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『この世界は不完全すぎる』第8話感想。これは本当にルゥが生き返ったと言ってもいいのか、二人の結末があまりにも切ない。ハガが戦った黒い鎧の騎士の正体は…(ネタバレあり)

文:米澤崇史

公開日時:

 TVアニメ『この世界は不完全すぎる』第8話“コンソールコマンド”の感想記事をお届けします。

【注意】キービジュアルより先のテキストでは、『この世界は不完全すぎる』第8話の物語に関する記述が多々あります。そのため本編をご覧になってから読むことをオススメします。 [IMAGE]

やっぱりNPCは職業には就けない? ウキウキのニコラの笑顔がかえって辛い

 一度は死んだと思われていたものの、身代わり石の効果で生き残っていた社長。7話のラストは、その社長がアマノにNPCを生き返らせる方法で取引を持ちかける、意味深なラストで終わっていました。

 アマノは取引に応じることを決めたようで、社長に指定されたチェストに入っていたデバッグストーンを発見します。

 わざわざアマノにデバッグストーンを使わせようとしているということは、デバッグストーンはプレイヤーに紐づいていて本人以外は使えないのでしょう。


 ログアウトを目指してゲームを進めたい社長にとってはデバッグストーンは絶対に確保しておきたいアイテム。ですが、社長のデバッグストーンはテスラが食べてしまっているので、アマノに話を持ちかけるのは納得がいきます。

 一方ハガたちは、7話でも話題にあがっていたニコラの職探しをすることに。

 しかし案の定というべきか、プレイヤーではなくただの村人NPCでしかないニコラは職業に就くことができません。きちんと職業が設定されているNPCもいると思いますが、ニコラの場合は非戦闘要員なので、バトル用のパラメータ的なものが設定されていないんでしょう。


 ちょっと前まで未来の自分の姿を想像してウキウキだっただけに、ハガとしては非常に事実を伝えづらいところ。ただハガ自身はこの結果はある程度予期できていたはずなので、その場しのぎで希望を持たせてしまった分のツケが回ってきた感じはあります。

 ただ、ゲームやラノベなどの"村人”って作品によっては最終的に大化けする大器晩成クラスだったりもするので、ワンチャンニコラも成長さえできれば最後に化けるんじゃ……と思ったりもしましたが、そもそもパラメータがない=成長の余地すら用意されていない、とすると厳しいんでしょうね。

コンソールコマンドでルゥの蘇生には成功するも……


 社長の指示に従い、コンソールコマンドを使ってルゥの蘇生に成功したアマノ。なんだかもう、潰れたはずの建物が元通りになっている時点で、そうじゃないかという予感はしていたのですが、ルゥは確かに生き返ったものの、アマノと過ごした記憶を完全に無くしていまっていました。

 元々ルゥのクエストはランダムで発生していたものだったので、クエストが発生していない場合は今回のアマノのように家から追い出されてしまうんでしょうね。

 一度NPCの状態をリセットして、ゲームスタート時の初期状態に戻すという処理が走ったんだと思いますが、これを“生き返った”と表現していいのかは微妙なところ。

 アマノが共に過ごしたかつてのルゥは上書きされてしまったので、ある意味これでアマノが知っていたルゥは本当の意味で世界から消え、"死”を迎えたのかも……と考えるとかなり切ない。けど、それもアマノにとってのエゴでしかないことも分っているので、アマノは無理矢理にでも受け入れたんでしょう。

 一方のハガたちはというと、掘り出し物のドクロが思わぬ形でニコラ用の武器になることに。


 "潜在能力に応じて威力が変わる”というゲーム上の設定が、内部的には"使用者のレベルに応じてダメージにデバフをかけている”と処理しているのは結構納得で、まさかレベルを持たないNPCが使う場面が来るとは想定されていなかったんでしょう。

 7話でもアマノが言っていましたが、このパーティはアタッカーが不在なので、連続使用できないとはいえニコラが攻撃できるようになると、結構バランスが改善されそう。

 そして最後に、まさかの二度目の死を迎えてしまった社長……(さすがに今回はダメそう)。NPCに対する扱いは常軌を逸していましたが、ログアウトできないという極限状況に精神が耐えられず、正気を失ってしまった典型が社長だったんでしょう。

 ハガやアマノにとっての"デバッグ”や"漫画”にあたるものが、社長にはなかった。決して善人ではないですが、同情の余地はある人物だったと思うので、さすがに死んでしまったのはいろいろ複雑な気持ちになりました(NPCを生き返らせる方法も嘘ではなかったですし)。


 その社長を殺したのは、6話でも登場していた黒い鎧の騎士で、ハガたちと同じ同じデバッガーでもあるアキラでした。

 なぜアキラが社長を殺したのか、なぜあの城にいたのか、といった謎は、今後明らかになりそうですね。



米澤崇史:ロボットアニメとRPG、ギャルゲーを愛するゲームライター。幼少期の勇者シリーズとSDガンダムとの出会いをきっかけに、ロボットアニメにのめり込む。今もっとも欲しいものは、プラモデルとフィギュアを飾るための専用のスペース。

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