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電撃オンライン

『ファントム・ブレイブ 幽霊船団と消えた英雄』発売記念緊急座談会。開発スタッフも交えて最新作の見どころやシリーズの魅力を語り尽くす

文:アツゴロウ

公開日時:

最終更新:

 日本一ソフトウェアより1月30日に発売予定のSwitch/PS5/PS4/Steam用RPG『ファントム・ブレイブ 幽霊船団と消えた英雄』。その発売を祝して、本作の開発陣と電撃オンラインスタッフによる座談会を開催しました。

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 開発陣からは、開発責任者を務める細野裕矢氏とシナリオ担当の城花健人氏の両名。電撃オンラインからは『ファントム・ブレイブ』シリーズに縁の深い、4名の編集・ライターが参加しました。

日本一ソフトウェア
『ファントム・ブレイブ 幽霊船団と消えた英雄』
開発責任者
細野裕矢氏

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日本一ソフトウェア
『ファントム・ブレイブ 幽霊船団と消えた英雄』
シナリオ担当
城花建人氏

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■電撃オンラインスタッフ

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『ファントム・ブレイブ 幽霊船団と消えた英雄』発売記念緊急座談会 前編

『ファントム・ブレイブ』との関わりは?


──まずは、みなさんが『ファントム・ブレイブ』シリーズに初めて触れたきっかけや手がけたお仕事についてお願いします。

そみん
では私から。電撃オンラインの編集長をしておりますそみんです。『ファントム・ブレイブ』との関わりですが、『ファントム・ブレイブ』の1作目が出た当時はDengekiGAMESという総合誌の編集でした。そこで日本一ソフトウェアさんのタイトルを担当することになり、『ファントム・ブレイブ』の記事に携わったのが最初です。そのあと攻略本編集部にも在籍し、もともと『魔界戦記ディスガイア』のファンだったということもあり、日本一ソフトウェアタイトルの攻略本作りに関わらせてもらって。あとは設定資料本の『ファントム・ブレイブ キャラクターコレクション』のディレクションも担当しました。

栗田親方
私は『ファントム・ブレイブ』のマスターガイド、コンプリートガイドの制作が最初の関わりです。当時はライターからアシスタントエディターになったばかりで、編集作業を勉強しながら本格的に取り組んだのがこの2冊でした。そういった理由で思い入れの深い作品になっています。ほかにも『ディスガイア』シリーズや『ソウルクレイドル』の攻略本にも関わりました。

むらたっち
電撃オンラインで編集をしているむらたっちです。『ファントム・ブレイブ』の攻略本で、主にデータ班とライティングを担当していました。いい写真を撮るのに相当苦労した思い出があります(笑)。確かオバケ島の最高到達点更新に挑戦したりもしましたね。

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そみん
『ディスガイア』の攻略本でもそうでしたが、日本一さんのゲームって、いろいろ“変なこと”ができるんですよね。だからその“変なこと”を極めてみよう、みたいなページが必ずあって。作品のやりたい放題なところをどう攻略本で表現するか? ということに心を砕いた覚えがあります。

アツゴロウ
電撃オンラインでライターをしてますアツゴロウです。自分は攻略本には関わってませんが、今の仕事を始めたのがDengekiGAMESのライターからで、そみんさんが編集部でテスト版をプレイしているのを後ろから見ていたんですよね。そうしたら「何が起きてるか全然わからないけどなんかおもしろそう!」となって。製品版が出たあと趣味でプレイしていたら、『ファントム・ブレイブ キャラクターコレクション』の制作に参加させていただき、キャラクターのシークレットエピソードの執筆もやらせていただきました。

そみん
『ファントム・ブレイブ キャラクターコレクション』は当時のおおらかな時代だからこそいろいろやれたところがあるんですよね。『ファントム・ブレイブ』のプロデューサーだった新川さんや開発スタッフの方と話して、「設定資料集でこういうのを入れませんか?」と直接交渉ができて。

 シークレットエピソードについては、個人的に汎用ユニットが好きなんですが、汎用ユニット自体の設定がゲーム内で描かれることはないわけじゃないですか。そこでスタッフの方々に「なぜこの汎用ユニットがファントム(死者の霊)になったのか?」みたいな裏設定を入れたいです」と話したら「いいですよー」と快諾してもらえて(笑)。話が通ったあとは、日本一さんから参考資料をもらいつつ編集部側でキャラクターごとのミニエピソードを書いて、それを監修してもらう形で作っていきました。

アツゴロウ
本当に短いエピソードでしたが、ああいう物語を書いたのは初めてだったので楽しかった思いがあります。そういった意味でも思い入れのあるタイトルなので、新作にも期待しています!

細野
『ファントム・ブレイブ 幽霊船団と消えた英雄』で開発責任者をしている細野と申します。私が日本一ソフトウェアに入社してから18~19年くらい経ちますが、じつは『ファントム・ブレイブ』に関わるのは本作が最初となります。もともとはプログラマーとして入社しまして、『流行り神』や『魔女と百騎兵』の制作にプログラマーとして参加し、ここ5、6年は開発経営者として『void* tRrLM2(); //ボイド・テラリウム2』や『嘘つき姫と盲目王子』などに携わりました。

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 シミュレーションRPGにはこれまで触れてこなかったのですが、今回は縁がありまして担当させていただくことになりまして。そんなわけでもともと接点がなかったものですから、『ファントム・ブレイブ』についてより深く知るべく、プロジェクト立ち上げ当初はスタッフ全員で前作のプレイはもちろん、電撃さんの作った攻略本をページが破れるくらい読み込ませていただきました。

城花
実際、本当に破れていましたね(笑)。

そみん
そこまで読み込んでいただきありがとうございます(笑)。

城花
『ファントム・ブレイブ 幽霊船団と消えた英雄』で、シナリオ回りと演出を担当させていただいた城花と申します。『ディスガイア』シリーズなどのシナリオも担当しています。20年前、前作が世に出た当時はまだ小学生でした(笑)。『ファントム・ブレイブ』って、それくらい展開が止まっていたタイトルだったこともあり、私も入社当初はまったく知らなかったんですよね。ただ、日本一ソフトウェアのタイトルと他社さんとのコラボ事業を手がける部署に配属されて、コラボのシナリオなどを監修するために『ファントム・ブレイブ』の知識を学ぶ必要があって、そこが最初に触れたタイミングになりました。

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 『ファントム・ブレイブ』の第一印象としては「『ディスガイア』の翌年に、よくこれだけ方向性の違うシミュレーションRPGを出せたな」というものでした。この童話のような暖かい雰囲気と、それに反するような重い展開のオンパレードというシナリオにはすごくパワーを感じましたし、当時の弊社の自由さとでも言うべきものに関心した覚えがあります。そんなことを言っていたら、新川さんから指名されるかたちで、本作のシナリオを担当することになりました。人生、何があるか本当にわかりませんね(笑)。

『ファントム・ブレイブ』新作についての注目点は?


──開発陣のみなさまには本作の見どころや開発中の苦労話などを、電撃オンライン側は公開済みの情報で注目している点についてお願いします。

細野
今回いろいろな要素を用意したので、どれを注目点に挙げればいいのか迷いどころなのですが、やはり一番はバトルを推していきたいですね。前作で好評だったシステムはそのまま活かしつつ、20年来のRPGの進化というものを取り入れてますから。取り入れたもののなかには『ディスガイア』シリーズで好評だったものもあります。

 『ファントム・ブレイブ』固有のものとしては、オブジェクトに味方のファントムを憑依させて出撃するコンファインや、マス目のないフィールドでのフリー移動、さまざまなオブジェクトを拾い装備として利用できることや、敵やオブジェクトを持ち上げ&投げたりできることなどですね。完全新規のものとしては、マローネに味方のファントムを憑依させる“絆コンファイン”や、砲台などのガジェットの利用。バトルで使える技についても300種類以上、アビリティも600種類以上と豊富に用意しています。

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 このように、バトルだけでもボリュームたっぷりで、シミュレーションRPGが好きな人にも満足してもらえると思います。もちろん、シミュレーションRPGが苦手という人が困らないように、チュートリアルやヘルプ機能も充実させました。より多くのユーザーのみなさんにバトルを楽しんでもらえればと思います。

城花
シナリオ面については、2つほど注目点があります。1つはアプリコという新キャラクターがいるのですが、彼女の成長していく姿にご注目いただければと。もう1つは前作から引き継いだ主人公コンビ、マローネとアッシュの絆の深堀りというところですね。

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 ちなみに、シナリオ作りの最初はすごく難航したんですよ。とくにマローネとアッシュについては、「20年ぶりの完全新作に2人を出して、ユーザーのみなさんに受け入れてもらえるのか?」という不安が強くて、「とても2人を続投させられない」と考えたこともありました。

 実際、シナリオの草案を提出する段階で、別のキャラクターを主人公にした完全オリジナルのものをいくつか書いて、「こちらで行きたいんですが……」と上にかけ合ったこともありました。上のほうでは「マローネとアッシュは絶対に続投させよう」という意見が強くて。弊社の創業者である会長と話す機会があって、そこでも訴えてみたのですが、「いや、それは逃げだ」と。「続編が出るのであれば、ユーザーはマローネとアッシュのその後が見たいと思うし、それをしっかりとおもしろく書くのがプロだろう」とまで言われて。そこから十数本の草案を作って検討を重ね、“2つの軸を作る”という方針に固まりました。それが先ほど挙げた2点ですね。

 アプリコには、前作で好評だった“不幸な女の子が成長していく”というところを担当してもらい、マローネとアッシュは成長した2人の関係性を軸にしたストーリーを用意しました。この2本の軸により、新しいユーザーのみなさんに楽しんでもらいつつ、続編を待っていた方々にも楽しんでもらえるようなシナリオを作れたのかなと。かなり苦労して作ったので、この部分に注目していただければと思います。

細野
マローネもアッシュも20年ぶりの登場になりますが、前作をプレイした人でも初めての人でも違和感なく物語に入っていけるシナリオに仕上がっていると思います。ただ、やはり20年ぶりというのがいろいろな部分でハードルになったのは確かですね。細かい部分で言えば、マローネとアッシュの担当声優である水橋かおりさんも下野紘さんも、当時から格が上がっていますから、まずスケジュールを確保できるかが問題になりました。

城花
そこはなんとかなりましたが、お2人とも「当時の声を出せるかな?」というところを心配していました。水橋さんは「あれから私は20年経っているのにマローネは半年しか経ってないとかズルくないですか?」ともおっしゃっていましたが(笑)。ですが、収録で水橋さんが出したのは間違いなく“半年後のマローネ”の声で、さすがプロといった感じです。

 あとは、本作で初めて『ファントム・ブレイブ』に触れる人向けに、プロローグで前作のあらすじを語るナレーションが入っていますよね。これは一度完成させたあとで「これでもまだ足りないだろう」という意見が出て、ナレーション部分を全部撮り直すなど、より前作未プレイの人にも物語に入っていけるような導入にするよう心がけました。

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そみん
現在配信中の体験版でもしっかり見られる部分ですね。

アツゴロウ
プロローグのナレーションもそうですが、ゲーム内の用語集でも前作のフォローがされていて、これは初見の人でもわかりやすいだろうなと思いました。

城花
ありがとうございます。やっぱり20年ぶりにプレイする人の心情に立って考えるのが本当に難しかったので、そう言っていただけて少し安心しました。

そみん
システムについては、我々としてもコンファインはおもしろいものでしたし、思い入れが深いものがあります。それこそ攻略本を作るときに、データ取りで苦労もしましたから(笑)。

城花
コンファインはかなり独特でしたからね。『ファントム・ブレイブ』は最初『ディスガイア』の系譜だと思っていたのですが、実際に触れてみるとまったく別物でしたし。

細野
戦略の組み方とかかなり違ってきますよね。

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そみん
コンファインで出撃させたユニットが、一定ターンでリムーブ(離脱)してしまうのも斬新でした。リムーブを考慮してユニットのローテーションを考えながらの戦いになりますから。回復役は最初から出してもしょうがないから後回しにするとか。まあ攻略が極まってくると「回復役なんていらない」となってしまいがちですけど(笑)。

栗田親方
最終的には育成を極めたキャラクターで無双している状態の印象が強いです。

むらたっち
マローネしか動かないとかよくありましたね(笑)。

城花
日本一ソフトウェアのタイトルって、攻略の仕方がユーザーのみなさん側に選択肢があるのがいいとすごく思っていて。たとえばレベルでゴリ押してもいいし、単騎で無双してもOKです。そういった部分は変えずに行こうかな、と思っています。とはいえ前作みたいな、SPDのものすごく高いキャラクターだけが行動しまくるようなバランスにはならないよう注意しながら開発を進めていきました。

細野
前作はけっこうなSPDゲーでしたからね(笑)。そこはどうにかしようと思っていました。結果としていろいろな対策が作れて、各キャラクターのバランスも取れたと思うのですが、デバックの過程などで予想外の戦術が生まれたりもして。

そみん
初心者ですとリムーブしないマローネを使いたくなるところですよね。あとは“絆コンファイン”を使って、いなくならないメインユニットみたいな感じで使えるのが体験版を遊んでいてわりと楽しいなと思いました。

細野
一度敗北してしまったステージでも、再挑戦の際に“絆コンファイン”を使うことでリカバリーが利くというか、なんとかなったりしますからね。“絆コンファイン”については、どのタイミングで誰とコンファインするかなどで結果は大きく変わってきますから、そのあたりも戦略や遊びにつながっていて上手くいったかなと思います。

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そみん
単純にマローネの見た目が変わるのも楽しいですよね。

城花
そうですね。ユーザーのみなさんも、マローネのいろいろな姿を見たいと思うので、そこは開発としての推しポイントの1つだと思います。やっぱりマローネの魅力というものが『ファントム・ブレイブ』の根幹を成すものですし。

そみん
あとは技のエフェクトとかもいいですね。いわゆる普通のRPGの、決まった角度から見るものではなく、さまざまな角度からの飛んだり跳ねたりが見られて。個人的には『ディスガイア』よりも『ファントム・ブレイブ』のほうがおかしい技が見られる気がします(笑)。

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細野
カメラも自由ですし、使う武器も自由ですからね。城花のほうにも技の監修をしてもらったのですが、かなり苦労をかけたと思います。

城花
このゲームの恐ろしいところは、「これはバグですか?」と思うような絵がバグじゃなくて仕様だったりするんですよ。たとえば“秘密の花園”という技は、使ったキャラクターを大量に生やして敵を囲む、みたいなエフェクトで、アッシュが大量に生えてくるのを見たときにはバグにしか見えませんでした(笑)。そうかと思えば、「この技、キャラクターのモデルがすごく伸びちゃうんですけどこれも仕様ですか?」と聞いたら「バグです」と言われたり(笑)。

栗田親方
なかなかラインが難しいですね(笑)。

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城花
こんなふうに自由度が高いのはいいんですが、そのぶんデバックはこれまでで一番大変でしたね。とくにキャラクターが吹き飛ぶ、という要素が悪さをしているみたいでした。

むらたっち
前作では使うとすごく移動する技があって、攻略に使えるものもあれば、気づいたらとんでもない場所にいたりしました。

細野
本作でも移動技はあるんですけれど、移動したあとで場外になったりしまして。最初はそこを考慮せず作っていたのですが、あとで問題に気づいて、作りながら対処していった覚えがあります。

城花
どこまでを仕様として落とし込むか? というところで苦労しましたね。やりたい放題RPGをうたっていますが、開発側としてはやりたい放題だけではダメなので(笑)。

そみん
状況によっては場外祭りになることもありますね。あとは敵に武器を奪われたうえ場外に投げ捨てられて、なんとも言えない気持ちにさせられたり。

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城花
体験版でもウサギリスがやってきますね。あれを見ると何か懐かしい思いがあふれてきます(笑)。

むらたっち
移動をミスったときによくやられました。

城花
そうですね。やっぱりアイテムの奪い合いみたいなところもこのゲームの魅力なのかな、と思います。

そみん
前作で、むちゃくちゃ強くした武器を誤操作で敵に投げ渡しちゃったときは悲劇でした。

城花
本作では、敵になぐられて武器を落としちゃう、みたいなケースもあるのでご注意ください。

細野
オノで殴られるとそうなりますね。逆に、こちらがオノで攻撃して敵の武器を落とさせる、といった戦術も使えます。

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栗田親方
それは前作にはなかった要素ですね。怖いけどスリルがあっておもしろそう。敵が持っている強力な武器を奪うときにも使えるわけですか。前作ではStealの高いユニットをガッツリ鍛えないと強い武器は奪えなかったから、手段が増えるのはありがたいです。

そみん
ダンジョンのすごい下層のボスからよく盗みましたね。

むらたっち
Stealの高いボトルメールが大活躍でした(笑)。

細野
盗みもそうですが、前作の良い部分は残しつつ、ストレスを感じる部分は改善するようにしています。たとえば何か持っているときはほかのものを投げたりできなかったんですが、本作ではマローネが“即投げ”で武器を持っている状態でも投げができるようになっています。マローネはほかにも、ファントムのリムーブを延長する“コンファイト”や、出撃させたファントムをすぐ行動させる“コンファースト”が使えますよ。

そみん
体験版をプレイさせていただいた印象は、メインストーリーは比較的難易度が低めなのかな、という感じでした。もちろん体験版の範囲以降はどうなるかはわかりませんが、途中のサブクエストなどで難易度の高いところも楽しめる感じでしょうか。

城花
メインストーリーの途中で難易度を下げてプレイすることもできますし、メインクリア後は難易度を上げることも可能です。

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そみん
難易度は最初に選べますし、一番低い難易度にすればストーリーも楽しみやすそうですね。ストーリーについては、編集部内でもどの時期が描かれるのか予想しあっていました。数十年後の大人になったマローネの話とか、マローネの次世代の話とか、それこそ新主人公でマローネたちはゲスト扱いとか。フタを開けてみたら半年後ということでしたけど。

細野
『ファントム・ブレイブ』は今後シリーズ化も予定しており、そうするための土台を本作で作っていこう、という話がまずありました。ですから、今言われた数十年後のマローネとかは、どこかのナンバリングで取り扱うかもしれません。

城花
もしかしたら成長したマローネを見たくない、みたいな人もいるかもしれません(笑)。あと、パートナーのアッシュはもう死亡してファントムになっていて、外見的な成長はないというのもポイントかと。マローネとアッシュの関係性で大事なところですね。

 マローネは今は幼い姿で、アッシュはその兄のような立場ですけれど、これからマローネが成長していくにつれて、アッシュは置いていかれてしまうと思うんですよ。これは電撃さんの『キャラクターコレクション』のほうでも書かれていましたが、アッシュはマローネに置いていかれることに負い目というか、不安を感じているのは間違いないんです。ここは絶対に描かなければならない部分だと思うので、本作のシナリオのテーマにもさせていただきました。

そみん
アプリコについては、前作のマローネが序盤とても不幸で、ユーザーがこの先幸せになって欲しい、と感じるような部分を、彼女がわりとハードに背負っている印象ですね。

細野
その部分は大事な要素だと、スタッフのほうでも考えています。

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城花
シナリオとしては「全年齢向けにして欲しい」と言われていて、そうなるように作っていたのですが、後半で「これ大丈夫?」と言われるような展開もいくつかありました。それでも全体的に見て、全年齢向けの範囲内に抑えられたと思います。CEROがBになったのはほかの理由ですね。

アツゴロウ
確か女性キャラクターのビジュアルでしたね。細野さんが以前のインタビューでも少し話されていました。

細野
原田たけひとさんのキャラクターデザインが少々きわどくてそうなりました。ですが、そこでデザインを妥協するよりはCEROの審査を妥協するほうがいいかと思いまして(笑)。

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城花
そうですね。そこは変えたくありませんでした。私たちとして許容できるビジュアルのラインにかなったものでしたし。

アツゴロウ
正解だと思います(笑)。

栗田親方
大賛成ですね(笑)。

そみん
新作の発売に伴って、前作をプレイする人も増えそうですね。実際、私も今遊び直しています。プレイ済みとはいえ何せ20年前のことですし、メインストーリーがうろ覚えだったりもしますから。

細野
弊社としても、前作のSteam版を配信しているのですが、けっこう遊んでいただけているようです。あと、弊社のゲームの配信ルールもちょっと変更がありまして。プレイ動画を配信する人が増え、それを視聴して『ファントム・ブレイブ』シリーズに興味を持つ人が増えていってくれたらうれしいです。

そみん
日本一ソフトウェアさんのタイトルは配信向きですよね。いろいろ変なことができて(笑)。

城花
ただ、弊社のタイトルはけっこう黙々とプレイする人が多く、配信で画面がずっと変わらない! みたいなこともあるのでそこを気をつけてもらえるといいかもです。開発側としては、新作をプレイしてもらって「こんなシステムあったなあ」みたいな感じに前作の記憶を刺激して、前作にまた触れていただけるのが一番いいのかなと。そのうえで、前作で少々不便だったところが新作で改善されているのを感じてもらえれば、これまでの苦労が報われる思いです。

キャラクター育成、どこまでやる?

 
──次は趣向を変えまして、本作のちょっとした攻略情報や、みなさんがどこまでやり込むのか? などについて語ってもらえますか?

細野
マローネの育成について語らせていただきますと、オノを持たせるというのがあります。マローネはステータスも武器のマスタリーも平均的なのですが、1つ特徴を挙げると“HPが高い”というのがあるんですね。じつはオノって、威力がHP依存のものが多いんですよ。なので、マローネにはオノを持たせるといいんじゃないかというのがスタッフからのアドバイスです。

 先ほど話したように、オノで攻撃すると敵の武器を落とさせる効果もありますし、オノ装備マローネで敵の武器を落とさせて戦闘能力を削りつつ、落ちた武器には味方をコンファインして奪う、みたいな戦術も可能ですよ。

栗田親方
小さい子が大きな武器を振り回すみたいなフェチもありますからね。いいと思います。

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城花
私はシミュレーションRPGの開発に携わっているものの、じつはシミュレーションRPGのプレイがすごく苦手で。『ディスガイア』シリーズでも、クリアするまでかなり苦労します。そういった理由で、プレイはとりあえずクリアまで到達できたらそこで止めてしまうことが多いですね。

 ただ本作は、キャラの育成を含め、攻略のための選択肢が多くて助かっています。たとえば難しいステージでも、“絆コンファイン”でゴリ押したら上手くいったりするので。ですから本作でも、好きなキャラだけを編成するなど、好きなようにプレイしてクリアまでたどり着きたいと思います。これまで私の手がけたタイトルを知っている人ならわかってもらえると思いますが、いわゆるショタキャラが大好きなので、ウィザードを5人くらい作って、マローネお姉さんに付き従って戦う、みたいなプレイをしたいですね(笑)。

細野
転生と覚醒などの育成システムを駆使すれば、見た目はそのままで戦闘能力を盛ることができますから、もちろんそういったプレイも十分可能です。あと、本作では育成の導線をしっかり作ることを心がけましたので、次に何をやればいいのかはわかりやすいと思います。具体的には、拠点でキャラメイクで新しいユニット作成→商店で装備を購入→バトルで経験値を稼ぎ、レベルアップしつつドリンクバーで経験値を分配→武器を魔道合成で強化→称号を付けてさらに強化、みたいな流れがやりやすくなっていますよ。

城花
ほかにもマリーナの強化で味方全員にバフをかけたりもできれば、育成用のランダムダンジョンもあります。育成にこだわりたい人には存分に楽しんでいただけますし、シミュレーションRPGが苦手という人にも育成方針は立てやすいのかな、と思います。

そみん
これまでのセオリー的なところから言うと、主力となるキャラクターをある程度育てたあと、ランダムダンジョンなどでそのキャラクターを中心に戦って一気にレベルアップを図る、みたいな流れに本作でもなるんでしょうか?

細野
メインストーリーのバトルでもダンジョンのほうでも、人数が必要となるケースはあります。なのでドリンクバーで経験値を分配するなどして全体の底上げを図るのは重要ですね。

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城花
本作ではサルベージという、時間経過でアイテムを探してきてもらえる要素もあります。これがけっこう便利で、いろいろなアイテムが手に入って楽しいというのもあるのですが、序盤のとにかく装備が不足しがちになるところをフォローすることもできます。サルベージもしっかり使ってもらいたいですね。

アツゴロウ
自分はやり込みプレイは好きなので、本作でもいるかどうかわかりませんが、大魔王バールのような隠しボスを倒すところまではやりたいと思っています。あとは『ファントム・ブレイブ』が初めてプレイした日本一ソフトウェア作品ということもあり、神剣みたいな最強武器が出てきたときはすごく心ひかれたんですよね。

むらたっち
神剣良綱ですね。

アツゴロウ
そうそう、それです。本作でもあるなら絶対入手したいと思うので、そこまではマストかなと。

城花
本作は強い武器を入手するだけで一気に強くなれたりするので、そこは重要ですね。

細野
メインストーリーでは出てこないレアな装備は、ダンジョンの深い階層で入手できます。もちろん本作でも神剣良綱は出てきますので、楽しみにしていてください。ただ99階層とか、そうとう深いところまで潜る必要はあります。

城花
本作では新たにガジェットという要素がありますが、ダンジョンで使えるスロットがおもしろいんですよね。スロットを回して、当たりが出るとレアアイテムがたくさん降ってきます。

細野
外れると敵が降ってきちゃうんですけどね(笑)。

アツゴロウ
『ディスガイア』のアイテム界に出てくるレア階層みたいになる感じでしょうか?

城花
まさにそうです。スロットを含めたガジェットは、前作よりも全体的ににぎやかにプレイできるようにするために入れているものなので、ユーザーのみなさんにも楽しんでいただけたらと思います。

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アツゴロウ
あとはメインストーリーをクリアしても、そのあとに後日談があるでしょうし、そこまでしっかり遊び尽くしたいですね。

城花
後日談のシナリオも私が手がけさせていただきました。後日談で初めて3D化されるキャラクターもいるので、物語だけでなくそういった部分にもご期待ください。ちなみに、後日談までクリアするのに、スムーズにいって60時間くらいかかると思います。

アツゴロウ
さすがに昔ほどプレイ時間は取れなくなりましたが、好きなタイトルですのでできる限り頑張りたいと思います!

栗田親方
やり込みの段階としてはメインストーリークリア、後日談などのおまけ要素のクリア、最終的には最強アイテム入手などいくつかあると思いますが、やるからにはひと通りやりたいという思いがあります。

細野
本作からの要素として、レアアイテムは光って見える、みたいな仕様もあります。そういった部分にも気持ちよさを感じていただければと。

栗田親方
それはいいですね。わかりやすくて。難易度にもよりますが、やっぱりそこまではやりきりたいなと。

むらたっち
私もできるだけやり込みたい派ですね。好きな見た目のキャラで中身を強くできるとのことなので、そのプレイを極めたいと思います!

城花
こうして聞いていくと、人それぞれ方針が違っておもしろいですね。そこがやりたい放題RPGというものなのかな、と改めて思います。ストーリーのクリアなど、ゴールはいくつか作っているんですけれど、そういったものにも縛られず、自由にプレイしてもらえたらうれしいですね。

そみん
そういえば前作では、“大失敗”の称号を使ってアイテム合成の効率を大幅に上げる、みたいな裏技がありましたね。本作ではこの方法は使えるのでしょうか?

細野
その穴は本作では塞いでいます。あれはちょっとやり過ぎな感じがしたので。ただ、ほかにもこういった裏技ができないように十分注意して作ったつもりですが、なにぶん要素の多いゲームですし、もしかしたら抜け道のようなものができてしまっているかもしれません。そのあたりは私たちも発売後にプレイして確認し、ユーザーのみなさんの動向にも注目しながら、どんなものが出てくるか楽しみにしたいと思います。

※話が途切れずボリュームがすごいことになってしまったので後半に続きます。後半の記事もすぐ配信する予定ですのでどうぞお楽しみに!

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