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コロプラ金子一馬新作『神魔狩りのツクヨミ』はある意味“ツキレンジャー”!? “神魔画家”がAIを調伏し、より精度を上げていく仕組みもユニーク

文:電撃オンライン

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 コロプラより金子一馬氏がコンセプトプランナーを手掛ける完全新作“Project MASK”あらため『神魔狩りのツクヨミ』が、2025年5月7日にリリースされます。

 本作は金子一馬氏の描く独自の世界を舞台にした、タワマンローグライクゲームです。 

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 コンセプトプランナーの金子一馬氏と、開発プロデューサーの齋藤 ケビン 雄輔氏へのインタビューを掲載。金子氏が描く魅力的な主人公・ツクヨミたちや、〈AIカネコ〉がどのように学習を行って、どのように活用されているのかなどをお聞きしました。

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▲コンセプトプランナーの金子一馬氏と、開発ディレクターの齋藤 ケビン 雄輔氏。
※記事内のゲーム画面は体験版のものです。

主人公・ツクヨミたちはツキレンジャー!?【神魔狩りのツクヨミインタビュー】


――本作では、どんなキャラクターたちが登場するのでしょうか?

金子氏
:主人公は“ツクヨミ”と呼ばれる存在で、月齢に由来する“十六夜のツキヨミ”、“新月のツクヨミ”、“満月のツクヨミ”、“半月のツクヨミ”がいます。戦隊モノのツキレンジャーのような感じで、マスクをかぶることで特殊能力が使えるんです。

 彼らが被るマスク「月夜見命与月弓尊面」は、“ツクヨミニアタエシツクヨミノメン”と読みます。当て字なんですが、天照大神(あまてらすおおみかみ)、月読命(つくよみのみこと)、素戔嗚尊(すさのおのみこと)の三柱を総称して三貴神“みはしらのうずのみこ”と読むのを参考にしました。

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――ツクヨミたちのデザインコンセプトを教えてください。

金子氏
:特撮やアニメが好きなので、いろいろな要素が混じっています。基本的には、仮面ライダーが1番近い。子どものころに見た、マスクから髪の毛が出ている様子が好きで、そういうのがやりたいと思いました。

 これまで僕が手掛けてきた作品は、選択肢によってロウやカオスなど、物語が変わっていきました。しかしローグライクではそれが足かせになると考え、テンポよくプレイできるように、違った物語を持つ複数のツクヨミを登場させました。全員のお話を見ることで、物語の全貌が見える形になっております。

 彼らとコンビとなるキャラクターも登場し、一緒に活躍します。

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――金子さんがコスプレしている人物が、どんな人物なのかも気になります。

金子氏
:僕の作品によく出てくる、知っているくせに、はっきり言わない系のキャラクター。「それはね……」って、感じの人物です。

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▲画家K
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〈AIカネコ〉はどのようにして学習、成長しているのか【神魔狩りのツクヨミインタビュー】


――〈AIカネコ〉は、どのように学習させていったのか教えてください。

ケビン氏
:1段階目は金子さんがコロプラに入社されてから描いたものを使って、学習させています。ただそれだけでは数が足りないため、次の段階として。1段階目に何千、何万と出力させたもののなかから、「これを学習させると、より金子さんに近づくのではないか」というイラストを選定し、それを学習させます。

――人間だけならいいですが、本作の世界観だと人外も多いですよね。余談ですが、今回はいつも以上に都市伝説にちなんだ神魔が多い印象を受けました。金子さんがお好きだからというのも、理由の1つでしょうか?

金子氏
:現代的な面白さを出したかったというのもあります。日本で神話がベースになると、どうしても妖怪が多くなってしまいます。妖怪はすでにイメージが定着したものが多いので、より新しく、クスっと笑えるようなものを用意したいと思ったんです。

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――初めて描いたものも多いんじゃないですか?

金子氏
:いっぱいありすぎる。

ケビン氏
:個人的に印象的な神魔は、八尺様ですね。ほかにも知らない分野や名前の神魔もあったのですが、金子さんのお話を聞くと、いずれもデザインの意図にも反映されていて、発見が多かったです。

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▲八尺様

――画像生成AIについては、権利面など、ネガティブな意見も少なくありません。金子さんは、改めて画像生成AIについてどのようにお考えですか?

金子氏
:今の画像を並べて完成させる話にも通じる部分がありますが、僕としては絵を描くツールの1つだと思っています。

 技術的なブレイクスルーは必ず出てくるので、個人的にはしなやかに、それに乗っていかなきゃダメかなと思います。

――金子さんのように著名なクリエイターが、画像生成AIを積極的に活用しているのも珍しい例ですよね。生成された画像で、刺激を受けることはありましたか?

金子氏
:それは、ありますね。〈AIカネコ〉……、MCなんとかみたいで、言っていて恥ずかしい(笑)。僕はこんな風にしたいとプロンプトを入れても、まったく違うものが出てきます。指示通りにしてくれないけど、面白いねってものもあって、そのアイデアを使うこともあります。

 自分の作品を学習させた〈AIカネコ〉のようなコンテンツは、クリエイターにとって、1つの仕事の形になるのかなと思います。会社に所属するなり、自分で会社を立ち上げるなりして、「AIでこういうデータを貸します」と。

 今回はゲームの中に入れましたが、のちのち〈AIカネコ〉を貸し出すときがくるかもしれません。会社員になりましたが、上手く行ったら、いくらかいただきたいですね(笑)。

――金子さんはAIをとても有効的に活用されていますが、ファンのなかにはオリジナルを求める方も多いと思います。その辺りは、どのように思われますか?

金子氏
:神魔画家として、本作用にいろいろなものを新たに描き下ろしていますので、そこは楽しみにしていただきたいです。

神魔画家が、AIを調伏!?【神魔狩りのツクヨミインタビュー】


――〈AIカネコ〉を搭載した“偽神・オオカミシステム”では、オリジナルのカードが生成されます。どのような仕組みになっているのでしょうか?

ケビン氏
:カード生成時に、プレイヤーが行ったプレイのログが表示され、その情報をもとに生成されます。内部的にはいろいろやっていますが、イベントの選択肢やどんな敵と戦ったかなど、総括的な判断でカードの効果と絵が生成されます。

 ローグライクの性質上、組み合わせが爆発的に多いので、バランス設計にもAIを活用しています。

 本作は、限りなくAIを使って開発したらどうなるのかが裏テーマです。断念しましたが、サウンド(BGM)もAIで作る予定がありました。ゲーム開発に必要なリソースを、AIでやろうとするとどうなるのかという実験、検証もしています。

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――偽とついているとはいえ、AIを神と呼ぶのはインパクトがあります。その意図を教えてください。

金子氏
:宗教的思想・グノーシス主義から着想を得ています。ゲームの中では、何者かが“偽神・オオカミシステム”を造り、ツクヨミたちはその神の協力を得ていますが……。サスペンスというか、何かありそうな気がしますね。ゲームをプレイすると、考察好きが喜ぶ要素が散りばめられています。

――“AI調伏プログラム「盈月(えいげつ)奉納の儀」”で、金子さんがプレイヤー生成カードを選定・リファインし、ゲームに実装することでAI性能をさらに高めていく予定とのことですが……。上手く行くのかも含め、挑戦的な取り組みですよね。

ケビン氏
:金子さんの画風を学習させたとは言え、画像生成AIが生み出せるのは70、80%程度の再現画風であり、オリジナルの金子さんの創造性とカンペキに同レベルになることは、恐らく無いと思われます。しかし、金子さんファンの皆さんには、それでは満足いただけないでしょう。

 そこで、金子さんファンの方にも楽しんでいただくにはどうすればいいか考えた結果、生成されたカードを金子さんが見て総評し、ゲーム内に反映させるのはどうだろうと。金子さんとプレイヤーで一緒にAIを育て変化を楽しむためのツールとして、この企画を採用しました。

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――ファンの皆さんが、生成されたカードを見て、どれくらい金子さんらしさを感じるかなど、未知数な部分が多いですね。

金子氏
:そうだね、僕らにとってもそこは未知数です。

――リリース後、神魔画家が“AI調伏プログラム「盈月(えいげつ)奉納の儀」”で、どんな神魔を描くのか楽しみです。

金子氏
:プレイヤーの皆さんが創り出した新しい神魔を、ゲームに織り込んでいきます。

――お話いただける範囲で、マネタイズ(課金要素)についても教えてください。

ケビン氏
:画像生成はサーバーなどコストがかかりますが、ゲーム体験の大事な部分です。画像生成を価値あるものにし、そこにお金をかけていただき、よりよい体験につなげていきたいと思っています。

 実はローグライクは、マネタイズととても相性が悪いんです(笑)。お金を払って強くなっても、強くなり過ぎるとローグライクとして面白くなくなってしまいます。お金を払ってくださったユーザーの皆さんが、楽しめないのが1番よくありません。

 本作ではプレイしていくごとにさまざまな育成要素が解放していくのですが、現状それがランダムになっています。そのなかに、レアリティの高い金子さん描き下ろしイラストカードなども入っています。

 時間をかけて遊べば全部手に入りますが、課金すると時短できるような仕組みになる予定です。

――最後に、ファンの皆さんにメッセージをお願いします。

金子氏
:久しぶりに、自分のゲームが作れました。世の中にあまたゲームがありますが、僕は特徴的な作品を作るのがウリですので、期待していただけたら。お話も笑いあり、毒あり、金子一馬らしさが色濃く出ています。楽しく、プレイしていただけたら嬉しいです。

ケビン氏
:AIを取り入れたゲーム体験を楽しんでいただきたいです。最終的には、皆さんにああだった、こうだったとコミュニティを広げていただくことで、ゲームエンタメとして完成すると思っています。ぜひ遊んで、声を聞かせていただけたらと思います。

――ありがとうございました。

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