電撃オンライン

『モノクローム・エコーズ』レビュー。ヘイトや行動順が数値化された戦闘で、すべてを読み切る戦略性が問われるRPG【電撃インディー#1005】

文:電撃オンライン

公開日時:

最終更新:

 電撃オンラインが注目するインディーゲームを紹介する電撃インディー。今回はThousand Gamesが配信中のRPG『モノクローム・エコーズ』のレビューをお届けします。

[IMAGE]
 なお、電撃オンラインでは尖っていてオリジナリティがあったり、作り手が作りたいゲームを形にしていたりと、インディースピリットを感じるゲームをインディーゲームと呼び、愛を持ってプッシュしていきます!

ヘイトや行動順が数値化されて戦略性が問われる戦闘


 『モノクローム・エコーズ』はハックアンドスラッシュに特化した異世界召喚RPG。『BASTARD!! -暗黒の破壊神-』の作者・萩原一至氏が世界観を構築したハクスラRPG『QUESTER』のシステムをアレンジした作品です。

 舞台は剣と魔法が力を持つ“白”と“黒”だけの世界。その言葉通り、ゲーム全編がモノクロで描かれる懐かしさを感じる世界で、プレイヤーは異世界から召喚された勇者として魔王の封印を目指すストーリーが展開されます。

[IMAGE]

 冒険は5人パーティーで行います。パーティーは4種類あり、ゲーム開始時に任意で選択可能。パーティーごとにメンバーが固定されているので、自分の好きなパーティーで始めてOK。見た目以外に能力に影響するクラスが異なりますが、のちのち変更できるようになるので、直感で選べます。

[IMAGE][IMAGE][IMAGE][IMAGE]
▲主人公だけ名前や呼び名を変えられます。パーティーのリーダー感が出ますね。
 世界観を聞いているだけでもワクワク。いざ、冒険に出かけるとしましょう。

 初期段階ではフィールドのどこに何があるのかほとんどわかりません。わかるものといえば、一部のダンジョンと冒険に出発する際にそこからスタートできるようになるストーンヘンジくらい。まずは行動範囲を広げるためにストーンヘンジを目指すとしますか。

[IMAGE]

 フィールドには敵のシンボルが徘徊しており、接触すると戦闘が始まります。戦闘はターン制のコマンドバトルとなっています。

 ターンごとに3つまで行動を決められるのですが、行動ごとに使用するAPが設定されており、そのキャラの最大APに納まるようにしなければいけません。強力な効果を発揮するものほど消費APが多いので、一撃を取るか、細かく稼ぐかは悩みどころ。

 ただ、消費しなかったAPをつぎのターンに持ち越すなんてこともないので、できるだけAPは最大まで使うのがよさそうです。

[IMAGE]
▲行動はクラスや装備に依存するので、プレイスタイルによって変わります。
 行動ごとに狙う敵や攻撃範囲が設定されており、任意の敵を攻撃したり、味方を回復することはできません。ただ、行動には黄色の枠で囲まれた数値があり、基本的にこの数値が大きい行動から行われます。

 キャラにも狙われやすさを数値で視覚化したヘイトもあるので、ある程度、攻撃されるキャラを予想可能。もちろん、敵にも設定されていますが、敵にはランダム要素がなく表示された通りの行動や順番を行います。

 つまり、ターンの開始時にそのターンの流れを読み切った行動が求められるというわけです。

 とはいうものの、チュートリアルにも書いてあったとおり、なんとなくでも戦闘を行うことはできるので、難しく考えすぎる必要はありません。

[IMAGE][IMAGE]
▲全員の行動を決めたらターン開始。行動は記憶されるので毎回、すべてを決める必要はありません。

 読み切った! と思ったらヘイト管理をミスっていたり。数値を読み間違えて予想していた順番で行動できなかったり。味方にはランダム要素もあるので、下振れて予想していた結果に届かなかったり。戦略性が非常に高く、やりがいがあっておもしろいです。

[IMAGE]
▲戦闘で敗北するとさまざまなペナルティがあります。必ず逃げられるので無理だと思ったら退くことも肝心。
[IMAGE]
▲賞金首と呼ばれる強力な敵もいます。そのあたりにいる敵よりはるかに強く、すべてをかけて倒せるかどうかというまさに強敵。
 試行錯誤する必要がある以上、ちょっとずつ進めていくことになりますが、本作にはクリアまでに制限時間はありません。ただ、一定期間をサイクルで区切っています。サイクルごとに宿泊する宿を決めたり、クエストを達成しなければいけません。感覚としては1ヵ月の宿や目標をあらかじめ決めるという感じでしょうか。サイクルは拠点に戻ると進む形になっています。

[IMAGE][IMAGE][IMAGE]
▲ちなみにクエストを達成できなかった場合、罰金を取られます。ただ、プレイした感じでは簡単なものが多かった印象です。
 その中で魔王を封印するために各地を冒険しますが、もっとも重要なものが食糧。移動するごとに必要となるリアルな仕様です。管理はたいへんですが、冒険している感はかなり高まりますね。

[IMAGE]
▲拠点から出発する際に食糧の量を決められます。ここにもお金がかかるので本当にお金は大事……。
[IMAGE]
▲食糧は道中で補充することも可能ですが、最大値は出発時に選んだ量から変わりません。お金に余裕があるときは最大量の食糧を持って冒険したいところ。
[IMAGE]
▲戦闘時にやられてしまった味方の回復時にも食糧が必要です。
 ボリュームもかなり多そうで、じっくり考えてコツコツ進める仕様が個人的にハマりました。

装備やクラスによって戦い方ががらりと変わる高いカスタマイズ性も


 冒険や探索もおもしろいですが、クラスや装備などを吟味するとさらに楽しくなります。

 ゲームを始めるときにパーティーを選びましたが、キャラによってクラスは決まっていました。クラスは解放していれば、拠点でいつでも変更可能なので、自分にとっての最適解を探すためにも早く解放したいです。

[IMAGE]

 クラスの解放はフィールドやダンジョンにある泉を発見するとできます。泉ごとに1キャラのクラスがランダムで解放されるという仕組み。

[IMAGE][IMAGE]

 レベルはクラスごとに設定されているため、クラスを解放してもすぐに即戦力とはなりません。食糧のシステムと言い、どこまでリアルを突き詰めているんだ!

 基本的にクラスごとのスキルは他のクラスでは使えませんが、マスタースキルだけは共有可能です。クラスを育てることで解放されるので、どんなマスタースキルがあるのか、ぜひ自分の目で確かめてみてください!

 マスタースキルを解放して他のクラスでも使えるようになれば、戦術の幅が大きく広がり、攻略の可能性も一気に広がりそうですね。

[IMAGE]
▲クラスのレベルは拠点で上げる仕様。フィールドでいくら経験値を入手してもレベルは上がりません。
[IMAGE]
▲最大レベルを上げられる石碑も各地に隠されていました。
 クラスごとの固有のスキルもあるので、クラスである程度の戦いの傾向を決められそうです。そこから細かく調整するのが装備です。

[IMAGE]
▲スキルポイントはレベルが5の倍数になったときに1ポイントずつ入手できます。
 装備は武器が2種類、アクセサリ1種が装備でき、武器はクラスごとに装備できるものが決まっています。戦闘時に使用できる行動が設定されているので、攻撃特化にしてもいいし、バランス型にしてもいい。全部で3つ装備できるので、幅広く試せます。

[IMAGE][IMAGE]

 ちなみに行動の中にはAPとは別に何かしらのリソースを使うものがあります。リソースは装備やクラスのスキルで決まり、足りていないと行動できなくなってしまいます。

 リソースはパーティーで共有するので、リソースを優先して装備を決めるキャラがいてもいいかもしれません。リソースの管理も重要な役目ですからね。

[IMAGE]

 リソースは戦闘終了時に回復するので、つぎの戦闘を考えて温存する必要はなし。ただ、少なすぎると行動の選択肢が減るので、多めに確保しておくに越したことはありません。

 ゲームを進めていけば、強力な敵も出てくるので武器の強化も忘れずに。強化は同じ武器を持っていれば+値が増やせます。ただし、+1の装備を強化するには同名装備の+1が必要に。たいへんではありますがショップやフィールドで入手など武器の入手手段は豊富なので、難しくはありません。

[IMAGE][IMAGE]
▲ランダムで食料や宝箱などが隠された場所も。何が出るかは調べてからのお楽しみ。
 何かあるとすれば、強化してきた装備より強い装備を入手したときにすこし悲しくなることくらいでしょうか。ゲームの仕様上、仕方のないことかもしれませんが、けっこうリアルな作品なので装備にも愛着が湧いちゃうんですよ。

懐かしさを感じるモノクロの世界で戦略を試す


 本作はモノクロで描かれた世界を舞台にしています。いまでこそ、カラーは当たり前ですが、昔はそんなことはなかったのでどこか懐かしく感じます。

 モノクロとは言えど、髪や服など場所によって白色と黒色の濃さが違い、単純に2色とは言えません。はっきりと違いが分かります。

 基本はモノクロですが、戦闘時のヘイトなど一部はカラーになっています。世界観が壊れる……と思った方もいるかもしれませんが、あくまでシステムの視認性を高めるためなので、雰囲気は損なわれてはいません。

[IMAGE]
▲序盤は攻撃が通りにくいスライムに苦戦しました。
 ターン制でありながら1ターンで複数回行動ができるシステム、クラスや装備によって決まる行動、ヘイトや行動順を視覚化した数値。これらが組み合わさることで、戦略性の高い戦闘が楽しめます。

 すこしばかりのランダム要素もあるので、予想通りに戦闘を運べたとしても必ずしも勝利できるとは限りません。そこにもハラハラしちゃいます。

[IMAGE]

 それでいて、ボリュームも十分に感じました。もっと試行錯誤しながら魔王の封印を目指す冒険に戻りたいと思います。

[IMAGE]

    本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ている場合があります