6話“狂乱の賢帝”の感想記事をお届けします。

【注意】キービジュアルより先のテキストでは、『この世界は不完全すぎる』第6話の物語に関する記述が多々あります。そのため本編をご覧になってから読むことをオススメします。 [IMAGE]

丁寧にフラグを回収してしまった第6話のラスト。これもログアウト不可の極限状況が引き起こした悲劇なのか……


 衛兵長との戦いからスタートした6話は、ニコラに伝えた言葉が衛兵長を倒す何らかのカギになるのかと思いきや、普通にハガが地力だけで勝っていてちょっと驚き。

 思い返せばハガが今まで戦ってきた相手は、倒すのが不可能に近いモンスターやデバッグというチート持ちばかりでした。そのためハガの純粋な強さが分かりにくかったのですが、クエストの中ボス的な敵を無傷で倒しているあたり、相当強いことが分かります。

 また1話のホイモイドラゴンを始め、やたらとモンスターのデザインのクセが強い『このふか』ですが、6話で登場したキトラもかなりインパクトが。

 ムキムキのボディに凶暴な牙と多いな口、つぶらな瞳と妙に母性本能を擽る鳴き声があまりにもアンバランスすぎて、しばらく夢に出てきそうなレベルです。その後大量に発生するのは完全にホラーで怖すぎたんですが、一人で寝ていたキトラの最後は、断末魔もあわせてちょっとかわいそうな気持ちになりました。

 第6話では、敵を大量に発生させて意図的に処理落ちを引き起こしたり、メインワールドとクエスト内で世界が別なのを利用したワープを使ったり、"MMORPGあるある”な仕様を利用したネタが多数あったのも印象的。とくに処理落ちのシーンは、映像だけではなく音声も処理落ちで音が飛んだりしているのも、妙にリアルで笑いました。


 道中では、実はハガの職業がタンク系ではなくシーフだったことも判明していましたが、ゲームによってはシーフの盗みを使わないと手に入れられないアイテムとか、開けられない扉や宝箱があったりして、パーティに一人はいないと損をした気分になることもあるので、シーフを選んだハガのゲーマー的な思考には結構共感。

 一方で、“ただの村人”としてほとんど戦闘の役に立っていないことも自覚してしまったニコラの姿はちょっと心が痛みます。ただ、それで落ち込むのではなく、すぐに「もっと強くなりたい」と切り替えらる前向きさは見習いたいところ。

 本来仲間にならないNPCが、他の職業に転職できるのかは結構怪しいですが(だからアマノは焦ったんでしょうし)、今のニコラはテスラが中にいる特別な存在でもあるので、転職の可能性も十分にありそうです。


 そしてラストでは、酒井たちによる反乱が起き、社長に刃が向けられるという衝撃の展開に(事前に酒井たちが社長への不満をぶちまけていたシーンで、そうなりそうな予感はありましたが)。

 社長って、思い返すと前にも故郷の味をNPCに再現させようと躍起になっており、ずっと現実に戻りたい気持ちがあったのは間違いなさそうで、急にログアウトを目指すと方針転換しようとしたのも結構納得いきました。決して善人ではないですが、ログアウトできないという局限状況に追い込まれたら、一種の逃避として異常な行動に走るのも理解できますし、ちょっと同情できる部分はあります。

 しかしその考えは、現実以上にこの世界を存分に楽しみたい酒井たちと折り合いがつくはずもなく、元々この結末は避けられなかったのかも。社長がかなり情緒不安定になっていたのも事実で、いつ自分に矛先を向けてくるか分からないパワハラ気質のワンマン社長の元で働きたいかというと、普通に嫌なんですよね……。タイプ的に、酒井がずっと社長の言うことに従順だったのも少し違和感があったくらいなので、そりゃあこうなるよなという印象です。


 一方、明らかにゲームバランス的に存在がおかしい鎧の騎士など、まったく別の謎も残していった第6話。奇しくもラストの展開で、ハガたちも気にしていた「ゲーム内で死んだらどうなるのか」という謎に対する答えも、次回で明らかになるかもしれません。



米澤崇史:ロボットアニメとRPG、ギャルゲーを愛するゲームライター。幼少期の勇者シリーズとSDガンダムとの出会いをきっかけに、ロボットアニメにのめり込む。今もっとも欲しいものは、プラモデルとフィギュアを飾るための専用のスペース。

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