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【ネタバレ注意】『Thunderbolt Fantasy 東離劍遊紀 最終章』Blu-ray&DVDを観た後に読みたい舞台挨拶レポ。鳥海浩輔、諏訪部順一、西川貴教、虚淵玄が物語の結末を受けた感想を語る

文:電撃オンライン

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  虚淵玄さんが原案・脚本・総監修を務める『Thunderbolt Fantasy Project(サンダーボルトファンタジープロジェクト)』は、台湾の伝統ある人形劇・布袋劇を現代的な感覚でアレンジした日本・台湾共同制作による人形劇です。

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 2025年2月に公開された劇場上映作品『Thunderbolt Fantasy 東離劍遊紀 最終章』のBlu-ray&DVDが、本日5月28日についに発売されました。

 今回は、2025年2月22日に行われた上映記念舞台挨拶をレポートします。吉田尚記(ニッポン放送アナウンサー)が司会を担当し、W主人公である凜雪鴉(リンセツア)役の鳥海浩輔さん、殤不患(ショウフカン)役の諏訪部順一さん、主題歌と浪巫謠(ロウフヨウ)役を担当した西川貴教さん、そして虚淵玄さん(ニトロプラス)によるネタバレ&裏話など、Blu-ray&DVD発売後の今だからこそ公開できる舞台挨拶の様子をたっぷりとお届けします。

[IMAGE]※この記事には『Thunderbolt Fantasy(サンダーボルトファンタジー) 東離劍遊紀 最終章』の大きなネタバレが含まれているので、ご注意ください。

西幽玹歌まで物語の結末が決まっていなかった!?【Thunderbolt Fantasy 東離劍遊紀 最終章 舞台挨拶】


 2016年のシーズン1放送から始まった本シリーズが、2025年2月に公開された劇場上映作品『Thunderbolt Fantasy 東離劍遊紀 最終章』で遂に完結を迎えました。

 登壇した皆さんが日本国内でそろったのは、なんとプロジェクトの発表以来ということ(台湾のイベントでは共演あり)。今回は最終章を鑑賞後のファンに向けた舞台挨拶ということで、ネタバレ満載なトークが展開されました。

 凜雪鴉と殤不患の(物語の)終わりを演じてどう思ったかを聞かれ、鳥海さんは「私たちも先を知っていたわけではなかったので、最初に台本を読んだときは、(ファンの)皆さんと同じ衝撃を受けました。携わって9年、彼らを最後まで演じることができて感無量です」と話します。

 吉田さんから「殤不患を道連れにした」と物語の結末に触れるツッコミを入れられると、鳥海さんは「彼が来たんです」と返し、諏訪部さんは「凜雪鴉は都合のいい解釈をしますからね」と話して会場を笑わせていました。

 諏訪部さんは「まさに腐れ縁。お地蔵さんの場面から始まった縁が、ずっと繋がってこの先も……。これぞ『Thunderbolt Fantasy Project』なのかなと思いました。長く続いてきたシリーズだったので、最終章は感無量です。長い間ご覧下さった皆さんに、感謝しています」と語りました。

 最終章の台本を受け取るまでは、鳥海さんも諏訪部さんもこのような着地の仕方になるとは想像もしていなかったそうです。なかでも、殤不患の正体には2人とも驚いたといいます。

 殤不患の出生やエンディングはいつ頃から構想があったのかという質問に、「西幽玹歌(せいゆうげんか)まで、何も考えていなかったです」と虚淵さんから衝撃の回答が!

 シーズン5まであれば物語を完結させられると考えていたそうですが、諸般の事情により劇場での最終章で全部まとめることになったそうです。人形劇の撮影は、シーズン4と最終章は同時進行で進めていて、かなりセットが共通しているとのこと。あとで映像を見直してみると、楽しいかもしれません。

浪巫謠・ヒロイン説!?【Thunderbolt Fantasy 東離劍遊紀 最終章 舞台挨拶】


 最終章で浪巫謠が最初から囚われていたことについて、虚淵さんは「イケメンは呻かせてなんぼなところがあるので、辛そうな声を出していただきました(笑)」と回答。諏訪部さんも「浪巫謠はヒロイン感がある」と話します。

 そんな浪巫謠を演じる西川さんは、本作の終わり方について聞かれ、「(演じた人物が)死なずにすんだ貴重な作品です」と語って会場から温かな拍手が起こります。「思い入れ深い作品であり、幼少期から行方知れずの父に会えましたし、母は僕の声変わりにショックを受けて……ということもありましたが、意外な展開や変遷があってよかったです。ちなみに、(人形の)衣装が1番多かったです」と想いを語る西川さん。

 浪巫謠はシーズン1終了後から登場するため、虚淵さんはすでにいる登場人物たちに新たに加わる人物として、逆算してキャラクターを作っていったと語っていました。西川さんへの当て書きではなく、むしろ、真逆のように内へ内へと悩んで、そこから花開いていくキャラにしたそうです。

 浪巫謠について西川さんは「嘲風(チョウフウ)にあんなに好きだと言われて、靡かないなんて……。あんなにLOVEだけを投げてくれる人と一緒になったら、絶対に幸せになれるのにと思っていました。ねじ曲がった愛情ですが、本当に(自分の)内しか見ていない」と感じていたそうです。

 「凜雪鴉と魔王の繋がりはどのあたりから考えていたのか」という質問で、「シーズン2くらいに宝塚公演「異次元武侠ミュージカル『Thunderbolt Fantasy 東離劍遊紀』」の広報用に、赤い凜雪鴉の(レビューの羽根を背負った)衣装を作ってもらったんです。その出来が良くて、魔界の王様にしてしまおうかなと」と答えた虚淵さん。

 なお広報用の衣装は重過ぎて、そのまま使用すると人形師の方が怪我をしてしまうということで、新規デザインになったそうです。そのため、初期の構想では赤対青だったとのこと。

 ちなみに鳥海さんは、魔王との繋がりをシーズン4の台本を受け取って知ったそうです。
 

魂が宿ったような人形たちの魅力【Thunderbolt Fantasy 東離劍遊紀 最終章 舞台挨拶】


 吉田さんは最終章まで物語を見届け、「本当に人形!?」と感じたそうです。

 鳥海さんも「不思議なもので、表情がないはずなのに、シチュエーションに合わせた表情をしているように見えてしまう。撮影の角度などを工夫されているからだと思います。アニメーションで表情が変わるのと同じ感覚で、違和感がなく見られますよね」と話していました。

 諏訪部さんは「魂が宿っているようですよね。台湾には人形のファンがたくさんいて、向こうでイベントをした際も、人形が登場するとキャーと歓声が上がっていました」、西川さんは「色っぽいんですよね」と人形そのものが持つ魅力を語ってくださいました。

 アニメやゲームと人形劇の脚本作りの違いを聞かれて、虚淵さんは「好き放題できる」と回答。アニメでは間を持たせるのが難しい長ゼリフですが、人形劇では人形師さんのアドリブがつくため、キャラクターを饒舌にすることが出来るとのことです。

主題歌『VOYAGE』には田中敦子さんへの想いも【Thunderbolt Fantasy 東離劍遊紀 最終章 舞台挨拶】


 最終章のエンドロールには、懐かしい登場人物たちが多数登場しています。この演出は、ギリギリになって虚淵さんが加えたとのこと。そこで流れるのが、西川さんが担当している主題歌『VOYAGE』です。

 西川さんは楽曲について「物語の最後、航路が繋がって、最後にたどり着く。その意味もあるのですが、毎度シリーズの最後にエンディングで作品のあらましをナレーションしてくださった田中敦子さんの大ファンだったので、最後のナレーションはないですが、曲がその代わりになればという思いも込めました」と、熱い気持ちを話してくださいました。

 ちなみに西川さんは、最終章ということで虚淵さんに歌詞をお願いしようと思ったそうですが、今までの流れがあるからと西川さんのチームで作ることになったそうです。

 また『Thunderbolt Fantasy Project』の劇伴をテーマに楽曲を作ったことへの想いも明らかに。台湾の歴史ある芸能を日本で扱うことに対して、しっかりリスペクトを示すために、ていねいに作られたそうです。

 台湾でイベントの打ち上げをされた際に、関係者の方が涙しながら今回のプロジェクトを喜んでいたそうで、「想いがあればこんなに素晴らしいものが出来るんだという象徴になってくれたらいいなと思いました」と話す西川さん。

 虚淵さんも「最後の裂魔弦(レツマゲン)のセリフが、まさにそうなんですよね。『His/Story』という曲があったからこそ、出てきたセリフだなと思います」と語っていました。

 最後に、登壇者の皆さんからご挨拶がありましたので、紹介させていただきます。

鳥海浩輔さんからのご挨拶


 多くの方にご覧になっていただき、幸せな気持ちです。最初にオーディションを受けてから10年くらい経っているのですが、そのときは人形劇とは思っておらず、主人公とは思っておらず、決まってからびっくりした思い出があります。早10年近く、最後を迎えることが出来て感無量です。これも応援してくださる皆様のおかげです。本日はどうもありがとうございました。

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諏訪部順一さんからのご挨拶

 このシリーズ、プロジェクトは、虚淵さんが布袋劇と出会ったことで生まれた日本と台湾の文化の融合。まさに虚淵さんが布袋劇に出会たことが、シンギュラリティ(技術的特異点)で、そこから広がる文化の萌芽だったのではないかと思います。

 それぞれの新しいエンターテインメントをこの作品として形をなすことができ、そこに関われたことが私としてはよかったと思っています。ぜひ、この作品を見て面白かったと思った方は、周りの皆さんに勧めていただけますと幸いです。

 残虐な描写もありますが、それはそれ。楽しいと胸を張れる作品ですので、引き続き応援いただけたら、最終章2もあるかもしれませんので(笑)、よろしくお願いします。

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西川貴教さんからのご挨拶

 楽曲だけでなく、キャストの皆さん、虚淵さん、台湾の関係者の皆さんと深く繋がれたことが、僕にとっても大切な思い出になっています。これはあくまで、形ばかりの最終章です。

 まだまだ布袋劇を知らない方もいると思うので、その素晴らしさを伝えていっていただけたら、この作品が長く、そして深く続いて行くものになると思いますので、応援よろしくお願いします。

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虚淵玄さんからのご挨拶

 10年が経ったなんて信じがたく、夢のような日々でした。ここで、まず一区切り。語りつくせないくらい、いろいろあるんですが、今後のことを考えていきたいと思っています。

 日本と布袋劇の交流が僕だけで終わってしまうのは、無念すぎる想いがありまして、新たなクリエイターをお迎えできないかと……。まだ構想段階ではありますが、いろいろ活動している最中です。また皆さんに新しい世界をお見せ出来ればと思っておりますので、よろしくお願いします。

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 虚淵さんやキャスト、関係者の熱い想いがこめられた『Thunderbolt Fantasy 東離劍遊紀 最終章』のBlu-ray&DVDは、本日5月28日に発売です。ぜひ、皆さんも主人公たちがたどり着いた物語の結末を見届けてください。

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